2025.12.18 起業ガイド

弁護士の起業-収益を上げるビジネスモデルと失敗を防ぐ秘訣とは?

弁護士の起業-収益を上げるビジネスモデルと失敗を防ぐ秘訣とは?

弁護士としてキャリアを重ねている中で、「このまま事務所で働き続けるだけで良いのか」と感じる瞬間が少しずつ増えていませんか。

弁護士を取り巻く環境は日々変化し、争いのテーマが多様化する状況で、目の前の人の細かなニーズに応えたいと思っている。

起業や独立に興味はあるものの、収入の揺れや法律上の制約を考えると、むやみに動くのは怖くなるものです。

本記事では、弁護士としてどのように起業をしていくか、収益パターンやビジネスモデルなどを解説します。

この記事を読めば、どのように弁護人で起業をすれば良いかわかります。

弁護士起業を目指す前に市場とキャリアの可能性を知る

この章では、弁護士業の今の状況や立ち位置を整理します。

弁護士数や法律相談の件数がどう変化してきたのかを確認し、業界の今とこれからのイメージをつかみましょう。

弁護士数・訴訟数の推移から見えるこれから

出典:日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2024年)」弁護士数の推移

弁護士を目指す人は年々増加しています。

2000年の17,126人から、2024年3月31日時点で45,808人に達し、直近5年ほどだけ見ても、毎年800〜1,000人前後のペースで増えている状況です。

法律トラブルの相談件数も、2024年3月までの累計件数が600万件を超えています。

相談の内訳を見ると、かつて最も多かった「金銭の借入れ」に加えて、「男女・夫婦」「労働」「相続」など、生活に密着した分野の比重が高まっています。

出典:法テラス(日本司法支援センター)「法テラス・サポートダイヤル利用件数600万件突破」プレスリリース

このデータから見えてくるのは、争いのテーマが時代と共に多様化しているということです。

これからの時代、弁護士で起業を検討する際には、どの分野で、どのような形で価値を提供していくのかを意識することが重要です。

勤務・独立・インハウスなどキャリア別収入イメージ

次に、一般的といえるキャリアのパターンと、その収入イメージを整理しておきます。

「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」を見ると、弁護士としての活動による収入は全収入の平均で9割以上を占め、多くの弁護士は「弁護士としての仕事」で収入の大部分を成り立たせている構図が分かります。

また、弁護士向け転職エージェントの調査によると、法律事務所所属の弁護士の平均年収は958万円、インハウス(事業会社内の弁護士)は926万円という結果でした。

ただ、独立弁護士については、「平均」で語ることが難しいほど振れ幅が大きいのが実情です。

日弁連の調査でも、収入の中央値と平均値に差がある年度が多く、少数の高収入層と、そうではない層が混在している構図が読み取れます。

こうしたデータを踏まえると、弁護士のキャリア形成においてはまず、どの程度の収入の振れ幅を許容できるのかを認識しておくことが重要です。

起業を検討する際にも、リスクとリターンを調整していく発想がポイントになります。

弁護士起業で築くビジネスモデルと収益パターン

弁護士として積み上げてきた経験は、そのまま専門性として活かすことができます。

ここでは、収益のつくり方、ニッチ市場の見つけ方、そして周辺資格との掛け合わせ方について順に整理していきます。

弁護士起業の収益モデル3タイプ

弁護士の働き方を大きく分けると、①タイムチャージ型、②顧問料型、③独自事業型の三つがあります。自分の生活スタイルや価値観で自分に合うモデルを探してみてください。

    ①タイムチャージ型

      時間単価を基準に報酬を設定するため、専門性が高いほど単価に反映されます。一方、収入が労働時間に比例しやすく、体力や可処分時間の制約を受けやすい点が特徴です。

    ②顧問料型

      企業の法務相談窓口や、予防法務を月額で提供するモデルが代表例で、安定性を重視したい人に向きます。ただし、成果や対応内容をどこまで広げるかといった範囲設計が欠かせません。

    ③独自事業型

      研修、契約書テンプレート、オンライン講座などのコンテンツを販売することが主な収益です。知識を形にして届ける力を持つ人が差別化しやすくなります。

どのモデルが合うかは一人ひとり異なりますが、「どんな働き方をしたいか」を考える上で重要な判断基準となります。

高収益が期待できるニッチ市場の見つけ方

弁護士の仕事は幅広く見えますが、実際に高い価値を発揮しやすいのは「特定分野 × 自分の経験」が重なる領域です。

例えば、これまで扱ってきた案件を振り返ると、業界やテーマの傾向が見えてきます。

医療や建設、IT、スタートアップ支援、労務、知財など、今まで主に関わってきた領域には自然と理解の深さが生まれます。

たとえば、

  • 医療 × 労務:医療機関向けの労務トラブル予防パッケージ
  • IT × 知財:SaaS企業向けの規約セット

といったような価値の提供が可能です。

どんな市場でも、まずは自分自身の経験にヒントがあり、その経験こそがニッチを見つける視点につながります。「どこなら自分が本当に役に立てるのか」を丁寧に見極めてみましょう。

資格と経験の掛け合わせで上がる希少価値

弁護士資格だけでも専門性は十分ですが、他分野の知識や実務経験と組み合わせることで、依頼者に届けられる価値が大きく変わります。

たとえば、中小企業診断士の資格を持っていれば、法務と経営の双方を見られる人材として希少価値が高まり、企業の顧問契約の幅を広げる効果も期待できます。

また「社労士 × 弁護士」の組み合わせも、労務の予防から紛争対応までを一貫して扱えるため、依頼者に安心感を届けやすい形です。

法テラスへの相談にも、労働分野が多いことを考えると、労務は今後もニーズが高まる領域といえます。

資格だけでなく、行政書士との連携、FP、MBA、スタートアップ参画経験など、資格だけでなく経験そのものも掛け算になります。どんな場面で活躍していきたいのか、それに応じた資格や経験を積み上げていきましょう。

弁護士起業で失敗しないための「法令・倫理」の基本チェック

弁護士として新しい働き方へ踏み出すときに、最も気をつけたいのが踏み外してはいけないラインです。

ここでは、起業を検討する際に最低限押さえておきたいポイントをまとめました。

非弁行為・倫理で外せない最低ライン

弁護士が新しいサービスに取り組むときに、最も注意したいのが「非弁行為(無資格者が法律業務を行うこと) 」です。弁護士は「法律相談・契約判断・代理」を外部(弁護士でない人)に任せることはできません。

違反の典型例としては、

  • 代理店契約の過程で、事実上の法律相談を外部と分担してしまうケース
    例:問い合わせへの最初の返答で、協力者が「それは違法です」「勝てます」といった法的判断を述べてしまう。
  • 外部コンサルが依頼者との契約書の内容に法的評価をしてしまう
    例:「この条項は削るべきです。御社に不利ですよ。」といった法的判断に触れている。

こうした「法律判断に触れる行為」を第三者が行うと、弁護士本人が非弁提携とみなされるリスクが生じます。

新しい事業を検討する際は、「これは相談として受けているのか」「法的判断を提供していないか」という観点を強く意識し、外部の協力者にも「ここは絶対に任せられない」という線を先に説明しておきましょう。

集客で信頼を落とさないためのルール

起業する際の集客で避けたいのが、広告やSNSでの発信によって信頼を損なうことです。弁護士広告には、誇大表現や不正確な実績表示は許されません。

  • 実績を誇張する
  • 比較広告で他者を不当に低く見せる
  • 成果を約束するような表現を使う

といった行為は避けるべきです。

また、SNSでの発信はさらに注意が必要です。守秘義務や品位が問われるため、具体的な事件内容を暗示する投稿、過度な営業色の強い言い回し、個人アカウントとの境界が曖昧な使い方は、信頼を落とす原因になります。

まずは、「これだけは越えない」と自分のルールを決めておきましょう。その上で、必要に応じて弁護士会の基準を確認しながら発信すると、無用なトラブルを避けられます。

弁護士の起業で考えておきたい今日の一歩

起業に関心を持った瞬間から、どのように進むかという迷いで、不安を抱えたまま足が止まる人も少なくありません。

この章では、自分に合う起業スタイルを選ぶための思考整理の仕方、そして最初の一歩をどう決めるかをまとめていきます。

リスクを抑えるお金の設計

起業に踏み出すときに注意したいのは、初期費用をかけすぎてしまうことです。

最初の段階では 「固定費をどこまで小さくできるか」 を意識して設計してみてください。

自宅を実体の事務所として登録する方法は、家賃の負担を抑えられる点で大きなメリットです。

また、外部に公表する住所としてレンタルオフィスを併用する方法は、以下の点でも注目されています。

  • 弁護士が自宅住所を公開せずに済む
  • 依頼者からの信頼性を補強できる
  • 不在時の書類の受け取りを代行してもらえる
  • 必要時のみ会議室を確保できる

事務所の実体スペースは自宅などに確保しつつ、生活空間と業務情報を切り分けられる点が、この方法の大きな特徴といえます。

また、クラウド会計ツールも役に立ちます。税理士との共有も容易になり、事業の初期段階では特にメリットが大きい方法です。

売上を上げることに目が向きがちですが、 「どこで支出を抑え、どうやって長く続けるか」 という視点も大切です。無理のない範囲でスタートできる仕組みづくりを心がけましょう。

起業スタイルを選ぶための自分への質問

起業と一口にいっても、形はさまざまです。迷いを減らすために、先ほどの収益モデルも参考にしながら、自分の働き方の軸を確認しておきましょう。

  • 労働量や体力を考えて、タイムチャージをどのくらい続けるか?
  • 収入の変動にどこまで耐えて、守りたい生活の最低ラインはいくらか?
  • どのくらいの規模で、どこまでリスクを許容できるか?

この三つに答えるだけで、自分が選ぶべき方向が見えやすくなります。

安定を重視したい場合は顧問契約中心の形が向きますし、仕組み化を目指したいなら事業型のモデルが候補になります。

自分の条件に合わせて、無理のない選択肢を選ぶことがポイントです。

起業で相談すべき相手の選び方

方向性がある程度見えてきたら、次は安心して相談できる相手を持つことが大切です。自分独りで抱え込まず、誰かに相談することで次に進むための不安を収えられます。

相談相手の例としては、以下の人たちが挙げられます。

  • 独立した同期や先輩
  • 会計士・税理士などお金まわりに詳しい専門家
  • 法務×ITやリーガルテックに詳しい実務家

最初に困ったこと、お金の面で後悔したこと、具体的な生活と事業のリアルに関わる部分を聞いてみましょう。

小さな相談を積み重ねることで、次に進むための不安が緩んでいきます。その状態が健全なスタートラインとなり、自信を持って動けるようになる最短ルートです。

まとめ:弁護士として起業の一歩を踏み出そう

起業は大きな決断に見えるかもしれません。でも、どんな行動も小さな一歩から始まります。

収益モデル、リスクを抑えるラインが見えたなら、今日、ひとつだけ行動を選んでみてください。

  • 相談したい相手を一人メモする
  • 自分の得意領域を書き出してみる

小さな一歩が、将来の選択肢を確実に広げます。あなたが手を差し伸べたい相手の顔を思い出し、弁護士としての新しいキャリアを今日から築いてみてください。

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