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2026.09.29 起業ガイド

年商平均の目安|中小企業・個人事業の統計と、正しい使い方

「年商の平均は、どれくらいなのだろう。自分の事業は、平均と比べて、多いのか、少ないのか」。そんな疑問を持っていませんか。

年商(1年間の売上高)の平均は、統計で調べられますが、平均値は、一部の大きな会社に引き上げられ、小さな事業や、個人事業主の実感とは、大きくずれる場合があります。数字だけを見て、焦ったり、安心したりすると、判断を誤ります。

この記事では、年商とは何か、公的統計の平均、平均値の落とし穴、業種・規模・形態による違い、新規開業者の目安、年商と所得の違い、自社との比較の仕方、年商を伸ばす方法、融資での見られ方を順に解説します。

読み終えるころには、統計の数字を、正しく読めるようになります。自分の事業の目標を、現実的に設定できます。

年商とは?売上高・所得との違い

年商とは、1年間の、売上高の合計です。「年間の売上」「年間売上高」とも呼ばれます。

混同しやすい言葉を、整理します。
・年商(売上高):お客様から、受け取ったお金(または、受け取る権利のあるお金)の合計。経費を、引く前の金額です。
・粗利(売上総利益):売上から、売上原価(仕入れ、材料費など)を引いた金額。
・営業利益・経常利益:売上から、原価と、販売費・管理費などを引いた、事業の利益。
・所得(個人事業主の場合):売上から、経費を引いた金額。個人事業主の、「年収」は、多くの場合、この所得を指します。
・手取り:所得から、税金や、社会保険料を引いた、実際に使えるお金。

年商が大きくても、利益が、小さい事業もあれば、年商が小さくても、利益率の高い事業も、あります。したがって、年商の平均を、知ることは、参考になりますが、それだけで、事業の良し悪しは、判断できません。

特に、個人事業主や、一人での起業では、売上と所得の差が、大きくなります。詳しくは、「一人 起業 年収」の記事で、解説しています。

公的統計で見る、年商の平均

年商の平均を知る、代表的な統計が、中小企業庁の「中小企業実態基本調査」です。全国の、約11万社の中小企業を、無作為に抽出して、決算の内容などを、調べる調査です(最新の数字は、公式情報で確認してください。要確認)。

令和7年の調査(令和6年度決算実績)では、次のような結果が、紹介されています。
・中小企業1企業あたりの売上高(年商):約2.2億円(前年度比で、約6.9%の増加)
・1企業あたりの営業利益:約907万円
・1企業あたりの経常利益:約1,075万円
・1企業あたりの従業者数:約9.9人

その前年(令和6年の調査、令和5年度決算)では、1企業あたりの売上高は、約2.1億円、経常利益は、約991万円、従業者数は、約9.7人と、紹介されています。

つまり、統計上の、中小企業の年商の平均は、2億円前後です。ただし、これは、従業員を雇っている法人を、多く含む、平均値で、一人で営む個人事業主や、小さな会社の実感とは、かけ離れている場合が、多くあります。次の項目で、平均値の読み方を、見ていきます。

平均値の落とし穴|なぜ、実感と違うのか

統計の「平均」を、読むときには、次の点に、注意が必要です。

1. 平均値は、大きな会社に、引き上げられる
売上が、数十億円、数百億円の会社が、一部にあると、平均値が、大きく引き上げられます。多くの会社は、平均より小さく、中央値(真ん中の値)は、平均値より、低くなるのが、一般的です。

2. 調査の対象は、中小企業の範囲
中小企業の定義(資本金や、従業員数)に該当する企業が対象で、大企業は含まれません。また、小規模な個人事業主は、別の枠組み(個人企業)で、集計される場合があります。

3. 業種による差が、大きい
卸売業や、建設業、製造業は、売上が大きくなりやすく、サービス業や、小売業、飲食業は、規模が、小さい傾向があります。業種を、無視した、平均は、あまり意味を持ちません。

4. 従業者の規模による、差
従業者が、5人以下の企業と、50人以上の企業では、売上が、桁違いです。

5. 個人企業と、法人企業の、違い
個人企業は、事業主自身の収入が、経費に計上されず、利益に含まれるため、利益率が、高く見える傾向があります。一方、法人では、役員報酬が経費になるため、利益率が低く見えます(前提が異なるため、単純比較はできません)。

「平均は、こうだから、自分もこうあるべき」と、考えるのではなく、「自分と近い条件(業種、規模、形態)の、数字を探す」ことが、大切です。

新規開業者の、売上の目安

これから、起業する人にとって、参考になるのが、日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」です。2024年度の調査では、開業して間もない企業の、状況が、紹介されています(対象は、日本政策金融公庫の融資を受けた、開業後1年以内などの企業で、融資を受けていない、小規模な開業者は、含まれません。要確認)。

現在の月商(1か月の売上)の分布は、次のとおりと、紹介されています。
・100万円未満:約40%
・100万〜500万円未満:約44%

月商を、年商に換算すると(単純に12倍)、月商100万円で、年商1,200万円、月商500万円で、年商6,000万円です。つまり、開業者の約4割は、年商が、1,200万円未満、約4割が、1,200万円から、6,000万円未満という、分布です。

また、採算状況は、黒字基調が、約67%、赤字基調が、約33%と、紹介されています。開業費用は、平均が、約985万円、中央値が、約580万円で、少額で始める人が、多いとされています。

これらは、「融資を受けて、開業した人」の、数字です。融資を受けずに、自己資金だけで、小さく始める、一人起業者の実態とは、異なる可能性が、あります。目安の一つとして、参考にしつつ、自分の業種と、規模で、試算することが、大切です。

業種・規模・形態で、年商の目安は変わる

年商の目安を、考えるときは、自分と近い条件で、見ましょう。

1. 業種で見る
同じ業種の、中小企業の、平均売上、利益率を、確認できる、統計があります。中小企業庁の調査は、産業別・従業者規模別に、集計されています(e-Statなどで、確認できます。要確認)。

2. 従業者の規模で見る
一人、または、数人で営む事業の、売上は、統計の平均(約2億円)より、はるかに小さいのが、一般的です。従業員を雇う会社と、一人事業では、売上の構造が違います。

3. 個人か、法人かで見る
個人事業主は、売上から、経費を引いた額が、そのまま、事業主の所得になります。売上の使い道が、異なります。

4. 開業の年数で見る
開業直後と、数年経った事業では、売上が、大きく異なります。売上が、伸びていく途中の、事業もあります(開業者の、約6割が、売上が「増加傾向」と、答えたとする調査もあります。要確認)。

5. 事業の形(時間売りか、物販か、ストック型か)で見る
時間で稼ぐ仕事は、売上に上限があります。物販は、売上は大きくなりやすい反面、原価が高く、利益は小さくなります。「ストック型ビジネスとは」の記事や、「ストック 型 ビジネス」の記事も、参考になります。

「平均」より、「自分の目標と、その根拠」のほうが、意味を持ちます。

年商から、手元に残るお金を考える(仮の例)

年商の目標を、決めるときは、「手元に、いくら残したいか」から、逆算する視点が、重要です。以下はあくまで計算の型を示す仮の例です(経費率は、業種で大きく異なります。要確認)。

目標の所得:500万円の場合
・経費率が、30%の仕事:必要な年商 = 500万円 ÷ 0.7 ≒ 約714万円(月に、約60万円)
・経費率が、50%の仕事(仕入れや材料が多い物販など):必要な年商 = 500万円 ÷ 0.5 = 1,000万円(月に、約83万円)
・経費率が、10%の仕事(在宅の、スキル提供など):必要な年商 = 500万円 ÷ 0.9 ≒ 約556万円(月に、約46万円)

このように、同じ所得でも、経費率で、必要な年商が変わります。統計の平均の年商(約2億円)は、従業員の、人件費や、仕入れなどを含めた、規模の話で、一人で、その規模を目指すのは、現実的ではありません。

さらに、所得から、税金や、社会保険料を引いた手取りを、考える必要があります。会社員の、年収と、単純に比較できない点にも、注意してください。

まず、生活費から、必要な手取りを、決め、所得、年商を、逆算すると、地に足のついた、目標になります。

年商を伸ばす、5つの方法

年商を伸ばす、方法を、整理します。成功が保証されるものではありませんが、考え方の参考になります。

1. 単価を上げる
専門性の強化、ブランド、提案力で、1件あたりの売上を、高めます。

2. 客数・件数を増やす
集客の入り口(ホームページ、地図検索、SNS、紹介)を、増やし、成約率を、高めます。

3. リピート・継続契約を増やす
新規客より、既存客への販売は、効率が良い場合が多いです。定期契約、会員制度、追加の提案で、継続的な売上を、作ります。

4. 商品・サービスを、広げる(客単価の向上)
関連するサービスや、オプション、物販を、組み合わせます。ただし、広げすぎは、品質の低下や、負担増につながります。

5. 人・仕組みで、上限を超える
外注、スタッフの採用、ツールの活用、複数拠点、オンライン化などで、1人の時間の上限を、超えます。ただし、人件費や、管理の負担が増えるため、利益が残るかを、確認します。

どの方法も、「年商を増やすこと」と「利益が増えること」は、別です。売上を追うあまり、値引きや、無理な受注で、利益が減ることがあります。粗利と、利益率も、あわせて確認しましょう。

一人で、売上を上げる際の、時間の壁については、「ハンドメイド 年収1000万」の記事や、「自宅で ひとり起業」の記事も、参考になります。

融資や取引で、年商はどう見られるか

年商は、金融機関の融資や、取引先の与信の審査で、見られる指標の一つです。ただし、年商だけで、判断されるわけではありません。

融資(例えば、日本政策金融公庫の、創業融資や、事業融資)では、次のような点が、総合的に、見られます(要確認)。
・売上の推移と、見込みの根拠:直近の売上、受注の状況、今後の計画。
・利益と、返済の能力:借入を、返済できる、利益が出ているか。
・自己資金と、資金の使い道。
・事業計画の、実現性。
・経営者の、経験と、人柄。

創業前や、開業直後は、売上の実績が、ないため、事業計画書で、誰に、何を、いくらで、売り、どれくらいの売上が見込めるかを、根拠とともに、示す必要があります。「平均が、こうだから」ではなく、自分の、営業の見込みや、単価、件数から、積み上げた数字が、説得力を持ちます。詳しくは、「創業融資 名古屋」の記事を、参考にしてください。

取引先の、与信審査では、年商や、決算の内容、取引の実績、支払いの状況などが、見られる場合があります。大きな取引先ほど、審査が、厳しくなる傾向があります。

年商の数字で、陥りやすい落とし穴

年商に関する、落とし穴を、整理します。

1つ目は、平均値を、そのまま自分の目標にすることです。統計の平均は、大きな会社を含み、一人事業とは、規模が違います。

2つ目は、年商と、所得を、混同することです。年商が、大きくても、経費と税金で、手元に残る額は、少なくなります。

3つ目は、年商だけを、追うことです。無理な値引きや、利益の出ない受注で、忙しいのに、儲からない状態になります。

4つ目は、他社と、比較して、焦ることです。業種、規模、開業年数が違えば、比較の意味は、薄くなります。

5つ目は、「年商◯億円」という、宣伝を、鵜呑みにすることです。フランチャイズや、講座の勧誘で、「年商」が示されている場合は、利益や、条件、平均か、最高かが、示されているかを、確認します。

6つ目は、年商を、大きく見せようとすることです。融資や、取引で、虚偽の、説明をすることは、信用を失い、法的な問題にもなります。

7つ目は、年商の推移を、記録しないことです。月ごと、年ごとの推移を、把握し、改善に活かしましょう。

対策は、売上、原価、経費、利益、手取りを、セットで見る、自分に近い条件の数字を探す、記録を続けることです。

年商の目標を立てる5つのステップ

最後に、具体的な進め方を整理します。

ステップ1は、目標の手取りを、決めることです。生活費、税金、社会保険料、貯蓄から、必要な金額を、算出します。

ステップ2は、所得、必要な年商を、逆算することです。自分の業種の、経費率を仮定し、悲観・標準・楽観の、3パターンで、試算します。

ステップ3は、統計で、自分に近い条件の、数字を確認することです。中小企業実態基本調査(産業別・従業者規模別)や、新規開業実態調査を、参考にします(e-Statや、日本政策金融公庫の、公式サイトで、確認できます。要確認)。

ステップ4は、実現の見通しを、確認することです。単価、件数、稼働時間、集客の見込みから、積み上げます。

ステップ5は、数字を記録し、改善することです。月次の売上、経費、利益を、記録して、目標との差を、見直します。

副業から、始める場合は、勤務先の就業規則を確認してください。「副業 起業」の記事や、「プチ起業 事例」の記事も、参考になります。

まとめ|年商平均は「自分に近い条件の数字を探し、所得から逆算して使う」

年商の平均は、統計上、中小企業で、約2億円前後(1企業あたり)とされますが、平均値は大きな会社に引き上げられ、一人事業や小さな事業の実感とは、大きく異なります。業種、規模、形態が近い数字を探し、年商と所得を区別して、目標の手取りから逆算して使ってください。

まずは、目標の手取りを決め、経費率を仮定して、必要な年商を試算してください。

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