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2026.08.15 起業ガイド

ドライフラワー・プリザーブドフラワーで起業するには?費用と稼ぎ方

ドライフラワー・プリザーブドフラワーで起業するには?費用と稼ぎ方

資格講座を修了して、作品もそれなりに作れるようになった。

SNSに載せれば「かわいい」と言ってもらえる。でも、そこから先の一歩が踏み出せない——ドライフラワーやプリザーブドフラワーで起業を考える方から、いちばん多く聞くのがこの悩みです。

「好き」を仕事にできる分野である一方、趣味と事業の境界が曖昧になりやすいのもこの業界の特徴です。

この記事では、市場の実像、収益モデルの選び方、必要な手続き、そして価格設定の考え方までを、感覚論ではなく数字と法令に基づいて整理します。

花き市場の現在地を、正しく把握する

まず前提となる市場規模です。矢野経済研究所の調査によると、2025年の花き類の末端市場規模は9,523億円(前年比98.7%)と見込まれています(同社「フラワー&グリーンビジネス市場に関する調査」2026年1月30日発表)。この市場にはプリザーブドフラワー関連も含まれます。

数字が示すとおり、花き市場全体は微減傾向です。結婚式や葬儀が小規模化して業務需要の花の量が減り、円安と生産コスト高で花材価格は上昇。生産者の高齢化により国内供給力も低下しています。

一方で帝国データバンクの調査では、2025年度の花屋市場(事業者売上高ベース)は約2,250億円、前年比1.4%増と2年ぶりの増加に転じました。

この二つの数字を並べると見えてくるのは、市場全体が縮むなかで、チャネルの移動が起きているという構図です。

矢野経済研究所も、フラワーショップの店舗数減少に伴い、スーパーマーケットやECといったチャネルの利用が拡大すると予測しています。家庭用需要はコロナ禍とサブスクの普及を経て定着しました。個人が小さく始めるなら、実店舗ではなくECとギフト、そして体験提供に軸足を置くのが市場の流れに沿った判断になります。

ハンドメイド市場の現実も見ておく

販売先として真っ先に候補に挙がるハンドメイドマーケットについても、期待値を正しく設定しておきましょう。

minneは2023年6月に累計流通額1,000億円を突破し、2023年5月末時点で87万件を超える作家・ブランドが1,635万点以上を出品しています。Creemaの流通総額は2025年2月期に165億円、2026年2月期は148億円でした。

市場としては大きいのですが、出品者も同時に増え続けており、埋もれるリスクは年々高まっています。「出品すれば売れる」時代はすでに終わっていると考えて、集客の設計から始めてください。

ドライ・プリザーブドが生花より有利な3つの理由

1. 廃棄ロスが構造的に小さい

生花小売の最大の悩みは廃棄ロスです。

仕入れた花が数日で売り物にならなくなり、その分の原価がそのまま損失になります。ドライフラワーとプリザーブドフラワーは、この構造から解放されます。在庫が翌月も翌々月も商品であり続けるため、キャッシュフローの読みやすさがまったく違います。

2. 自宅の一室から始められる

大型の冷蔵ショーケースも、毎朝の市場仕入れも不要です。

作業スペースと保管棚、撮影用の環境があれば事業として成立します。固定費を月数万円に抑えられるため、副業から始めて軌道に乗ってから専業化する、という段階的な移行がしやすい業態です。

3. 配送に強く、商圏が全国になる

水揚げが不要で軽量なため、宅配便での全国発送に向いています。実店舗を持たなくても顧客を全国に広げられるのは、生花にはない優位性です。ただし、プリザーブドフラワーは高温多湿に弱く、夏場の配送や保管には注意が必要になります。

収益モデルは4つ|組み合わせて年間の波をならす

この分野で安定して収益を上げている方は、ほぼ例外なく複数の収入源を持っています。単一モデルでは季節変動に耐えられないためです。

収益モデル 単価の目安 強み 弱み
作品販売(EC・マルシェ) 2,000〜15,000円 すぐ始められる 単価が低く、競合が多い
オーダー・ギフト対応 8,000〜50,000円 単価が高く価格競争しにくい 制作工数と納期管理の負担
レッスン・ワークショップ 3,000〜15,000円/回 材料費以外の原価が低い 集客と場所の確保が必要
法人装飾・什器レンタル 月額3万〜20万円 継続収入になる 営業活動と実績が前提

単価を上げたいなら「用途」を売る

作品そのものの美しさで差別化するのは、正直かなり難しい領域です。

同じ花材、似た技法を学んだ作家が全国に何万人もいるからです。単価が上がるのは、作品ではなく用途を売ったときです。

たとえばウェディングブーケのアフターブーケ加工、開店祝いのスタンド花をドライ化して店舗に飾れる形にするサービス、ペットのメモリアルフラワー、法人向けのエントランス装飾。

いずれも「その人にとって代替がきかない理由」があるため、価格を理由に断られにくくなります。実際、minneでも「ウェディング」関連の注文金額は伸長傾向にあると報告されています。

レッスンは粗利が高いが、集客が9割

体験レッスンの相場は1回3,000〜5,000円程度、月謝制なら月5,000〜15,000円程度が一般的です。

講師養成コースになると6万〜11万円程度の価格帯も見られます。材料費以外の原価がほとんどかからないため粗利は高いのですが、収益は集客力にほぼ完全に依存します。

開業前から、SNSでの発信を通じて「レッスンを待っている人」を可視化しておくことが実質的な必須条件です。

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作品づくりは得意でも、事業の組み立ては別のスキルです。開業までに何をどの順番で進めるべきか、全体の流れをまとめた記事をご覧ください。

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必要な手続きと、見落とされがちな法律

ドライフラワーやプリザーブドフラワーの製造・販売・教室運営に、国家資格や営業許可は原則として必要ありません。参入障壁が低いのはこの業態の魅力です。ただし「何もしなくていい」わけではありません。

開業届と青色申告の届出

事業として継続的に行うなら、事業開始から1か月以内に税務署へ개業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出します。青色申告承認申請書を同時に出しておくと、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰越しといった制度を利用できます。

副業として始める場合も、所得の規模によって申告義務が生じます。

ネット販売には特定商取引法に基づく表記が必須

ECサイトやハンドメイドマーケットで販売する場合、通信販売にあたるため、事業者名、所在地、連絡先、販売価格、送料、支払方法、返品の条件などを表示する義務があります。

個人情報の掲載に抵抗がある方も多いのですが、プラットフォームによっては所在地・連絡先の非公開に対応している場合があります。minneはこの対応を行っています。

効果や耐久性の表現に注意する

ここは意外と見落とされます。

プリザーブドフラワーを「一生枯れない」「半永久的に美しさが続く」と表現するのは、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。

実際の観賞期間は保存環境によって大きく変わり、高温多湿の環境では色移りや退色が起こります。

カタログやSNS投稿では「適切な環境で1〜3年程度」といった条件つきの表現にとどめ、注意事項を明示するのが安全です。

また、香りをつけた商品について「リラックス効果」「安眠効果」など身体への効能をうたうと、薬機法上の問題が生じる可能性があります。

雑貨として販売する以上、効能効果の表示はできないと理解しておいてください。

加工液を扱う場合の消防法

プリザーブド加工を自分で行う場合、加工液にメタノールなどのアルコール類が含まれることがあります。

これらは消防法上の危険物にあたり、指定数量の5分の1以上を貯蔵・取扱いする場合は、市町村の火災予防条例に基づく少量危険物の届出が必要になります。

個人の小規模制作では届出不要の量に収まることがほとんどですが、まとめ買いをする際は所轄の消防署に確認してください。

輸入花材と植物防疫法

海外から花材を直接輸入する場合、植物防疫法に基づく輸入検査の対象になることがあります。

国内の花材問屋を通す場合は問題になりませんが、個人輸入で仕入れコストを下げようとする際は事前確認が必要です。

初期費用と、最初にやるべき価格設計

自宅を拠点に作品販売から始める場合、初期費用は20万〜50万円程度が現実的な目安です。

内訳は花材・資材の仕入れに10万〜20万円、乾燥・保管用の設備と什器に5万〜10万円、撮影機材と背景に3万〜5万円、ECサイト開設や名刺・パッケージなどに5万〜10万円といったところです。

レッスンを主軸にするなら、テーブルと椅子、人数分の道具で追加10万〜20万円を見込んでください。

そして最も重要なのが価格設計です。

多くの方が「花材費の3倍」といった単純な計算で値付けをして、あとから利益が残らないことに気づきます。最低限、次の要素をすべて積み上げてください。

花材費、副資材費、包装・配送資材費、プラットフォーム手数料と決済手数料、そして自分の制作時間を時給換算した労務費です。

時給を1,500円と置き、制作に2時間かかる作品なら労務費は3,000円。花材費1,500円、資材500円、手数料が売価の1割強とすると、売価6,000円でようやく利益が数百円という計算になります。

この試算をすると、多くの方が自分の作品を安く売りすぎていたことに気づきます。安く売り続ける限り、事業として続けることはできません。

資金計画や事業の組み立て方そのものに不安がある方は、起業の始め方を整理した記事で全体の流れを確認しておくと、優先順位をつけやすくなります。

よくある質問

資格は取ったほうがいいですか

販売や教室運営に資格は不要です。

ただし協会認定の講師資格には、カリキュラムとディプロマ発行の仕組みがついてくる点に価値があります。生徒に修了証を出せるかどうかで、レッスンの単価と継続率は変わります。認定講師を名乗る場合はライセンス契約の内容、特に年会費や活動範囲の制限を必ず事前に確認してください。

副業から始めても大丈夫ですか

むしろ推奨されます。固定費が小さく在庫が劣化しにくいこの業態は、副業との相性が良い分野です。

会社員の方は勤務先の副業規定を確認したうえで、まず月商を安定させ、必要な生活費を継続的に上回った段階で専業化を検討するのが安全です。

SNSは何から始めるべきですか

作品写真中心のInstagramが基本ですが、完成品だけを並べても購買にはつながりにくいのが実情です。

制作過程、花材の選び方、飾り方の提案、飾ったあとの暮らしの変化など、買った後をイメージできる情報を混ぜてください。用途を売る戦略と一貫させることが大切です。

まとめ|縮む市場でも、小さく始める人には勝ち筋がある

花き市場全体は9,523億円へ微減、しかしチャネルはECとギフトへ移動しています。廃棄ロスがなく、自宅から全国に発送できるドライフラワー・プリザーブドフラワーは、この変化に最も適応しやすい業態のひとつです。

必要なのは、許可の取得ではなく設計です。

誰のどんな場面に届ける商品なのかを決め、原価と時間を積み上げて価格を決め、複数の収益モデルを組み合わせて季節変動をならす。この三つを最初に固めた人が、趣味の延長ではなく事業として続けています。

起業の始め方ガイド

作品づくりの次は、事業のつくり方を学ぶ番です

価格設計も集客も、独学で遠回りする必要はありません。起業の全体像を押さえて、最短距離で「続く事業」をつくりましょう。

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