2026.07.31
カフェバー開業|許可と業態設計
Index
カフェバーは、昼間はコーヒーと軽食を提供するカフェとして、夜はアルコールを中心としたバーとして営業する複合型飲食店です。
一つの店舗で2つの時間帯の需要を取り込めるため、近年、個人起業家の間で注目を集めています。
ただし、カフェバー開業には通常のカフェやバーそれぞれの許可・設備・運営ノウハウが複合的に求められます。
ここでは、カフェバー 開業に必要な許可、業態設計、人件費・原価率のシミュレーション、失敗パターンと対策を具体的に解説します。
カフェバー開業の市場ポジション
カフェバーの強みは、同じ店舗・同じ厨房・同じスタッフを使いながら、昼と夜で異なる客単価と回転率を実現できる点にあります。
昼は回転率を重視したカフェ営業、夜は客単価を重視したバー営業を組み合わせることで、売上の波を平準化しやすくなります。
例えば、駅から徒歩5分程度の商業ビル1階に20席のカフェバーを開業した場合、昼のターゲットは近隣オフィスワーカーや買い物客、夜のターゲットは近隣住民や終業後のサラリーマンとなります。
昼と夜で客層が異なるため、メニュー・照明・BGM・接客スタイルを切り替える必要があります。
カフェバー開業に必要な許可と届出
飲食店営業許可
カフェバーは食品を提供する飲食店として、営業開始前に管轄保健所から飲食店営業許可を取得する必要があります。
申請時には店舗の平面図、設備配置図、給排水設備の説明、従業員の健康診断結果、食品衛生責任者の配置状況などを提出します。厨房の動線、洗浄設備、冷蔵庫の配置が審査のポイントとなります。
酒類販売業免許
ビール、ワイン、カクテル、ハイボールなど酒類を提供する場合、税務署から酒類販売業免許を取得する必要があります。
酒類販売業免許には小売業免許のほか、卸売業免許などがありますが、カフェバーで一般的なのは小売業免許です。
申請には店舗の概要、代表者の履歴、近隣の酒販店との距離、営業時間帯などが審査されます。許可取得には数週間〜数か月かかることがあるため、開業スケジュールに余裕を持って申請しましょう。
消防法・建築基準法に基づく手続き
飲食店として営業する場合、消防法に基づく消防検査を受ける必要があります。
消火器の配置、避難経路の確保、非常照明、自動火災報知設備の有無などが確認されます。
建築基準法に基づく確認・検査も必要で、用途変更や内装工事を伴う場合は事前に建築確認を受ける必要があります。
その他の届出・許可
- 屋外看板やテラス席を設置する場合は、道路占用許可や屋外広告物条例に基づく届出が必要です。
- 深夜に営業する場合は、風営法に該当しない範囲であっても、自治体の生活騒音条例や深夜営業に関する条例を確認する必要があります。
- 音楽を流す場合は、JASRACなどの音楽著作権使用料の契約が必要です。
業態設計:昼カフェ・夜バーの切り替え
時間帯別のコンセプト設計
カフェバーは、昼と夜で異なる空間演出が求められます。
昼は明るい照明、軽快なBGM、コーヒーと軽食を中心としたメニュー。夜は落ち着いた照明、ジャズやアンビエントなBGM、カクテルとおつまみを中心としたメニューに切り替えます。
ただし、切り替え作業にかかる時間とコストを抑えるため、什器や備品はできるだけ兼用できるように設計します。
厨房と設備の兼用設計
カフェバーの厨房は、昼のカフェメニューと夜のバーメニューの両方に対応できる必要があります。
コーヒーマシン、エスプレッソマシン、製氷機、冷蔵庫、冷凍庫、シンク、調理台、食器洗浄機は昼・夜兼用で使います。
夜のバー営業では、カクテル用のグラス、シェーカー、氷の管理方式、酒類の陳列スペースが追加で必要です。
食品衛生法上、生ものと加熱済み食品の混在、洗浄済み食器と未洗浄食器の区分、冷蔵庫内の温度管理などが重要です。
昼の食材と夜の食材を同じ冷蔵庫で管理する場合は、ラベル管理と賞味期限管理を徹底しましょう。
メニュー構成と価格設計
カフェバーのメニューは、昼と夜で販売比率を変えるのが効果的です。
昼はコーヒー、紅茶、サンドイッチ、パスタ、スイーツを中心に、夜はカクテル、ワイン、ビール、おつまみ、軽食を中心にします。
価格帯は昼が500〜1,500円、夜が1,000〜3,000円程度が目安です。
| 時間帯 | 主力メニュー | 客単価目安 | 原価率目安 |
|---|---|---|---|
| 昼(カフェ) | コーヒー、軽食、スイーツ | 800〜1,200円 | 25〜30% |
| 夜(バー) | カクテル、ワイン、おつまみ | 2,000〜3,500円 | 15〜25% |
人件費・原価率のシミュレーション
シフト設計のポイント
カフェバーは営業時間が長くなる傾向があるため、シフト管理が原価圧縮の鍵となります。
例えば、11時開店〜23時閉店の場合、昼シフト(11時〜17時)と夜シフト(17時〜23時)に分け、夜シフトは調理・接客・洗浄を兼ねるスタッフを多めに配置します。
週5〜6日営業の場合、正社員1名とアルバイト2〜3名程度の体制が目安です。
人件費率の目安
飲食店の人件費率は売上の25〜35%が一般的な目安です。
カフェバーは昼・夜で売上構造が異なるため、時間帯別に人件費率を管理すると精度が上がります。
昼は回転率が高く客単価が低いため、少人数で効率化。夜は客単価が高い一方、接客時間が長くなるため、適正人数を配置します。
原価率と粗利のシミュレーション
カフェメニューの原価率は25〜30%、バー・アルコールメニューは15〜25%が目安です。
昼と夜の売上比率が5:5の場合、全体の加重原価率は20〜28%程度に収まり、粗利は72〜80%程度を見込めます。
ただし、廃棄ロスや試飲・サービス分を含めると、実際の原価率は数ポイント上昇します。
シミュレーション例:月商150万円(昼75万円・夜75万円)、原価率25%、人件費率30%、賃料率15%、光熱水費・消耗品等10%と仮定すると、営業利益率は約20%(30万円)となります。立地や客単価によって大きく変動するため、開業前に詳細な試算を行ってください。
カフェバー開業の失敗パターンと対策
需要の誤読
昼と夜の両方に需要があると安易に考え、実際には夜だけ需要があるエリアを選んでしまうケースがあります。
開業前に、対象エリアの昼・夜の人流、競合店の営業時間、客単価、空席率を調査しましょう。
特に、夜の需要は曜日・天候・季節によって大きく変動するため、最低1〜2か月の定点観察が有効です。
設備投資の過大
高級コーヒーマシンや大型バーカウンター、過剰な内装に投資し、回収期間が長期化するケースがあります。開業時は必要最小限の設備から始め、売上が安定してから段階的に投資を増やすのが賢明です。
特に、カフェバーは昼・夜の両方の設備が必要となるため、投資額が膨らみやすい業態です。
酒類免許取得の遅れ
酒類販売業免許の審査には時間がかかることがあり、開業日に間に合わないケースがあります。
開業日の3〜4か月前には申請準備を始め、書類不備がないよう確認しましょう。近隣の酒販店との距離基準や、代表者の経歴審査で追加書類が求められることもあります。
シフト管理の混乱
昼・夜の切り替えに伴い、スタッフの勤務時間・役割・休憩が複雑化します。
シフト表を週単位で作成し、誰が開店準備・切り替え作業・閉店作業を担当するかを明確にしましょう。POSシステムや勤怠管理アプリを導入し、人件費を可視化することも有効です。
客層のミスマッチ
昼のカフェ客と夜のバー客が、空間や接客スタイルで不快感を抱えるケースがあります。
例えば、昼に子連れ客が多いのに夜は騒がしいバー雰囲気だと、リピート率が低下します。
昼と夜のターゲットを明確にし、SNSや看板、メニュー表でそれぞれの客層に訴求する工夫が必要です。
カフェバー開業の成功条件
カフェバー開業を成功させるには、以下の3点を押さえることが重要です。
- 立地と時間帯別需要の徹底調査:昼と夜、それぞれのターゲットが店舗周辺にどれだけ存在するかを数値化する。
- 許可取得の計画的な進行:飲食店営業許可、酒類販売業免許、消防・建築手続きを開業日に間に合わせる。
- 兼用設計と原価管理:厨房・設備・スタッフを効率的に使い、原価率・人件費率を適正に保つ。
カフェバーは、一見するとカフェとバーを足しただけの業態に見えますが、実際には両方のノウハウと許可、そして時間帯別の運営設計が必要な複合型飲食店です。
計画的に準備を進め、無理のない投資と運営設計を行うことで、安定した収益基盤を築くことができます。
二毛作の数字を分ける
カフェバーは、昼と夜で客単価・滞在時間・原価構造が変わります。レジと日報を時間帯で分け、どちらが利益を生んでいるかを見ないと、忙しいのに残らない状態が固定化します。
許認可は、食品衛生、防火、深夜の扱い、酒類の提供形態など、自治体と物件条件で論点が変わります。
内装着工前に、保健所・消防・建物用途を確認し、図面段階で詰めていきましょう。

