2025.11.30 起業ガイド
型枠大工の独立|年収1000万稼ぐ!失敗しない一人親方・社長への道
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「俺の腕なら、もっと稼げるはずだ」。
現場で汗を流しながら、ふとそう思うことはありませんか?
型枠大工は、コンクリート建築の骨組みを作る、なくてはならない重要な仕事です。
その高度な技術には、本来もっと高い価値があるはずです。
しかし、独立したものの「仕事がない」「単価を叩かれる」と嘆き、会社員に戻る人が多いのもまた事実。
その差は、技術ではありません。「経営」を知っているかどうか、ただそれだけです。
今回は、型枠大工として独立し、年収1000万円以上を稼ぐための独立の手順と、儲かる仕組み作りを徹底解説します。
この記事を読めば、型枠大工としてどのように独立してビジネスを進めていけば良いかがわかります。
型枠大工の独立は「今」がチャンス?業界のリアルと将来性
「建設業界は人手不足だと言うけれど、本当に今独立して大丈夫なのか?」。そんな不安を感じる方もいるでしょう。
しかし、結論から言えば、技術を持つ型枠大工にとって、今は絶好の独立チャンスです。
なぜなら、業界全体で高齢化が進み、技術を持った若手~中堅の職人が圧倒的に不足しているからです。
独立を後押しする3つの業界動向を解説します。
職人不足の深刻化。「技術を持った若手〜中堅」は引く手あまた
建設業界では、団塊世代の大量引退により、熟練職人が激減しています。
一方で、都市再開発やインフラ整備など、工事の需要は底堅く推移しています。
そのため、現場を任せられる技術と体力を持った30代~40代の職人は、元請け会社から喉から手が出るほど求められています。
「仕事を頼める人がいない」という元請けの悲鳴は、最大のビジネスチャンスです。
インボイス制度の影響。淘汰される親方と、勝ち残る親方の違い
インボイス制度の導入により、免税事業者である一人親方は、元請けから敬遠されるリスクが高まっています。
しかし、これは逆に言えば、しっかりと課税事業者となり、適正な事務処理ができる親方にとっては、ライバルが減るチャンスでもあります。
法制度に対応し、信頼できる経営体制を整えることで、元請けからの信頼を独占し、安定した受注を獲得することが可能になります。
「プレカット」の普及。現場作業の効率化がもたらす新たな稼ぎ方
型枠工事において、工場であらかじめ加工された「プレカット材」の利用が進んでいます。
これにより、現場での加工の手間が減り、工期が短縮されています。
一見、職人の仕事が減るように思えますが、これは「同じ人数でより多くの現場をこなせる」ことを意味します。
効率化の波に乗り、施工管理能力を高めることで、少数精鋭でも高い利益率を叩き出すことが可能です。
あなたはどっち?「一人親方」と「法人化(社長)」の分かれ道
独立には、大きく分けて2つの道があります。
一人で現場を回る「一人親方」と、職人を雇って会社組織にする「法人化(社長)」です。
どちらが正解というわけではなく、あなたの性格や目指すゴールによって選ぶべき道は異なります。
それぞれの特徴を比較し、自分に合ったスタイルを見極めましょう。
| 1. 一人親方(個人事業主) | 2. 法人化(工務店社長) | |
|---|---|---|
| 働き方 | 自分自身が現場で作業する。自由度が高い。 | 現場管理、営業、資金繰りがメイン。組織を動かす。 |
| 収入 | 自分の働いた分だけ稼げる。年収800万~1000万が目安。 | 組織の規模次第で青天井。年収数千万円も可能。 |
| リスク | 怪我や病気で働けなくなると収入が止まる。 | 固定費(人件費)がかかるため、仕事が途切れると倒産のリスクがある。 |
| 向いている人 | 現場が好きで、自分のペースで働きたい職人気質の人。 | 人を育てるのが好きで、大きな仕事を動かしたい野心家。 |
まずは一人親方としてスタートし、資金と人脈を作ってから法人化するというステップアップも、堅実な戦略の一つです。
9割がハマる「貧乏親方」の罠|腕が良いのに稼げない理由
「腕には自信があるのに、なぜかお金が残らない」。
そんな悩みを持つ親方は少なくありません。
彼らが陥っているのは、技術不足ではなく、経営における「3つの罠」です。
罠1:【どんぶり勘定】手間賃(人工)だけで計算し、経費で赤字になる
見積もりを出す際、「1日あたり〇万円」という人工(にんく)単価だけで計算していませんか?
型枠工事には、資材費、運搬費、加工場の家賃、道具の消耗費、保険料など、様々な経費がかかります。
これらを正確に計算せず、どんぶり勘定で請け負ってしまうと、現場が終わって計算してみたら利益がほとんど残っていなかった、という事態に陥ります。
全ての経費を洗い出し、利益を乗せた適正単価を算出するのが重要です。
罠2:【下請け根性】元請けの言いなり。「断ったら仕事が来なくなる」という恐怖
「この単価じゃ厳しいけど、断ったら次がないかも…」。
その恐怖心から、赤字ギリギリの仕事を受けていませんか?
元請けにとって都合の良い「安く使える下請け」になってしまうと、いつまで経っても利益率は上がりません。
自分の技術と品質に自信を持ち、無理な要求には「NO」と言える対等な関係を築くこと。
そのためには、特定の元請けに依存せず、複数の取引先を持つリスク分散が必要です。
罠3:【営業不足】「いい仕事をすれば口コミで広がる」という幻想
「現場でいい仕事をしていれば、自然と評判になって仕事が来るはずだ」。
これは職人の美しい美学ですが、ビジネスとしては危険な幻想です。元請けの監督も人間です。
技術だけでなく、連絡がマメで、話しやすく、頼みやすい親方に仕事を回したくなります。
現場でのコミュニケーションはもちろん、名刺交換や季節の挨拶、SNSでの発信など、自らを売り込む営業活動を怠ってはいけません。
年収1000万円を目指す!型枠大工の独立ロードマップ5ステップ
では、どうすれば「貧乏親方」の罠を避け、年収1000万円以上を稼ぐ成功する経営者になれるのでしょうか。
ここでは、開業準備から、安定して稼げるようになるまでの具体的な手順を、5つのステップで解説します。
ステップ1:【資金と道具】トラック、加工場、資材…開業資金はいくら必要?
型枠大工の独立には、道具や車両など、ある程度の初期投資が必要です。
ユニック車(中古で200万~)、加工場の賃貸(敷金礼金)、電動工具一式、型枠資材など、最低でも300万~500万円程度の資金を見込んでおくべきです。
自己資金で足りない場合は、日本政策金融公庫の創業融資を検討します。
また、加工場については、騒音問題もあるため、立地選びは慎重に行う必要があります。
最初は先輩の加工場を間借りさせてもらうなど、コストを抑える工夫も有効です。
ステップ2:【資格と許可】「建設業許可」は取るべき?信用を勝ち取る武器
請負金額が500万円未満の軽微な工事であれば、建設業許可は不要です。
しかし、元請けからの信用を得て、より大きな現場を任されるためには、許可の取得は大きな武器になります。
許可を取るには「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の要件を満たす必要がありますが、これを持っているだけで「ちゃんとした業者」として扱われ、単価交渉でも有利に働きます。
将来的に法人化を目指すなら、早めに取得を検討しましょう。
ステップ3:【人脈作り】独立前から動く!元請けや横の繋がりを作る営業術
独立してから営業を始めるのでは少し遅いです。
会社にいるうちから、現場監督や他職種の親方と積極的にコミュニケーションを取り、独立する予定ですとアピールしておきましょう。
また、同業者の横の繋がりも重要です。
忙しい時に助け合ったり、情報を交換したりできる仲間がいれば、仕事が途切れるリスクを減らせます。
「あいつなら任せられる」という信頼貯金を、独立前にどれだけ貯められるかが勝負です。
ステップ4:【見積もり戦略】安売りしない!「利益」を確保する計算式
見積もりは、あなたの会社の利益を決める最も重要な作業です。
「他社より安くします」という値引きは避けましょう。
材料費の高騰や、現場の難易度(手間のかかり具合)を正確に反映させ、「なぜこの金額になるのか」を論理的に説明できる見積書を作成します。
また、「この部分は工夫してコストを下げました」という提案を盛り込むことで、単価を下げずに元請けの納得感を得られます。
見積もり力こそが、経営者の実力です。
ステップ5:【資金繰り】入金は数ヶ月先。黒字倒産を防ぐお金の管理
建設業は、仕事をしてから入金されるまでの期間が長いのが特徴です。
材料費や外注費、生活費の支払いが先行するため、手元の現金が尽きると、たとえ利益が出ていても倒産してしまいます(黒字倒産)。
「いつ、いくら入ってきて、いつ、いくら出ていくのか」という資金繰り表を作成し、常に数ヶ月先のキャッシュフローを把握しておくのが重要です。
まとめ:型枠大工の独立とは、自分の「腕」と「名前」で生きていく覚悟
型枠大工の独立は、あなた自身の腕と名前だけで、社会と勝負する挑戦です。
現場の風は冷たく、経営の壁は高いかもしれません。しかし、あなたの技術を、安売りしないでください!
経営という武器を身につけ、職人としての誇りと、経済的な成功の両方を手に入れてください。
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