2024.11.02 起業ガイド
社会起業家とは?一般的な起業家との違いや向いている人の特徴を解説
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さまざまなメディアなどで、社会起業家が注目を集めています。一般的な起業家との違いがわからず、困っている方もいるでしょう。社会起業家は、社会課題の解決を事業の目的に設定している起業家です。
ここでは、社会起業家の概要、一般的な起業家との違いを解説するとともに社会起業家に向いている人の特徴、社会起業家を目指す人が意識したいポイントなどを紹介しています。起業を検討している方は、参考にしてください。
社会起業家とは
事業を通して社会的課題の解決を目指す起業家です。事業性を確保しつつ、社会的課題の解決を目指す点が特徴といえるでしょう。社会起業家が立ち上げた事業をソーシャルビジネスといいます。経済産業省は、以下の3要素を備えたビジネスをソーシャルビジネスと定義しています。
【3つの要素】
・社会性:社会的課題の解決を使命とすること
・事業性:使命をビジネスの形にし、事業として成立させること
・革新性:新しい商品、サービス、仕組み、社会的価値を創出すること
以上の定義に従うと、社会的課題の解決を目指して革新的な事業を興し、サービスの対価を受け取ることにより、継続的な事業活動で必要になる財源を確保している起業家が社会起業家といえるでしょう。
出典:経済産業省「ソーシャルビジネス研究会 報告書(案) 概要版」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiiki_keizai/pdf/009_02_01.pdf
社会起業家と一般的な起業家の違い
社会起業家と一般的な起業家は異なります。一般的な起業家は、これまでになかった新しい事業を立ち上げた人です。ただし、この条件にあてはまる全ての人を起業家というわけではありません。起業は会社設立を意味します。したがって、これまでになかった新しい事業を立ち上げて会社を設立した人を起業家というのです。事業の主な目的は、利益の追求といえるでしょう。
社会起業家は、事業を通して社会的課題の解決を目指す起業家です。これまでになかった事業を立ち上げる点やサービスの対価として報酬を得る点は一般的な起業家と共通していますが、事業の目的は大きく異なります。社会起業家は、利益の追求ではなく社会的課題の解決を目指します。その手段として、サービスを提供するのです。
社会起業家に向いている人の特徴
ここからは、社会起業家に向いている人の特徴を紹介します。
社会問題解決への情熱を持っている
どうしても解決したい社会的課題がある人、つまり社会的課題の解決に情熱を注げる人は社会起業家に向いています。なぜなら、事業で困難に直面しても、諦めずに行動を続けられるためです。ソーシャルビジネスは、通常のビジネス以上の困難に直面するケースが少なくありません。
たとえば、貧困地域で仕事を創出したいものの、社会的インフラが整っていないため、想定どおりに活動できないなどが考えられます。このケースであれば、並行して行政との話し合いが必要になるかもしれません。このように、さまざまな困難に直面することが想定されるため、社会起業家には情熱が求められます。
人間関係を重視している
良好な人間関係を構築できる人も、社会起業家に向いています。なぜなら、事業にさまざまな人を巻き込めるためです。たとえば、ある分野の専門家に協力してもらう、当事者に主体的に参加してもらうなどが考えられます。
前述のとおり、社会的課題の解決には困難を伴います。自社だけでは、事業の目標を達成できないことが多いでしょう。したがって、より多くの人を巻き込める能力が求められるのです。
行動力・決断力がある
行動力や決断力がある人も社会起業家に向いています。なぜなら、新しい商品、サービス、仕組みなどの提供に求められるためです。机上の理論だけでは、革新性のある事業を立ち上げられません。行動が伴うことで、事業として成立します。
当然ながら、立ち上げの過程でさまざまな決断を求められます。これまでになかった事業の場合は、参考にできる事例が少ないでしょう。したがって、社会起業家には優れた決断力も求められます。ソーシャルビジネスの立ち上げには、行動力と決断力が不可欠です。
客観的な視点で物事を考えることができる
第三者の視点で物事を捉えたり、考えたりできる人も社会起業家に向いています。なぜなら、客観的な視点で事業を評価しなければならないためです。情熱だけで行動を始めると、社会的課題を解決できなかったり、事業を継続できず当事者を混乱させてしまったりする恐れがあります。社会起業家には、事業を冷静に評価する視点も求められます。
社会起業家になるために意識したいポイント
続いて、社会起業家を目指す方が意識したいポイントを解説します。
ビジネススキルを身に着ける
社会起業家を目指す方は、ビジネススキルを身につけておきましょう。事業を通して、社会的課題を解決するためです。利益をあげられなければ、事業を継続することはもちろん社会的課題も解決できません。最終的な目標を達成するため必要な能力です。
たとえば、マーケティングスキルがなければ、社会的課題の解決につながる商品を開発しても、ターゲットへ届けられません。したがって、ビジネスで求められる基本的なスキルを身につけておくことが大切です。
活動資金を集める
ソーシャルビジネスを立ち上げる際に求められるのが活動資金です。自己資金だけで準備できない場合は、活動資金を集める必要があります。具体的な方法として、金融機関からの融資、補助金・助成金の活用、友人・知人からの借入があげられます。事業で社会的課題の解決を目指す場合は、クラウドファンディングも有効な解決策になりえます。
理念を共有する仲間を集める
社会的課題を一緒に解決してくれる仲間を集めることも大切です。自身とは特徴が異なる仲間を集めると、事業をスムーズに進めやすくなります。たとえば、情熱とアイデアのみでビジネス経験がない場合は、ビジネス経験が豊富な仲間を集めるとよいでしょう。情熱とアイデアを事業の形に表してくれる可能性があります。
ただし、特徴が異なれば誰でもよいわけではありません。同じ目標へ向かって行動するため、理念を共有できる仲間を集める必要があります。
社会起業家が立ち上げ可能な起業形態
社会起業家が選択できる主な起業形態は以下のとおりです。
株式会社・合同会社
株式会社は株式発行により集めた資金で経営する会社、合同会社は経営者と出資者が同じ会社です。いずれも一般企業で多く見られるため、身近な起業形態といえるでしょう。株式会社の主なメリットは資金を調達しやすいこと、合同会社の主なメリットは設立にコストがかかりにくいことと経営の自由度が高いことです。
一般社団法人
一般社団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を根拠に設立された社団法人です。株式会社、合同会社と異なり、1名では設立できません(2人以上の社員が必要)。営利を目的としない点もポイントです(=非営利)。ここでいう営利は、余剰金の分配を指します。
したがって、配当をだすことはできませんが、事業内容に制約を受けることはありません。一般社団法人のメリットは、一定の条件を満たすことで税制の優遇を受けられることです。
出典:法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html
まとめ
社会起業家は、社会的課題の解決を事業の目的とする起業家です。社会性・事業性・革新性を備えたソーシャルビジネスを展開します。さまざまな困難に直面することが予想されるため、社会的課題の解決に情熱を注げる人が向いています。また、事業を継続させるため、ビジネススキルも不可欠です。
自身に一定のスキルがない場合は、理念を共有できる仲間を集めるとよいでしょう。社会起業家に興味がある方は、この記事を参考に挑戦してみてはいかがでしょうか。