2026.09.30 起業ガイド
福祉用具事業の立ち上げ|指定要件・人員・費用・収益と、始める前の確認点
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「介護や福祉の分野で、事業を立ち上げたい。車いすや、ベッドなどの、福祉用具の事業なら、始められるだろうか」。そんな疑問を、持っていませんか。
福祉用具の事業は、高齢化を背景に、需要が見込まれる分野です。ただし、介護保険の対象となる、福祉用具の貸与・販売を行うには、法人であること、専門の相談員の配置、設備、そして、自治体の「指定」を受けることが必要で、株式会社の、通常の開業とは、手順が大きく異なります。
この記事では、福祉用具事業の種類、指定の要件、専門相談員の資格、初期費用と収益の仕組み、ケアマネジャーとの関係、立ち上げの手順、失敗しやすい点を、順に解説します。
読み終えるころには、福祉用具事業を、立ち上げるかどうかの判断と、準備の全体像が、整理できます。
福祉用具事業とは?3つの形
福祉用具事業は、高齢者や、障害のある方の、自立した生活や、介護する人の負担軽減を支える、福祉用具を、提供する事業です。主な形は、次のとおりです(制度の詳細は、厚生労働省・自治体の情報で確認してください。要確認)。
1. 福祉用具貸与(介護保険)
要介護・要支援と認定された方に、車いす、特殊寝台(介護ベッド)、歩行器、手すり、スロープなどの福祉用具を、レンタルする事業です。介護保険から、給付が行われ、利用者の自己負担は、1〜3割です。都道府県などの、事業者としての指定(指定福祉用具貸与事業者)が、必要です。
2. 特定福祉用具販売(介護保険)
入浴や排せつに使う、レンタルに適さない用具(腰掛便座、入浴補助用具など)を、販売する事業です。利用者が、いったん、全額を支払い、後で、市区町村に申請して、保険給付を受ける「償還払い」が、原則で、年間の購入金額に、上限(10万円)があります。こちらも、指定(指定特定福祉用具販売事業者)が、必要です。
3. 保険外(自費)の、福祉用具の販売・レンタル
介護保険を使わない、販売・レンタルです。指定は、不要ですが、介護保険の利用者を、取り込みにくく、収益の規模が限られる場合があります。医療機器・特定の製品の販売には、別の許可・届出が、関わる場合があります(要確認)。
2024年4月から、一部の種目(スロープ、歩行器、歩行補助つえなど)について、貸与と販売を、選択できる制度が、導入されたと、紹介されています(内容は、厚生労働省の最新の情報で、確認してください。要確認)。
介護保険の事業として、本格的に行う場合は、貸与・販売を、あわせて指定を受ける形が、一般的です。
指定を受けるための要件
福祉用具貸与の、指定を受けるための、主な要件を、整理します(都道府県・指定都市などの、公開資料に基づく。詳細は、必ず、申請先の最新の案内で確認してください。要確認)。
1. 法人であること
株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人などの「法人」である必要があり、法人を設立してから、申請します。個人事業主のままでは、指定を受けられません。
2. 人員基準
・福祉用具専門相談員:常勤換算で、2人以上:貸与・販売・介護予防を、あわせて指定を受け、同一の事業所で、一体的に運営する場合、常勤換算で2人以上の配置で、これらの人員基準を満たすとされています。
・管理者:専らその職務に従事する、常勤の者を、1名(資格の要件は、なし。管理者と、専門相談員の兼務が、認められる場合が、あります。要確認)。
3. 設備基準
福祉用具の保管・消毒に必要な、設備・器材と、事業の運営に必要な広さの区画を、有していること。事業所が、法人の所有でない場合は、賃貸借契約書の写しが、必要です。
4. 運営基準
できる限り、多くの種類の福祉用具を、取り扱うこと、重要事項の掲示、取り扱う福祉用具の目録(品名と利用料)の備え付け、記録の整備、サービス担当者会議への参加など、運営に関する基準が、あります。
5. 指定の申請
事業所の所在地の、都道府県知事(または、指定都市・中核市の長)へ、申請します。事前相談、申請書類(定款・登記事項証明書、従業者の勤務体制、資格証、平面図、運営規程、誓約書、介護給付費算定の届出など)、申請の締め切り(指定は、月の初日など、自治体で決まった日)があります。事前に、自治体の窓口に、相談してください。
指定には、有効期間(一般に、6年)があり、更新が必要と、されています(要確認)。
福祉用具専門相談員の資格と、人の確保
人員基準を、満たせるかが、立ち上げの、大きなポイントです。
福祉用具専門相談員になれる人(詳細は、厚生労働省・都道府県の情報で確認してください。要確認):
・介護福祉士、義肢装具士、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士のいずれかの資格を持つ人。
・都道府県知事が指定する講習会(福祉用具専門相談員指定講習)の課程を、修了した人:約50〜53時間の講習と、紹介されています。受講の要件は、特にないと、案内する情報があります。介護職員初任者研修の修了者は、平成27年4月から、要件から除かれたと、案内されています。
人の確保のポイントは、次のとおりです。
・指定の申請までに、専門相談員を、採用・確保しておく必要があります。開業のためには、人員基準の、職種と人数を確保しなければならないと、解説されています。
・常勤換算:週あたりの勤務時間を、事業所が定める常勤の勤務時間で割って、計算します。常勤換算で2以上を、確保します(要確認)。
・自分が、資格を取得して、専門相談員になる方法もあります(起業者自身が、講習を修了する)。
・専門性の高い人材(作業療法士、理学療法士、看護師)は、提案の質に、つながります(「作業療法士 開業」の記事を参照)。
・専門相談員の、離職・欠員は、人員基準の違反につながるため、採用と定着が、重要です。
専門相談員の、役割:利用者の、心身の状況、住環境、希望を踏まえて、福祉用具を選び、使用方法を助言し、利用状況を確認(モニタリング)します。「売る」だけでなく、「相談・提案」の仕事です。
初期費用と収益の仕組み(仮の例)
福祉用具貸与の収益と、初期費用を、整理します(金額は、事業の規模・地域・商品で大きく異なります。要確認)。
収益の仕組み
・貸与:福祉用具の、月額のレンタル料(貸与価格)が、収入になります。介護保険の給付(9割〜7割)と、利用者の自己負担(1〜3割)で、支払われます。貸与価格は、事業者が、設定しますが、国が、商品ごとに、全国平均の貸与価格や、上限を、公表・設定する仕組みがあります(要確認)。保険給付の、請求から、入金まで、約2か月程度の、タイムラグがあります(要確認)。
・販売:特定福祉用具の販売の、粗利。
・費用:福祉用具の仕入れ(購入)、消毒・メンテナンス、保管、配送・設置・回収、人件費、事業所の費用、システム、保険。
初期費用の項目(例)
・法人の設立費用。
・事業所(事務所・倉庫・展示)の賃貸費用:保管・消毒の区画、搬入の動線を考えた、物件が必要です。
・福祉用具の仕入れ:できる限り、多くの種類を、取り扱う strong>基準があるため、在庫の資金が、必要です(数百万円〜と、見込む例が、あります。要確認)。
・消毒設備・器材、工具、配送車両。
・介護保険の請求ソフト、パソコン、通信環境。
・人件費(指定を受けるまでの、期間の給与):指定の前は、収入がないため、数か月分の運転資金が、必要です。
・採用・研修、広告、ホームページ。
以下は、計算の型を示す仮の例です。
貸与の利用者:100人/1人あたりの月の貸与料(複数の用具の合計):平均 5,000円と仮定
→ 月の売上:50万円
福祉用具の仕入れの償却・メンテナンス・消毒・配送の費用:約15万円/人件費(専門相談員2名+管理者):約60万円/事務所・車両・システム・保険:約15万円
→ 残り:約−40万円(赤字)
この仮の例では、利用者100人でも、赤字です。人件費を賄うには、利用者の数(数百人規模)と、1人あたりの単価を、確保する必要があることが、分かります。利用者の獲得に、時間がかかり、開業初期は、赤字の期間が、続く可能性が、あります。
悲観的なケースでも、続けられるよう、運転資金を、厚めに、確保しましょう。資金は、「創業融資 名古屋」の記事を、参考にしてください。
立ち上げの手順
立ち上げの、一般的な流れを、整理します(自治体で、異なります。要確認)。
ステップ1|事業計画を作る
エリア、ターゲット(在宅の要介護者、施設、地域包括支援センター、ケアマネジャー)、取り扱う商品、体制、収支、資金を、決めます。
ステップ2|自治体の窓口に、事前相談する
指定の要件、申請の時期、必要書類、事業所の基準(保管・消毒の設備)を、確認します。
ステップ3|法人を設立する
株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人など。定款の目的に、福祉用具貸与・販売などを、記載します。
ステップ4|人員を確保する
福祉用具専門相談員(常勤換算2人以上)、管理者の採用・確保。資格の確認。
ステップ5|事業所を確保し、設備を整える
賃貸借契約、保管・消毒の設備、事務スペース、展示。
ステップ6|商品の仕入れ先(メーカー・卸・レンタル卸業者)を選び、取引を始める
商品ラインナップ、仕入れ条件、メンテナンス、アフターサポートを、確認します。
ステップ7|指定申請
書類を提出し、審査・指定を受ける。介護給付費算定の、届出も、行います。
ステップ8|営業開始・利用者の獲得
ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院・施設への、挨拶・営業。
準備から指定まで、数か月〜半年以上を、見込む例があります(要確認)。行政書士・社会保険労務士に、申請の支援を、依頼する方法も、あります。
ケアマネジャーとの関係と、集客
介護保険の福祉用具は、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成する、ケアプランに、位置づけられて、初めて、利用される仕組みです。したがって、ケアマネジャーとの関係が、利用者獲得の、要になります。
集客の入り口は、次のとおりです。
・ケアマネジャー(居宅介護支援事業所):訪問して、挨拶し、対応の速さ、提案の質、丁寧な説明を、評価してもらう。「依頼したら、すぐに、来てくれる」「相談に、乗ってくれる」ことが、信頼につながります。
・地域包括支援センター。
・病院の、退院支援部門(医療ソーシャルワーカー、リハビリスタッフ):退院に合わせた、福祉用具の準備。
・介護施設・訪問介護・訪問看護・通所サービスとの連携。
・リハビリ専門職(PT・OT)との連携:住環境の整備・用具の選定の相談(「作業療法士 開業」の記事を参照)。
・ホームページ・地図検索:家族が、探す場合。
・自治体・地域の、介護の相談窓口。
注意点は、次のとおりです。
・ケアマネジャーへの、過度な、金品・接待の提供は、不適切で、介護保険法や、運営基準で、禁止されていることがあります(要確認)。公正な営業を、行います。
・利用者の、自己負担の、不当な割引や、不必要な貸与は、指導・返還の対象になる場合があります。
・利用者の状態の変化に、応じた、見直し・モニタリングを、行います。
・大手・地域の老舗との、競争:小回り・専門性・対応の速さで、差別化します。
福祉用具事業で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します。
1つ目は、指定の要件を、確認せずに、進めることです。法人・人員・設備の、準備が、間に合いません。
2つ目は、専門相談員を、確保できない、または、離職して、人員基準を割ることです。
3つ目は、利用者の獲得の、見通しが、甘く、赤字が続くことです。運転資金が、尽きます。
4つ目は、在庫の、仕入れに、過大な投資をすることです。稼働しない在庫が、資金を固定します。
5つ目は、消毒・メンテナンス・配送の、体制と費用を、見込まないことです。品質・安全の問題につながります。
6つ目は、介護報酬の、請求の誤り・入金の遅れです。請求の、正確さと、資金繰りが、重要です。
7つ目は、運営基準・記録の整備が、不十分で、指導・報酬の返還を、受けることです。
8つ目は、ケアマネジャーとの関係を、築けない、または、不適切な営業をすることです。
9つ目は、制度改正(貸与と販売の選択制、価格の上限など)に、対応できないことです。
10つ目は、「福祉用具で、簡単に、儲かる」という、高額な、フランチャイズ・開業支援・コンサルの勧誘に乗ることです。収益の根拠、契約内容を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます(「fc始め方」の記事を参照)。
対策は、指定要件の事前確認、人材の確保、保守的な試算と運転資金、適正な在庫、消毒・メンテナンス体制、請求と記録の整備、公正な営業です。
福祉用具事業を立ち上げる5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、業界を、経験・調査することです。福祉用具事業者や、介護事業所で、働く、または、見学し、実態を、学びます。
ステップ2は、自治体の窓口に、事前相談し、指定の要件・スケジュールを確認することです。
ステップ3は、事業計画・収支・資金を、保守的に、試算することです。専門相談員の、人件費、在庫、運転資金を、含めます。
ステップ4は、法人の設立、人員の確保、事業所・設備・仕入れ先の準備を、進めることです。
ステップ5は、指定を受け、ケアマネジャー・病院・施設との関係を築き、記録・請求・品質を整えながら、利用者を増やすことです。
焦らず、制度と、利用者・関係者の、信頼を、大切に進めましょう。
まとめ|福祉 用具 立ち 上げは「法人・専門相談員2名・指定・ケアマネとの信頼」が土台
福祉用具事業の立ち上げには、法人の設立、福祉用具専門相談員(常勤換算2人以上)と管理者の確保、保管・消毒の設備、自治体の指定が必要です。収益は、利用者数と人件費のバランスで決まり、開業初期は赤字が続く可能性があるため、運転資金を厚めに確保し、ケアマネジャーや病院との信頼を築いてください。
まずは、自治体の窓口で指定の要件と申請の時期を確認し、専門相談員の確保の見通しを立てることから始めてください。

