2025.10.04 起業ガイド

【看護師が訪問看護で開業】失敗しない!資金・人員基準と全手順

【看護師が訪問看護で開業】失敗しない!資金・人員基準と全手順


「たくさんの思い出がある自宅で、最期までその人らしく。」
その想いを支える、地域包括ケアの要、訪問看護ステーション。

看護師として、訪問看護の開業を考えている方もいるのではないでしょうか?

しかし、訪問看護の開業をするにあたり、何から手をつけたら良いかわからず、そもそも何が必要なのかもわからないですよね。

そこで今回は、看護師のあなたが、訪問看護ステーションの開業で失敗しないための人員基準や資金計画のリアルから、開業後の安定経営を実現する秘訣まで、その全手順を徹底解説します。

この記事を読めば、訪問看護で起業するための全体像が掴めます。

なぜ、訪問看護ステーションの3年後廃業率は50%を超えるのか?

出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会

令和4年度の訪問看護ステーション数を、一般社団法人全国訪問看護事業協会が調査しました。そのデータによると、令和3年度に1,806件の訪問看護ステーションが開業されましたが、同期間に490件が廃止されました。

40%ほどの廃止率と他の業種と比較してみるとやや高めです。なぜ多くの訪問看護ステーションが、うまくいかないのか。

その背景には、看護師が経営者になる際に陥りがちな、3つの致命的な失敗パターンが存在します。この失敗から学ぶことこそが、事業を成功に導く第一歩です。

失敗の理由1:【営業不足】良い看護をすれば、依頼は来るという幻想

多くの看護師は、「質の高い看護を提供していれば、自然と依頼は来るはずだ」と考えがちです。

しかし、どんなに素晴らしい看護も、その存在を知られなければ、依頼には繋がりません。

地域のケアマネージャーや病院のソーシャルワーカーに、自分のサービスの強みや理念を伝え、信頼関係を築く、「営業活動」をなくして事業の安定は困難です。

失敗の理由2:【人材問題】スタッフが集まらない、すぐに辞める

訪問看護事業は、看護師の「人」そのものが商品です。

しかし、多くの小規模ステーションが、スタッフの採用と定着に苦しんでいます。

給与や待遇だけでなく「ここで働きたい」と思えるような、明確な理念や、風通しの良い職場環境、そして成長できる教育体制がなければ、優秀な人材は集まらず、すぐに辞めてしまいます。

失敗の理由3:【どんぶり勘定】介護保険の入金サイクルと資金繰りの罠

介護保険の報酬は、サービスを提供してから実際に入金されるまで、約2ヶ月のタイムラグがあります。

この入金サイクルを理解せず、どんぶり勘定で経営していると、売上は立っているのに手元の現金がなくなる「黒字倒産」に陥る危険性があります。

家賃や人件費などの固定費を支払い続けるための、緻密な資金繰り計画が不可欠です。

訪問看護ステーション開業|成功への7ステップ・ロードマップ

訪問看護ステーションの開業は、複雑な手続きと多くのタスクを、計画的に進める必要があります。

ここでは、あなたの夢を現実にするための、7つのステップを時系列で解説します。このロードマップが、開業準備の手助けとなります。

訪問看護ステーション開業 7ステップ

ステップ 主な内容 ポイント
1. コンセプト設計&事業計画 どんなステーションにするか、理念と収支計画を立てる 融資や指定申請の土台となる最重要ステップ
2. 法人設立 株式会社、合同会社、NPO法人などを設立する 訪問看護の指定を受けるには、法人格が必須
3. 資金調達 自己資金、融資、補助金を組み合わせ、開業資金を確保する 運転資金を含め、余裕を持った計画を立てる
4. 人員の確保 管理者と、常勤換算2.5人以上の看護師等を集める 開業における最大のハードル
5. 事務所・備品の準備 設備基準を満たす事務所を契約し、必要な備品を揃える プライバシーに配慮した空間作りが重要
6. 指定申請 都道府県または市に、膨大な申請書類を提出し、指定を受ける 不備があると、開業が大幅に遅れる可能性あり
7. 開業前営業 地域のケアマネージャーや病院に挨拶回りを行う オープンと同時に依頼が来る状態を目指す

このロードマップは、あくまで標準的なモデルです。

重要なのは、これらのタスクを単独で進めるのではなく、ステップ1の「事業計画」を立てる段階で、ステップ7の「営業戦略」までを見据えておく、といったように、常に全体像を意識しながら、各ステップを連動させて考えることです。

例えば、ステップ4の「人員確保」は、ステップ1で定めた「理念」に共感してくれる人でなければ意味がありません。

この全体を貫く一貫したストーリーこそが、看護師の訪問看護開業を成功へと導きます。

やるべきことの多さに、圧倒されていませんか?

特に、事業計画や指定の申請、許可を自分で完結するのは大変です。また、本当に自分が起業できるのか不安。という方もいるのではないでしょうか?

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最大の難関!「人員基準」と「資金計画」のリアルな攻略法

訪問看護ステーションの開業において、多くの看護師が挫折する最大の壁が人員基準と資金計画です。

しかし、それぞれの壁には、必ず乗り越えるための具体的な攻略法が存在します。

(人員)「看護師2.5人以上」の壁をどう越えるか?

訪問看護の指定基準では、管理者とは別に「常勤換算で2.5人以上」の看護師または准看護師等の配置が義務付けられています。

これが、一人で始めたい看護師にとって最大の壁です。

  • 創業メンバーを見つける:あなたの理念に共感してくれる、元同僚や看護師仲間に声をかけ、一緒に立ち上げる。
  • 非常勤(パート)を組み合わせる:常勤1名+非常勤の看護師を複数名採用し、合計の勤務時間で2.5人を満たす。
  • 魅力的な採用戦略:給与だけでなく、「子連れ出勤OK」「研修制度充実」など、大手にはない魅力的な労働環境を提示し、採用サイトやナースセンターで募集する。

このように「常勤換算」という考え方をうまく利用すれば、必ずしも常勤の看護師を3人集める必要はありません。では、具体的にどうやってその「仲間」を見つけるのでしょうか。

いろいろありますが、現実的な方法としては、出産や育児で一度現場を離れた周りの「潜在看護師」に声をかけたり、他の小規模な訪問看護ステーションや、一人で活動しているフリーランス看護師と業務提携」し、緊急時などにお互いのスタッフを派遣し合う、という方法も考えられます。

これは、人員基準を満たすための直接的な解決策にはなりませんが、事業運営上のリスクを分散させ、地域でのネットワークを築く上で非常に有効な戦略です。

(資金)開業資金1,000万円の内訳と、有利な資金調達術

訪問看護の開業には、法人設立費用や事務所の賃借料、人件費、備品購入費などで、一般的に800万~1,200万円程度の資金が必要と言われます。

  • 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」:創業者にとって最も身近で、低金利な融資制度です。
  • 福祉医療機構(WAM)の融資:福祉・医療に特化した独立行政法人で、長期・固定の有利な条件で借り入れが可能です。
  • 補助金・助成金の活用:国や自治体が実施する、返済不要の補助金(例:地域創造的起業補助金)も積極的に狙いましょう。

これらの資金調達を成功させる鍵は、いずれも「説得力のある事業計画書」を作成できるかどうかにかかっています。

あなたの看護への想いを、金融機関や行政が納得する「数字」と「ロジック」で語ることが重要です。

スタートアップアカデミーでは、事業計画書の作成サポートも行っていますので、ぜひLINEからご相談ください。

開業後に差がつく!「選ばれるステーション」になるための3つの秘訣

無事に開業できてもスタートラインに立ったに過ぎません。

数多くの競合の中から、ケアマネージャーや利用者に選ばれる存在になるための、3つの経営戦略を解説します。

秘訣1:ケアマネに刺さる「営業ツール」と「報告・連絡・相談」

訪問看護の依頼の多くは、ケアマネージャー(ケアマネ)からの紹介です。

彼らに「このステーションなら、安心して任せられる」と思ってもらうことが、事業の生命線です。

挨拶回りに行く際は、単なるパンフレットだけでなく、自社の理念や、スタッフの専門性(例:緩和ケア認定看護師が在籍、など)が明確に伝わる資料を持参しましょう。

そして、依頼を受けた後は、利用者様の様子を密に「報告・連絡・相談」することが、次の依頼に繋がる営業活動となります。

秘訣2:スタッフが辞めない「理念共有」と「働きやすい環境」作り

人材不足が深刻なこの業界で、スタッフの定着は最重要の経営課題です。

給与や待遇はもちろんのこと、「なぜ私たちは、この地域で、この看護を提供するのか」という事業の理念を、採用時から繰り返し共有し、共感を育むことが大切です。

また、「残業ゼロの徹底」「子どもの急な発熱にも対応できる柔軟なシフト」など、スタッフが心身ともに健康で、長く働き続けたいと思える環境作りへの投資を惜しまないでください。

秘訣3:利益率を高める「加算」の戦略的取得と「自費サービス」の組み合わせ

介護保険事業の収益を最大化するには、基本報酬に上乗せされる「加算」を、戦略的に取得していく必要があります。

「緊急時訪問看護加算」や「特別管理加算」など、自社の体制で算定可能な加算を正確に把握し、請求漏れがないようにしましょう。

さらに、介護保険ではカバーできない、長時間の付き添いや旅行同行といった「自費の訪問看護サービス」を組み合わせることで、収益源を多角化し、より安定した経営基盤を築くことができます。

まとめ:訪問看護の開業は、地域医療の未来を創る仕事

訪問看護ステーションの開業は、地域の医療と介護を繋ぎ、人々の「家で生きたい」という願いを支える、非常に社会的意義の高い事業です。

確かに、その道のりは平坦ではありません。

しかし、正しい知識と戦略、そして何より、あなたの看護師としての熱い想いがあれば、必ず乗り越えられます!

「事業計画を一緒に作ってほしい」
「資金や法律、集客などあらゆる部分でサポートしてほしい」。

看護師で訪問看護で起業するには多くの壁があります。起業初心者が1人で解決するのは大変です。

スタートアップアカデミーでは、LINEから無料のオンライン起業相談会を受け付けています。あなたのモヤモヤしている部分や起業に関するお悩みを、ぜひお聞かせください。

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