2026.02.07 起業ガイド

ボルダリング起業の現実|開業資金1,500万を回収し、黒字化するジム経営の全手順

ボルダリング起業の現実|開業資金1,500万を回収し、黒字化するジム経営の全手順

東京五輪での正式種目採用をきっかけに、一気に市民権を得たボルダリング。

「クライミングが好きで、いつかは自分のジムを持ちたい」

「地域の子供たちが集まるコミュニティを作りたい」

など、起業を志すクライマーも増えています。

しかし、ボルダリングジム経営は、飲食店や一般的な教室ビジネスとは異なり、内装や壁の施工に巨額の初期投資がかかる「装置産業」の側面があります。

本記事では、開業資金のリアルと、オープン後に安定して収益を上げ続けるための経営戦略について、起業スクールの視点から具体的に解説します。

この記事を読めば、ボルダリング起業でどんなことから始めて、どのようなビジネス戦略で事業を進めて行けば良いかがわかります。

まずは直視せよ。ボルダリングジム開業にかかる「お金」のリアル

初期費用は1,500万円〜?内装・壁・ホールド代の内訳

一般的に、30坪〜50坪程度の中規模ジムを開業する場合、初期費用は1,000万円〜1,500万円が目安と言われています。

その内訳でもっとも大きいのが「クライミングウォール」の施工費です。

専門業者に依頼すれば数百万、さらに落下時の安全を守る専用マットも高額です。

そして忘れてはならないのが「ホールド(突起物)」の費用です。

1個数千円〜数万円するホールドを、壁一面に数百個設置する必要があります。

初期セットだけで200万〜300万円かかることも。

これに加えて、物件取得費や更衣室、空調設備を含めると、自己資金だけで賄うのは難しく、融資活用が前提となるビジネスモデルです。

物件取得費が重い!「天井高4m」の希少性と家賃相場

ボルダリングジムには「天井の高さ(最低でも3.5m〜4m以上)」と「柱の少ない広い空間」が必須です。

しかし、日本の都市部でこの条件を満たす物件は非常に希少です。

狙い目は、都心を少し離れたエリアの「倉庫」や「元工場」の居抜き物件です。

一般的な賃貸サイトだけでなく、「倉庫・工場専門の不動産サイト」を活用したり、郊外のロードサイド店舗をリサーチしたりすることで、条件に合う物件が見つかりやすくなります。

物件探しは半年〜1年かかる覚悟が必要で、ここでの妥協は後の集客やコース設定の限界に直結します。

ランニングコストの罠。「ホールド替え」と光熱費

ジムを作って終わりではありません。顧客を飽きさせないために、定期的な「ホールド替え(ルートセット)」が必要です。

これには、既存のホールドを外して洗浄する手間と、プロのルートセッターへの依頼料(1日あたり数万円〜十数万円)がかかります。

また、広い空間の空調を効かせるための電気代や、チョーク粉を吸うための換気設備のメンテナンス費もかさみます。

家賃以外にも、維持するためのコストを計算に入れておかないと、資金繰りはすぐに悪化します。

利用料だけでは儲からない?収益を安定させる3つの柱

①月額会員(サブスク)への誘導率を高める

ビジター(都度利用)収入だけでは、天候や季節によって売上が乱高下します。

経営安定の鍵は、月額会員(サブスクリプション)をいかに増やすかです。

例えば、月額1万円の会員が100人いれば、毎月100万円のベース売上が確定します。

そのためには、入会金無料キャンペーンや、会員限定のイベント、常連同士のコミュニティ作りなど、「通い続けたくなる理由」を作ることが重要です。

LTV(顧客生涯価値)を高める施策が、ジムの寿命を延ばします。

【収益シミュレーション例】
・売上:月額会員100名(100万円)+ビジター利用(30万円)=月商130万円

・支出:家賃(30万円)+人件費(30万円)+光熱費・消耗品(15万円)+返済(15万円)=支出90万円

利益:40万円/月

このように、固定客(会員)を確保できれば、家賃や返済を差し引いても十分に利益を残すことが可能です。

②高単価な「キッズスクール」で平日夕方を埋める

社会人がメインのジムは、平日の昼間〜夕方がガラガラになりがちです。

この時間を収益化する最強のコンテンツが、キッズスクールです。

習い事としてのボルダリングは人気が高く、週1回の月謝制にすることで安定収入になります。

また、子供が通えば保護者の送迎が必要となり、保護者も一緒に登ってくれる(会員になる)という相乗効果も期待できます。

平日16時〜18時をゴールデンタイムに変える戦略です。

③物販(シューズ・チョーク)とレンタル収入

ジム内での物販は、利益率は高くありませんが、顧客の利便性と満足度を高めるために不可欠です。

チョークやテーピングなどの消耗品はついで買いされやすく、シューズやウェアの販売は、初心者へのアドバイスを通じて信頼関係を築くチャンスになります。

また、初回体験客へのシューズ・チョークのレンタル料も、積もり積もれば大きな収益になります。

物販スペースを魅力的にディスプレイすることで、空間の雰囲気作りにも貢献します。

ボルダリングジム経営で「失敗する人」の共通点

立地戦略のミス(商圏人口と競合調査不足)

「家賃が安いから」という理由だけで、駅から遠い不便な場所や、商圏人口が少ないエリアを選んでしまうのは致命的です。

ボルダリングは継続して通うものなので、通いやすさは最重要スペックの一つです。

また、近くに強力な競合店がある場合、後発の個人ジムが勝つのは容易ではありません。

ターゲットとする人口(若者やファミリー層)が十分にいるか、競合とどう差別化するか、事前のエリアマーケティングが勝敗を分けます。

安全管理の甘さと事故トラブル

ボルダリングはリスクを伴うスポーツです。

骨折などの怪我は日常茶飯事と言っても過言ではありません。万が一の事故に備え、賠償責任保険への加入は必須です。

また、初回利用時の誓約書(リスク了承)のサイン徹底や、ルール説明(マットに着地する際の注意点など)を怠ると、訴訟トラブルに発展し、経営存続の危機に陥ります。

事故を未然に防ぐスタッフ教育と環境作りを整えるのが重要です。

コミュニティの閉鎖性(常連客による独占)

個人ジムにありがちな失敗が、特定の常連客だけが幅を利かせ、初心者が入りづらい雰囲気になってしまうことです。

「常連さんが壁を占領していて登れない」「内輪ノリが激しい」といった口コミが広がると、新規客は二度と来ません。

コミュニティは大切ですが、排他的になってはいけません。

スタッフが積極的に初心者に声をかけたり、常連客にもマナーを啓蒙したりして、誰でも居心地の良い空間を維持するマネジメント力が求められます。

未経験から自分のジムを持つための5ステップ

STEP1:コンセプト設計とターゲット設定

「誰のための、どんなジムか」を明確にします。

「上級者がトレーニングする硬派なジム」なのか、「初心者や女性がおしゃれに楽しめるカフェ風ジム」なのか。

コンセプトによって、必要な物件、内装、ホールドの種類がすべて変わります。

STEP2:事業計画書の作成と融資申請

コンセプトが決まったら、それを数字に落とし込みます。

開業資金の見積もりや月々の売上予測、経費計算を行い、いつ黒字化するかシミュレーションします。

この事業計画書を持って日本政策金融公庫などへ行き、融資の申請を行います。

STEP3:物件探しと施工業者の選定

融資の目処が立ったら、本格的に物件を探します。

並行して、ジム施工の実績がある業者に相見積もりを取ります。

クライミングウォールの設計は専門知識が必要なので、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

STEP4:ホールド発注とルートセット

壁ができたら、ホールドを取り付けます。

ホールドは海外からの輸入も多いため、早めの発注が必要です。

オープン前にはプロのセッターに入ってもらい、初心者から上級者まで楽しめるルートをセットします。

STEP5:Web集客とプレオープンイベント

工事中からSNSで発信し、ファンを集めます。

HPやGoogleマップの登録も忘れずに。オープン直前には無料体験会やプレオープンを行い、オペレーションの確認と初期会員の獲得を行います。

壁を登るように、経営も「ルート」を見極めよう

ボルダリングジムの起業は、クライマーにとって最大の夢になり得ます。

自分の作ったジムで、会員さんが課題をクリアして歓声を上げる瞬間を見るのは、やりがいを感じられます。

しかし、情熱だけでなく、冷静な経営スキルと資金計画が不可欠です。

「自分の資金でどれくらいの規模のジムが作れるか?」「融資を通すための計画書の書き方は?」など、不安なことがあればプロに相談してください。

あなたの夢を形とするために、まずは無料相談で第一歩を踏み出してください。

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