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2026.10.10 起業ガイド

ソーシャルビジネスの例|国内外の成功事例と仕組み

ソーシャルビジネスの例|国内外の成功事例と仕組み

貧困、子育て、環境、地域の過疎化。世の中の課題を解決したいという思いと、事業として収益を上げることは両立できるのでしょうか。

その答えの一つが、ソーシャルビジネスです。寄付やボランティアに頼るのではなく、ビジネスの手法で社会課題の解決に取り組むソーシャルビジネスは、国内外で多くの成功例を生み出してきました。

とはいえ、具体的にどんな事業があるのか、どうやって利益を上げているのかがイメージしにくいという方も多いでしょう。この記事では、ソーシャルビジネスの定義と特徴から、国内外の代表的な例、収益を生む仕組み、始めるためのステップまでを解説します。

ソーシャルビジネスとは?定義と3つの要件

ソーシャルビジネスとは、社会的な課題をビジネスの手法で解決する事業のことです。経済産業省のソーシャルビジネス研究会は、ソーシャルビジネスを次の3つの要件を満たす事業と整理しています。

一つ目は「社会性」です。解決すべき社会的な課題に取り組むことを、事業の使命としていることを指します。

二つ目は「事業性」です。社会的な使命を、ビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくことを意味します。寄付や補助金だけに頼らず、商品やサービスの提供によって収益を上げ、事業を続けていく力が求められます。

三つ目は「革新性」です。新しい商品やサービス、それを提供する仕組みを開発したり、活用したりすることで、社会に新しい価値を生み出すことを指します。

つまり、ソーシャルビジネスは社会貢献とビジネスの両方を成り立たせる事業です。社会課題の解決が目的でありながら、事業として収益を上げ、継続していくことに大きな特徴があります。

ソーシャルビジネスとNPO・ボランティア・CSRの違い

社会課題に取り組む活動は、ソーシャルビジネス以外にもあります。違いを整理しておきましょう。

ボランティアは、個人の善意による無償の活動です。社会的な意義は大きいものの、活動を継続するための収益の仕組みは持っていないのが一般的です。

NPO法人は、営利を目的としない法人の形態です。寄付や会費、行政からの委託などで活動することが多いですが、事業によって収益を上げることも認められています。

NPO法人が事業収益で活動を続けている場合、それはソーシャルビジネスの一つの形といえます。ソーシャルビジネスは法人の形態ではなく事業のあり方を指すため、株式会社でもNPO法人でも、一般社団法人でも取り組めます。

企業のCSR(社会的責任)活動は、本業とは別に社会貢献に取り組むものです。一方、ソーシャルビジネスは、社会課題の解決そのものを本業としている点で異なります。

地域の課題を地域の資源を活かして解決する事業は、特に「コミュニティビジネス」と呼ばれることもあります。ソーシャルビジネスの中でも、地域に根ざした取り組みを指す言葉です。

ソーシャルビジネスについてはこちらの記事を読むと、より解像度が上がります。

◯関連記事
・社会起業の仕組みとは?社会課題を解決し収益を出す方法

国内のソーシャルビジネスの例

日本でも、社会課題の解決とビジネスを両立させた事例が数多く生まれています。

マザーハウス|途上国の素材でブランドをつくる

2006年に創業したマザーハウスは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ことを掲げ、バングラデシュのジュート(麻)や革を使ったバッグなどを現地で生産し、販売しています。

援助ではなく、品質の高い商品を通じて途上国に雇用と誇りを生み出すモデルとして知られています。

フローレンス|病児保育の課題を解決する

認定NPO法人フローレンスは、子どもが熱を出したときに預け先がないという働く親の課題に対し、保育者が自宅に訪問する病児保育サービスを展開してきました。

利用者の会費による継続的な仕組みで事業を続けながら、待機児童や障害児保育など、子育ての課題に幅広く取り組んでいます。

TABLE FOR TWO|社員食堂から途上国の給食を支援する

TABLE FOR TWOは、企業の社員食堂などで対象のヘルシーメニューを選ぶと、1食につき20円が開発途上国の子どもの学校給食の支援に充てられる仕組みです。先進国の肥満や生活習慣病と、途上国の飢餓という二つの課題を同時に解決しようとする取り組みです。

ボーダレス・ジャパン|社会課題を解決する事業を次々に生み出す

ボーダレス・ジャパンは、ソーシャルビジネスだけを手がける企業として、国内外でさまざまな社会課題に取り組む事業を展開しています。社会起業家を育成し、事業で生まれた利益を新たなソーシャルビジネスの立ち上げに循環させる仕組みが特徴です。

海外のソーシャルビジネスの例

海外にも、ソーシャルビジネスの代表的な例があります。

最も有名なのが、バングラデシュのグラミン銀行です。経済学者のムハマド・ユヌス氏が創設し、担保を持たない貧しい人々、特に女性に少額の資金を無担保で貸し出す「マイクロクレジット」の仕組みを広めました。借り手が小さな事業を始めることで貧困から抜け出す道を開き、ユヌス氏とグラミン銀行は2006年にノーベル平和賞を受賞しています。ソーシャルビジネスという言葉を世界に広めたのも、ユヌス氏です。

商品を1つ購入するごとに、支援を必要とする人にも1つ届ける「ワン・フォー・ワン」と呼ばれる仕組みも、海外で広がったソーシャルビジネスのモデルの一つです。購入という日常の行動が、そのまま社会貢献につながる点が多くの人の共感を集めました。

ソーシャルビジネスが収益を生む仕組み

ソーシャルビジネスを続けるには、社会課題の解決と収益を両立させる仕組みが欠かせません。代表的なモデルを見てみましょう。

受益者からの対価で成り立つモデル

サービスを受ける人が料金を支払う形です。

病児保育や障害者の就労支援、地域の生活支援サービスなどがこれにあたります。受益者が支払える価格で、品質の高いサービスを提供できるかがポイントになります。


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商品の価値で選ばれるモデル

途上国の素材を使ったブランドや、障害のある人が製造した商品、環境に配慮した製品などを、品質や魅力で選ばれる商品として販売する形です。

かわいそうだから買うのではなく、良いものだから買う。そう思ってもらえる商品づくりが成功の鍵です。

第三者が費用を負担するモデル

サービスの受益者とは別の人や組織が費用を負担する形です。TABLE FOR TWOのように購入者が寄付分を上乗せするモデルや、企業からの協賛、行政からの委託事業などがあります。受益者が料金を払うのが難しい課題に取り組む場合に有効です。

身近なテーマから始めるソーシャルビジネスのアイデア例

ソーシャルビジネスというと、途上国の支援のような大きなテーマを思い浮かべがちですが、身近な地域の困りごとも立派な社会課題です。小さく始められるアイデアの例を挙げてみましょう。

子育ての分野では、親が一時的に子どもを預けられる場づくりや、子ども食堂と学習支援を組み合わせた居場所づくりなどがあります。働く親や、家庭に困難を抱える子どもを支える取り組みです。

高齢化が進む地域では、買い物や通院が難しい高齢者のための送迎や配達、見守りサービスへのニーズが高まっています。

高齢者の知恵や技術を活かした仕事づくりも、生きがいと収入の両方を生み出せるテーマです。

障害のある人の就労を支える事業もあります。障害のある人が働く場をつくり、そこで生まれた商品の品質を高めて販売することで、雇用と事業の両立を目指す取り組みです。

環境の分野では、規格外の野菜や売れ残った食品を活用して食品ロスを減らす事業、古着や廃材を新しい商品に生まれ変わらせるアップサイクル、使われなくなった空き家を地域の交流拠点にする事業などがあります。

いずれも、課題の当事者と近い距離にいる人ほど、本当に必要とされる解決策を見つけやすい分野です。

ソーシャルビジネスを始めるためのステップ

ソーシャルビジネスに挑戦したいと考えたら、まずは解決したい社会課題を明確にすることから始めましょう。

自分が身近で感じてきた困りごとや、強い問題意識を持つテーマほど、事業を続ける原動力になります。

次に、その課題の現場に足を運び、当事者の声を聞きます。課題の本当の原因は何か、どんな解決策なら喜ばれるのかを理解することが、事業の土台になります。

そのうえで、誰がお金を払うのかを含めたビジネスモデルを設計します。社会的に意義があっても、収益の仕組みがなければ事業は続きません。小さく試してみて、受益者や支援者の反応を確かめながら改善していきましょう。

事業の形態は、株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などから、資金調達の方法や事業の性質に合ったものを選びます。資金面では、日本政策金融公庫の融資のほか、クラウドファンディングや社会的投資、休眠預金を活用した助成など、ソーシャルビジネスならではの選択肢もあります。

まとめ:ソーシャルビジネスの例に学び、社会課題を事業で解決しよう

ソーシャルビジネスとは、社会性・事業性・革新性を備え、ビジネスの手法で社会課題の解決に取り組む事業です。マザーハウスやフローレンス、TABLE FOR TWO、ボーダレス・ジャパン、グラミン銀行など、国内外には社会貢献と収益を両立させた多くの例があります。

解決したい課題を明確にし、誰がお金を払うのかを含めたビジネスモデルを設計することが、ソーシャルビジネスを成功させる第一歩です。


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