2026.09.30 起業ガイド
靴修理は儲からない?需要・単価・機械投資の現実と、収益を出す工夫
Index
「靴修理の職人に憧れて、独立を考えている。でも、靴修理は儲からないと聞く。本当のところ、どうなのだろう」。そんな不安を、抱えていませんか。
靴修理は、技術を磨けば、長く続けられる職人の仕事ですが、需要が減少傾向にあると言われ、客単価も上げにくく、機械の初期投資も必要なため、「儲からない」という声が、あるのも事実です。一方で、粗利は高いとされ、工夫次第で収益を出している店も、あります。
この記事では、「儲からない」と言われる理由、粗利の考え方、開業資金、収益の試算、儲けを出す工夫、フランチャイズの見方、失敗しやすい点、進め方を、順に解説します。
読み終えるころには、靴修理を、感覚ではなく、数字で判断するための視点が、身につきます。職人の独立全般は、「職人 独立 儲かる」の記事も、参考にしてください。
靴修理が「儲からない」と言われる4つの理由
靴修理が、儲からないと言われる背景を、整理します(数字や状況は、時期・地域・店で異なります。要確認)。
1. 需要の減少
家計調査年報をもとにした解説では、被服および靴の修理にかかる年間支出は、1992年にピークを迎え、その後は減少傾向にあると、紹介されています(靴修理に特化したデータではなく、傾向を示す参考)。背景として、低価格の靴が増え、「壊れたら買い替える」人が増えたことが、挙げられます。
2. 客単価を上げにくい
靴修理は、ソール交換・かかと修理・補修など、料金の相場が、ある程度決まっているため、単価を大きく上げにくいと、解説されています。客単価は、約3,500円とする、シミュレーションもあります(J-Net21)。紳士靴のかかと修理は、大手チェーンで3,000円台からと紹介されています。
3. 機械の初期投資が必要
フィニッシャー(研磨機)や圧着機など、専用の機械が必要で、他のサービス業に比べて、初期費用がかかると、言われます。新品で主要機械をそろえると、機械代だけで200万円近くになるという解説もあります。
4. 技術の習得に時間がかかる
修理の技術を身につけるまで、学校や、修行の期間が必要で、収入を得るまでに、時間がかかります。
このほか、材料費の上昇や、材料の入手の難しさ、大手チェーンとの競争、通行量に頼る集客の難しさも、課題です。
つまり、「成熟・縮小気味の市場で、単価が伸びにくく、初期投資と技術が必要」という構造が、「儲からない」印象につながっています。
一方で「粗利は高い」と言われる理由
一方で、靴修理には、収益面の強みも、あります。
・粗利が高い:靴修理の学校の説明では、靴修理の粗利は、一般的に70〜80%程度と高いと、紹介されています(材料費が、売上に占める割合が小さいため。学校の説明であり、参考値。要確認)。
・小さなスペースで開業できる:3〜5坪ほどのスペースがあれば開業可能と、紹介されています。固定費(家賃)を抑えやすい。
・在庫リスクが小さい:修理は、注文を受けてから、材料を使うため、売れ残りが、少ない。
・リピートが見込める:信頼を得れば、靴以外(かばんなど)の依頼にも、つながります。
・高度な技術には、付加価値がつく:ブランド靴のロゴや意匠を生かしたソール補強、ヒールの独自デザインへのアップグレードなど、オーダーメイド感覚の依頼があり、高度な技術を持つ店は限られるため、高い付加価値を付けて収益を上げられるという解説もあります。
つまり、「粗利は高いが、客数と単価が限られ、固定費を賄えるかが勝負」という側面があります。
「粗利が高い」ことは、「利益が高い」ことと、同じではありません。家賃・機械の返済・人件費・広告費を引いた後の、所得で、判断しましょう(「年商平均」の記事や、「一人 起業 年収」の記事を参照)。
開業資金の目安
靴修理の開業資金は、店舗を構えるか、自宅・無店舗で行うかで、大きく変わります(金額は、第三者の解説の目安で、地域・機械・規模で異なります。要確認)。
店舗型(路面店・商業施設):約300万〜500万円と、紹介する解説があります。内訳の例:
・物件取得費(敷金・礼金など):100万〜200万円
・内装工事費:50万〜100万円
・機械・工具代:150万〜200万円
・材料費・広告費:50万円
別の解説では、初期費用 200万〜300万円、運営資金 100万円程度や、機材費 100万円、工具 10万円、在庫 20万円、不動産契約 100万円、内装 30万円、広告費 20万円で、合計 280万円とする例も、あります。
自宅・マンションの一室・無店舗型(郵送修理・完全予約制):約100万〜200万円、無店舗(自宅・出張)型で50万〜100万円とする解説もあります。家賃がかからず、中古の機械を活用すれば、さらに費用を圧縮できる反面、通りがかりの集客が期待できないため、Webサイト・SNSでの発信が、生命線になります。
機械の調達:フィニッシャー(中古)で20万〜50万円とする例があります。中古市場の活用、必要最低限の機能に絞る、部材は問屋と直接取引することで、コストを抑えられます。
資金が限られる場合は、まず、無店舗・自宅型で始め、資金を貯めてから、店舗を持つという、段階的な進め方が、堅実です。資金調達は、「創業融資 名古屋」の記事や、「起業したい お金がない」の記事も、参考になります。
収益の試算(仮の例)
「儲かるのか」を、数字で確認しましょう。以下は、あくまで計算の型を示す仮の例です。実際の客数・単価・費用は、立地・技術・集客で、大きく異なります(要確認)。
小さな店舗(1人運営)の、月の収支(仮の数字)
客単価:3,500円/1日の客数:12人/営業日数:月26日
→ 月の売上:3,500 × 12 × 26 = 約109万円
・材料費(売上の 25%と仮定):約27万円
・家賃:約15万円/光熱費・通信:約3万円/広告・保険・消耗品:約4万円/機械の返済(仮):約8万円
→ 残り:約52万円(税金・社会保険料の前)
この例は、1日12人の来店が、安定して続く場合です。1日6人(客数が半分)なら、売上 約55万円、材料 14万円、固定費 30万円で、残り 約11万円まで下がります。1日4人なら、赤字に近づきます。
自宅・郵送型(家賃なし):固定費は小さい反面、客数の確保が課題で、月に40件、客単価 6,000円(郵送・オーダー中心)なら、売上 24万円ですが、件数を増やすには、発信・集客が必要です。
このように、損益は、客数の確保で決まります。「1日に、何人来れば黒字か」(損益分岐点)を、必ず、計算してください。悲観的なケース(客数が半分)でも、続けられるか、確認しましょう。
儲けを出す7つの工夫
靴修理で、収益を出すための工夫を、整理します(成功が保証されるものではありません)。
1. 高付加価値の修理・オーダーを提供する
ブランド靴のソール交換・ヒールの修理・サイズ調整・カスタム・オールソール(全面張り替え)など、単価の高い修理を、伸ばします。技術が、差別化と単価の根拠です。
2. 郵送・宅配修理で、商圏を広げる
店の周りの人だけでなく、全国から、依頼を受ける。ホームページ・SNS・地図検索での、発信が重要(「SNS運用代行 起業」の記事を参照)。
3. 修理+αの提案で、客単価を上げる
靴磨き・防水・クリーニング・インソール・ケア用品の販売など。「修理のついでに」の提案が、客単価を押し上げます。
4. かばん・財布・ベルト・合鍵・時計など、周辺の修理を併設する
修理の幅を広げ、来店の理由を増やす。ミスターミニットなどは、靴修理に加え、合鍵作製・時計修理などを組み合わせていると、紹介されています。
5. 法人・他店からの下請けを受ける
百貨店・靴店・ブランドショップ・ホテル・クリーニング店などからの、修理の受託。安定した仕事になる可能性があります(単価は低めのことも)。
6. 教室・講座・ワークショップを行う
靴磨き教室、靴の手入れ講座、修理体験など。収入源を増やし、ファンを作る。
7. 立地・営業形態を工夫する
駅・商業施設・百貨店の中、催事への出店、出張修理など。家賃と客数のバランスが、重要です。
補助金や税制優遇(小規模事業者持続化補助金など)の活用も、初期費用を抑える助けになる場合があります(要確認)。
フランチャイズで始める場合の見方
靴修理には、フランチャイズ(ミスターミニット、リアット!など)が、あります。ブランド・技術指導・集客の支援を受けられる反面、加盟金・ロイヤリティ・契約の制約が、あります(条件は、本部の最新情報で確認してください。要確認)。
確認したい点:
・加盟金・保証金・研修費・内装費・ロイヤリティなどの総額。
・収益モデルの根拠:誰の、何店舗の、いつの実績か。
・契約期間・解約の条件・違約金・競業避止。
・店舗の立地は、誰が選ぶか。
・既存の加盟店の、実際の収入と労働時間。
・靴修理の需要の動向。
一般的なフランチャイズの確認点は、「fc始め方」の記事を、参考にしてください。「靴修理で簡単に儲かる」という、高額なフランチャイズ・開業パッケージ・教材の勧誘には、注意が必要です。契約前に、内容を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます。
靴修理の開業で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します。
1つ目は、需要の減少と、単価の限界を見込まないことです。客数が、想定より少なくなります。
2つ目は、技術が不十分なまま、開業することです。品質の問題は、信用を失います。修理の店・学校で、経験を積むことが必要です。
3つ目は、機械に過剰投資し、返済が重荷になることです。中古や、最小限から始めます。
4つ目は、通行量に頼った立地選びで、家賃が高いことです。固定費が、利益を圧迫します。
5つ目は、集客・発信の準備がないことです。特に、無店舗・自宅型では、致命的です。
6つ目は、「粗利が高い」を「利益が高い」と誤解することです。
7つ目は、安さで、大手と競争することです。技術・付加価値で、差別化します。
8つ目は、材料の仕入れ・在庫の管理が甘いことです。材料の価格の上昇にも、注意します。
9つ目は、一人で抱え込み、長時間労働になることです。
10つ目は、「靴修理で、簡単に稼げる」という、勧誘に乗ることです。
対策は、損益分岐点の把握、技術の習得、小さく始める(自宅・無店舗)、付加価値と周辺サービス、発信、保守的な試算です。
靴修理で開業する5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、靴修理店・学校で、技術と経営の実態を学ぶことです。修理の技術、見積もり、客単価、客数、材料費を、体験して確かめます。
ステップ2は、提供する価値と、営業の形(店舗・自宅・郵送・出張・法人)を決めることです。強みになる、修理のジャンルを絞ります。
ステップ3は、損益分岐点を、悲観的なケースを含めて試算することです。客数が半分でも、続けられるか、確認します。
ステップ4は、機械・材料・立地・集客の入り口(ホームページ・地図検索・SNS)を、最小限で整えることです。
ステップ5は、小さく始め、客数・単価・材料費を記録して、周辺サービスや法人受託に、広げることです。開業届などの手続きも、行います(期限は要確認)。
焦らず、技術と数字を、両立させましょう。
まとめ|靴修理 儲からないは「需要・単価・固定費」を数字で確かめて、工夫で変える
靴修理が「儲からない」と言われるのは、需要の減少傾向、客単価の伸びにくさ(約3,500円の試算)、機械の初期投資、技術習得の時間があるためですが、粗利は高いとされ、小スペースで始められる強みもあります。損益分岐点を保守的に試算し、高付加価値の修理、郵送、周辺サービス、法人受託で収益を出す工夫をしてください。
まずは、靴修理店や学校で技術と数字の実態を学び、客数が半分でも続けられるか、損益分岐点を試算することから始めてください。

