2025.12.16 起業ガイド

家政婦起業でフリーランス家事代行を始める方法3選と契約書の書き方

家政婦起業でフリーランス家事代行を始める方法3選と契約書の書き方

「私の家事スキルは、本当に仕事として通用するのだろうか」

「個人のお客様と家政婦として直接契約するのは、トラブルが起きたらどうしよう」

そう感じて家政婦の起業やフリーランス家事代行を調べ始めたものの、そもそもどのように起業をしたらよいかわからない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、家政婦として起業を目指す方がフリーランスで仕事を始めるための具体的な3つの方法と、そのために不可欠な契約書作成のポイントを解説します。

本記事を読めば、あなたの状況に合った始め方と、お客様との信頼関係を築くための実務知識がわかり、家事スキルを自信に変えるための具体的な手順が明確になります。

家政婦起業で選べるフリーランスの3つの始め方

家政婦起業
出典:「家政婦(夫)のサービスについて」|厚生労働省

家政婦を利用したことがある人は約7%ですが、「利用してみたい」と考えている潜在的な顧客は34.6%にものぼります。

これは、実に4割以上の人が家政婦サービスに関心を持っていることを示しており、市場には大きなチャンスが眠っている状況です。

この高まる需要に応え、家政婦で起業するには、大きく分けて3つの方法が存在します。

ここでは、3つの始め方のメリットとデメリットを比較します。

完全自由設計で高収入を目指す個人事業主

自分のスキルと経験を最大限に活かし、働く時間からサービス内容、料金まですべてを自分でコントロールしたい方に最適なのが、家政婦を個人事業主として起業する方法です。

しかし、その自由度の高さと引き換えに、集客から経理、トラブル対応まで、事業運営に関わるすべての責任を自身で負うことになります。

メリット デメリット
  • 料金やサービス内容、稼働時間を自由に決められる
  • 仲介手数料がなく利益率が高い
  • 顧客と直接的な信頼関係を築きやすい
  • 独自のサービスや強みを打ち出しやすい
  • 自力で集客する必要があり、最初の顧客獲得が難しい
  • 契約や経理などの事務作業もすべて自分で行う
  • 物損事故や顧客トラブルはすべて自己責任となる
  • 事業が軌道に乗るまで収入が不安定になりがち

税務署に開業届を提出し、完全に独立した事業者として活動します。

仲介手数料などが引かれないため、売上が直接収入に結びつきやすいのが魅力です。

集客の不安を解消するマッチングサイト登録

「まずは仕事を獲得することから始めたい」「営業や集客は少し苦手」などの方に心強い選択肢が、家事代行のマッチングサイトにフリーランスの家政婦として登録する方法です。

プラットフォームが持つ集客力を活用できるため、自分で営業活動をしなくても仕事の依頼を受けやすいのが特徴です。

メリット デメリット
  • サイトが集客するため、仕事を見つけやすい
  • プラットフォームの知名度で顧客の信頼を得やすい
  • 決済代行システムで料金トラブルが少ない
  • トラブル時に運営が仲介してくれる場合がある
  • 売上からシステム手数料が引かれる
  • 料金設定の自由度が低く、価格競争になりやすい
  • プラットフォームのルールや規約に従う必要がある
  • 独自のブランディングがしにくい

また、決済を代行してくれるシステムも多く、料金未回収のリスクを減らせる安心感もあります。

ただし、売上からプラットフォームへの手数料が引かれ、サービス内容や料金設定には一定の制約があります。

未経験でも安心できるサポートが充実したフランチャイズ加盟

家事業務や経営の経験がない方でも、確立されたブランド力と運営ノウハウを活用して着実に家政婦を事業として始めたい場合には、フランチャイズへの加盟が有効です。

メリット デメリット
  • 本部のブランド力があり、最初から信頼を得やすい
  • 確立された運営ノウハウや研修制度が整っている
  • 集客や宣伝活動を本部が支援してくれる
  • 制服や資材などを提供してもらえる場合がある
  • 加盟金や保証金などの初期費用が必要
  • 毎月、売上に応じたロイヤリティを支払う
  • サービス内容や料金がマニュアルで決められている
  • 契約期間の縛りがあり、本部の経営方針に左右される

本部の知名度を活かした集客が期待できるだけでなく、専門的な研修や業務マニュアル、運営サポートを受けられるため、未経験者でも安心して開業できます。

一方で、加盟金や毎月のロイヤリティといった金銭的な負担が発生し、本部の規定に従う必要があるため、個人事業主と比べて経営の自由度は低くなります。

家政婦起業の収入目安と料金設定

家政婦として起業を考えるうえで気になるのが、「実際にどれくらいの収入を得られるのか」という点です。

収入は、提供するサービスの料金をいくらに設定し、どのくらいの時間働くかによって決まります。

ここでは、サービスの料金相場から具体的な月収シミュレーション、そして賢く利益を確保するために知っておくべき経費の知識まで、お金にまつわるリアルな情報を詳しく解説します。

地域やサービス内容で決まる料金相場【首都圏は1時間1,806円】

家政婦をはじめ家事代行サービスの料金は、住んでいる地域や提供するサービス内容によって変動します。

まずは、ご自身のサービス価値を適正に判断するために、一般的な料金相場を把握しておくことが必要です。

首都圏の場合、就業時間ごとの平均の賃金相場は1時間で1,806円、3時間で4,908円、8時間で11,147円となっています。

また、サービス内容によっても単価は変わります。

日常的な掃除や洗濯は基本料金となりますが、整理収納アドバイザーの資格を活かした片付けや、栄養バランスを考えた作り置き料理などは、専門スキルとしてより高い料金設定が可能です。

月収30万円を達成するための稼働シミュレーション

具体的な目標として「月収30万円」を達成するためには、どのような働き方が必要になるのでしょうか。

簡単なシミュレーションで確認してみます。

【前提条件】
目標月収(売上) 300,000円
あなたのサービス時給 2,500円
1件あたりの平均稼働時間 3時間
【計算ステップ】
1. 必要な月間稼働時間 120時間 (300,000円 ÷ 2,500円/時)
2. 必要な月間依頼件数 40件 (120時間 ÷ 3時間/件)

このシミュレーションから、月に40件の依頼、つまり週に10件程度の依頼をコンスタントに受注できれば、月収30万円は達成可能な目標であることがわかります。

例えば、「1日2件(午前・午後)の仕事を週5日」のペースです。

もちろん、これはあくまで一例です。

時給や稼働時間を調整したり、お客様宅への移動時間を考慮したりしながら、あなたのライフスタイルに合った働き方で目標達成の計画を立てます。

フリーランス家事代行で認められる経費の範囲

フリーランス(個人事業主)として活動するメリットは、事業に必要な支出を経費として計上できることです。

売上から経費を差し引いた所得に対して税金がかかるため、認められる経費を正しく計上することは、手元に残るお金を増やすうえで重要です。

家事代行サービスで経費として認められる主な項目には、以下のようなものがあります。

勘定科目 具体例
消耗品費 洗剤、スポンジ、雑巾、ゴミ袋など業務で使用するもの
交通費 お客様宅への移動にかかる電車代やガソリン代
通信費 仕事の連絡に使うスマートフォンの利用料金
広告宣伝費 チラシの印刷代やWebサイトの維持費、マッチングサイトの手数料
保険料 万が一の事故に備えるための損害賠償保険料
研修費 スキルアップのためのセミナー参加費や書籍代

これらの支出を証明するために、領収書やレシートは必ず保管しておく習慣をつけましょう。

何が経費になるかを知っておくことは、安定した事業運営につながります。

家政婦の起業に必要な個人契約トラブルを防ぐ契約書の作り方

フリーランスとして活動する上で、「言った、言わない」のトラブルを未然に防ぎ、顧客との良好な関係を築くためには、書面での契約が求められます。

契約書は、顧客に安心感を提供すると同時に、あなた自身を守るために必要な安全策です。

ここでは、安心してサービスを提供するために必要な契約書の作り方の基本を解説します。

契約書に記載する10項目

契約書には、双方が合意した内容を明確に記す必要があります。

口頭での約束だけでなく、以下の項目を網羅した書面を用意しておくことで、後のトラブルを効果的に防げます。

  • 契約者双方の名前・連絡先
  • サービス提供の具体的な日時
  • サービス提供の場所(住所)
  • 具体的なサービス内容と範囲
  • 料金(時間単価、総額)と消費税の扱い
  • 交通費などの諸経費
  • 支払い方法と支払い期日
  • キャンセルに関する規定
  • 損害賠償に関する取り決め(保険の適用範囲など)
  • 個人情報・守秘義務に関する事項

特に、どこまでの作業を行うかというサービス範囲の明確化は、顧客の満足度にも直結する非常に大切な項目です。

料金未払いやキャンセルに関する規定の定め方

個人で仕事をする上で最も避けたいのが、料金に関するトラブルです。

サービスの対価を確実に受け取り、急なキャンセルによる損失を防ぐためにも、支払いとキャンセルに関するルールは明確に定め、事前に合意を得ておく必要があります。

規定項目 設定例
支払い期日 サービス提供後、〇日以内/毎月末締め、翌月〇日払い など
支払い方法 銀行振込/現金 など
キャンセル料 サービス提供前日のキャンセルは料金の50%、当日のキャンセルは100%を請求する など

特に、キャンセルポリシーを事前に書面で明示しておくことは、健全な事業運営の基本です。

個人情報保護と守秘義務に関する誓約文例

「顧客の自宅」という極めてプライベートな空間で仕事をする家政婦にとって、秘密を守ることは信頼の根幹です。

業務上知り得たご家庭の情報や個人情報を絶対に外部に漏らさないという姿勢を明確に示すことは、顧客が安心してあなたに仕事を依頼するための基本となります。

【文例】
「私は、本契約の履行にあたり知り得た甲(お客様)及びその家族に関する個人情報、その他一切の情報を、甲の事前の承諾なく、第三者に開示・漏洩いたしません。」

契約書に守秘義務に関する一文を盛り込み、署名をもらうようにしましょう。

家政婦の起業を成功させる保険選びと顧客獲得の具体策

事業を安定的に運営していくためには、リスクに備える「守り」と、顧客を増やす「攻め」の両方が欠かせません。

万が一の事故からあなたを守る損害賠償保険と、あなたのサービスを必要とする人に届けるための集客活動は、事業を継続的に成長させるための両輪と言えます。

ここでは、具体的な保険の選び方と集客の始め方を解説します。

個人事業主が加入すべき損害賠償保険の選び方

お客様宅で高価な家財を誤って破損してしまった場合、個人で賠償するにはあまりにも大きな金額になる可能性があります。

そのようなリスクに備えるため、フリーランス向けの損害賠償保険(賠償責任保険)への加入は必須です。

保険を選ぶ際は、補償される金額や範囲、年間の保険料を比較検討することをおすすめします。

万が一の事態に備えるための必須の備えとして、必ず加入手続きを済ませてから業務を開始しましょう。

資格取得で専門性と信頼性をアピールする方法

家政婦の起業に必須の資格はありませんが、資格はあなたのスキルレベルを客観的に証明し、他の家政婦との差別化を図るうえで有効です。

例えば、「整理収納アドバイザー」や「ハウスクリーニング技能士」などの資格があれば、専門的なサービスを提供できることの裏付けになります。

資格は、顧客に対してあなたの専門性や学習意欲をアピールする材料となり、料金設定の交渉でも有利に働くことがあります。

最初の顧客を見つけるための具体的な集客手順

事業を始めたばかりの頃は、実績がないため顧客獲得に苦労するかもしれません。

しかし、地道な活動を続けることで少しずつ認知度は高まっていきます。

まずは、サービスを提供する地域を絞ってチラシをポスティングしたり、友人や知人に声をかけてモニターになってもらったりと、身近な範囲から信頼を一つひとつ積み重ねていくことが必要です。

SNSで日々の家事の豆知識などを発信し、あなたの人柄を知ってもらうのも良いでしょう。

まとめ:家事スキルを活かし、あなたらしい働き方を実現しよう

これまで当たり前のようにこなしてきたあなたの家事スキルは、多くの人の役に立つ価値ある専門技術です。

この記事で得た知識を活用し、不安を自信に変えて、ぜひあなたらしい働き方を見つけるための一歩を踏み出してください。

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