2026.09.30 起業ガイド
社会福祉法人を設立するには|要件・資産・役員・認可の流れと、他の法人との比較
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「福祉の事業を、法人として、始めたい。社会福祉法人を設立するには、何が必要で、どんな手続きなのだろう」。そんな疑問を、持っていませんか。
社会福祉法人は、社会福祉事業を、行うことを目的として、社会福祉法に基づいて設立される、公益性の高い法人で、税制上の優遇がある一方、資産・役員・運営に関する要件が厳しく、設立には、行政との事前の協議と、認可が必要です。株式会社や、NPO法人のように、「登記すれば、設立できる」法人とは、大きく異なります。
この記事では、社会福祉法人の特徴、設立の前提、資産要件、役員と評議員、認可申請から、設立登記までの流れ、設立後の運営、他の法人形態との比較、失敗しやすい点、進め方を、順に解説します。
読み終えるころには、社会福祉法人を、設立すべきかどうかと、進め方の全体像が、整理できます。(要件は、所轄庁ごとに、運用が異なるため、必ず、事前に、相談してください。)
社会福祉法人とは?特徴と、設立が難しい理由
社会福祉法人とは、社会福祉法に基づいて、設立される法人で、社会福祉事業を行うことを、目的とします(詳細は、社会福祉法と、所轄庁の審査基準で確認してください。要確認)。
特徴は、次のとおりです。
・公益性が高く、税制上の優遇措置(法人税・固定資産税など)があると、紹介されています(要確認)。
・行政からの、認可が必要:所轄庁(都道府県知事、指定都市・中核市の市長など)の、設立認可を得て、設立登記を行った時点で、法人として成立します。
・資産・役員・組織に関する、厳格な要件があります。
・民主的・公正な運営を、担保する仕組み(評議員会、理事会、監事など)が、求められます。
・剰余金は、出資者に、配当できない:社会福祉事業などに、使うことが、求められます。
・解散時の、残余財産は、他の社会福祉法人などに、帰属するのが、原則です(要確認)。
設立が難しいとされる、理由は、次のとおりです。
・資産要件(基本財産・運転資金など)が、大きい。
・行政の、事業計画(施設整備の計画など)と、整合する必要があり、事前の協議が、不可欠。
・役員・評議員を、多数、確保する必要がある。
・設立後の、指導・監査・情報公開などの、負担がある。
「福祉事業を始めたい」=「社会福祉法人を、設立する」ではありません。他の法人形態で、始められる事業も、多くあります(後の項目)。
設立の前提|事前相談と、所轄庁
社会福祉法人の設立は、思いつきで、始められる手続きではなく、行政との、事前の協議が、前提です。
1. 所轄庁の確認
法人の、事業区域が、どの範囲かで、所轄庁が、決まります(一つの、市区町村の区域内なら、その市長・区長、都道府県の区域内なら、知事、など。要確認)。まず、事業を行う地域の、自治体の、福祉担当窓口に、問い合わせます。
2. 事前相談(事業所管課との、協議)
設立後に、行う社会福祉事業(保育所、特別養護老人ホーム、障害福祉サービス、児童養護施設など)の、事業所管課に、事業の定員、職員配置、予算、土地・建物などの、計画を、事前に、相談します。自治体の案内では、「設立後に、行う社会福祉事業の、事業所管課に、実施予定であることが、要件」とされている例が、あります。
3. 行政の、計画との整合
地域の、福祉ニーズ、施設の整備計画(保育所・高齢者施設・障害者施設などの、整備計画)、補助金・公募の有無と、関わります。新規の法人の設立が、認められるかは、行政の、方針や、地域の状況に、左右されると言われます。
4. 小規模な事業のみでは、認められにくい場合がある
行政側が、一定の規模(例:保育所の定員規模など)を、求める場合があります(要確認)。
設立の、目的・事業・資金・人材を、整理し、早い段階で、自治体の窓口に、相談してください。相談なしで、準備を進めても、認可されない可能性が、あります。
設立要件①|資産(基本財産・運転資金・法人事務費)
社会福祉法人の設立要件の、中心が、資産要件です。都道府県などが公表している、説明資料に基づいて、整理します(金額・条件は、所轄庁・事業・時期で異なるため、必ず、事前相談で確認してください。要確認)。
基本財産(法人の、存立の基礎となる財産。定款に明記)
・社会福祉施設の用に供する不動産は、基本財産とする:施設を、設置する場合、土地・建物の、所有権を持つ(または、国・地方公共団体からの、貸与・使用許可を受ける)ことが、原則とされます。
・施設の、不動産のすべてが、国・地方公共団体からの、貸与等の場合:1,000万円以上の資産(現金・預金・確実な有価証券・不動産)が、必要とされます。
・社会福祉施設を、経営しない法人:原則として、1億円以上の資産が、必要とされます。
・基本財産の、処分・担保提供は、所轄庁の、事前承認が必要です。
資産要件の、緩和(法人を設立する場合の、特例)
一定の要件(経営実績、地方公共団体の委託・助成など)を満たす場合、居宅介護等事業、共同生活援助事業等:1,000万円以上の資産、地域活動支援センター:事業の用に供する不動産の所有、または、1,000万円以上の資産など、緩和が適用されると、案内されています。
設立時に必要な「その他財産」
・運転資金:年間事業費の、12分の1以上に相当する、現金・預金等が、必要とされます。
・建設等の、自己資金(必要とする額)。
・法人事務費:少なくとも、100万円以上は、必要と、案内されています。
設立の際の、資本金は、なく(資本金という概念がない)、登録免許税もかからないと、紹介されています。ただし、資産の準備が、大きな負担になります。寄附による、資産の提供(設立者からの寄附)を、財産として、法人に移転する手続きが、あります。
設立要件②|役員(理事・監事)と評議員・定款
組織の要件も、整理します(詳細は、社会福祉法と、所轄庁の基準で確認してください。要確認)。
役員
・理事:6名以上:法人の、業務執行に関する意思決定を行う理事会を、構成します。社会福祉事業について、熱意と理解があり、実際に、法人運営の職責を果たせる人であること、事業区域の、福祉の実情に通じている人(民生委員、自治会長など、地域との関わりが大きい人)を含めることなどが、求められます。理事の中から、理事会で、理事長を選定します。
・監事:2名以上:理事や職員を、兼ねることができません。1名は、財務諸表を監査できる人(税理士・公認会計士など)、もう1名は、社会福祉事業についての、学識経験者や、地域の福祉関係者であることが、求められる、例があります。
・親族等の、特殊関係者が、役員に、占める割合の、制限など、利害関係者の、制限が、あります(要確認)。
・欠格事由:暴力団員、一定の刑罰を受けた人などは、役員になれません(要確認)。
評議員・評議員会
民主的な運営を図る、法人の、意思決定に関わる機関として、評議員会の設置が、必須です。評議員は、7名以上(かつ、理事の員数を超える数)と、紹介されています(要確認)。評議員には、地域の代表者、利用者の家族の代表などを、加えることが、求められる場合があります。
会計監査人:一定規模以上の法人では、会計監査人の設置が、必要です(要確認)。
定款
法人の、目的、名称、事務所の所在地、事業の種類、役員・評議員・理事会・評議員会に関する事項、資産・会計に関する事項、解散に関する事項などを、定めます。所轄庁の認可を受ける必要があります。所轄庁の、定款の準則(モデル)に沿って、作成します。
事務所の所在地:原則として、施設の所在地が、法人の事務所の所在地となります。
認可申請から、設立登記までの流れ
設立の、一般的な流れを、整理します(自治体で、手順・書類・期間が異なります。要確認)。
ステップ1|構想・事前相談
設立の目的、事業、地域、資産、役員候補を、整理し、所轄庁と、事業所管課に、事前相談します。
ステップ2|設立準備の体制づくり
設立者(設立を発起する人)、設立代表者、設立準備委員会などを、決めます。役員・評議員の候補者の、就任の意思を、確認します。
ステップ3|資産の準備
土地・建物、基本財産、運転資金、建設等自己資金、法人事務費を、準備します。寄附の手続き(寄附申込書など)も、あります。
ステップ4|定款・事業計画・予算書などの作成
定款案、事業計画書、収支予算書、役員の履歴書、資産の証明書類、土地・建物の書類などです。
ステップ5|設立認可申請
所轄庁に、申請書と、添付書類を提出します。審査(書類審査、現地確認、ヒアリング)があります。審議会などの、審議を経る場合があります。
ステップ6|設立認可
所轄庁から、認可を受けます。
ステップ7|寄附財産の、移転完了報告
設立者が、寄附する財産を、法人に、移転し、その完了を、所轄庁に報告します。
ステップ8|設立登記(法務局)
認可後、法務局で、設立の登記を行った時点で、法人として、成立します(自治体の案内より)。
ステップ9|事業の開始のための、手続き
施設の設置の認可・指定、事業の指定、職員の採用、開設準備などです。
準備から、設立までの期間は、数か月〜1年以上かかる場合があります(要確認)。専門家(社会福祉法人の設立に詳しい、行政書士、税理士、社会保険労務士、弁護士)に、相談する方法も、あります。「行政書士 仕事がない」の記事で、行政書士の業務範囲を、紹介しています。
設立後の運営|ガバナンス・会計・情報公開
設立後の、運営にも、社会福祉法人ならではの、ルールが、あります(詳細は、社会福祉法と、所轄庁の指導で確認してください。要確認)。
1. 機関の運営
理事会・評議員会の、開催、議事録の作成、決議の適正な運営。重要な事項(定款の変更、予算・決算の承認、役員の選任など)は、評議員会の決議が、必要です。
2. 会計・財務
社会福祉法人会計基準に基づく、経理、決算、計算書類の作成。会計監査人の監査(対象の場合)、監事の監査。
3. 財産の管理・処分
基本財産の処分・担保提供は、所轄庁の承認が必要です。剰余金の使途の、制限(社会福祉事業などへ、再投資)。
4. 情報公開
事業報告、決算、役員報酬の基準などの、公表が、求められます(ウェブサイト等)。
5. 指導・監査
所轄庁による、定期的な、指導監査があります。
6. 事業の運営基準
行っている、福祉サービスの、人員・設備・運営の基準(例:保育所、介護施設、障害福祉サービス)を、守る必要があります。基準違反は、報酬の返還、指定の取り消しなどに、つながります。
7. 役員・評議員の、責任:善管注意義務、利益相反の取引の、制限など。
8. 職員の、労務管理・処遇。
設立時だけでなく、設立後の、ガバナンスと、事務の負担を、見込んで、判断します。
他の法人形態との比較|本当に、社会福祉法人が必要か
福祉事業を、始めるための、法人形態は、社会福祉法人だけでは、ありません(事業ごとに、異なります。要確認)。
社会福祉法人
・メリット:公益性・社会的信用、税制優遇、行政との関係、第一種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、障害者支援施設の入所など)を、経営できる(第一種社会福祉事業は、国・地方公共団体・社会福祉法人が、経営することが原則とされる。要確認)。
・デメリット:設立の要件が、厳しい、資産・役員・運営の負担、剰余金の使途の制限、設立に時間がかかる。
NPO法人(特定非営利活動法人)
設立が、比較的、容易(所轄庁の認証)。障害福祉サービス、介護保険サービス、児童発達支援、子育て支援など、多くの福祉サービスを、運営できる場合が、あります。資産要件は、社会福祉法人ほど、厳しくないと言われます。
一般社団法人・一般財団法人
設立が、容易(登記)。福祉サービスの、運営主体になれる場合があります。
株式会社・合同会社
多くの、福祉サービス(介護保険サービス、障害福祉サービス、保育(認可・認可外)、就労支援など)の、指定を受けられる場合が、あります。利益を、配当できる点が、異なります。認可保育所などは、株式会社も、設置できる場合があります(要確認)。第一種社会福祉事業の、経営は、原則として、できないと、されます。
選び方の、視点は、次のとおりです。
・行いたい事業が、どの法人形態で、行えるか(事業の根拠法と、指定基準で確認)。
・資金・人材・時間。
・行政との関係、地域での信頼。
・利益の扱い(配当の有無)。
・将来の、事業の拡大。
まず、他の法人形態で、事業を始め、実績を積んでから、社会福祉法人を検討する道も、あります。「子ども食堂 お金はどこから」の記事で、任意団体・NPO・一般社団法人の、資金面の違いに、触れています。
社会福祉法人の設立で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します。
1つ目は、事前相談をせず、準備を進めることです。認可されない場合があります。
2つ目は、資産要件を、軽く見ることです。基本財産・運転資金・法人事務費が、不足します。
3つ目は、役員・評議員の確保が、難しいことです。地域の代表、専門家、監事の要件を、満たす人を、探す必要があります。
4つ目は、行政の計画・地域のニーズと、合わない事業を、計画することです。
5つ目は、設立後の、運営の負担(ガバナンス、会計、情報公開、監査)を、見込まないことです。
6つ目は、他の法人形態で、足りる事業を、社会福祉法人で始めようとすることです。
7つ目は、利益相反・親族中心の、役員構成にすることです。
8つ目は、資金計画(建設費・運営費・報酬の入金の遅れ)が、甘いことです。
9つ目は、運営基準・人員基準の、遵守が、不十分なことです。
10つ目は、「社会福祉法人を、簡単に設立できる、儲かる」という、高額な、コンサルや、設立代行の勧誘に乗ることです。社会福祉法人は、営利を目的としない法人で、簡単に設立でき、儲かる、という説明は、実態と、異なります。内容と実績を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます。
対策は、早期の事前相談、資産・人材・計画の準備、他の法人形態との比較、運営体制の整備、専門家の活用です。
社会福祉法人を設立する5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、行いたい福祉事業と、それに適した法人形態を、整理することです。他の法人形態で、足りるかを、比較します。
ステップ2は、事業を行う地域の、自治体の福祉担当窓口に、事前相談することです。所轄庁、事業所管課、行政の方針、公募や補助の有無を、確認します。
ステップ3は、資産・土地建物・資金・役員・評議員の見通しを、整理することです。基本財産、運転資金(年間事業費の12分の1以上)、法人事務費、建設等自己資金を、試算します。
ステップ4は、定款・事業計画・予算などを、作成し、専門家に確認してもらうことです。
ステップ5は、設立認可を申請し、認可後、寄附財産の移転・設立登記を行い、事業の指定・開設の準備を進めることです。
焦らず、行政との対話を重ねながら、進めましょう。
まとめ|社会福祉法人を設立するには「事前相談・資産要件・役員体制・認可」を順に整える
社会福祉法人を設立するには、所轄庁への事前相談と、資産要件(施設不動産の所有または貸与、1,000万円・1億円などの基本財産、年間事業費の12分の1以上の運転資金、法人事務費)、理事6名以上・監事2名以上・評議員7名以上の役員体制、定款、設立認可、設立登記が必要です。設立後のガバナンスの負担も大きいため、他の法人形態と比較して、判断してください。
まずは、行いたい事業を整理し、事業を行う地域の自治体の福祉担当窓口に、事前相談することから始めてください。

