2026.09.30 起業ガイド
NPO法人の収入源|事業収益・寄付・助成金・会費の割合と、資金の組み立て方
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「NPO法人を立ち上げたいが、活動のお金は、どこから入ってくるのだろう。寄付や助成金だけで、運営できるのだろうか」。そんな疑問を、持っていませんか。
NPO法人(特定非営利活動法人)は、「寄付で運営される団体」というイメージを、持たれがちですが、実態は少し違います。内閣府の調査では、一般的なNPO法人(認証法人)の収入の約8割は、「事業収益」で、寄付金は、ごくわずかです。収入の組み立て方を知らずに始めると、活動が続かなくなる恐れがあります。
この記事では、NPO法人の収入源の全体像、データで見る内訳、収入源ごとの特徴、収益事業の課税、収入の組み合わせ方、リスク、失敗しやすい点、進め方を、順に解説します。
読み終えるころには、NPO法人の「お金の設計」を、現実的に考えられるようになります。
NPO法人は「利益を出してはいけない」わけではない
まず、よくある誤解を、解いておきましょう。
NPO法人の「非営利」とは、利益を出してはいけない、という意味ではなく、「得た利益を、構成員(役員・会員など)で分配せず、次の活動に使う」という意味です(詳細は、特定非営利活動促進法や、所轄庁の案内で確認してください。要確認)。
・事業を行って、収益を得ることは、認められています。有料のサービス、物販、受託事業なども、行えます。
・収益は、活動の費用や人件費に充てることが、できます。職員に給与を支払うことも、可能です。
・役員報酬には、制限(報酬を受ける役員の数が、役員総数の3分の1以下など)があります(要確認)。
・剰余金(利益)は、構成員に分配できず、活動に再投資します。
つまり、NPO法人も、「お金を稼ぐ仕組み」を、持たなければ、続きません。「良い活動をしていれば、寄付が集まる」とは限らないのが、現実です。
データで見る収入源|認証法人は事業収益が約8割
内閣府は、3年に1度、「特定非営利活動法人に関する実態調査」を実施しています。直近は、令和5年度(2023年度)の調査で、全国のNPO法人6,591法人を対象に、2,937法人が回答(回収率44.6%)しました(詳細は、内閣府NPOホームページで確認してください。要確認)。
経常収益の内訳(令和5年度):
・認証法人(一般的なNPO法人):事業収益 81.4%、補助金・助成金 12.3%、会費 2.4%、寄附金 1.7%(その他収益を除く。会費と寄附金を合わせても、約4%)。
・認定・特例認定法人(税制優遇のある、認定NPO法人):寄附金 48.2%、補助金・助成金 24.6%、事業収益 24.2%、会費 2.3%。
つまり、一般的なNPO法人は、「サービスの対価や、受託事業の収入」が、収入の中心で、補助金・助成金は、それを補う位置づけです。一方、認定NPO法人は、寄附金が最大の収入源となっています。
過去との比較:10年前(平成25年度)の調査では、認証法人の事業収益が 55.3%、補助金・助成金が 16.7%と紹介されており、事業収益の割合が、増えている傾向が読み取れます(調査方法・対象が異なるため、単純比較は注意。要確認)。
「主たる収入源」の回答としては、認証法人では「会員からの会費収入」が最も多く、認定・特例認定法人では「個人や民間(企業)からの寄附金」が最も多いと、報告されています(法人が、活動ごとに挙げる収入源の回答で、金額の割合とは別の指標)。
補助金・助成金を受け取っていない法人も、多くあります(認証法人で、補助金・助成金が0円の法人が4割台と、紹介する解説あり。要確認)。「NPOは、補助金頼み」とは限らないのが、データから見える姿です。
収入規模は、法人ごとに大きな差があります。平均値と中央値の乖離が大きく、小規模な法人が多数を占めます(古い調査でも、平均値が中央値の数倍と報告)。寄附の中央値が0円の法人が多いなど、寄付に頼ることの難しさも、うかがえます。
収入源①|事業収益(自主事業・受託事業)
NPO法人の収入の中心が、事業収益です。大きく、2つに分けられます。
1. 自主事業(自分たちで企画し、対価を得る事業)
・利用者・参加者からの料金:教室、講座、イベント、相談、レンタル、施設の利用料など。
・物販・出版:活動に関連する商品・書籍・農産物・工芸品の販売。
・会員向けサービス。
メリット:使途が自由で、行政や企業の意向に左右されにくい。サービスが評価されれば、継続的な収入になる。
デメリット:利用者の支払い能力に、限りがある活動(福祉・貧困支援など)では、料金を取りにくい。集客・営業力が、必要。
2. 受託事業(行政・企業・他の団体から、事業を委託される)
・行政の委託事業:子育て支援、就労支援、生活困窮者支援、地域づくり、公共施設の指定管理など。
・企業からの委託:CSR活動、調査、研修、共同事業。
・介護保険・障害福祉サービスの報酬:指定を受けた事業所として、サービスを提供し、報酬を受ける(法人格が求められる制度の一つ。「福祉 用具 立ち 上げ」の記事や、「作業療法士 起業」の記事でも、指定事業の考え方に触れています)。
メリット:まとまった金額の、継続的な収入になりやすい。
デメリット:委託元への依存、事業の終了(入札・契約更新)、報告・事務の負担、低い委託費で赤字になることがある。
事業収益で大切なこと:「誰が、何に対して、お金を払うのか」を、明確にすることです。受益者(サービスを受ける人)と、支払者(お金を払う人)が異なる場合(例:子どもが受益者、行政・保護者・企業が支払者)も、あります。
収入源②③④|会費・寄付金・補助金・助成金
事業収益以外の収入源を、整理します。
会費
正会員・賛助会員などからの会費。認証法人では、会費収入の割合は、約2%と小さい反面、「会員からの会費が、主たる収入源」と回答する法人が最も多いなど、活動を支える、基盤としての役割があります。会員の数と、会費の金額で決まり、会員の維持・拡大が、課題です。
寄付金
個人・企業からの寄付。認証法人の経常収益に占める割合は、1.7%と小さく、個人寄付・法人寄付の中央値が0円の法人が、多いと報告されています。一方、認定・特例認定NPO法人では、寄附金が約5割を占めます。認定NPO法人になると、寄附者が、税制上の優遇(所得控除・税額控除・法人の損金算入枠の拡大など)を受けられるため、寄付を集めやすくなるとされます(認定の要件・制度の詳細は、所轄庁で確認。要確認)。クラウドファンディング、遺贈寄付、物品の寄付など、寄付の形もさまざまです。
補助金・助成金
・行政の補助金:国・自治体の制度。
・民間の助成金:助成財団・企業財団・社会福祉法人などの助成。
メリット:立ち上げ期や、新規事業の資金になる。
デメリット:単年度(1〜3年)で終了する、使途が限定される、精算払い(後払い)が多く、立替資金が必要、申請・報告の事務負担、人件費や管理費を認めない助成もある。継続的な運営費としては、不安定です。
その他の収入:預金の利息、資産の運用、保有資産の売却、雑収入など。
「寄付を集めれば、運営できる」と考えるのは、危険です。データが示すとおり、寄付だけで、運営を賄える法人は、ごく一部です。
収益事業と課税|知っておきたい注意
NPO法人は、公益的な活動を行う法人ですが、すべての収入が、非課税というわけではありません(詳細は、税務署・税理士に確認してください。要確認)。
法人税の「収益事業」:NPO法人が行う事業のうち、法人税法で定められた収益事業(物品販売業、不動産貸付業、飲食店業、請負業、出版業、教育・技芸の教授など、34業種)に該当するものは、法人税が課税されるとされています。収益事業に該当しない事業(会費、寄付金、補助金・助成金、非該当の事業)は、課税されないのが原則です。NPO法人の「特定非営利活動事業」であっても、収益事業に該当すれば課税対象になる場合がある点に、注意が必要です。
消費税:課税売上高が、一定額を超えると、納税義務が生じる(要確認)。インボイス制度の対応も、必要になる場合があります。
住民税の均等割:赤字でも、均等割がかかる場合がある。ただし、申請により、減免される自治体もある(要確認)。
「その他の事業」(定款上):特定非営利活動に係る事業以外の事業(たとえば、収益を得て、活動に充てる事業)を行う場合は、定款に定め、会計を区分し、得た利益は、特定非営利活動事業に充てる必要があります(要確認)。
税務・会計は、複雑です。設立時から、税理士や、NPOの支援センターに、相談することをおすすめします。
収入源の組み立て方(仮の例)
収入源を、どのように組み合わせるかを、考えてみましょう。以下は、あくまで計算の型を示す仮の例です。実際の金額は、活動・地域・規模で、大きく異なります(要確認)。
子育て支援を行う、小規模なNPO法人(職員2名、仮の数字)の、年間の収入計画
・自主事業(親子教室・一時預かりの利用料):300万円
・行政からの受託事業(地域子育て支援):350万円
・会費(正会員 40人 × 3,000円 + 賛助会員):15万円
・寄付金(個人・企業・クラウドファンディング):35万円
・民間の助成金(新規事業):100万円
→ 年間の収入:約800万円
支出:
・人件費(職員2名、社会保険を含む):約480万円/事業費(教材・会場・保険・外注):約200万円/管理費(事務所・通信・会計・税理士):約90万円
→ 年間の支出:約770万円 → 収支差:約30万円
この仮の例のポイントは、次のとおりです。
・収入源を分散している(一つの収入源が、なくなっても、全滅しない)。
・助成金は、一部の新規事業に限り、運営費の柱にしない。
・管理費(事務所・会計など)を、事業収益や受託費で、賄えるよう設計している。
・人件費を、継続的な収入(受託・事業収益)で賄う。
悲観的なケース:行政の受託が、次年度、更新されなかった場合(350万円の減収)でも、続けられるかを、確認します。
収入計画を作るときの、視点:
1. 固定費(人件費・事務所・管理費)を、賄える収入は、何か。
2. 継続性のある収入(利用料・会員・複数年の受託)と、単発の収入(助成金・イベント)を、分けて考える。
3. 収入の入金時期(後払いの助成金・委託費)と、支出のタイミングの差を、資金繰りで見る。
4. 1つの収入源への依存度(5割を超えないかなど)を、確認する。
リスクと、資金繰りの注意
NPO法人の収入には、特有のリスクがあります。
・補助金・助成金への依存:制度の終了・縮小、採択されない、要件の変更で、収入が途絶える。
・行政の委託への依存:入札・契約更新の不確実性、委託費が安く、赤字になる(人件費を含まない設定など)。
・後払いによる資金繰りの悪化:助成金・委託費の精算払い(事業終了後の入金)で、その間の立替資金が必要。
・キーパーソンへの依存:代表者や、特定のスタッフの負担が大きく、離脱すると活動が止まる。
・ボランティアに頼りすぎ:人件費をかけず、善意に依存する運営は、持続しにくい。
・会計の不透明さ・報告の不備:信頼を損ない、寄付・助成が得られなくなる。NPO法人は、事業報告書・計算書類を、毎年、所轄庁に提出し、閲覧できるようにする義務があります(要確認)。
・収入が減った場合の、赤字の連鎖。
対策:収入源の分散、自主事業の育成、資金繰り表の作成、運転資金の確保、複数年の契約や、助成の獲得、会計の明朗化、後継者の育成。
資金の調達:日本政策金融公庫などの、融資が利用できる場合もあります。
NPO法人の収入で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します。
1つ目は、「寄付や助成金だけで、運営できる」と考えることです。データが示す現実と、異なります。
2つ目は、1つの収入源(助成金・特定の委託)に依存することです。
3つ目は、管理費・人件費を賄う収入を、設計しないことです。事業費だけで、計画してしまいます。
4つ目は、後払いの資金繰りを、見込まないことです。
5つ目は、収益事業の課税・消費税・会計の処理を、確認しないことです。
6つ目は、利用者が支払えない活動で、料金設計ができず、赤字が続くことです。受益者と支払者を、切り分けます。
7つ目は、認定NPO法人の取得を、安易に考えることです。要件(寄付者数・情報公開・経理など)があります。
8つ目は、ボランティアの善意に、頼りすぎることです。
9つ目は、報告・会計の不備で、信頼を失うことです。
10つ目は、「NPO法人を作れば、補助金がもらえる・簡単に稼げる」という、高額な、設立代行・コンサル・講座の勧誘に乗ることです。内容と実績を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます。
対策は、収入源の分散、自主事業の育成、固定費を賄う収入の設計、資金繰りの管理、税務・会計の確認、会計の透明性、専門家・支援センターの活用です。
NPO法人の収入を設計する5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、活動の目的と、受益者・支払者を整理することです。誰が、何に対して、お金を払うのかを、明確にします。
ステップ2は、必要な費用(事業費・人件費・管理費)を、見積もることです。固定費を、月単位で把握します。
ステップ3は、収入源の候補(自主事業・受託・会費・寄付・助成金)を挙げ、継続性のある収入で、固定費を賄えるか、試算することです。悲観的なケースも確認します。
ステップ4は、税務・会計・法人形態を、専門家・NPO支援センターに相談することです。所轄庁にも、確認します。
ステップ5は、小さく始め、収入源ごとの実績を記録して、分散と自主事業の育成を進めることです。認定NPO法人の取得は、実績を積んでから、検討します(期限・要件は要確認)。
焦らず、「お金の設計」を、活動の設計と同じくらい、丁寧に行いましょう。
まとめ|NPO法人 収入源は「事業収益が約8割、寄付は一部」で組み立てる
NPO法人の収入源は、内閣府の令和5年度調査で、認証法人は事業収益が81.4%、補助金・助成金が12.3%、会費と寄附金は合わせて約4%、認定NPO法人は寄附金が48.2%という構成でした。寄付や助成金に頼りきらず、自主事業と受託事業で固定費を賄い、収入源を分散し、収益事業の課税や資金繰りにも備えてください。
まずは、活動の受益者と支払者、必要な固定費を整理し、継続性のある収入で賄えるかを、試算することから始めてください。

