2026.07.07 起業ガイド
居酒屋開業資金の完全ガイド|総額と調達法
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「居酒屋を開業したいけれど、いくら必要かわからず一歩踏み出せない」——起業前フェーズの方から最も多く寄せられる悩みの一つです。
物件・内装・厨房機器・什器・運転資金と支出項目が多く、総額のイメージがつかない方は少なくありません。
この記事では、居酒屋の開業資金の総額目安と内訳、10坪〜20坪・居抜き・スケルトンなど条件別のシミュレーション、日本政策金融公庫の創業融資や補助金・自己資金の目安を含む資金調達の全体像、そして開業後の資金ショートを防ぐ運転資金の設計までを解説します。
居酒屋開業資金の総額と内訳
まず全体像として、居酒屋の開業資金がどの支出項目で構成されているかを整理します。
総額のイメージを持つことで、次に取るべきアクションが明確になります。
居酒屋開業資金の総額目安
一般的な10〜20坪の居酒屋では、開業資金の総額は700万円〜1,500万円が目安とされます。
立地・物件形態・内装ランクにより幅があり、都心の一等地や大型物件では2,000万円以上になるケースもあります。
- 小規模居抜き(10坪・地方):500万〜800万円
- 標準(15〜20坪・郊外〜都市部):800万〜1,500万円
- 大型・都心スケルトン(30坪〜):1,800万〜3,000万円以上
支出項目別の内訳
居酒屋開業資金は大きく初期投資と運転資金に分かれます。
それぞれの内訳を把握しておかないと、開業後に資金ショートを起こしやすくなります。
- 物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料・前家賃):200万〜400万円
- 内装工事費:300万〜600万円
- 厨房機器・什器・食器類:200万〜400万円
- 初回仕入・広告・許認可費用:50万〜100万円
運転資金の考え方
- 売上ゼロでも家賃・人件費・仕入は発生し続ける
- 目安は最低3か月分、可能なら6か月分の運転資金を初期に確保する
- この運転資金を軽視すると、開業3〜6か月目で資金ショートを起こしやすい
物件と内装にかかる費用
開業資金の中で最も金額が大きく、変動幅も大きいのが物件と内装です。ここでの判断が総額を左右します。
物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料)
飲食店の物件は保証金が家賃の6〜10か月分とされることが多く、居住用物件より高額です。
家賃20万円の物件なら保証金だけで120万〜200万円が必要です。
- 保証金:120万〜200万円(家賃の6〜10か月分)
- 礼金:0〜40万円(家賃の0〜2か月分)
- 仲介手数料:20万円前後(家賃の1か月分+税)
- 前家賃:20万〜40万円(1〜2か月分)
居抜き物件とスケルトン物件の費用差
前テナントの内装・厨房機器を引き継げるため、内装工事費を200万〜400万円ほど圧縮できるケースがあります。
工期も短縮でき、開業までのスピードを重視する方に向きます。
自由な設計で店舗コンセプトを100%反映でき、動線や配管の設計を最適化できます。
一方で内装費が居抜きの2倍近くなる場合もあり、資金に余裕がない場合は慎重な判断が必要です。
内装コストを抑える工夫
- 塗装・什器の一部をDIYで対応し、専門工事だけプロに任せる
- 相見積もりを最低3社から取り、単価と工程を横並びで比較する
- コンセプト直結の部分に集中投資し、それ以外はシンプルに割り切る
厨房機器・什器・仕入にかかる費用
物件・内装と並んで大きな支出項目が厨房機器と什器類です。
中古・レンタルの活用で費用差が大きく変わります。
厨房機器の必要リストと価格帯
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫(縦型・台下型):30万〜80万円
- ガスコンロ・グリラー・フライヤー:30万〜60万円
- 製氷機・食器洗浄機:30万〜80万円
- シンク・作業台・棚類:20万〜50万円
中古厨房機器を活用するメリットと注意点
- 新品の3〜5割程度の価格で調達でき、初期投資を大幅に圧縮できる
- 厨房機器専門の中古業者から購入すれば動作保証も付く場合がある
- 回転が早い居酒屋業態では、中古でも十分な耐用年数を確保できる
- 個人売買はアフターサポートがなく、故障時の対応リスクが高い
- ガス機器は必ず設置業者の点検と保証を確認する
- 年式が古すぎるものは省エネ性能が低く、光熱費が高くつく場合がある
什器・食器・初回仕入の目安
テーブル・椅子・カウンター什器で50万〜100万円、食器・グラス・調理器具で30万〜80万円、初回仕入(食材・酒類)で30万〜80万円が目安です。
合わせて100万〜250万円ほど見込むと安全です。
諸費用と開業前ランニングコスト
見落とされがちですが、資格取得・許認可・広告費・開業前家賃なども開業資金に含めて計算する必要があります。
資格取得と許認可費用
- 食品衛生責任者:講習1日・約1万円
- 飲食店営業許可:保健所申請・約1.6万〜2.4万円
- 防火管理者(30名以上収容):講習約6,000円
- 深夜酒類提供飲食店営業届出:警察署への届出(0時以降の営業)
広告・オープン販促費
- 看板・ロゴ・メニューデザイン:20万〜50万円
- グルメサイト初期掲載費・写真撮影:10万〜30万円
- チラシ・オープンキャンペーン:10万〜20万円
- SNS運用ツール・広告費:月2万〜5万円
開業前の家賃・光熱費・人件費
- 内装工事期間中も家賃・光熱費は発生する(1〜2か月分)
- スタッフ研修期間の給与も開業前に発生する
- この期間の支出を運転資金に含めておかないと初月から赤字に見える
資金調達の3つのルート
総額が把握できたら、次はどう調達するかです。自己資金・融資・補助金という3ルートを組み合わせるのが基本です。
日本政策金融公庫の創業融資
- 創業間もない事業者向けに設計された公的融資制度
- 担保・保証人なしで利用できる融資メニューがある
- 据置期間を設定でき、開業直後の返済負担を軽減できる
- 金利は民間金融機関の融資より低めに設定される傾向
制度融資と信用保証協会
各自治体(都道府県・市区町村)と信用保証協会・民間金融機関が連携した制度融資では、自治体が利子や信用保証料を一部補助してくれる場合があります。日本政策金融公庫と併用するケースも多く、複数窓口の比較検討が有効です。
補助金・助成金の活用
- 販路開拓を支援する中小企業向け補助金(後払い型で入金は開業後)
- 雇用関係の助成金(従業員採用時に一定条件で支給)
- 地域独自の創業支援補助金(自治体により内容と受付時期が異なる)
- いずれも公募時期・要件が変わるため必ず最新情報を確認する
自己資金の目安と現実的な資金計画
融資審査では自己資金の額が重視されます。
ここで無理をすると開業後の資金繰りが厳しくなり、逆に少なすぎると融資が通りません。
融資審査で問われる自己資金比率
- 創業融資の審査では、総開業資金の3割程度の自己資金が目安とされる
- 1,000万円の開業なら300万円前後の自己資金があると通りやすい
- 自己資金が少ない場合は事業計画の説得力で補う必要がある
「見せ金」が見抜かれる理由
- 直前に他人名義から一括入金された資金は「見せ金」として扱われる
- 通帳の履歴は数か月〜1年分をチェックされる
- コツコツ貯めた自己資金の方が事業計画の信頼性を高める
共同経営者・親族出資の考え方
- 出資と借入の違いを明確にし、書面で残しておく
- 共同経営は理念が一致していないと後の分裂リスクが大きい
- 親族からの借入も返済計画を書面化しておくと融資審査上プラスに働く
よくある質問
Q1. 自己資金ゼロで居酒屋開業はできますか?
現実的にはほぼ不可能です。融資審査でも自己資金は総開業資金の3割程度が目安とされ、まったくの自己資金ゼロでは事業計画の信頼性を担保できません。
まずは半年〜1年かけて自己資金を貯めるところから始めましょう。
Q2. 居抜き物件なら本当に開業資金は下がりますか?
はい、内装工事費を200万〜400万円ほど圧縮できるケースがあります。
ただし前テナントの設備の状態や修繕費・撤去費が発生することもあるため、現地確認と見積もり比較を必ず行ってから判断してください。
Q3. 開業資金は現金一括で用意する必要がありますか?
いいえ、多くの居酒屋開業は自己資金+融資の組み合わせで調達します。
日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資を活用し、自己資金は運転資金として温存するのが基本です。
Q4. 補助金だけで開業資金を賄えますか?
ほぼ不可能です。多くの補助金は後払い(採択後に立て替えて実施し、後から入金)のため、当初の開業資金には別途キャッシュが必要です。
補助金はあくまで「投資回収の一部を補う制度」と捉えましょう。
Q5. 融資審査に落ちたらどうすればいいですか?
まずは落ちた理由を担当者にヒアリングし、事業計画・自己資金・売上根拠のどこが弱かったかを特定します。
改善のうえ半年〜1年後に再申請するか、別の金融機関・制度融資に切り替えるルートを検討しましょう。
まとめ:居酒屋開業資金は総額と内訳を数字で押さえる
居酒屋開業資金について、要点を整理します。
- 居酒屋の開業資金は10〜20坪で700万〜1,500万円が目安
- 内訳は物件・内装・厨房機器・什器・仕入・広告・運転資金の7項目
- 運転資金は月商の3〜6か月分を必ず確保する
- 調達は自己資金+日本政策金融公庫+制度融資+補助金の組み合わせが基本
- 自己資金の目安は総額の3割、見せ金は審査で必ず見抜かれる
- 居抜きとスケルトンの選択で総額が数百万円変わる
「なんとなく1,000万円くらい」ではなく、支出項目ごとに具体的な数字を積み上げていくことが、資金ショートを避け、開業後に長く続けるための第一歩です。

