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2026.08.15 起業ガイド

よもぎ蒸しで起業は儲かる?サロン数8,400店の飽和と、月商を作る3つの条件【2026年】

よもぎ蒸しで起業は儲かる?サロン数8,400店の飽和と、月商を作る3つの条件【2026年】


「初期費用30万円から」「材料費は1回300円」「資格はいらない」。

よもぎ蒸しサロンの開業情報を検索すると、この3つが必ず出てきます。どれも事実です。ただし、それを書いているのはほぼ全て、機器を売る会社か講座を売る会社です。

この記事では、売り手ではない立場から、いま参入して成立するのかを数字で確認します。結論から言うと、可能です。ただし「今から始めれば伸びる市場に乗れる」という前提だけは、いったん外してください。

市場は伸びている、が「転換点」に入っている

よもぎ蒸し専門メディア「セルフキュア」が定期的に推計しているサロン数の推移を見てください。

時期 サロン数の推計
2023年4月 4,647店舗
2025年6月 8,048店舗
2026年3月 8,425店舗(ピーク)
2026年7月 7,849店舗

出典:セルフキュア「盛り上がるよもぎ蒸し市場!サロン数や検索数」2026年7月28日更新。同社独自の推計であり、公的統計ではない点にご留意ください。

3年で約1.8倍に増えた後、2026年3月をピークに4か月連続で減少しています。約576店舗、率にして7%が消えた計算です。開業した人が辞め始めている、という素直な読み方が妥当でしょう。

周辺環境も追い風ではありません。矢野経済研究所の調査では、2025年度のエステティックサロン国内市場規模は2,797億円、前年度比92.1%の見込みとされています(2026年発表)。美容サービス全体の財布は縮んでいます。

この事実は、参入をやめる理由ではありません。

「開業すれば埋まる」フェーズが終わり、「選ばれる理由がある店だけが残る」フェーズに入ったという意味です。読むべき情報が、開業手順から経営設計に変わったということです。

数字で見る、成立の条件

よもぎ蒸しの一般的な単価は1回3,000〜6,000円、よもぎ等の材料費は1回あたり300〜500円程度とされます。粗利率で言えば9割前後で、これは飲食業などと比べて突出して高い。ここがこのビジネスの本当の強みです。

だからこそ、判断はシンプルな引き算でできます。

自宅の一室で始める場合、初期費用30万円前後、家賃負担ゼロ、月の固定費が光熱費・広告費込みで3万円だとします。

単価4,000円・原価500円なら1回の利益は3,500円。固定費を賄うのに月9回、月10万円の利益を出すには約38回の施術が必要です。1日2人・週5日で月40回。ここが最初の現実的な目標ラインになります。

一方、テナントで店舗を構えると初期費用は250〜300万円、家賃・光熱費で月固定費20万円と仮定すれば、損益分岐は月57回、目標ラインは月86回に跳ね上がります。同じ商売でも、必要な集客力が2倍以上違う。最初の意思決定は「どの機材を買うか」ではなく「自宅か店舗か」です。

1年目に自宅を強く推す理由

日本政策金融公庫総合研究所「2025年度起業と起業意識に関する調査」(2026年2月公表)では、週35時間未満で事業を営む「パートタイム起業家」の53.2%が起業費用ゼロ、74.8%が採算を黒字基調と回答しています。

一方で月商50万円未満が91.5%。小さく始めれば黒字にはなりやすいが、いきなり生活費は賄えない——この構造は、よもぎ蒸しにもそのまま当てはまります。

仕事を続けながら自宅で検証し、予約が埋まってから店舗を考える。この順序が最も損失を小さくします。

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飽和市場で選ばれる、3つの条件

約8,000店ある中で埋まる店には共通点があります。

第一に、対象を絞ること。「женщин全般」ではなく、産後の体調回復、更年期の不調、妊活期、冷えの強いデスクワーク層——誰の何のための時間かが一文で言えるかどうか。絞ると母数は減りますが、指名検索と紹介が生まれます。

第二に、リピート前提の設計。よもぎ蒸しは1回で劇的に変わるものではなく、継続で体感が積み上がるサービスです。初回単価を下げて集めるより、2回目の来店日をその場で決める運用のほうが売上に効きます。

自宅サロンなら顧客50人×月1回で月40回を超えます。新規獲得より、50人を維持するほうがはるかに楽です。

第三に、体験の設計

機器と椅子は誰でも同じものが買えます。差がつくのは、カウンセリング、香りの選択肢、施術後の過ごし方、清潔感、予約の取りやすさといった細部です。設備投資で差別化できないビジネスは、運用でしか差別化できません。

開業前に必ず確認する法律・手続き4点

①資格:よもぎ蒸しの提供に必須の国家資格・民間資格はありません。

ただし体に触れる仕事である以上、禁忌(妊娠中の一部時期、高血圧、生理中の対応など)の知識は必須です。医療行為ではないため、体調不良を訴える方には医療機関の受診を促してください。

②公衆浴場法:これは要注意です。設備の構造によっては公衆浴場に該当し許可が必要になる場合があり、判断は自治体ごとに分かれます。

実際、宮城県は公衆浴場の許可対象となりうる施設の例として「よもぎ蒸し」を明記しています。物件を契約する前に、必ず管轄の保健所に図面レベルで相談してください。後から言われると内装をやり直すことになります。

③薬機法・景品表示法:「痩せる」「〇〇が治る」「デトックス効果で病気が改善」といった表現は、医薬品的効能を標榜するものとして問題になり得ます。

合理的な根拠のない「No.1」表記も景表法上のリスクです。広告は「体感」と「事実」の範囲で書く。ここは開業初期に最も踏みやすい地雷です。

④特定商取引法:これに触れている開業記事はほとんどありません。エステティックは、契約期間が1か月を超え、かつ金額が5万円を超えると特定継続的役務提供に該当し、契約書面の交付義務、クーリング・オフ、中途解約権などの規制対象になります。

回数券やコースを売る瞬間に、この論点が発生します。該当しうる形態で販売するなら、事前に消費者庁のガイドか専門家に確認してください。

あわせて、開業したら原則1か月以内に税務署へ開業届を、青色申告を使うなら2か月以内に承認申請書を提出します。

よくある質問

Q. 「1年で6割、3年で9割が廃業」は本当ですか?

サロン業界で頻繁に引用される数字ですが、この比率を裏付ける公的統計は確認できません。出所不明のまま各サイトで転載されているのが実情です。一方で、本記事で示したサロン数の減少は実測に基づく推計であり、こちらのほうが参考になります。恐怖を煽る数字ではなく、実データで判断してください。

Q. 未経験・主婦でも始められますか?

参入障壁は低く、実際に自宅の一室から始める方は多い分野です。ただし、参入障壁が低いということは競合も同じ条件で入ってくるということです。技術より先に、誰に届けるかを決めてください。

Q. 機器はどこで買うべきですか?

本記事では特定メーカーを推奨しません。判断軸は、座面サイズ・安定性、マント素材、消耗品の継続価格、故障時のアフターサポート、そして「講座受講が購入条件になっていないか」です。抱き合わせが強い提案ほど慎重に。

まとめ:市場に乗るのではなく、席を取りに行く

よもぎ蒸しは、粗利率9割・在庫リスクほぼゼロ・自宅開業可という、個人起業として稀に条件の良いビジネスです。同時に、参入が容易だからこそ8,000店まで増え、いま淘汰が始まっています。

やるべきことは、①自宅で小さく始めて固定費を最小化する→②対象を一文で言えるまで絞る→③2回目の予約を取る運用を作る→④50人の常連を維持する。この4つです。ブームに乗る発想では遅く、席を取りに行く発想が要ります。

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