2025.12.14 起業ガイド
ASPで起業とは?ツール開発を小さく始める方法と初心者向け解説
Index
毎日使っている業務ツールで、操作が分かりにくかったり、作業が多かったりして、「もっと便利になれば良いのに」「自分でも作れないだろうか」と考える瞬間がありませんか。
そんな時、アプリやツール開発について調べてみると「ASP」という言葉が目に入ってきます。
少し調べてみたものの、アフィリエイトの用語やMicrosoftの古い技術が出てきて意味が分からなくなってしまう。
あるいはツール開発やIT技術に興味があり、「将来起業したい」と考えているけど、どんなビジネスができるのかが分からない。
この悩みは、多くのIT初心者や起業の初心者が最初にぶつかる壁です。
この記事では、まず「ASP」という言葉の意味を整理し、「Application Service Provider」としての起業の方法に焦点を絞ります。
ASPのビジネスモデルや有効な戦略まで、ステップを踏まえて順番に整理していきましょう。
ASPで起業とは?紛らわしい略語とASPの事業を整理
この章では、「ASP」という略語の意味を整理します。
意味が曖昧なまま情報を集めると、まったく別の話が混ざってしまい、「自分が目指している起業のイメージ」がぼやけてしまうからです。
ここでしっかり意味を整理して、後で扱うビジネスモデルや起業のイメージを掴んでください。
アフィリエイトやActive Server Pagesとの違い
同じ「ASP」という略語でも、まったく別の意味で使われる場面があります。
1つ目が、アフィリエイトの世界で使われる「アフィリエイトサービスプロバイダ(Affiliate Service Provider)」です。
こちらは、広告主とアフィリエイター(サイト運営者)を仲介し、成果報酬型の仕組みを提供する事業者を指します。
2つ目が、MicrosoftのWeb技術としての「Active Server Pages」です。
これは、サーバー側でスクリプトを実行してHTMLを生成する仕組みで、現在は後継の「ASP.NET」が主に使われています。
この記事で扱う「ASP」は、上の2つとは切り離し、「アプリケーションサービスプロバイダーとして、オンラインでソフトウェアを提供する事業を立ち上げる」という意味に限定します。
ASP=Application Service Providerってどんなビジネス?
この記事で扱う「ASP(Application Service Provider)」は、ソフトウェアやその稼働環境をインターネット経由で提供する事業者、あるいはそのサービス全体を指します。
現在は「SaaS(Software as a Service)」という言葉が広く使われていますが、実務上はASPとほぼ同じ意味で扱われるケースが多いです。
厳密に見ると、「ASPはサービスを提供する事業者」「SaaSは提供されるソフトウェアそのもの」という整理もできますが、どちらも「インターネット越しに、必要な機能だけを使えるサービス」という点は共通しています。
たとえば、BASE、Shopifyなどのネットショップを簡単に立ち上げられるサービスや、ブラウザからログインして使うFreeeやマネーフォワードの会計ツールなど、「月額○○円で使えるオンラインのアプリケーション」を提供するビジネス全体がASPのサービスとなります。
ASPとして起業は小規模でもできる
そうなると、「『ASPで起業する』とは、大企業向けの巨大なクラウドサービスを立ち上げる話なの?」と思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
特定の業務やニッチな困りごとを解決する、小さなWebサービスや業務ツールを提供することも立派なASP事業です。
1つの機能や1つの業務フローに絞り込み、限られたユーザーから少しずつ利用料をもらう形でスタートができます。
実際に、個人や少人数のチームが、小規模なSaaSを開発し、月額課金で提供している例もあります。
副業や小さな事業としても可能だというイメージを持つことが、起業への第一歩です。
ASPとして起業する-ビジネスの形と時代の追い風
ASPとして起業するには、「どのように収益が生まれ、どのように始めるのか」を理解しておく必要があります。
ここでは、ビジネスモデルの基本構造を押さえながら、サービスづくりの全体像を整理していきます。
ASPビジネスの基本は「使ってもらう期間」が収益になるサブスク型
ASPの収益は、サービスを利用する期間に応じて積み上がるサブスクリプション型が中心です。
この仕組みは、継続して利用してもらうサービスと相性が良く、月額または年額課金を採用します。
このときの収益は、「ユーザー数 × 単価 × 継続期間」という構造で増えていきます。
たとえば月額1,000円のサービスを10人が1年間利用すれば、1万円が毎月、年間で12万円の収益となる計算です。
売り切り型とは異なり、利用者が増えれば収益が着実に積み上がっていきます。
このため「長く使われるサービス」を作ることが重要です。
どんなサービスがASPになり得る?身近な例をあげてイメージする
身近なところでもASP(SaaS)は活躍しています。
グループウェア、オンラインストレージ、メールサービスなど、日々の業務に直結するサービスがその代表例です。
また、予定の共有や顧客管理、会計ソフトなど、業務の要所要所を支えるツールが幅広く利用されています。
会社員の視点で考えると、日報共有の仕組み、マニュアル共有など、「身近に潜む不便さ」こそ、小規模なASP起業と相性の良い分野です。
「手作業で処理していること」「Excelで無理やり運用している業務」がそのままASPサービスのヒントになります。
個人・小規模でもASP起業が可能な理由(クラウド時代の追い風)
現在、個人でもASPを始めやすくなった背景には、クラウドサービスの普及があります。
AWSでは「従量課金制」を採用しており、サーバーを自前で購入する必要がなく、使った分だけ料金を支払う仕組みが整っています。
また、小規模な動作検証や開発を無料で始められる無料枠が用意されていることもメリットの一つです。
さらに、ノーコード開発ツールの広がりも追い風になっています。コードを書かずにアプリやツールを構築できるので、非エンジニアでも小規模なWebサービスを作りやすい環境が整ってきています。
こうした背景が重なり、以前よりもはるかに起業に踏み出しやすい状況です。
小規模でも目指せるASP起業の3ステップ
「起業するにも、一体どこから始めればいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、無理のない範囲で取り組める3つのステップを整理し、最初の一歩から小さく試せる流れをまとめていきます。
Step1:自分の回りから困りごとを拾う(ニッチ市場)
SaaSづくりの出発点は、特別なアイデアではなく「身近な不便さ」を探すことです。
会社員であれば、勤務先の業務フローや日常の作業の中に、小さな不便が存在しています。
あるいは会社以外の趣味のコミュニティでも、連絡の手間や記録・共有の難しさなど、改善の余地が多く潜んでいます。
日常のどこに課題があるか、現場に注目してみることが大切です。
自分がよく知っている課題のほうが解決の解像度が高まり、必要なサービス像をつかみやすくなります。
完璧なアイデアより、まずは小さな不便をひとつだけ見つけてみてください。
Step2:作り方を決める(自作・ノーコード・外注)
課題が見つかったら、次はサービスの作り方を決めます。
ここで認識しておくべきことは、すべてを自分で作らなくても良いという点です。
たとえば、自分でコードを書けなくても、ノーコード開発でアプリケーションを構築することができます。
エンジニアの方であれば、小さなWebアプリを自作し、AWSのようなクラウドに載せる方法もあります。
また、自分で解決できない場合は詳しい人に相談してみる、クラウドソーシングサービスなどを利用して外注する、という方法も現実的な選択肢です。
最初の段階では、完成度よりスピードが大切です。小さく作り、小さく試す流れを意識してみてください。
Step3:MVPを作って少人数に試してもらう(身近なユーザー)
最後は最小限の機能だけを備えたMVP(Minimum Viable Product)を実際に使ってもらう段階へ移ります。
ここでのポイントは「完璧なサービスを目指さない」ことです。
ASPの成長過程では顧客の利用データを得ながら改善を重ねる姿勢が重要です。
実際のユーザーから得られる反応が、改善の道筋を照らしてくれます。
テスト利用者は身近な人で十分です。
勤務先の同僚や、知り合いの事業者、店舗など、課題に近い立場の数名に声をかけてみましょう。
無償より、少額でも料金を支払ってもらう形が、視点が具体的になり改善点も明確になります。
ASP起業の方向性を決める-垂直・水平のパターン
ASPとして起業するためには、サービスの方向性を定めることが大切です。
ここでは二つの市場パターンをまとめていきます。
業界特化型で進む場合(バーティカルSaaS)
バーティカル(Vertical:「垂直の、縦」の意)SaaSは、歯科医院や士業など、特定の業界に向けて業務を支援するサービスを指します。
特定業界に絞ると、顧客像が明確になるのがバーティカルSaaSの魅力です。導入後の継続率も高まりやすく、安定した市場になりやすいところも大きな利点です。
会社員であれば、これまでの営業先の知識がそのまま市場選びのヒントになります。
自分が関わってきた現場の課題を探してみましょう。
機能特化型で進む場合(ホリゾンタルSaaS)
ホリゾンタル(Horizontal:「水平」の意)SaaSは、業界を問わずに使える単機能のサービスです。
たとえば、ポップアップの通知や会議室予約など、どの企業にも共通して存在する作業を自動化するサービスが該当します。
多くの企業で行われる作業ほど改善のニーズが高く、使ってもらえる範囲が広がりやすくなります。
単純な機能で作りやすいため、MVPの構築が比較的やさしく、小規模で始めやすい点も特徴です。
SaaSの導入は、業務のどこを効率化するかという視点から始めることが重要です。作業の中のよくある面倒を、一つだけ自動化するという視点で候補を探してみてください。
まとめ:ASP起業は身近な問題を解決すること
ASPとして起業する際の重要なポイントは「大きな構想ではなく、小さな課題から始める」ことです。
クラウドやノーコードの選択肢が増えたことで、小さな挑戦が現実的になっています。
業界特化型と機能特化型のどちらも選択肢として残すことができます。
まずは身近な不便を解決するサービスを形にしてみてください。
あなたの経験がそのままサービスづくりの土台となり、起業の挑戦を支えてくれます。
◯関連記事
・【起業前のあなたへ】失敗しない「テストマーケティング」のやり方|リスクを抑えてアイデアを事業化する全手順
・【朗報】起業は難しくない!凡人でも成功できる5つの理由と始め方