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SDGs目標「3.すべての人に健康と福祉を」 その内容と解決のための事例紹介

インターネットやテレビ、ラジオなど様々なメディアでSDGsの話を聞く機会が増えました。

情報に触れることが多くなり、SDGsがだいぶ身近になってきたのではないでしょうか?

今回は「3.すべての人に健康と福祉を」についてお話ししますが、健康や福祉に関連する事業ではないから、できることはないかもしれないと感じることもあるかもしれません。

ですが実際は、健康的に生活を送るためには多くのサービスを必要としますので、支援できることも広範囲に及びます。

直接健康には関係ないかも?と思える企業が「3.すべての人に健康と福祉を」を支援することを掲げており活動しています。

外務省ホームページにも掲載されている企業なので、公に認められている活動です。

「すべての人に健康と福祉を」がどんな目標なのかがわかり、企業の事例が知ることができれば、あなたの事業に取り入れるイメージがつくのではないでしょうか?

それでは「3.すべての人に健康と福祉を」の内容から見ていきましょう。

目次

SDGs目標「3.すべての人に健康と福祉を」とは?

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、”あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する”ことを目的にとしています。

国連では,誰もが健康になれる状態のことを『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ』と呼んでいますが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジにするためには投資の拡大が不可欠です。

そもそも健康とは、

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、 あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつです。

(引用: 「世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会仮訳)」https://www.japan-who.or.jp/commodity/kensyo.html

カラダだけでなく、精神的にも健康で差別されることのない健康の恵まれた世界の実現の為にこの目標3が必要とされています。

健康・福祉についての現状と問題点

SDGsの前身にあたるMDGs(ミレニアム開発目標)の策定後は、世界では5歳未満児の死亡率、妊産婦の死亡率、HIV/エイズ、マラリア等ではかなりの成果を得られたました。

成果は上がりましたが「すべての人に健康と福祉を」となるには依然として問題は残っています。

国連が報告している内容を参考にあげると以下のような問題があります。

■妊産婦の死亡

世界保健機関(WHO)の発表によると、世界の妊産婦死亡数は年間30万3,000人といわれています。

これは、毎日830人が出産により死亡している計算になります。

5歳未満で亡くなっていることが年間540万人いて、そのうち生後一か月以内の新生児が半分を占めている現状です。

死亡率が高い地域はサハラ以南のアフリカの国々です。

死因が予防・治療可能な出産時の合併症や感染症によるものが多く、貧困で十分な医療サービスを受けられていないことが原因です。

■HIV/エイズ

新規 HIV 感染者やエイズ関連で死亡した人はピーク時から約半分に減ってきています。

しかし、いまだに新たにHIVに感染していまったり、HIVとともに生きている人は多数います。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)によれば、2020年に

約3,760 万人が HIV とともに生きており、約2,740 万人が抗 HIV 治療を受けています。

約150 万人[110 万-210 万人]が新たに HIV に感染しました。

約69 万人[48 万-100 万人]がエイズに関連する疾病により死亡してしまいました。

■結核

日本において、明治時代から昭和20年代までの長い間、多くの死亡者を出していた結核ですが、近年では当時比べ100分の1以下までに激減しました。

0になったわけではなく、2017年には16,789人の患者が報告されています。

世界では、2020年に結核で死亡した人は150万人いるといわれています。

世界の中で死因の第13位であり、先ほどお話ししたHIV/エイズより多い人数であり、感染性の死因では近年世界的に流行しているCOVID-19の次に多い人数です。

治療の際にかかる費用負担も問題であり、世界的には、結核罹患世帯の 2 世帯に 1 世帯近くが家計収入の 20 % 以上の費用を負担しています。

治療を受けられても、家計を圧迫するしてしまい貧困の問題にも関連してしまいます。

薬剤耐性のある多剤耐性結核 (MDR-TB) の脅威も残っていますが、2020年に治療を受けたのは、薬剤耐性結核患者の 3 人に 1 人程度に過ぎませんでした。

■マラリア

マラリアは、マラリア原虫(寄生虫)をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。
2018年に公表された統計では、1年間に約2億2000万人が感染し、43万5,000人が死亡したと推計されています。
アフリカでの発症が最も多く、日本での発症はありませんが、60人前後が輸入感染症として届け出られているため全く関係ないわけではありません。

■非感染性の疾病

世界全体の死者数の71%に相当する死因が非感染性疾患(NCDs)といわれています。

毎年4100万人が亡くなっています。

”NCDsとは、世界保健機関(WHO: World Health Organization)の定義で、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したものである。”

https://japanhpn.org/ja/ncds/

主な原因は以下の通りです。

心血管疾患(1790万人)
癌(930万人)
呼吸器疾患(410万人)
糖尿病(150万人)

非感染性疾患が原因の死亡全体の、77%は低・中所得国によって占められていることから見れば、十分な医療体制や日常的に健康状態が維持できる環境が非感染性疾患を減らす要素になります。

■衛生環境

衛生状態が良くないところで生活していると、病気になりやすくなってしまいます。

さらに病気自体を引き起こす原因となるので、見過ごせない問題です。

水や土壌の糞便汚染、手洗いの設備が十分でないこと、家庭内や環境の大気汚染が原因で多くの死亡者を出してしまっています。

■ポリオ

ポリオ(急性灰白髄炎)は、主に5歳未満の小児が罹かる疾患です。

今から30数年前にには35万人いたポリオの患者は99%以上が減少し、2016年の報告者数は37人になりました。

アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国だけとなり、撲滅は目前の状況です。

これまで撲滅に取り組んだ結果、1,600万人の人が救われてきました。

しかし、1人でも感染した小児がいる限り感染の危険性は0になりません。

すべての国からポリオを撲滅することができなければ、10年以内に毎年20万人もの新規患者が発生する可能性が生まれるといわれています。

そのため世界規模の対策が必要です。

■たばこ

たばこの喫煙が原因といわれている病気についても問題として挙げられています。

喫煙に関連した病気を削減するための戦略の一環として、世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」が採択されました。

たばこの課税、喫煙防止と治療、不正取引、広告、スポンサー行為とプロモーション、生産規制などについて規定しています。

すべての健康・福祉に関する問題を列挙できているわけではありませんが、以上の内容からどのような問題を解決する必要があるのかがイメージできてきたのではないでしょうか?

SDGs目標「3.すべての人に健康と福祉を」のターゲットとは?

健康・福祉についての現状と問題点でお話ししたような原因でかかってしまう病気や死亡をなくすこと目的に、それぞれのターゲットで目標値を決めています。

予防や治療に欠かせない薬やワクチンの開発を開発し、安い値段で届けられるように国際的な約束や宣言に従って進めていくことが必要です。

そのほかに麻薬やアルコールなど乱用に関する問題、交通事故に関する問題を解決するターゲットがあげられてます。

病気をなくすだけでなく、健康と福祉を持続可能な状態にするために必要な保健サービスや教育を受けられるようにすることが求められます。

以下にターゲットの一覧を記載します。

3.12030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.32030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.42030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.62020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.72030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
3.8全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.92030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d全ての国々、特に開発途上国の国家において、世界規模の健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。
目標「4.質の高い教育をみんなに」 ターゲット

日本での取り組み事例

今回は日本国内で行っている取り組みについてご紹介いたします。

一つは企業に対して健康増進を促すための制度について、もう一つは日本発祥の取り組みを海外で導入して支援を行っていることについてご紹介いたします。

健康経営

経済産業省が推進する認定制度です。

公的保険外の予防・健康管理サービスの活用(セルフメディケーションの推進)を通じて、生活習慣の改善や 受診勧奨等を促すことにより、『①国民の健康寿命の延伸』と『②新産業の創出』を同時に達成し、『③あるべき医療費・介護費の実現』につなげることを狙っています。

企業側から見れば、企業の持続的な成長を図るための経営戦略のひとつとすることができます。

健康経営に取り組み、結果として得られるメリットは以下のようなものがあります。

・生産性の向上

・企業価値・イメージの向上

・医療費の削減

具体的な取り組み例として

・運動習慣化を促すための取組

・健康に対する意識向上のための研修を実施

・企業が従業員の禁煙を積極的なサポート

・女性が働きやすい環境整備

・労働時間適正化や休暇取得率向上の取組

が行われています。

「健康経営優良法人2020」によれば、大規模法人部門に1473法人、中小規模法人部門に4813法人が認定されており、多くの企業が取り組んでいます。

母子手帳の普及

日本初の母子手帳が活躍しています。

日本は今では母子の死亡が最も少ない国の一つになっています。その理由の一つに母子健康手帳があげられます。

母子手帳とは、妊娠中及び出産時の母子の状態、子どもの成⾧・健康状況を、継続的に記録するための冊子です。家庭で参照できる育児書としての特徴もあります。

https://www.jica.go.jp/activities/issues/health/mch_handbook/index.html

母子が継続的に必要なケアを受けられるようにするための重要なツールです。

国際協力機構(JICA)が世界の母子の命と健康を守るために、母子手帳の導入・普及を支援して、いまでは毎年2000万冊もの母子手帳が使われています。

日本電気株式会社(NEC)

母子の健康を管理するためにNECと長崎大学の技術が活用されています。

保健所で取得して母子情報を長崎大学の母子保健情報システム(WIRE)に登録します。

その情報とNECの自動指紋照合システムを活用することで、母子手帳や身分証明書がなくても生体認証で本人確認が可能になりました。

最後に

いかがでしたでしょうか?

すべての人が健康な過ごすためには、どんな問題を解決する必要があるかお分かりいただけたのではないでしょうか?

是非取り組みたいと思っても、開発途上国の多くの人々の支援につながる活動を事業を通じて行うことは難しいと感じることもあるかもしれません。

まずは、自分の健康、従業員の健康を守ることから始めてはどうでしょうか?

コロナウィルス感染が拡大している昨今、感染予防対策やテレワーク・時差出勤などの勤務体制の整備など職場の環境整備が企業にとって重要なポイントであると実感されているかと思います。

身近な人々の健康や福祉を守ることが、「すべての人に健康と福祉を」を実現するための大きな原動力の第一歩になります。