2026.09.30 起業ガイド
移動販売を始めるには? 必要な許可・開業資金・儲かる売り方を解説
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店舗を持たずに、お客さんのいる場所へ自分から出向いて売る「移動販売」。店舗より初期費用を抑えられ、場所を変えながら売れる立地を探せるのが魅力です。
この記事では、キッチンカーや移動スーパー、雑貨の移動販売まで、移動販売を始めるのに必要な許可と費用、利益を出すための売り方を解説します。
この記事のポイント
- 移動販売には、キッチンカー(飲食)、移動スーパー(食料品)、雑貨・古着などの種類がある
- 食品を扱うなら、保健所の営業許可が必要。調理できる内容は給水タンクの容量で決まる
- 道路上で販売する場合は、警察の道路使用許可が必要。実際には私有地やイベント会場での営業が中心
- 買い物に困っている地域では移動販売のニーズが高く、民間の移動販売車の参入が増えている
移動販売の種類
| 種類 | 主な商品 | 主な営業場所 |
|---|---|---|
| キッチンカー | 弁当、クレープ、コーヒー、唐揚げなど | オフィス街のランチ、イベント、商業施設の敷地 |
| 移動スーパー | 生鮮食品、日用品 | 郊外の住宅地、過疎地、団地、高齢者施設 |
| パン・焼き芋など | パン、焼き芋、野菜 | 住宅地、駅前、道の駅 |
| 雑貨・古着 | 雑貨、アクセサリー、古着 | マルシェ、フリーマーケット、イベント |
移動販売のニーズ:買い物に困る人が増えている
農林水産政策研究所は、店舗まで500m以上離れていて自動車を使えない65歳以上の「食料品アクセス困難人口」が、2010年の382万人から2025年には598万人に増えると推計しています。
農林水産省が全国の市町村に行った調査(令和7年度)では、89.3%の市町村が買い物困難者への対策を「必要」または「ある程度必要」と回答しました。民間事業者が独自に参入している市町村は58.2%で、中でも「移動販売車の導入・運営」の割合が増えています。
出典:農林水産省「食品アクセス(買物困難者等)問題の現状について」https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/access_genjo.html
自治体によっては、移動販売車の購入費や運営費を補助する制度があります。開業する地域の市町村に確認してみましょう。
移動販売に必要な許可
1. 食品を扱う場合:保健所の営業許可
自動車で調理したり食品を販売したりする場合は、営業する地域を管轄する保健所の許可が必要です。
「飲食店営業」の許可では、車に積む給水タンクの容量によって作れるメニューが変わります。
| 給水タンクの容量 | できる調理の目安 |
|---|---|
| 40リットル程度 | 温める、揚げる、盛り付けるなどの簡単な調理のみ。使い捨て容器で提供する |
| 80リットル程度 | 比較的多くの水を使わない調理。メニューの幅が広がる |
| 200リットル程度 | 仕込みを含む本格的な調理が可能 |
※区分や基準は自治体によって異なります。車両を購入・改造する前に、必ず営業予定地の保健所に相談してください。参考:江戸川区「自動車関係営業許可申請等の手引」https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/8063/jidousha_tebiki202203.pdf
包装された食品(パック詰めの惣菜やパンなど)だけを売る場合は、業種によって許可ではなく届出で済むこともあります。また、営業許可を受けるには施設ごとに「食品衛生責任者」を置く必要があり、講習会(1日)を受講すれば取得できます。
2. 道路で販売する場合:警察の道路使用許可
道路上に車を停めて販売するには、警察署の道路使用許可が必要です。
ただし、交通の妨げになる場所では許可がほとんど出ません。実際の移動販売は、スーパーや商業施設の駐車場、オフィスビルの敷地、イベント会場、個人宅の駐車場など、所有者の許可を得た私有地で営業するのが一般的です。焼き芋屋のように、止まらずにゆっくり移動しながら売る場合や、呼び止められて短時間だけ停車する場合は、道路使用許可が不要とされることもあります。
3. 中古品を扱う場合:古物商許可
古着や中古雑貨を仕入れて売る場合は、警察署を通じて公安委員会の古物商許可が必要です。
4. その他
酒類を売るなら酒類販売業免許(税務署)が必要です。移動スーパーで生鮮品を扱う場合は、魚介類販売業などの許可が別に必要になることがあります。
移動販売の開業資金
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 車両(中古の軽トラックを改造した場合) | 150万〜300万円 |
| 車両(新車のキッチンカーを製作した場合) | 400万〜800万円 |
| 調理設備・冷蔵庫・発電機 | 30万〜100万円 |
| 許可の手数料・講習費 | 数万円 |
| 初回の仕入れ・容器・のぼりなど | 10万〜30万円 |
| 運転資金(3か月分) | 50万〜100万円 |
※金額は一般的な目安です。移動スーパーは、大手スーパーと提携するフランチャイズ方式(車両と商品は本部から提供され、売上に応じて報酬を得る)で始める方法もあります。
収支シミュレーション:キッチンカー(弁当・丼)
| 項目 | 月額 | 前提 |
|---|---|---|
| 売上 | 88万円 | 客単価800円 × 1日50食 × 月22日 |
| 原価(食材・容器) | ▲30.8万円 | 売上の35% |
| 出店料 | ▲13.2万円 | 売上の15%(場所の提供者に支払う) |
| 燃料・ガス・発電機 | ▲5万円 | |
| 仕込み場所の家賃・車両保険・駐車場 | ▲8万円 | |
| 車両ローン | ▲5万円 | |
| 営業利益(本人の人件費を含む) | 約26万円 | 年約312万円 |
※試算は一例です。雨の日の売上減や、イベントでの大きな売上は含めていません。
移動販売の売上は「どこで売るか」で8割が決まると言われます。平日はオフィス街のランチ、週末はイベントに出店するなど、曜日ごとに場所を組み合わせて稼働率を上げるのが基本です。出店場所の確保には、キッチンカーと空きスペースをつなぐマッチングサービスも活用できます。
移動販売で成功するためのポイント
1つ目は、看板メニューを絞ることです。移動販売は提供スピードが勝負で、メニューが多いと行列が回らず、ロスも増えます。2つ目は、定期ルートでリピーターをつくることです。移動スーパーやパンの移動販売では「毎週火曜の10時に来る」という決まった時間と場所が、常連客をつくります。3つ目は、SNSで出店情報を発信することです。今日どこにいるかがわかれば、お客さんは探して来てくれます。
まとめ
移動販売は、店舗より少ない資金で始められ、お客さんのいる場所へ出向ける柔軟なビジネスです。食品を扱うなら保健所の営業許可が必須で、給水タンクの容量で作れるメニューが決まります。車両を用意する前に保健所に相談し、出店場所を確保してから開業するのが失敗しない順番です。買い物に困る人が増えている地域では、社会的な意義と収益を両立できる事業にもなります。

