2026.09.29 起業ガイド
福祉用具貸与で起業する方法|指定要件・資金・収益の仕組み
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「介護の現場で役に立つ仕事で起業したい」。
そう考えて福祉用具貸与に興味を持ったものの、何から手をつければよいか分からず悩んでいませんか。
福祉用具貸与は、介護保険から報酬を受け取れる、安定性の高い事業です。
高齢化が進むなか、車いすや介護ベッドのレンタル需要は毎年伸び続けています。
この記事では、指定を受けるための要件、開業資金、収益の仕組み、成功のポイントを順に解説します。
読み終えるころには、起業までに何をどの順番で準備すればよいかがはっきり分かります。
福祉用具貸与とは?起業先として注目される理由
福祉用具貸与とは、要介護者に車いすや特殊寝台、手すり、歩行器などをレンタルする介護保険サービスです。
利用者の負担は原則1〜3割で、残りは介護保険から事業者に支払われます。
注目される最大の理由は、需要の大きさです。
厚生労働省の「令和6年度 介護給付費等実態統計」によると、福祉用具貸与の年間実受給者数は約295万人でした。
前年度より2.0%増えています。
介護予防福祉用具貸与も約95万人で、前年度から5.3%増えました。
介護サービスの中でも利用者の多い分野で、今後も伸びが見込まれます。
レンタル品は一度契約すると長く使われることが多いです。
そのため、毎月の収入が積み上がる「ストック型」の事業になる点も魅力です。
令和5年度 約289万人
令和6年度 約295万人
福祉用具貸与で起業するための指定要件
福祉用具貸与の事業を始めるには、都道府県などから「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける必要があります。
主な要件は次の4つです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 法人格 | 株式会社・合同会社などの法人であること |
| 人員基準 | 福祉用具専門相談員を常勤換算で2名以上 |
| 管理者 | 常勤の管理者1名(相談員との兼務も可) |
| 設備基準 | 事務スペース、用具の保管・消毒設備(外部委託も可) |
特に注意したいのは、個人事業主のままでは指定を受けられない点です。
まず会社を設立する必要があります。
合同会社なら、登録免許税などの設立費用を10万円前後に抑えられます。
福祉用具専門相談員は、約50時間の指定講習を受ければ取得できます。
介護福祉士や看護師などの資格があれば、講習は不要です。
指定申請の詳しい基準は、事業所を置く自治体の手引きで確認してください(例:東京都福祉局「福祉用具貸与」)。
福祉用具貸与の起業に必要な資金の目安
福祉用具貸与の開業資金は、500万〜1,000万円程度が一つの目安です。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 法人設立費用 | 10万〜25万円 |
| 事務所・倉庫の取得費 | 50万〜150万円 |
| 配送用車両 | 50万〜200万円 |
| 事務機器・請求ソフト | 30万〜80万円 |
| 運転資金(人件費など3〜6か月分) | 300万〜600万円 |
意外と見落としやすいのが、運転資金の厚みです。
介護報酬は、サービスを提供した月の翌々月に入金されます。
開業から最低でも2か月は、人件費や家賃を手元の資金でまかなう必要があります。
用具は、自社で買う方法のほか、卸業者から借りて利用者に貸す「レンタル卸」を使う方法もあります。
レンタル卸を使えば、在庫を持たずに始められます。
資金調達には、日本政策金融公庫の創業融資も活用できます(創業融資の基礎知識)。
福祉用具貸与の収益モデルと売上シミュレーション
福祉用具貸与の収益は、「レンタル料−仕入れ(卸)料」の差額が中心です。
レンタル料は事業者が自由に決められます。
ただし、国が商品ごとに「全国平均貸与価格」と「貸与価格の上限」を公表しています。
上限を超えた価格では、介護保険が適用されません。
| 項目 | 金額(例) |
|---|---|
| 利用者1人あたりの月額レンタル料 | 15,000円 |
| 利用者数 | 150人 |
| 月の売上 | 225万円 |
| レンタル卸の費用(売上の約50%) | 112.5万円 |
| 粗利 | 112.5万円 |
ここから人件費や家賃、車両費を払います。
利用者が100〜150人に届くと、経営が安定しやすいと言われています。
契約が月ごとに積み上がるため、立ち上げの1〜2年が勝負です。
福祉用具貸与の起業で成功するための営業戦略
福祉用具貸与の利用者の多くは、ケアマネジャーからの紹介で決まります。
ケアプランを作るケアマネジャーが、利用者に合う事業者を提案するからです。
まずは地域の居宅介護支援事業所を回りましょう。
顔と名前を覚えてもらうことから始まります。
信頼を得るうえで大切なのは、「すぐ届けて、すぐ直す」対応の速さです。
退院日に介護ベッドを間に合わせる、故障にその日のうちに駆けつける。
こうした対応の積み重ねが、紹介を呼び込みます。
住宅改修や特定福祉用具販売も合わせて扱えば、利用者1人あたりの売上が伸びます。
ケアマネジャーにとっても、窓口が一本になるので頼みやすくなります。
介護業界の経験がない場合は、開業前に福祉用具事業所で1〜2年働くと、人脈と実務の両方が身につきます。
福祉用具貸与の起業に関するよくある質問
Q. 介護業界の経験がなくても起業できますか?
A. 制度上は可能です。福祉用具専門相談員の資格は講習で取れます。
ただしケアマネジャーとの人脈が営業の生命線になるため、業界経験のある人と組むと成功率が上がります。
Q. 1人で福祉用具貸与の事業所を開けますか?
A. 開けません。福祉用具専門相談員が常勤換算で2名以上必要です。
最低でも2人の体制を前提に計画しましょう。
まとめ
福祉用具貸与は、約295万人が利用し、今も伸び続ける介護保険サービスです。
起業には、法人の設立と、福祉用具専門相談員2名以上の体制が欠かせません。
報酬の入金が翌々月になるため、運転資金は多めに用意しましょう。
まずは事業所を置きたい自治体の指定申請の手引きを読み、要件を確かめてください。
地域の介護を支える一歩が、そこから始まります。

