2026.07.08 起業ガイド

起業の7大リスクと回避策|初心者が知るべき備え

起業の7大リスクと回避策|初心者が知るべき備え


「起業のリスクってどれくらい?」——漠然と怖がる前に、リスクを分解してリストアップすると、対処すべきものが具体的に見えてきます。

私たちが相談を受ける中で、9割の方は「リスクを言語化できていない」だけで動けなくなっています。

結論から言うと、起業のリスクは「資金・売上・法務・人・健康・信用・生活」の7カテゴリーに分解でき、それぞれに公的な保険や制度が用意されています。

本記事では、日本政策金融公庫・中小企業庁・厚生労働省などの公的資料に基づき、初心者が知るべき備えを7大リスク別に整理

読み終える頃には、リスク=対処可能なプロジェクトとして捉えられるようになります。

なぜ起業のリスクを「7分解」するのか

「起業=リスクが高い」と漠然と語られがちですが、リスクの性質は多様です。

分解しないまま怖がると、対処のしようがありません。

7大リスクの一覧

  1. 資金リスク:初期投資・運転資金の不足
  2. 売上リスク:想定通り売れない
  3. 法務リスク:契約トラブル・法規制違反
  4. 人リスク:従業員・パートナーとのトラブル
  5. 健康リスク:過労・メンタル不調
  6. 信用リスク:住宅ローン・クレジット審査への影響
  7. 生活リスク:家族関係・生活水準の悪化

リスク①:資金リスクと回避策

最も多くの起業家が直面するのが、資金枯渇による事業停止です。

中小企業庁「小規模企業白書」でも、廃業理由の第1位は資金繰りの悪化とされています。

回避策1:3年分の資金計画を紙に落とす

売上・原価・固定費・借入返済・生活費を月別に3年分シミュレーション。

エクセルでも十分ですが、freee資金繰り改善ナビ・弥生資金繰りシミュレーターなどのツールが便利です。

資金計画に必ず入れる項目

  • 売上(保守的な数字=計画の70%で計算)
  • 変動費(原価・仕入・外注費)
  • 固定費(家賃・人件費・光熱費・通信費・保険)
  • 借入返済(元本+利息)
  • 税金予備費(売上の15〜20%)
  • 生活費(役員報酬)
  • 予備費(毎月の10〜15%)

回避策2:日本政策金融公庫の新規開業資金

民間金融機関では新規事業への融資は極めて厳しいですが、政府系の日本政策金融公庫は「新規開業資金」という制度で、無担保・無保証・最大7,200万円まで融資可能です(要件あり)。

利率も1〜2%台で、民間より遥かに有利な条件です。

リスク②:売上リスクと回避策

「作ったのに売れない」——これは仮説検証不足で起こります。

日本の起業家の多くが、市場調査ゼロで開業してしまう傾向があります。

回避策1:プレセール(先売り)で需要を確認

商品・サービスを作る前に、モニター募集・クラウドファンディング・SNS事前予約などで「作る前に売る」のが鉄則。

作ってから「売れない」と気づくのは、最悪のパターンです。

プレセールで検証すべき指標

  • ターゲット層の反応率(ページ閲覧に対する問い合わせ数)
  • 価格に対する反応(値引き交渉が多いか、そのまま買うか)
  • 成約率(面談から契約への転換率)
  • リピート意向(1回買った人が「また買いたい」と言うか)

回避策2:撤退基準を数字で決めておく

「◯月までに月商◯万円未達なら方針転換」と、事前に決めた数字を紙で保管。

感情で「あと少し」と続けるのが最も危険です。

リスク③:法務リスクと回避策

契約書の不備・法規制違反・著作権トラブルなど、法務リスクは「知らなかった」で済まないのが特徴。

1件で数百万〜数千万円の損害になることもあります。

起業初期に多い法務トラブル

  • 契約書なしで発注→請求不能
  • 業務委託と偽装請負の境界を認識せず、労基署から指導
  • 個人情報保護法違反(プライバシーポリシー未整備)
  • 特定商取引法違反(EC事業者の表記不足)
  • 著作権侵害(他社ロゴ・画像・文章の無断使用)

回避策1:業種別の許認可を事前調査

飲食業(食品衛生責任者・営業許可)、リサイクル業(古物商許可)、宿泊業(旅館業法・住宅宿泊事業法)など、業種によっては許認可なしでは営業できません

役所・行政書士に事前確認しましょう。

回避策2:契約書は雛形をベースにアレンジ

ゼロから作らず、経済産業省・中小企業庁が公開している契約書雛形をベースに、自社事業に合わせて調整。

10万円前後で弁護士のリーガルチェックを入れれば、後々の紛争リスクを大幅に減らせます。

リスク④:人リスクと回避策

従業員トラブル・共同創業者との仲違いは、事業を根本から揺るがします。

人の問題は感情が絡むため、後戻りが困難です。

回避策1:共同創業者との「株主間契約書」

共同で事業を始める場合、必ず株主間契約書を作成。

仲違いした際の出資比率変更ルール・退任時の株式買取条件・意思決定ルールをクリアにしましょう。

「創業当時は仲良かったから大丈夫」と省略する人が一番揉める傾向にあります。

回避策2:初期は雇用より業務委託・派遣

従業員雇用は労働基準法・社会保険・退職金など、想像以上に重い義務が発生。

売上が安定するまでは、業務委託・派遣・アルバイトで人的リソースを確保するのが安全です。

リスク⑤:健康リスクと回避策

起業初期は労働時間が長く、精神的プレッシャーも大きい。健康を損なうと事業も止まります。

厚生労働省の統計では、経営者の過労うつは会社員より高い傾向があります。

健康リスクの回避策

  • 睡眠時間の下限を決める(1日6時間以上)
  • 週1日は完全オフ(家族・趣味の時間を確保)
  • 年1回の人間ドック(法人経費で計上可)
  • 民間の所得補償保険(月5,000円〜、病気時の収入減を補填)
  • メンタルクリニックへの早期受診(症状悪化前に対処)

リスク⑥:信用リスクと回避策

起業すると、会社員時代と比べて個人の信用審査は一時的に厳しくなります

住宅ローン・自動車ローン・クレジットカードなどに影響が出るので、独立前の準備が重要です。

回避策1:独立前に大型ローンを組む

会社員のうちに済ませておくべき手続き

  • 住宅ローン(35年フルローンでも会社員なら通りやすい)
  • クレジットカードの新規発行(ゴールド以上)
  • 自動車ローン・投資用不動産ローン
  • 賃貸物件の契約更新(法人契約より個人契約が有利)

回避策2:法人化で信用を再構築

個人事業主より、法人(合同会社・株式会社)の方が対外的な信用は高い傾向があります。

法人化して3年経過すれば、法人としての融資枠・カード枠・与信が拡大します。

リスク⑦:生活リスクと回避策

収入の不安定さから、生活水準・家族関係が悪化するリスク。特に家族持ちの起業家は要注意です。

回避策1:家族との月次収支会議

妻・夫・子どもに対し、月1回「今月の売上・利益・生活費・貯金」を数字で共有。ブラックボックス化を防ぐことで、家族の不安を減らせます。

回避策2:生活防衛資金と生活費の完全分離

事業口座と生活口座を明確に分け、生活費は毎月固定額を役員報酬として振り替え。事業の好不調に生活費が振り回されないよう、ファイナンスの二重壁を作ります。

7大リスク対応の一覧表

リスク 主な原因 回避策
資金 運転資金不足 3年計画+日本公庫融資
売上 市場調査不足 プレセール+撤退基準
法務 契約書・許認可の未整備 雛形活用+リーガルチェック
共同創業者・従業員トラブル 株主間契約+業務委託優先
健康 過労・メンタル不調 睡眠時間確保+所得補償保険
信用 審査基準の変化 独立前の大型ローン+法人化
生活 収支不透明・家族不安 月次収支会議+口座分離

起業リスクに関するよくある質問

Q1. 有限責任があれば個人資産は守れる?

合同会社・株式会社は原則有限責任なので、会社の負債を個人が直接負う義務はありません。

ただし、金融機関からの融資に経営者個人保証が付くと個人資産も対象になります。

日本政策金融公庫の一部制度や「経営者保証改革プログラム」を活用すれば、個人保証を回避できるケースもあります。

Q2. 起業家の平均破産率は?

個人・法人破産の統計は毎年変動しますが、法人破産の中で創業3年以内は約2〜3割程度とされます。

適切なリスク対応をすれば、統計上の平均より低く抑えることは十分可能です。

Q3. 保険は何に入るべき?

起業家が検討すべき5つの保険

  1. 所得補償保険(病気・ケガによる収入減の補填)
  2. PL保険(生産物賠償責任保険)(商品・サービスによる第三者被害)
  3. サイバー保険(情報漏洩・システム障害)
  4. 経営セーフティ共済(取引先倒産時の連鎖倒産防止)
  5. 小規模企業共済(退職金積立+節税)

Q4. リスクゼロで起業できる方法はある?

ゼロは存在しませんが、「副業から始める+自己資金のみ+在庫を持たない事業」を選べば、資金リスクはほぼゼロにできます。

オンライン教育・コンサル・Webライター・アフィリエイトなどは、初期投資10万円以下で始められます。

まとめ:リスクは「7分解+公的制度」で対処可能

起業のリスクについて、要点を整理します。

  • リスクは7カテゴリー(資金・売上・法務・人・健康・信用・生活)に分解可能
  • 資金リスクは日本政策金融公庫の新規開業資金で解消しやすい
  • 売上リスクはプレセール+撤退基準で最小化
  • 法務リスクは雛形+リーガルチェックで防止
  • 健康・信用・生活の3リスクは、会社員時代の準備と保険で軽減
  • すべてに公的制度・民間保険が用意されているので、正しい知識で備えれば大半のリスクは対処可能

「リスクが怖い」は「知識不足」の裏返し。

この記事の7分解を使って、あなたの事業計画をブラッシュアップしてみましょう。

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