2026.09.29 起業ガイド
ガソリンスタンドの利益率は何%? 1リットルの儲けと税金の内訳、生き残るSSの収益構造
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毎日のように目にするガソリンスタンド(SS)。1リットル170円前後のガソリンのうち、お店の儲けはいったいいくらなのでしょうか。
結論から言うと、ガソリン販売の粗利益率は1割に届かず、SS事業者の営業利益率は1%台前半にとどまります。
この記事では、公的データと業界調査をもとに、ガソリンの利益率と価格の内訳、そして利益を生むSSの収益構造を解説します。
全国石油協会の「石油製品販売業経営実態調査」をもとにした集計(2022年度)では、商品ごとの粗利益率は次のとおりです。
| 商品・サービス | 粗利益率 | 売上に占める割合 | 粗利に占める割合 |
|---|---|---|---|
| ガソリン | 9.7% | 48.0% | 36.5% |
| 軽油 | 11.5% | 24.6% | 22.4% |
| 灯油 | 14.0% | 11.0% | 12.1% |
| 重油その他 | 9.1% | 11.8% | 8.5% |
| 油外(洗車、カー用品など) | 56.6% | 4.6% | 20.6% |
出典:ひろぎんホールディングス「SS業界の動向と今後の方向性」(2025年2月、全国石油協会「石油製品販売業経営実態調査報告書」をもとに作成)https://www.hirogin-hd.co.jp/research/__icsFiles/afieldfile/2025/03/13/industry_survey_202503_2.pdf
1事業者あたりの平均売上は約8.2億円ですが、粗利は約1.04億円です。ここから人件費や設備の維持費を払うと、営業利益率は1%台前半しか残りません。運営SSが3か所以下の小規模事業者では赤字企業の割合が高く、2022年度は全体の4割以上が営業赤字だったと推計されています。
1リットルあたりの儲けはいくら? ガソリン価格の内訳
2026年9月14日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は169.9円です。1リットルあたりのおおまかな内訳は次のようになります。
| 内訳 | 1リットルあたり | 説明 |
|---|---|---|
| 消費税(10%) | 約15.4円 | ガソリン税などを含めた価格全体にかかる |
| ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税の本則) | 28.7円 | 暫定税率(25.1円)は2025年12月31日に廃止 |
| 石油石炭税(地球温暖化対策税を含む) | 2.8円 | 原油の輸入段階で課税 |
| 本体価格(原油代、精製、元売、物流、SSのマージン) | 約123円 | このうちSSの取り分(マージン)は10円前後が目安 |
出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率の廃止について」https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/zanteizeiritsu.html、燃料油価格定額引下げ措置 https://nenryo-teigakuhikisage.go.jp/。小売価格は、中東情勢を受けた緊急的激変緩和措置(2026年9月17日以降の支給単価は1リットルあたり51.0円)で抑えられています。
SSのマージンが1リットル10円なら、50リットルを満タンにしてもお店の粗利は500円ほどです。
ここからアルバイトの人件費、クレジットカード手数料、地下タンクや計量機の維持費、電気代を払うことになります。
ガソリンの利益率が低い3つの理由
1. 商品で差別化できない
どのSSで入れてもガソリンの品質はほぼ同じです。
そのため、消費者はわかりやすい「価格」で店を選びます。隣の店より1円安いだけで販売量が大きく変わるので、値下げ競争が起きやすい構造になっています。
2. 需要が減り続けている
2023年度のガソリン販売量は4,450万キロリットルで、ピークから27.6%減りました。燃費の向上、ハイブリッド車やEVの普及、人口減少によって、今後も年2.6%ずつ減ると見込まれています。
3. 小規模事業者が多く、仕入れで不利
SS事業者の約9割は、運営SSが3か所以下です。
レギュラーガソリンの仕入単価は、年間販売量が1〜2万キロリットルの事業者で131.1円/L、2万キロリットル以上の事業者で125.7円/Lと、規模によって5円以上の差があります。マージンが10円前後の商売では、この差が死活問題になります。
給油所数の推移
| 年度末 | 給油所数 | 前年度比 | 揮発油販売業者数 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 28,475 | ▲530 | 13,008 |
| 令和4年度 | 27,963 | ▲512 | 12,754 |
| 令和5年度 | 27,414 | ▲549 | 12,407 |
| 令和6年度 | 27,009 | ▲405 | 12,113 |
| 令和7年度 | 26,412 | ▲597 | 11,832 |
出典:資源エネルギー庁「令和7年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」(2026年8月24日)https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/hinnkakuhou/260824.html
給油所はピークだった1994年度の約6万か所から半分以下になりました。地方では、近くにSSがない「SS過疎地」が社会問題になっています。
利益を生むSSの収益構造:カギは「油外収益」
ガソリンで稼げないなら、どこで稼ぐのか。答えは油外収益です。
粗利益率56.6%の油外収益は、売上ではわずか4.6%なのに、粗利では約2割を占めます。ガソリンは「集客商品」と割り切り、給油に来たお客に高粗利のサービスを提案するのが、生き残っているSSの共通点です。
| 油外メニュー | 特徴 |
|---|---|
| 洗車・コーティング | 来店したその場で提案でき、リピートにもなりやすい。高単価のコーティングで客単価を上げられる |
| タイヤ・バッテリー・オイル交換 | 無料点検をきっかけに提案販売しやすい |
| 車検・整備 | 1件あたりの粗利が大きく、年間の予約を積み上げられる |
| レンタカー・中古車販売 | 敷地の空きスペースを活用でき、収益機会が広がる |
| コンビニ・コインランドリー・宅配ボックス | 立地を生かした新分野。地域の生活拠点としての役割も担う |
出光興産が洗車・コーティングに特化した店舗「apollostation」系の新業態を広げているように、元売各社も油外への転換を進めています。
ガソリンスタンドで起業・参入を考えている人へ
ガソリン販売だけで新規参入して利益を出すのは、正直に言って非常に難しいのが現状です。
参入を考えるなら、既存SSの事業承継やM&Aで設備と顧客を引き継ぐ方法、洗車や車検など油外を主力にした業態で始める方法が現実的です。
まとめ
ガソリンの粗利益率は約9.7%で、1リットルあたりの儲けは10円前後が目安です。SS事業者の営業利益率は1%台前半しかありません。
価格の大部分は原油代と税金で、暫定税率の廃止や補助金もお店の利益を増やすものではありません。利益を出しているSSは、ガソリンで集客し、粗利率5割超の油外収益で稼ぐ構造をつくっています。

