2026.09.29 起業ガイド
ツアープランナーとは? 年収・必要資格と、独立して旅行会社を開くまでの手順
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ツアープランナーは、旅行会社でパッケージツアーや団体旅行を企画する人のことです。
仕事の中身は企画書づくりだけではありません。宿泊施設、バス会社、観光施設、飲食店などと交渉して枠を確保し、原価を積み上げて販売価格を決め、パンフレットやWebページで売るところまで担当します。
| 工程 | 主な業務 |
|---|---|
| 企画 | ターゲット、テーマ、季節、行程を決める。過去の販売データやSNSの流行を分析する |
| 仕入れ | ホテル、交通機関、観光施設と料金や人数枠を交渉する |
| 造成・価格設定 | 原価に利益を乗せ、最少催行人員や取消料を設計する |
| 販売・販促 | パンフレット、Webページ、OTA掲載の準備。販売チャネルとの調整 |
| 催行後の検証 | 参加者アンケートや収支を振り返り、次の企画に反映する |
よく混同される仕事に、ツアーに同行する「ツアーコンダクター(添乗員)」と、店頭で旅行を販売する「カウンタースタッフ」があります。小さな旅行会社では、1人がこの3つを兼ねるのも珍しくありません。
ツアープランナーの年収はどれくらい?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」には、ツアープランナー単独の統計がありません。ここでは近い職業のデータを目安として見ていきます。
| 職業(job tag) | 平均年収の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 旅行会社カウンター係 | 約511.9万円 | 企画・販売を担う旅行会社の正社員層に近い |
| ツアーコンダクター | 約396万円 | 派遣・契約の添乗員を含むため低めに出る |
出典:厚生労働省 job tag「旅行会社カウンター係」https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/109(数値は掲載時点の賃金構造基本統計調査による。最新値はリンク先で確認してください)
大手旅行会社の企画職は、正社員の給与体系に乗るので年収は安定しています。一方で、ヒット企画を出しても個人の収入に直結しにくいのが実情です。企画力を収入に直結させたいなら、次に紹介する「独立」が選択肢に入ってきます。
ツアープランナーに必要な資格
会社員としてツアープランナーになるのに、必須の資格はありません。ただし、旅行業法は旅行業者の営業所ごとに1人以上の「旅行業務取扱管理者」を選任するよう義務づけています。そのため、この資格があると転職でも独立でも大きな武器になります。
| 資格 | 扱える範囲 | 試験実施団体 |
|---|---|---|
| 総合旅行業務取扱管理者 | 国内旅行・海外旅行 | 日本旅行業協会(JATA) |
| 国内旅行業務取扱管理者 | 国内旅行のみ | 全国旅行業協会(ANTA) |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 | 営業所のある市町村と隣接市町村の旅行のみ | 観光庁 |
出典:観光庁「旅行業法概要」https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/ryokogyoho/ryokogyohogaiyo.html
2025年度の国内旅行業務取扱管理者試験の合格率は34.1%と報じられており、受験資格の制限もありません。未経験者は国内から受け、翌年以降に一部科目免除を使って総合に進むのが定番のルートです。なお、選任された管理者には5年ごとの定期研修が義務づけられています。
ツアープランナーになるには:3つのルート
1. 旅行会社に新卒・中途で入社する
いちばん確実なのは、まず旅行会社に入り、カウンターや法人営業で経験を積んでから企画部門に移る方法です。いきなり企画職で採用されることは多くありません。顧客の声を直接聞く経験が、企画力の土台になります。
2. 観光系の専門学校・大学で学ぶ
在学中に旅行業務取扱管理者を取っておくと、就職で有利になります。旅行業の実務(運賃・料金計算や約款)を体系的に学べるのも利点です。
3. 地域の観光事業者・DMOで着地型ツアーを企画する
最近は、自治体やDMO(観光地域づくり法人)、宿泊施設が、地域発の体験ツアー(着地型観光)を企画する例が増えています。旅行会社以外でも企画経験を積める道です。
独立して旅行会社を開くには? 旅行業登録の区分と要件
報酬を得て旅行の手配や販売をするには、旅行業法にもとづく登録が必要です。無登録で営業すると処罰の対象になります。登録区分と、主な財産的要件は次のとおりです。
| 区分 | 業務範囲の概要 | 基準資産 | 営業保証金(協会加入時の分担金) | 登録数(2026年4月1日時点) |
|---|---|---|---|---|
| 第1種旅行業 | 海外・国内の募集型企画旅行すべて | 3,000万円以上 | 7,000万円〜(1/5) | 599者 |
| 第2種旅行業 | 国内の募集型企画旅行など(海外募集型は不可) | 700万円以上 | 1,100万円〜(1/5) | 3,224者 |
| 第3種旅行業 | 受注型企画旅行・手配旅行。募集型は営業所周辺の区域に限定 | 300万円以上 | 300万円〜(1/5) | 5,081者 |
| 地域限定旅行業 | 営業所のある市町村と隣接市町村などの区域内の旅行に限定 | 100万円以上 | 100万円〜(1/5) | 870者 |
| 旅行業者代理業 | 所属する旅行業者の商品を代理販売 | 要件なし | 不要(所属旅行業者が負担) | 450者 |
出典:京都府「旅行業の登録関係」https://www.pref.kyoto.jp/kanko/ryokougyou.html、観光庁「旅行業法概要」。営業保証金は取扱額によって増えます。旅行業協会に加入すると、営業保証金の5分の1の「弁済業務保証金分担金」を納めることで供託に代えられます。登録数は観光庁公表の旅行業者数一覧をもとにした値です。
個人で着地型ツアーから始めるなら、財産的なハードルがいちばん低いのは「地域限定旅行業」です。受注型の団体旅行や手配を中心にするなら「第3種」が現実的な選択肢になります。
独立後の収支シミュレーション(地域限定旅行業・着地型ツアー)
地方で日帰り体験ツアーを月4回催行するケースで、収支を試算してみます。
| 項目 | 金額(月) | 前提 |
|---|---|---|
| 売上 | 96万円 | 1人12,000円 × 20人 × 月4回 |
| 仕入原価 | ▲52.8万円 | バス、ガイド、体験料、食事、保険(売上の55%) |
| 販売手数料 | ▲7.2万円 | 売上の半分をOTA経由で販売し、手数料15%と想定 |
| 固定費 | ▲10万円 | 事務所、通信費、Web広告、協会費 |
| 営業利益 | 約26万円 | 年間で約312万円 |
※試算は一例です。天候による中止や最少催行人員に届かないリスク、繁忙期と閑散期の差は含めていません。
単価が低く原価率が高いのが旅行業の特徴です。利益を伸ばすには、自社でしかできない体験を設計して単価を上げることと、OTAへの依存度を下げてリピーターや法人団体を直接獲得することが鍵になります。
ツアープランナーに向いている人
ツアープランナーに向いているのは、旅行が好きなだけでなく、数字と交渉ができる人です。原価計算で1人あたり数百円の差を詰められるか。宿泊施設やバス会社と長く付き合える信頼関係を築けるか。
こうした地道な力が、企画の面白さと同じくらい大切です。トラブル時に冷静に代替手配ができる対応力も欠かせません。
まとめ
ツアープランナーは資格がなくても始められる仕事です。
ただ、旅行業務取扱管理者を取っておくと、転職でも独立でも選べる道が大きく広がります。会社員の平均年収は500万円前後が目安です。
独立する場合は、地域限定旅行業(基準資産100万円から)や第3種旅行業で小さく始め、地域ならではの体験ツアーで単価を上げていくのが現実的な戦略です。

