
SDGs目標「1.貧困をなくそう」 その内容と解決に取り組む企業の事例

2021年の新語・流行語大賞にノミネートされるほど、『SDGs』という言葉をよく聞くようになりました。
インターネットはもとより、テレビやラジオあるいはCMなどで毎日のように目するようになると、社会貢献への認知や関心が日に日に増していることを実感しているのではないでしょうか?
ですが、環境問題や貧困、不平等などの問題の解決を世界的な取り組みとして行っているという全体的なイメージは持っていても、個別にどのような課題があってどのように対策をしていくのかはあまりイメージがわかないかもしれません。
企業でも取り組んでいく必要があるといっても、思い付きで始めても長続きしないし、ちゃんと社会問題を解決できる活動でないと意味がなくなってしまいます。
具体的に、どのような問題に対して対策が必要なのかを知ることができて、実際に企業が取り組んでいる事例を知ることができれば、あなたがSDGsやCSR活動を始めるときに活動しやすくなるでしょう。
今回はSDGsで掲げられた17の目標の中の1番目「1.貧困をなくそう」についての内容と企業が取り組んでいる事例をご紹介いたします。
目次
- SDGs 「1.貧困をなくそう」とは?
- どんな活動が必要なのか
- 企業の取り組み事例
- 最後に
SDGs 「1.貧困をなくそう」とは?

SDGs17の目標のうち、1番はじめにある目標「1.貧困をなくそう」
貧困に陥ってしまっている人を救うために掲げられています。
そもそも「貧困」どのような状態なのでしょうか?
貧困とは、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のことです。
http://www.undp.or.jp/arborescence/tfop/top.html
極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある社会生活を営むことが困難な状態を指します。
現在、全世界中で極度の貧困状態(1日あたり1.90米ドル以下)で暮らしている人は7億人以上いるといわれています。

各目標項目の達成目標を示したものをターゲットといいますが、「1.貧困をなくそう」のターゲットの一つが、極度の貧困状態にある人をなくすことが示されています。
1.1 | 2030年までに、現在1日1.9ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 |
1日1.9ドル未満で生活するということは、食料すら手に入れることが難しく、基本的な住居に住むことや、医療や教育を受けることはできない状態です。
食料やワクチンの寄付だけでなく、基本的なサービスを受けられるインフラや、国の制度を整備する必要がありますので、国際的なレベルで貧困をなくす仕組みづくりが必要になってきます。
一方で1日1.9ドル未満の生活である極度のあるいは絶対的な貧困ではないけれども、貧困状態にある人もいます。
相対的貧困といわれており、その国や地域の水準の中で比較して、大多数よりも貧しい状態のことを指しています。
ターゲットにもこのことが示されています。
1.2 | 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 |

日本にも貧困状態にある人たちがいます。
計算方法によって毎年基準値が変わりますが、厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、2018年の調査では可処分所得が世帯1人あたり127万円未満の人(世帯員)が相対的貧困とされています。
7人に1人、15.4%の人が貧困状態です。
17歳以下の子どもの貧困率は13.5%で、ひとり親世帯でみると48.1%と約半数が貧困状態であることが示されています。
上の調査結果は2018年のものなので、新型コロナウイルス感染症の拡大により収入に変化が起きて、より貧困家庭には厳しい状況が続いています。
生活に必要な支出(食費や住居費)に優先されるので、例えば収入を教育費に回すことが難しく、より教育格差を大きくしてしまうなどの問題が出てきてしまうので対策が必要です。

世界的な支援の結果貧困がなくなったとしても一時的なものではなく持続可能であることが大切です。
立場の弱い人たちが守られる対策や仕組みがつくられ、その人たちが平等に使える生活に欠かせない基本的なサービスや利用の権利が得られること。
自然災害や経済ショックがあっても、なるべく被害を減らすようにし、仮に被害にあっても生活をもとの状態に立て直せる力をつけていくこともターゲットに掲げられています。
1.3 | 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。 |
1.4 | 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。 |
1.5 | 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。 |
今まさに必要な支援や寄付を続けていくと同時に、長期的に弱い立場の人が自立して生活ができる環境づくりをする支援が求められています。
どんな活動が必要なのか

ではどのような支援が必要になるのでしょうか?
ワクチン接種のための寄付を求めるCMなどよく見かけると思いますが、企業の支援はほかにどのような支援ができるあるのでしょうか?
貧困をなくすためには様々な分野での支援し、解決する必要があります。
そもそも貧困とは、”教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと”です。
十分な食料が得られないことはもちろんのことですが、
・安全な水が飲めない
・電気が使えない
・医療が受けられない
・教育が受けられない
・仕事に就けない
・紛争が起こる
など普段生活していくことに必要なインフラ整備や治安の安定などの問題があります。
生活全般にかかわる問題なので、多くの企業が貧困撲滅の支援できることに関連する事業を行っているとも言えます。

海外、国内にかかわらず、これらの問題を解決していく活動が必要になってきます。
企業が取り組む事例として多いものとして、購入金額から一定の割合や金額を支援団体に寄付するという活動がよく見られます。
自社の経営理念に沿った支援を行うことで、顧客にも活動が認知されイメージの向上にもつながる活動です。
そのような活動以外の取り組みをご紹介いたします。
規模の大きい小さい、海外・国内関係なく貧困をなくす社会貢献活動を行っています。
企業の取り組み事例

フェアトレードコットンイニシアティブ

オーガニックコットンの調達・海外OEM事業や国内での商品開発や加工を行う企業です。
2014年に設立されているので、SDGsが採択される前から活動されています。
日本で唯一、フェアトレード認証及びオーガニックコットン認証2つを取得していて、透明性の高いサプライチェーンを構築しています。
フェアトレード、オーガニックコットン両方とも厳しい基準をクリアしたものを原材料としてすべて使用しています。
調達についても現地との直接取引できることで、中間マージンが発生せず適切な価格を実現することができています。
このような仕組みから、生産者の立場を守り取引額の最低価格を保証し、品質についても厳正にチェックされているものです。
事業そのものが立場の弱い人を守り、仕事で生活できる収入を得ることができる仕組みになっています。
※フェアトレードについての記事はこちらにもあります。併せてご覧ください。
オリエンタル

ブランド品、革製品、毛皮、骨董品などの総合リユース、貴金属地金のリサイクル事業を行っている企業です。
「リサイクル」「リユース」「リデュース」(=3R)を通して日本だけでなく世界の環境保全、社会貢献を目的に掲げています。
「1.貧困をなくそう」の取組として、開発途上国へ安価で状態の良い中古品を輸出しています。
日本人がつくり、その扱いが丁寧だから日本のリユース市場は世界から信用されています。
良い中古品を供給できることで日本国内で再販できないものもありますが、再販できないものを選別して海外に輸出しています。
また、海外で販売した中古品での利益をバックや学習教材などの寄贈やプレゼント、イベントを実施などの支援をしています。
既存の事業(国内)を海外に広げることが、同時に貧困をなくす活動になっています。同時に出た利益から寄付することで直接支援が行えています。
奥芝商店

北海道でスープカレーの店舗と通販事業を行っている奥芝商店。
2014 年 12 月に高齢者が生き生きと働くことのできる飲食店「奥芝商店おくしばぁちゃん」を運営しています。
超高齢化社会へ向かっている現在ですが、貧困についても、女性の高齢者は4人に1人が貧困といわれています。
全従業員の65歳以上が10.8%おり、無理のない労働環境を提供していく努力をしています。
事業を継続できているのはお客様や地域の方々の支援があったからこそで、その恩返しとして始めた事業です。
ただ働く場が提供されるだけでなく、これまでの主婦としての人生経験を生かすことができるができているようです。
そのほかにも、カンボジアで井戸を掘る活動を行っています。
2009 年当時、奥芝商店の社長がカンボジアの水不足の状況を耳にし、現地入りしたことがきっかけで活動が始まりました。
現在までに80基の井戸が完成しています。
1基の井戸を掘ることに、20人以上の人たちが綺麗な水を飲むことが可能です。
ですので、現在までに1,600人以上の人たちに安全な水を提供することができています。
最後に

いかがでしたでしょうか?
企業ができる「貧困をなくす」支援は、直接物資などで支援することはもちろん、雇用を生みだしたり、弱い立場の人を守る仕組みを使って支援したり、日本では売れなくても状態の良いものを安価で販売して、生活向上を支援したりと様々です。
どの企業でも共通して言えることは、自社の事業で利益を上げながら支援しているということです。
あなたの会社で事業として利益を上げながら支援につながる事業のヒントになったのではないでしょうか?
私たちLife Crayon Styleも「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」に登録し、SDGsに取り組んでいる企業の一つです。

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