2026.09.30 起業ガイド
旅行会社の起業|登録区分・保証金・管理者と、収益の現実
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「旅行が好きで、旅行会社を起業したい。でも、旅行業には、登録が必要と聞くし、保証金など、お金もかかりそう。何から、始めればいいのだろう」。そんな疑問を、持っていませんか。
旅行会社の起業は、旅行業法に基づく「登録」が必要で、登録区分によって、業務の範囲と、必要な資産・保証金が、大きく異なるため、最初に、制度を理解することが、欠かせません。制度を知らずに、旅行の販売や手配を行うと、法令違反になる可能性があります。
この記事では、旅行業の登録制度、区分ごとの違い、必要な資金と保証金、旅行業務取扱管理者、登録の流れ、収益の考え方、差別化の方向性、リスク、失敗しやすい点、進め方を、順に解説します。
読み終えるころには、自分の事業に合う登録区分と、必要な準備が、整理できます。以前の記事、「旅行業 開業」の記事もあわせて、参考にしてください。
旅行業とは?登録が必要な理由
旅行業とは、報酬を得て、旅行者のために、運送や宿泊のサービスの手配や、旅行の企画・販売などを行う事業です(詳細は、旅行業法と、観光庁の公式情報で確認してください。要確認)。
旅行業を営むには、旅行業法に基づく登録が、必要です。旅行は、高額で、前払いが多く、旅行者の保護が重要なため、登録制度、財産的基礎の要件、営業保証金(または、分担金)、旅行業務取扱管理者の選任などが、定められています。
登録が必要な、代表的な業務は、次のとおりです。
・企画旅行:旅行会社が、旅行の計画を作り、運送・宿泊などのサービスを、自己の計算で手配し、旅行代金を受け取る形。募集型企画旅行(あらかじめ、計画を作り、参加者を募集する、パッケージツアー)と、受注型企画旅行(旅行者の依頼を受けて、計画を作る)があります。
・手配旅行:旅行者の依頼で、運送・宿泊などを手配する形(航空券・宿泊の予約の代行など)。
・旅行相談・その他。
無登録で、営業した場合は、罰則の対象になると、されています(要確認)。「自分で、ツアーを企画して、参加費を集める」「有償で、宿・交通を手配する」といった行為が、旅行業に当たる場合が、あります。事前に、登録行政庁に、確認しましょう。
登録が不要な、場合もあります(例:自社の商品・サービスに付随して、無償で案内する場合、運送・宿泊の事業者が、自社のサービスを提供する場合など)。判断が難しい場合は、観光庁や、都道府県の窓口に、相談してください。
登録区分の違い|第1種・第2種・第3種・地域限定
旅行業の登録には、区分があり、できる業務の範囲が、異なります(詳細は、観光庁・都道府県の公式情報で確認してください。要確認)。
第1種旅行業:海外・国内の、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行など、すべてを扱えます。登録は、観光庁長官です。
第2種旅行業:国内の募集型企画旅行、海外・国内の受注型企画旅行・手配旅行を扱えます。海外の募集型企画旅行は、不可です。登録は、都道府県知事です。
第3種旅行業:募集型企画旅行は、営業所の所在地などの、拠点区域内のみで、受注型企画旅行・手配旅行は、海外・国内とも可です。登録は、都道府県知事です。
地域限定旅行業:募集型・受注型企画旅行、手配旅行とも、拠点区域内(営業所の所在地の市町村と、隣接する市町村など)のみです。登録は、都道府県知事です。
そのほかの区分:
・旅行業者代理業:特定の旅行業者(所属旅行業者)の代理として、旅行契約を締結する事業です。基準資産額は、求められないと、紹介されています。所属する旅行業者との契約が、必要です。
・旅行サービス手配業:旅行業者などから依頼を受けて、現地の宿泊・運送・ガイドなどを手配する事業(ランドオペレーター)。登録が必要ですが、財産的基礎は、求められないとされています(要確認)。
小さく始める場合は、第3種、地域限定、旅行業者代理業が、選ばれることが、多いと言われます。自分が扱いたい旅行の内容(海外か国内か、パッケージツアーか、オーダーメイドか、対象の地域)から、区分を選びます。区分は、変更登録で、変えられる場合があります(要確認)。
必要な資金|基準資産額と、保証金の目安
旅行業の登録には、財産的基礎(基準資産額)と、営業保証金(または、弁済業務保証金分担金)が、求められます。都道府県が公表している、目安を、整理します(金額や、条件は、変更される場合があるため、必ず、最新の公式情報で確認してください。要確認)。
基準資産額(最低)
・第1種:3,000万円
・第2種:700万円
・第3種:300万円
・地域限定:100万円
(基準資産額 = 資産の総額 − 創業費などの繰延資産 − 営業権 − 不良債権 − 負債の総額 − 所要の営業保証金(または、弁済業務保証金分担金)。)
営業保証金(最低額、協会に加入しない場合)
・第1種:7,000万円/第2種:1,100万円/第3種:300万円/地域限定:15万円
※旅行の取引額(新規登録の場合は、取引の見込み額)に応じて、金額が増える場合があります。
旅行業協会に加入する場合(弁済業務保証金分担金)
日本旅行業協会(JATA)または、全国旅行業協会(ANTA)に加入し、保証社員になると、営業保証金の、5分の1の金額を、分担金として納付すれば、足ります。
・第1種:1,400万円/第2種:220万円/第3種:60万円/地域限定:3万円(最低額)
協会に加入すると、入会金・年会費などが、別にかかります(要確認)。
資金の目安(考え方)
・第3種で、協会に加入する場合:基準資産額300万円+分担金60万円で、最低でも、360万円程度の資産(資本)が、必要になる計算です(法人の場合。負債などで変わる。要確認)。
・地域限定で、協会に加入する場合:基準資産額100万円+分担金3万円で、103万円程度の資産が、目安になる例が、紹介されています(都道府県により、追加の要件がある場合があります。要確認)。
・第2種:700万円+220万円で、約920万円程度。
・第1種:3,000万円+1,400万円で、約4,400万円程度。
(あくまで、単純化した目安で、実際は、個別の状況で、異なります。)
登録の手数料:都道府県ごとに、異なります(例:数万円〜、9万円などの、例が紹介されています)。第1種は、登録免許税(9万円)と、紹介されています(要確認)。
資金の調達は、「創業融資 名古屋」の記事を、参考にしてください。
旅行業務取扱管理者|人の要件
旅行業の登録では、人の要件も、あります。
旅行業務取扱管理者
営業所ごとに、1名以上、選任する必要があります。旅行業務取扱管理者試験に合格した人(国家資格)です。試験には、総合旅行業務取扱管理者(海外・国内の、すべて)、国内旅行業務取扱管理者(国内のみ)、地域限定旅行業務取扱管理者があります。登録区分・扱う旅行によって、必要な資格の種類が異なるため、確認します(要確認)。
選任の要件:営業所に、常勤(専ら、その営業所で業務に従事)し、他の営業所の管理者を、兼ねられないのが、原則です(要確認)。営業所の従業員が、10人以上の場合は、複数選任が必要な場合があります。
欠格事由
過去に、旅行業の登録を取り消された、一定の刑罰を受けた、暴力団員、破産して復権していない、などの人は、登録を受けられません(要確認)。
営業所の要件
実態のある営業所が、必要です。自宅を営業所にする場合は、賃貸契約や、管理規約、専用のスペースの確保、看板・標識などが、問われる場合があります(要確認。「自宅 で 起業」の記事を参照)。
自分が、資格を取るか、資格者を雇うかは、起業の計画で、重要な判断です。試験の準備には、時間がかかるため、早めに、取り組むことをおすすめします。
登録の流れと、必要な準備
旅行業の登録の、一般的な流れを、整理します(都道府県で、異なる場合があります。要確認)。
ステップ1|事業計画を作る
扱う旅行、対象のお客様、地域、区分、収支、資金を、決めます。
ステップ2|人・場所・資金を整える
旅行業務取扱管理者の確保、営業所の確保、基準資産額を満たす資本・資産、営業保証金または分担金の準備。
ステップ3|(協会に加入する場合)旅行業協会への入会手続き
保証社員になる予定の場合は、事前に協会に相談します。
ステップ4|登録申請書の提出
登録行政庁(第1種は観光庁、それ以外は、営業所の所在地の都道府県)に、申請書と、添付書類を提出します。添付書類の例:定款・登記事項証明書(法人)、住民票(個人)、役員の書類、旅行業務取扱管理者の書類、貸借対照表などの財務書類、営業所の使用権原・写真、旅行業約款、料金表、業務の運営に関する書類など。
ステップ5|審査・登録
審査には、1〜2か月程度を、見込む例が、あります(要確認)。登録手数料を納付します。
ステップ6|営業保証金の供託、または、分担金の納付
登録後、一定期間内に、供託書の写し、または、納付書の写しを、提出します。
ステップ7|営業開始の準備
標識の掲示、料金表・約款の掲示、取引条件の説明書面・契約書面の準備、旅行保険、予約システム、ホームページ、広告。
登録の有効期間は、5年で、更新が必要と、紹介されています(要確認)。
行政書士に、申請の代行を、依頼する方法もあります(「行政書士 仕事がない」の記事で、行政書士の業務範囲を解説しています)。
収益の考え方(仮の例)
旅行会社の収益は、旅行の種類で、構造が異なります。以下は、あくまで計算の型を示す仮の例です。実際の利益率、件数は、事業と時期で、大きく異なります(要確認)。
1. 企画旅行(募集型・受注型)
旅行代金から、運送・宿泊・ガイド・保険などの原価を引いた、粗利が、収益です。自社で、企画する分、粗利率を確保できる反面、集客に失敗すると、赤字(最少催行人員に達しない)や、キャンセルの損失の、リスクがあります。
例(仮の数字):1人あたりの旅行代金 6万円、原価 5万円、粗利 1万円(粗利率 約17%)、20人参加で、粗利 20万円。ここから、広告費・人件費・保険・事務費を引きます。
2. 手配旅行(航空券・宿泊などの手配)
手数料(取扱料金)が、収益です。ネット予約サイトとの競争が、激しく、単価が低くなりやすい面があります。
3. 旅行業者代理業
所属旅行業者から、受け取る手数料(委託手数料)が、収益です。資金と責任は、比較的軽い反面、収益の率は、所属旅行業者との契約で、決まります。
4. 法人向けの、出張手配、団体旅行、教育旅行、研修旅行、インセンティブ旅行:まとまった取引が、期待できます。
月の収支(仮の数字)
粗利(企画旅行・手配・手数料の合計):60万円と仮定
人件費(1〜2名):30万円/事務所・通信・システム:8万円/広告・保険・協会会費・その他:10万円
→ 残り:約12万円(税金や、経営者の収入の前)
開業直後は、実績と信頼がなく、収益は小さい傾向があります。悲観的なケース(取扱額が、半分)でも、続けられるか、確認します。
季節変動・感染症・災害・為替・燃料費など、外部の要因で、需要が大きく変動します。
差別化の方向性|大手やネット予約と、どう戦うか
旅行業は、大手旅行会社と、ネット予約サイト(OTA)との競争が、激しい分野です。小規模な事業者は、差別化が、不可欠です。
差別化の方向性(例)は、次のとおりです。
・地域に特化する(着地型観光):地元の、体験、ガイド、食、文化、農業・漁業体験など。地域限定旅行業や、第3種が、活用されます。
・テーマに特化する:登山・トレッキング・サイクリング・温泉・酒蔵・聖地巡礼・歴史・鉄道・写真・食・アニメ・スポーツ観戦など。
・ターゲットに特化する:シニア、女性ひとり旅、家族、障がいのある方・介助が必要な方向けの旅行(バリアフリー)、外国人旅行者(インバウンド)、学生・修学旅行、企業の研修・インセンティブ。
・オーダーメイド(受注型)の旅行:丁寧な相談と提案が、価値になります。
・専門知識・経験・人柄:特定の地域や国の、専門家として、信頼されます。
・宿泊施設・体験事業者・交通事業者との提携:独自の、旅行商品を、作る。
・法人・団体との取引:自治体・企業・学校との、継続的な取引。
・SNS・動画での発信:ファンを作り、ツアーの集客につなげる(「SNS運用代行 起業」の記事を参照)。
「安さ」で、OTAと競うのは、難しいため、「あなたの旅なら、この会社」と選ばれる理由を、作りましょう。
リスクと、旅行者保護のルール
旅行業には、特有のリスクと、法令上のルールがあります(詳細は、観光庁・都道府県の公式情報で確認してください。要確認)。
1. 取引条件の説明・書面の交付
旅行契約の締結前に、取引条件の説明書面を、交付し、契約後には、契約書面を、交付する義務があります(企画旅行など)。旅行業約款(標準旅行業約款の使用、または、認可を受けた約款)に基づく、運営が必要です。
2. 広告の規制
企画旅行の広告には、表示すべき事項が、定められています(旅行代金、日程、最少催行人員など)。誇大な広告、虚偽の表示は、禁止されています(景品表示法とあわせて)。
3. 旅行中止・キャンセルのリスク
最少催行人員に達しない、天候、災害、感染症、運送・宿泊の、事故など。キャンセル料の規定、旅行代金の返金、代替手配の運用を、約款で、明確にします。
4. 前受金と資金繰り
旅行代金を、前受けする一方、仕入れ(宿泊・運送)の支払いも、あります。旅行代金は、旅行者から預かったお金という意識が、必要で、倒産・資金流用は、旅行者に、大きな被害を与えます(営業保証金・分担金の制度は、この被害から、旅行者を守るためのものです)。
5. 旅行中の事故・トラブル
旅行者の、けが・病気・事故、現地でのトラブルへの、対応。旅程保証、特別補償、旅行保険の制度があります(要確認)。
6. 提携先(宿泊・運送・ガイド)との契約・責任。
7. 個人情報の管理:氏名、住所、パスポート情報、健康・食事の情報などを、扱います。
8. 無登録の、業者との取引・名義貸し:登録のない業者に、業務を任せる、名義を貸すことは、違反になる可能性があります。
旅行会社の起業で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します。
1つ目は、登録の必要性を、確認せずに、ツアーを募集・販売することです。
2つ目は、登録区分を、誤り、やりたい旅行が、できないことです。募集型企画旅行の範囲などに、注意します。
3つ目は、基準資産額・保証金・管理者の、準備を、見込まないことです。登録が、進まなくなります。
4つ目は、OTAや大手と、価格で競争することです。差別化が、必要です。
5つ目は、集客ができず、ツアーが不成立になることです。
6つ目は、キャンセル・中止のルールが、曖昧で、トラブルになることです。
7つ目は、前受金を、他の目的に使い、資金繰りが行き詰まることです。
8つ目は、災害・感染症・為替などの変動に、備えないことです。
9つ目は、旅行業務取扱管理者の確保・管理を、怠ることです。
10つ目は、「旅行会社を、簡単に開業して、高収益」という、高額な、フランチャイズや、加盟・代理店の勧誘に乗ることです。収益の根拠、契約内容、手数料の分配を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます(「fc始め方」の記事を参照)。
対策は、制度の事前確認、適切な区分の選択、資金と管理者の準備、差別化、約款・書面の整備、資金の管理、リスクへの備えです。
旅行会社を起業する5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、旅行会社などで、経験を積み、扱いたい旅行と、ターゲットを決めることです。
ステップ2は、登録区分を選び、登録行政庁(都道府県・観光庁)に、事前相談することです。基準資産額、保証金、管理者、営業所の要件を、確認します。
ステップ3は、旅行業務取扱管理者の資格取得(または、有資格者の確保)と、資金・営業所を、整えることです。旅行業協会への加入も、検討します。
ステップ4は、事業計画・収支を、悲観的なケースも含めて試算し、登録を申請することです。約款、料金表、書面の様式を、準備します。
ステップ5は、登録後、保証金を供託(または、分担金を納付)し、小さく始めて、提携先と実績を、積み上げることです。開業届などの手続きも、行います(期限は要確認)。
最初は、旅行業者代理業や、地域限定・第3種から、始める方法も、あります。
まとめ|旅行会社 起業は「登録区分・保証金と管理者の準備・差別化」から
旅行会社の起業は、旅行業法に基づく登録が必要で、区分ごとの基準資産額(第3種300万円、地域限定100万円など)、営業保証金または分担金、旅行業務取扱管理者、営業所の準備が必要です。大手やネット予約サイトと同じ土俵で戦わず、地域・テーマ・ターゲットで差別化し、約款と書面、資金管理で旅行者を守る運営を目指してください。
まずは、扱いたい旅行から登録区分を選び、都道府県の窓口に、要件を事前相談することから始めてください。

