
政府はどんな活動を重視しているのか?SDGsアクションプラン2022 レビュー

新規で事業を始めるにしても、既存事業を拡大するにも、「自分がやりたいこと」だけでなく、「市場があること(ニーズがある)」ことが成功に導く1つの要因です。
世の中の関心が高い(例えば、社会問題など)ことであれば、市場から支持されやすくなりますので、動向をチェックするアンテナが必要になります。
今、最も関心の高いことといえば新型コロナウィルスに関することになるでしょう。
2022年1月に入ってから再度、新規感染者数が連日増加している報道がされています。
新型コロナウィルス感染症拡大によって、貧困や雇用・教育の問題などは、これまで前進してきていた数年間、あるいは十数年間を帳消しにされてしまったともいわれています。
世界的な社会問題の解決に寄与していたSDGsを、
「2030 年までの目標達成には、各国が、前例にとらわれない戦略を立て、団結して取組を加速しなくてはならない。」
と持続可能な開発目標(SDGs)推進本部は、
「SDGsアクションプラン2022~全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会へ」で言っています。
持続可能な開発目標(SDGs)推進本部とは、平成28年5月20日閣議決定されて設置したものです。
本部長を内閣総理大臣、副本部長に内閣官房長官・外務大臣に、国務大臣が本部員を務めています。
SDGsアクションプラン2022には、SDGsの中で日本が取り組む重点事項が示されています。
アクションプランには「優先課題 8 分野」の中で、政府が行う具体的な施策やその予算額が記載されています。
政府として優先すべき課題が示されているので重要度も注目度も高いものです。
2023年には日本がG7の議長国をつめますし、国連で SDG サミットやユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)ハイレベル会合等の SDGs に関する大き会合が控えているので、国内外問わずSDGsの関心がさらに高まっていくことでしょう。
今回はSDGsアクションプラン2022の内容や、注目されている分野や具体的な施策を解説していきます。
目次
- SDGsアクションプランとは?
- SDGsアクションプランの構成
- SDGsアクションプラン2022概要
- 2021年との違いは?注目される取り組み
- People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
- Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環
- Planet 地球:地球の未来への貢献
- エネルギー問題
- 食料問題
- 海洋資源や森林などの生態系の保全など自然環境保護
- Peace 平和:普遍的価値の遵守
- Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
- 最後に
SDGsアクションプランとは?

SDGsアクションプランは、日本政府が日本の「SDGsモデル」の構築を目指し、取り組むべき優先課題に対しての方向性や、主要な取り組みを盛り込んだものです。
持続可能な開発目標(SDGs)推進本部(本部長を内閣総理大臣、副本部長に内閣官房長官・外務大臣に、本部員は各国務大臣で構成されている)が通例、毎年12月に翌年のアクションプランを発表しています。
SDGsアクションプラン2022の構成

日本全体でのこれからのSDGsの取組の方向性
↓
2030 年までに目標を達成するための「優先課題 8 分野」の各分野ごとのこれからの方向性
↓
各分野ごとの取組の一覧
一覧には各取り組みの名称・取り組み内容・管轄府省庁・予算金額・対応するSDGs17の目標などが記載されています。
SDGsアクションプラン2022概要

実際に見ていきましょう。
「2030 アジェンダ」に掲げられている5つのPを元に日本の「優先課題 8 分野」
に取り組むとしています。
5つのPと優先課題8分野は以下の通りです。
- People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
- 1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
- 2 健康・長寿の達成
- Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環
- 3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
- Planet 地球:地球の未来への貢献
- 4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
- 5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
- 6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- Peace 平和:普遍的価値の遵守
- 7 平和と安全・安心社会の実現
- Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
- 8 SDGs 実施推進の体制と手段
・新型コロナウィルス感染症の拡大は、世界中に深刻な影響を与えました。
SDGsに関わる分野においても例外ではありません。
- ・極度の貧困の割合がこの数十年で初めて増加
- ・7,000万人から1億6,000万人の人が飢餓に陥ってしまった。
- ・喪失した雇用の数は、世界緊急危機の4倍以上
等多くの被害を受けました。
新型コロナウィルス感染症の影響で後退してしまった、2030年までの目標達成には、今まで通りのやり方にとらわれない戦略で進んでいくことが不可欠です。
そのような中でも、2021年7月、4 年ぶりに SDGs に関する取組の進捗をまとめ、国連に対して自発的国家レビュー(VNR)を提出し、これまでのSDGsの取組を振り返ることができました。
People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり

最優先は新型コロナウィルス感染症対に万全を期する必要があります。
現在の感染拡大を抑えるのはもちろんのこと、次の危機に備える必要を訴えています。
新型コロナウィルス感染症の拡大で浮き彫りになってしまった、女性や非正規雇用の方々、生活困窮者、孤独・孤立状態にある方々に対しての格差が拡大・固定化しないような政策運用を行っていきます。
また、多様性を尊重される社会を実現できるように、女性の参画推進、ダイバーシティ、バリアフリーの推進します。
子ども中心の総合的かつ包括的な政策を推進する。そのための行政組織を2023年中に設置する予定です。
国際社会においては、第 6 回国際女性会議 WAW!の開催により、あらゆる分野の女性の参画を促進させます。
Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環

8つの優先課題の内、3つ目の成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
に該当します。
地域の活性化も成長と繁栄には不可欠です。
人口減少や、少子高齢化、国内企業の工場の相次ぐ海外移転によっておこる産業空洞化など地域が抱える問題は様々です。
そのような問題ををデジタルの力を活用して解決していきます。具体的には、
- ・自動配送
- ・ドローン宅配
- ・遠隔医療
- ・教育
- ・防災
- ・リモートワーク
- ・スマート農業
などがあげられており、サービスを実装していくと述べています。
また、地域が持つ観光や農林水産業などの資源を最大限に活かした地域経済の構築も必要です。
SDGsへ参画しやすいようにしたり、参加にメリットが感じられるようにする取り組みも同時に行っています。
優れた取り組みを選出し表彰・情報発信することやプラットフォームを作り運営することで、SDGsへの参画の推進やイノベーションを起こすための取り組みをしていきます。
- ・地方公共団体の取組には「SDGs 未来都市」として選出
- ・科学技術に関する取組については、「STI for SDGs」アワード等での表彰
- ・民間の参画を促し、全国レベルの官民連携を図るために運営している「地方創生 SDGs官民連携プラットフォーム」
- ・地域課題等の解決に向けた取組によって得られた収益が地域に還流・再投資される「自律的好循環」の確立するための「地方創生 SDGs 金融」
があげられています。
Planet 地球:地球の未来への貢献

持続可能な社会を実現させるには、地球自体が持続可能である必要があります。
近年、日本でも豪雨による災害があったことは記憶に新しいですが、世界中でも気象災害が頻発しています。
過去の経験を踏まえて、防災・減災に対する取組は重要です。
みんなが安心・安全に暮らしていくための国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」を引き続き推進していきます。
国内だけでなく、国外に対して特に途上国には日本の経験を広めていく役割があり、途上国の「質の高い成長」にはインフラの整備が不可欠です。
循環型社会の実現に向けた取り組みについては多くの内容について言及されています。
以下にそれぞれの分野での内容を説明します。
エネルギー問題
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けての具体策が示されています。
SDGsアクションプラン2022に示されているものは以下のようなものです。
- ・再生可能エネルギー最大限導入のための規制の見直し
- ・クリーンエネルギー分野への大胆な投資
- ・社会のあらゆる分野の電化(送配電網のバージョンアップ、蓄電池の導入拡大などの投資)
- ・火力発電のゼロエミッション化に向けた、アンモニアや水素への燃料転換の推進
- ・開発した技術やインフラを活用して、アジアの国々の脱炭素化に貢献
- ・エネルギー供給・需要側のイノベーションや設備投資などを一体的に捉えた、クリーンエネルギー戦略の作成
食料問題
食品ロスがあげられています。
日本は食料の多くを輸入に依存している中で、多量の食品ロスが発生しています。
反対には栄養不足の状態にある人々が世界に多数存在しているのが現実です。
2030年までには2000年度比で半減となる 489万トンまで低減することを目標にしています。
海洋資源や森林などの生態系の保全など自然環境保護
海洋ブラチック廃棄物に対する取組が述べられています。
これまで海洋ごみ対策を進めてきたことを踏まえて、これから開催される国際会議などで日本での取り組みを広げて、達成に向けた取り組みを強化していきます。
Peace 平和:普遍的価値の遵守

平和と安全・安心社会の実現についての内容です。
新型コロナウィルス感染症が出てきたことで、新しい時代の脅威に対応する安全保障の議論を整理することが必要です。
国際的な動きでは、人間の安全保障に関する議論の推進や、地域の平和や繁栄への国際的な協力体制を強固に、引き続き実質的な協力を続けていきます。
日本の途上国への支援には民間企業や市民社会との連携して具体的な取組を進めていきます。
日本国内においても同様に新型コロナウィルス感染症の拡大により解決すべき問題が発生しました。
感染拡大防止のために、行った緊急事態宣言。
2020年4月7日、1回目東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に、4月16日に対象を全国に拡大しました。
緊急事態宣言下では、学校休業や外出自粛等を余儀なくされました。
生活環境が激変し、DVや性暴力、児童相談所における児童虐待の相談対応件数などが増えてしまったという問題点あります。
国内においては、対策強化や被害防止の取り組みを進めていくとともに、諸外国に対しても協力することを推進していきます。
Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす

日本においてどのようにSDGsを進めていくかについて書かれています。
2023年にはSDGs実施指針改定があります。そのために2022 年中には市民社会や有識者、民間企業、国際機関等の幅広いステークホルダーとの意見交換を行っていきます。
SDGs実施指針は、このSDGsアクションプランを策定するためのものになっているもので、以下のように示されているものです。
”日本が2030アジェンダの実施にかかる重要な挑戦に取り
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai2/siryou1.pdf
組むための国家戦略である。具体的には、政府が、関係府省庁一体となって、
あらゆる分野のステークホルダーと連携しつつ、広範な施策や資源を効果的か
つ一貫した形で動員していくことを可能にするため、現状の分析を踏まえ、ビ
ジョン、優先課題、実施原則、推進体制、フォローアップ及びレビューのあり
方を定めた上で、優先課題の下での個別施策を定めるものである。”
それではどのように進めていくか(どんな体制をとるか)を考えているのでしょうか?
SDGsの達成には開発援助が欠かせません。
ですが、開発援助をめぐる環境は、常に変化しています。
そのため、政府・開発機関・民間企業・NGOなどの活動が、それぞれの得意分野を生かして、相互に連携しながら、多様なアプローチで途上国への開発効果を上げることを期待されています。
開催される国際的なフォーラムでも議論をして、国や地域を超えてSDGs達成に向けた連携を強化することに言及されています。
また、民間企業のSDGsの推進も後押しするといっていますので、私たちのような企業もSDGsの目標達成には欠かせない存在ということです。
SDGs推進するために国内での連携、日本と海外の連携を強化を進めていきます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
SDGsの目標は17ですが、全てに重点を置いているわけではなく優先する課題があることが分かったのではないでしょうか?
しかも、毎年世界のあるいは日本の状況は変わるので、その時に最も必要な対策がこのアクションプランに反映されています。
ここにあげられていることは、解決する課題であると同時に、注目される市場でもあります。
これから事業を拡大していく、投資していくなど考えていたら参考にしていただけたら幸いです。
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