2025.10.25 起業ガイド
警備会社を起業するには?必要な条件と開業準備のポイントを解説
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もし、あなたが警備会社を立ち上げようとして、こんな失敗をしたらどうしますか?
念入りに準備したのに、たった一つの書類不備で「公安委員会の認定」が下りなかった…。
開業はできたものの、営業方法が分からず、仕事が全く取れないまま運転資金が尽きた…。
これは、警備業起業のリアルな失敗談です。実は、警備会社の起業で失敗する人のほとんどは、現場のスキル不足ではなく、「経営と法律の知識不足」が原因なのです。
そこで今回は、警備会社を起業するための「条件」「資格」「資金」「手続き」の4つの視点から、具体的なステップに沿って分かりやすく解説します。
本記事を読めば複雑な手続きや法律への不安が解消され、具体的な開業に必要な事前準備が明確になります。
警備会社を起業する前に知っておきたい基礎知識3つ
警備会社を起業することは、単に会社を設立するのとはわけが違います。
人々の安全を守る社会的責任を負うと同時に、「警備業法」という厳しい法律の規制下に置かれる、極めて専門性の高いビジネスです。
まず警備会社の起業準備を始める前に、押さえるべき3つの基礎知識を解説します。
1. 警備会社は儲かる?市場の現状と将来性
警備会社の需要は安定しており、事業戦略次第で収益を得ることが可能です。
例えば、交通誘導の警備員1名をクライアント先に月25日間派遣したとします。
1日あたりの請求額を1万8,000円とすると、月の売上は約45万円です。
ここから警備員への給与(約25万円)、社会保険料や制服代などの諸経費(約10万円)を差し引くと、会社には約10万円の粗利益が残ります。
仮に、5名の警備員を同じ条件で常に稼働させられれば、単純計算で月50万円の利益が見込めます。。
2. 警備会社の種類と特徴
警備業と一言でいっても、業務内容は法律で4種類に区分されており、どの分野を主軸にするかで事業の方向性が変わります。
| 号警備 | 業務内容 |
|---|---|
| 1号警備 | 施設警備(オフィスビルや商業施設など) |
| 2号警備 | 交通誘導警備、雑踏警備(工事現場やイベント会場など) |
| 3号警備 | 貴重品輸送警備 |
| 4号警備 | 身辺警護(ボディーガード) |
例えば、ビルメンテナンスの経験者であれば1号警備、地域のイベント会社とつながりがあれば2号警備のように、起業初期にみられる2つの課題「顧客獲得」と「信頼関係の構築」をクリアできます。
3. 法人経営と個人経営の違い
警備会社を起業する際は、社会的信用度の観点から「法人」での設立が有利です。
警備業務の依頼主は地方自治体や大手企業が多く、契約時に法人が条件となるケースがほとんどだからです。個人事業主は開業手続きが簡単な反面、大規模な案件の受注が難しくなります。
一方、法人は設立に費用と手間がかかるものの、公的な入札への参加や金融機関からの融資においても信頼性が高まります。
警備会社起業に必要な5つの必須条件
警備会社の起業は、他のビジネスのように「思い立ったらすぐ開業」というわけにはいきません。
警備業法によって、事業者に極めて厳格な基準が課せられています。
次は警備会社起業に必要な5つの絶対条件をご紹介します。
- 公安委員会の認定を受けること
- 欠格事由に該当しないこと
- 事務所(営業所)の設置
- 誠実な経営体制の確立
- 人員・教育体制の整備
1. 公安委員会の認定を受けること
警備会社を起業するうえで、重要かつ絶対的な条件が公安委員会の認定を受けることです。
これは警備業を営むための免許ともいえます。
認定を受けずに警備業務を行うと、法律違反(無認定営業)となり厳しく罰せられます。
2. 欠格事由に該当しないこと
公安委員会の認定を受けるには、会社の役員全員が警備業法に定められた「欠格事由」に該当しないことが必須条件であり、事業の健全性を担保するための重要な規定です。
具体的には、次のような内容があげられます。
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 暴力団員との関係がある者
申請時には、役員全員の履歴書や住民票、身分証明書などを提出し、これらの欠格事由にあたらないことを証明する必要があります。
3. 事務所(営業所)の設置
警備業の認定を受けるためには、事業の拠点となる独立した事務所を確保しなければなりません。
自宅兼事務所を検討する場合でも、生活空間と明確に区分され、業務に必要なスペースが確保されている必要があります。
電話やFAX、パソコンといった通信設備、業務書類を保管するための鍵付き書庫、そして警備員の指導教育を行える広さのスペースなどが必要です。
4. 誠実な経営体制の確立
警備業法では、事業者に誠実さを求めています。
抽象的な表現ではあるものの、警備員に対して労働基準法を遵守した雇用契約の締結や、顧客に対して不当に高額な料金を請求しないなどです。
例えば、過去に労働法規違反で処分を受けたことがある場合や、悪質な営業手法が問題となったことがある場合は、誠実性に欠けると判断される可能性があります。
社会の安全を守る事業として、高い倫理観を持った経営体制が必要です。
5. 人員・教育体制の整備
質の高い警備サービスを提供できる体制が整っていることも認定条件です。
特に、警備員に対する教育体制は厳しく審査されます。
警備員を採用した際に行う「新任教育」や定期的に行う「現任教育」のカリキュラムを明確に定め、実施できる指導者(警備員指導教育責任者)と場所の確保が必要です。
警備員の質が会社の信頼に直結するため、法令に準拠した教育計画を立てておくことが大切です。
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警備会社経営に必要な資格と講習4つ
警備会社の経営を成功させる鍵は、現場の警備員だけでなく、経営者や管理者自身が、法律で定められた専門知識とスキルを保有しているかにかかっています。
警備業法では、営業所ごとに特定の資格者を配置することや、経営者が講習を受けることなどを義務付けており、これらは事業を適法に運営するための絶対条件です。
警備会社の設立・運営に不可欠となる、特に重要な4つの資格と講習について解説します。
1. 警備員指導教育責任者(必須)
警備員指導教育責任者は、警備会社の設立に必要な国家資格です。
各営業所に必ず1名以上選任し、配置することが法律で義務付けられています。
資格者は、警備員の指導・教育計画の作成と実施、関連書類の管理など、警備業務の品質管理を担う重要な役割です。
前述した4つの警備業務区分(1号~4号)ごとに資格が分かれており、自社が手がけたい業務区分の資格者を確保しなければ、そもそも公安委員会の認定申請ができません。
2. 警備業務検定(1級・2級)
警備業務検定は、特定の警備業務を行うために必要な専門知識と能力を証明する国家資格です。
例えば、高速道路での交通誘導や空港での手荷物検査など、専門性が高く危険をともなう特定の場所では、資格を持つ警備員の配置が法律で義務付けられています。
資格がなくても起業は可能ですが、受注できる業務の幅が制限されます。
3. 機械警備業務管理者
機械警備業務管理者は、センサーや監視カメラを用いた、機械警備を行う場合に必要となる国家資格です。
警備機器を設置した施設から送られてくる情報を管理する基地局や、警備員が現場に駆けつけるための待機所ごとに選任・配置することが義務付けられています。
4. 警備業経営者講習
多くの都道府県公安委員会では、警備業の認定を更新する際などに、経営者に対して講習の受講を義務付けています。
警備業法の改正内容や最新の業界動向、労務管理に関する注意点など、会社を適正に運営していくために必要な知識を学びます。
定期的に受講することで、法改正に乗り遅れることなく、常にコンプライアンスを遵守した健全な経営継続が可能です。
警備会社開業に必要な資金調達と手続き完了までの5ステップ
警備会社の設立は多くの手続きが絡むため、全体の流れを把握して順序立てて進めることが、失敗を避けるうえで不可欠です。
ここでは、実際に警備会社を設立し、営業を開始するまでの具体的な流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:事業計画の策定と初期費用の見積もり
警備会社の場合、どのような顧客をターゲットに、どの警備業務(1号~4号)を主軸とするかを明確にする必要があります。
計画が決まったら、必要な初期費用を詳細に見積もります。
事務所の賃貸契約金や制服や装備品の購入費、警備業協会への加入金、法人設立費用、そして公安委員会への申請手数料など、漏れなく洗いすことが重要です。
ステップ2:警備会社設立資金の調達
事業計画と費用見積もりが固まれば、資金確保を考えます。
自己資金だけで賄うのが難しい場合、外部からの資金調達が必要です。
経験者であれば、「5名のチームをまとめていた」「大規模工事現場の警備責任者だった」「警備業務検定1級を保有している」など事業計画書で実績をアピールすることで、日本政策金融公庫の「新規創業融資」を有利な条件で利用できる可能性があります。
また、地方自治体によっては、地域に貢献する事業に対して独自の補助金や助成金制度を設けている場合もあります。
ステップ3:警備業の新規参入準備と資格取得
法務局で株式会社や合同会社の設立登記を行います。
並行して、事業の拠点となる事務所の賃貸契約を結び、電話回線や什器などを整備します。この段階で「警備員指導教育責任者」の資格者が自社に在籍していることが必須です。
もし資格者がいない場合は、公安委員会が実施する講習を受講し、資格を取得する必要があります。
ステップ4:公安委員会への認定申請
管轄の警察署を通じて公安委員会へ認定申請を行います。
申請には、会社の定款や登記簿謄本、役員全員の住民票や履歴書、事務所の賃貸契約書のコピー、そして警備員指導教育責任者資格者証のコピーなど、多くの書類が必要です。
申請後、書類審査と事務所の実地調査が行われ、問題がなければ約40日程度で認定証が交付されます。
書類に不備があると、期間が延長されるため、警察署の担当窓口で事前相談を行いましょう。
ステップ5:人材の確保と営業開始
公安委員会から無事に認定証が交付されたら、法的に警備会社としての活動が許可されたことになります。
この瞬間から、ハローワークを利用した警備員の求人募集の開始や、顧客候補への営業活動が可能です。
優秀な人材を確保し、法定の新任教育を施したうえで、最初の契約を獲得しましょう。
まとめ:必要条件と事前準備を整えて警備会社の起業を成功させよう
警備会社の起業は、社会の安全を守るやりがいと安定した需要が見込める将来性のある事業です。
実現するためには、警備業法に定められた厳格な条件と資格をクリアする必要があります。この記事を参考に、まずは一歩踏み出してみてください。
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