2025.11.01 起業ガイド
地方の農業を支える新しい働き方─農薬散布で始めるドローン起業への道
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日々耳にする地方の人手不足や農業の課題やお世話になった人が高齢で離農したという話、地域の特産物がまた一つ消えたというニュース。
そんな情報を触れるたびに心が痛む。地元に貢献したい気持ちはあるけど、農業の経験もなく地元に戻って何ができるのか分からない。
実は今、こうした想いを持つ人に新しい選択肢が生まれています。地方でドローンを使った農薬散布事業に注目が集まっており、農業未経験の方でも地方の課題解決が可能です。
この記事では、ドローン未経験の方でも安心して始められる体験方法から、実際の起業ステップ、そして失敗リスクを最小限に抑える段階的な進め方まで具体的にご紹介します。
この記事を読んで、地元を救えるキャリアを築いてみましょう。
なぜ今、農薬散布で起業なのか?ドローンが求められる3つの背景
今、地方の農業分野でドローンが活用され始めています。
国の政策や社会の変化、そして技術の進歩が重なり合い、今まさに追い風が吹いている状況です。3つの背景から詳しく見ていきましょう。
背景1:地方が抱える人手不足問題の深刻化
国土交通省の調査によると、地方、特に中山間地域では、今後全国にかけて急激な人口減少が予想されており、特に農業分野ではこの人手不足が深刻な課題となっています。
内閣府の「地域における人手不足問題」でも、地方の労働力不足は年々深刻化していることが明らかになりました。
農家の高齢化や若い働き手の都市部流出により、従来の人力に頼った農作業では限界が見え始めています。
こうした状況で、ドローン技術を活用して農家をサポートできる人材への需要が高まっており、技術を身につけることで、地域の課題の解決が可能です。
背景2:国が推進するスマート農業の追い風
農林水産省はスマート農業事業のなかで、ドローンなどの先端技術を活用した支援サービスの育成・普及に取り組んでおり、ドローンの作業代行やリース・シェアリング型のサービスが支援対象となっています。
首相官邸の「空の産業革命に向けたロードマップ2024」では、ドローン産業の発展が国家戦略として位置づけられました。
補助金制度も整備され、ドローン事業を始める機会が豊富に用意されています。
背景3:急拡大する農薬散布ドローン市場

農林水産省のデータによると、ドローンによる農薬散布面積は令和5年度に100万haを突破しました。
農薬散布用ドローンの販売台数も年間3,000〜4,000台程度の高水準で推移しており、市場の成長が確認できます。
登録農薬数も令和5年度末までに1,309品目となり、稲・麦類以外の品目(野菜、果樹、いも類など)への登録が進んでいます。
作物の種類が増えることでドローン散布の需要が生まれ、事業の安定につながります。
過去、日本農業新聞においても2016年度から2020年度までの散布面積の拡大を推測しており、今の農林水産省のデータと合わせてみても、この成長傾向は今後も継続すると予想できます。
春夏に集中する農薬散布の需要、ドローンが活躍する現場
ドローンによる農薬散布は、実際にどのような場面で活用されているのでしょうか。
ここでは具体的な事例を通じて、現場での効果と可能性を確認していきます。
実際の活用事例と効果
農林水産省の「農業新技術活用事例」では、中山間地でドローンを活用して防除体制を強化した事例が紹介されています。
宮城県栗原市の水稲農業では、約100ha以上の水稲カメムシ防除を適期内に実施、
また、生育が悪い圃場を特定し、収量を向上させたことが報告されました。
そして愛媛県宇和島市のびわ農園では、手作業で0.2ha約3時間かかっていた防除作業が、ドローンによる作業では約10分ほどで終了、時間を9割以上削減しました。
ここでは多様な地形にも対応できるドローンの可能性が示されています。
農繁期にドローンが求められる理由
農薬散布の需要が最も高まるのは、春から夏にかけての農繁期となります。
この時期は作物の成長期にあたり、病害虫防除が欠かせない重要なタイミングです。
近年の猛暑により、人手による農作業は体力的にも危険性が増しており、熱中症のリスクを避けながら、短時間で効率的に作業を完了できるドローンは、現代の農業が求める解決策の一つです。
冬の土壌改良での新たな可能性
農薬散布は冬季にも需要があります。それが土壌改良剤の散布分野です。
寒冷期は農閑期であり、土壌改良剤を散布するのに適した時期となります。
ドローンを使えば、ミネラル成分や土壌改良資材の散布を効率的に行えます。
ドローンによる土壌改良は、大型機械が入れない圃場でも上空から実施できるのがメリットです。
また白菜、ほうれん草、大根などの冬野菜への農薬散布需要を見つければ、年間を通じて収入の安定化が期待できます。
リスクを抑える農薬散布起業、ドローン体験から始める3つのステップ
「操縦に自信がない」「手続きが大変そう」といった不安をお持ちの方のために、ここではリスクを抑えながら、確実にドローンスキルを身につけるための3つのステップをご紹介します。
ステップ①まず体験講座で操縦に触れる
まずは自治体やスクールが主催する体験講座や短期コースに参加してみるのがおすすめです。
費用は無料のものから1〜3万円程度が一般的で、この投資で「自分に向いているかどうか」を判断できます。
実際にドローンを操縦してみることで、ドローンの面白さや注意すべき点などリアルな感覚を掴むことが重要です。
「ドローン 体験」などで検索すれば多くヒットします。
全国各地でドローン体験講座が開催されていますので、いきなり高額な資格取得を目指さず、まずはお住まいの地域の講座を探して参加を検討してみてください。
ステップ②必要な手続きを行う
ドローンを農薬散布で活用するために必要な手続きは、大きく分けて3つあります。
まず機体登録です。
ドローン飛行を行うには国土交通省に機体情報を登録し、登録記号を表示しなければなりません。こちらは「無人航空機登録ポータルサイト」からオンラインで手続きできます。
次に技能認定です。機体メーカーなどが定める技能認定(資格)を取得します。国土交通省の「登録講習機関一覧」に掲載されている機関でも受講が可能です。
最後に飛行許可です。農薬散布は「危険物の輸送」「物件投下」に該当するため、国土交通省から飛行の許可・承認を得る必要があります。
農林水産省の「農業用自動運転ドローンに関する安全性確保ガイドライン」では、安全対策や周辺住民への周知方法も詳しく解説されているため、必要な作業や手続きが明確に分かります。
ステップ③初期費用を抑えるために補助金を活用する
ドローンの導入費用は、補助金制度を活用することで軽減できます。
農林水産省の「産地生産基盤パワーアップ事業」では、農業用ドローンやスマート農業機器の導入が支援の対象です。
機体購入価格の2分の1以内の補助金を受けられる例もあり、初期投資の負担を大幅に減らすことができます。
スマート農業技術導入を支援する補助金は年々充実しており、お住まいの地域でも地方自治体独自の制度がある場合があります。補助金申請のタイミングも重要なポイントですので、早めの情報収集が大切です。
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「今年は見学、来年本格化」─農薬散布ドローン起業までの無理のない始め方
いきなり独立起業を目指すのは負担が大きいため、段階的に進めることで、リスクを最小限に抑えながら確実にスキルと実績を積み上げられます。
春夏だけ農家支援する季節副業から開始
農薬散布の需要は春夏に集中するため、この時期だけの「季節限定副業」として始めましょう。週末や有給休暇を活用すれば、平日の仕事と両立することも可能です。
まずは年間20〜30日程度の稼働から始めて、農業の実態を自分の体験を通じて勉強してみてください。
農林水産省の事例でも、地方自治体と連携して夏期の人手不足を解消する取組が紹介されており、こうした季節限定のサポートが歓迎されています。
そしてこの動き方であれば、安定収入を確保しながら農業の知識を身につけられます。
まずは農業体験に参加し、将来的にドローンを使って農繁期にだけ農家をサポートするスタイルを構築しましょう。
「一年目は見学と体験」で失敗リスク最小化
「今年は見学、来年本格化」という計画で進めることをおすすめします。1年目は情報収集と準備期間、次の年から実際の活動を始めるという段階的なアプローチです。
最初に、地元の農家との関係作りから始めましょう。
農作業の手伝いや収穫体験に参加して、実際の農業現場を理解することが大切です。
同時に、ドローンスクールでの体験講座や資格取得準備も進めます。
「どの地域のどんな作物に需要があるのか」「どのような農家がドローン散布を求めているのか」といった市場リサーチも行えます現場の生の声を聞くことで、成功確率を高めることができます。
年間スケジュール例
以下のように、一年目の動き方を決めておけば十分な準備ができます。次の年から本格的に始動できるように参考にしてみてください。
・春(3〜5月):農薬散布の繁忙期。1年目は見学と現場体験に集中し、作業の流れや安全対策を学ぶ。
・夏(6〜8月):現場での学習を継続。最も需要が高い時期のため、ドローンが求められる場面を理解する。
・秋(9〜11月):学習と資格取得の時期。農作業が落ち着くこの時期に、ドローンスクールでの講習を受講し、必要な資格を取得。
・冬(12〜2月):事業計画の策定と補助金申請の準備期間。来年度の活動計画を立て、機体選定や購入の検討も行う。
段階的に知識とスキルを積み上げながら、無理のないペースで成長していくことが大切です。
まとめ:小さな一歩から、地方で輝く新しいキャリアを
ドローンを使った農薬散布事業は、地方の課題解決と個人のキャリア形成を同時に実現できる選択肢です。
人手不足に悩む農家を支えながら、自分自身も新しい技術と収入源を手に入れることができます。
政策支援、補助金制度、そして拡大する市場環境が整っている今、新しいチャレンジを始める機会が広がっています。まずはお近くのドローン体験講座を探してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
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