2025.12.21 起業ガイド

再生可能エネルギーで起業-設備不要の再エネ小規模ビジネス3選

再生可能エネルギーで起業-設備不要の再エネ小規模ビジネス3選

「再生可能エネルギー」という言葉に触れたとき、太陽光や風力、水力といった発電方法を思い浮かべる人は多いと思います。大規模な設備を建て、発電した電力で収益を得るという事業イメージが一般的です。

「地方にある自然をエネルギー産業に活かし、自分も地方を支えたい」
「でも起業となると話は別」

再エネ産業には、設備投資が高そう、専門知識が必要そう、といった印象がつきまといます。

一方で、設備を持たなくても、個人でも小さく始められる形があるとしたら、見え方は少し変わるかもしれません。

実は、再生可能エネルギーの市場は拡大する一方で、現場では別の悩みが増えています。そして今、求められているのは「発電する人」だけではなく、「困りごとを解決する人」の存在です。

この記事では、再生可能エネルギーに関わる、設備を持たない起業の形を整理します。

将来、設備を持つ選択肢を考えている場合でも、まずこの世界への関わり方から見ていきましょう。

今「地方の再生可能エネルギー起業」がチャンス-隠れたニーズを探る

今、日本の電力供給構造に変化が出てきています。

ここでは、再エネ設備が増えている状況から、地方で起業チャンスが生まれる背景を整理します。

再生可能エネルギー設備の増加

出典:ISEP 環境エネルギー政策研究所「2023年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)」

日本全国のエネルギー産業の構図に変化が生まれています。

全国の発電電力量に占める自然エネルギーの割合が、2016年の約15%から2023年には25.7%まで増加しました。

特に太陽光発電は11.2%に達し、風力も微増傾向です。

設備が増えると、それに付随する需要も生まれます。

発電設備そのものの導入だけではなく、日常的な点検管理、制度対応、地域との合意形成といった現場での運用の仕事が必要になります。

これらの自然エネルギー発電設備の増加は、運用を支える人の必要性、メンテナンスビジネスにとっての追い風になります。

大手が参入しにくい「地域特有のエネルギー課題」3つ

出典:資源エネルギー庁「地域と共生した再エネの最大限導入に向けて」p.16

地方で再エネ設備が広がるほど、設備そのものではなく「その周囲」でトラブルが増加しすくなります。

資源エネルギー庁によると、再エネ設備に関する地域トラブルの相談は2016年10月から2024年3月末で1180件あり、その9割以上が太陽光設備に関する内容でした。

この数字が示すのは、日常管理や説明不足が積み重なっているという課題です。
具体的には、

  • 点検が後回しになり設備が荒れる
  • 仕組みや運用の改善策がない
  • 相談先が見つからず市町村が連絡窓口になっている

といった場面が挙げられます。

こうした領域は規模が小さく、調整に手間がかかるため、大手が積極的に踏み込みにくい分野です。

だからこそ、地域に寄り添う小さな事業が入り込む余地が生まれます。

地方での課題を解決する「伴走者」となる

地方で再生可能エネルギーに関わる事業を考える際、見落とされがちなのが「伴走する存在」の必要性です。

地域ではエネルギー価格の高騰、人手不足、需要の縮小といった変化にさらされ、先を見通しにくい状況が続いています。

こうした中で求められているのは、専門知識を一方的に与える支援ではなく、経営者自身が自社の事業の課題に気づくための対話と整理を担う人物です。

中小企業庁も、経営者が単独で自己変革を進めることの難しさを指摘し、信頼できる第三者による伴走支援の重要性を説明しています。

再エネ分野でも状況は同じです。

現場に足を運び、話を聞き、課題を言語化し、一緒に進む道筋を考える人材が求められています。

こうした伴走の役割を担うことで、地域と事業の両方を支える立場に立つことができます。

再生可能エネルギー起業でできる初期費用100万円以下ビジネス3選

再生可能エネルギーで独立を考えるとき、制度や現場を丁寧に見ていくと、初期費用を抑えながら関われる仕事がいくつも見えてきます。

ここでは知識や調整力、現場フットワークを活かせる3つのモデルを整理します。

モデル1:地方補助金・制度の「申請サポートコンサル」

最も小さく始めやすいのが、補助金や制度を整理する支援です。

再生可能エネルギー分野では、国の制度と自治体の制度が重なり合い、全体像が見えにくくなります。その代表例がFITとFIPです。

FITは、再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定めた価格で一定期間買い取る仕組みです。発電した分だけ収入の見通しが立つため、導入初期の支えとして使われてきました。

一方のFIPは、市場価格を基本にしつつ、一定の補助を上乗せする制度です。

価格変動を前提とするため、FITよりも制度の理解が求められます。

このように制度の考え方が異なるうえ、申請窓口や手続きも分かれているため、仕組みが分からず申請を諦めてしまう事業者や個人も少なくありません。

ここで必要とされるのは、書類を代行する力ではなく、制度を整理し、分かりやすく伝える役割です。

モデル2:小規模太陽光・水路設備の「巡回メンテナンス」

次に考えたいのが、設備を「動かし続ける」ための仕事です。

地方では、太陽光や小水力の設備が点在し、日常的な点検や簡易作業が後回しになりがちです。

特に小水力発電では除塵や取水口周辺の土砂撤去、点検・維持管理を継続的に行う必要があります。

ここで扱うのは重工事ではありません。

目視点検、草刈り、簡易清掃といった作業が中心です。

例えば高齢のオーナーや遠方在住の所有者を相手に、定期的に見回る存在としてメンテナンスの提案をしてみます。

月額契約にすれば収入の見通しも立てやすく、道具も最低限で済みます。

実際に設備の近くに住み、現場に足を運べる人に向いたモデルです。

モデル3:地域業者と再エネ設置ニーズの「マッチング仲介業」

再生可能エネルギー設備の導入では、「導入したい人」と「施工や保守を行う業者」が、必ずしもスムーズにつながっているわけではありません。

制度や技術の選択肢が増えるほど、住民側は何から相談すればよいのか分からず、業者側も営業や説明に十分な時間を割けない状況が生まれやすくなります。

さらに、再エネ設備は単なる工事で終わらないケースが多くあります。

立地や景観、運用方法をめぐって地域との調整が必要になったり、制度上の条件整理が求められたりする場面もあります。

そのため、住民の意向を聞き、条件を整理し、適切な業者につなぐ、間に立って整理する存在が必要です。その橋渡しがあることで、地域にとっては設備導入のハードルを下げ、業者にとっても工事を行いやすくなります。

再生可能エネルギー起業-初心者でも成立させる地方の土台づくり

初期費用を抑えたビジネスでも、知識がないと失敗に終わってしまいます。

ここでは、地方で起業する際に押さえておきたい「資金面」と「人とのつながり」に焦点を当て、実際に動くための下支えとなる情報を整理します。

地方起業家が知っておくべき再エネの補助金

再エネ事業を始めるなら、まず目を向けたいのがエネルギー関連の補助金です。

国の支援制度は、全体的な再エネ普及の政策として広く設計されており、制度の入口や問い合わせ窓口が資源エネルギー庁のページで案内されています。

自治体単位の補助金は、地域の特性に合わせて設計され、対象事業者や補助額が地域ごとに異なるため、現地の商工会・自治体窓口で最新情報を確認することが重要です。

併用できる場合もあるため、制度理解と照らし合わせて申請計画を立てることがポイントです。

最初に組むべき「知識・技術パートナー」の探し方

起業初心者が一人で事業を完結させようとすると、判断が遅れたり、無理を抱え込みやすくなります。そこで重要になるのが、早い段階でのパートナー探しです。

候補として挙がるのは、設備業者、行政書士、地域商社など、地域で活動する上で必要なネットワークづくり、技能や知識を補ってくれる存在です。

自分に足りない部分を補ってくれる相手を一人見つけるだけでも、進み方は大きく変わります。

ポイントは、上下関係を作らないことです。専門知識は相手に任せ、自分は情報整理や調整役に徹する。

その役割分担ができれば、双方にとって無理のない関係になります。

強い事業を築くには、個人の力よりも、つながりの設計が重要です。

再生可能エネルギーで起業で今日からできる2ステップ

再生可能エネルギーに関わりたいと考えたとき、資格や法律の勉強から始める必要はありません。

むしろ、現場に足を運び、誰がどんな相談を受け、どこで話が止まっているのかを知ることが先決です。

ここでは、今日から動ける2つのステップに絞って整理します。

ステップ①:まず県庁・市役所・商工会に行く

再エネ分野で動き出す際、最初にやるべきことは情報収集ではなく、対面で話を聞くことです。

県庁や市役所、商工会には、再エネ関連の補助金、制度相談、事業者からの問い合わせが集まっています。

資料を読むだけでは分からない、地域ごとの運用の違いや、今まさに困っているテーマを知るには、現地でのヒアリングが欠かせません。

完成した事業計画を持ち込む必要はなく「再エネ分野で何かできないか考えている」「最近多い相談を知りたい」という程度の問いかけで十分です。

話を聞く中で、資料には出てこない注意点や、次につながる担当部署が見えてきます。

勉強より先に会話を重ねるという順番が、結果的に起業への遠回りを減らします。

ステップ②:再エネ分野の「関係者マップ」を作る

次に取り組みたいのが、再エネ分野の関係者を整理すること。

再生可能エネルギーの導入や運用には、多くの立場の人が関わっています。

ここで役立つのが、関係者マップの作成です。

難しい資料は必要なく、関わる人を紙に書き出すだけで構いません。

  • 設備導入を検討する住民や事業者
  • 施工や保守を担う地域業者
  • 補助金や制度を扱う自治体職員
  • 資金面で関わる金融機関や支援機関

次に、それぞれがどんな相談を受けやすいかを整理します。

制度の質問なのか、見積もりの妥当性なのか、誰に頼めばいいか分からない不安なのか。

この作業を通じて、自分が立てる場所が見えてきます。

再エネ分野では、話を聞き、整理し、適切な相手につなぐ調整役が不足しています。

まずは関係性を把握し、相談の流れを理解するところから始めてみてください。

まとめ:再生可能エネルギーの調整役で起業しよう

再生可能エネルギーの市場は年々拡大しています。

その一方で取り残されている課題が多く存在します。

地方での再エネ起業は、特別な人だけの選択肢ではありません。

地域に足を運び、困りごとに耳を傾け、小さく関わるところから始める。

その積み重ねが、収益を上げながら地域に必要とされる事業へと育っていきます。

まずは、自分が関わる地域に足を運び、再エネ関係マップから作ってみてはいかがでしょうか。

◯関連記事
【朗報】起業は難しくない!凡人でも成功できる5つの理由と始め方
【完全版】起業準備チェックリスト2025|失敗しないための全手順と成功へのロードマップ

Related Posts

ニュース一覧へ戻る