2026.09.30 起業ガイド
公認会計士の独立は難しい?理由・現実の数字と、乗り越えるための準備
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「公認会計士として、いつかは独立したい。でも、独立は難しいと聞く。難関資格を持っていても、うまくいかないことがあるのだろうか」。そんな不安を、抱えていませんか。
公認会計士は、難関の国家資格で、市場価値が高く、独立を選ぶ人も、多くいます。一方で、「資格があれば、独立して成功できる」わけではなく、営業・税務実務・差別化・収入の不安定さなど、資格とは別の壁があることも、よく指摘されます。
この記事では、独立の現状、難しいと言われる理由、独立後の収入の目安、難しさを下げる準備、独立の形、失敗しやすい点、進め方を、順に解説します。
読み終えるころには、独立の「難しさの正体」と、備えるべきことが整理できます。
独立の現状|独立している公認会計士は約4分の1
まず、独立の現状を、確認します(数字は、調査の時期・定義で異なります。要確認)。
・独立開業している公認会計士の割合は、約4分の1と、みられています。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、自営・フリーランスとして独立している公認会計士の割合は 23.4%、日本公認会計士協会の近畿会の資料では 25.5%と紹介されています。
・つまり、4人に3人は、監査法人・事業会社・税理士法人・コンサルなどの組織に所属しています。
・監査法人に勤務する公認会計士の年収は、700万〜1,100万円程度との紹介があります(賃金構造基本統計調査をもとにした解説。監査法人の規模で幅がある。要確認)。
・独立後の年収は、1,000万〜3,000万円程度、うまくいけばそれ以上と、紹介する解説もあります。ただし、「うまくいった人」の数字が、目立つ点に、注意が必要です。
「独立すれば、年収が上がる」という見方もありますが、独立する人の中には、収入が安定するまでに、苦労する人も少なくありません。士業全体で、独立後に事務所を続けられない人も一定数いるとの指摘もあります(出典・時期によって数字が大きく異なり、確かな統計ではありません)。
公認会計士の独立が「難しい」と言われる背景を、次から見ていきましょう。
独立が難しいと言われる6つの理由
公認会計士の独立が難しいとされる理由を、整理します(一般的に指摘される点で、すべての人に当てはまるわけではありません)。
理由①|監査という「独占業務」を、独立して受けにくい
公認会計士の中心的な業務は、監査業務ですが、上場企業などの法定監査は、通常、監査法人が組織として担うものです。個人の会計士が、独立して、単独で受けられる監査は限られ、「監査を強みに独立」しても、他の会計士と同じ内容になり、差別化しにくいと指摘されます。独立後は、監査法人の非常勤・補助(スポット)として関わる、または、監査以外の業務(税務・コンサルなど)で稼ぐ形が多くなります。
理由②|税務は、税理士登録が必要で、税務実務の経験が不足しがち
公認会計士は、登録の手続き(税理士登録)を行うことで、税理士業務ができるとされています(手続きの詳細は、日本税理士会連合会などで確認。要確認)。独立後の主要な収益源の一つは、中小企業の税務申告や顧問業務ですが、監査法人出身の会計士は、税務実務の経験が少ない場合があり、監査とはルールや視点が大きく異なるため、思わぬミスを招くおそれがあります。
理由③|営業(顧客獲得)が、最大の壁
監査法人では、仕事が組織から与えられますが、独立後は、自分で顧客を見つける必要があります。高い専門性があっても、営業活動をしなければ、顧客は獲得できません。人脈のない状態で独立すると、失敗する可能性が高いとの指摘があります。紹介プラットフォームを利用すると、手数料が大きい(初年度に年間顧問料の大きな割合を取られる例が、紹介されている)ため、利益が圧迫される面もあります。
理由④|差別化の難しさ
競合は、税理士・他の公認会計士・コンサルタント・会計ソフト会社・記帳代行サービスなど。「会計士だから」というだけでは、選ばれにくく、専門分野・ターゲットの絞り込みが必要です。
理由⑤|収入の不安定さ
顧客の獲得に時間がかかる独立初期は、収入が少ない。専門性のある分野で独立する場合、顧客の獲得が難しい1年目は、収入が 400万円以下になることもあるとの紹介があります。体調を崩して稼働できなくなっても、事務所が支えてくれない。
理由⑥|独立に伴うコストと責任
日本公認会計士協会の会費(年間 15万〜16万円程度と紹介)を、これまで会社が負担していた場合は、自己負担になる。事務所の家賃、通信、ソフト、保険(賠償責任保険)、社会保険(国保・年金)、税理士会の会費なども。独立後の責任(業務上のミスによる賠償)も、重い。
独立後の収入の目安と、収入源
独立後の収入と、主な収入源を、整理します(数字は、解説記事の目安で、個人差が非常に大きい。要確認)。
主な収入源:
1. 監査法人の非常勤・補助(スポット):日当 3万〜5万円程度と紹介されます。コンスタントに引き受けられれば、月に 100万円程度の収入になる場合があるとの解説も。収入の下支え(ベース)になり得ますが、監査法人の案件次第で、安定しない面も。
2. 税務・会計顧問(中小企業):税理士登録が前提。月額の顧問料(ストック収入)。顧問先を積み上げるまでに、時間がかかる。
3. コンサルティング(財務・管理会計・経営改善・資金調達)。
4. IPO(株式上場)支援、内部統制、M&A・企業価値評価(バリュエーション)、事業承継:専門性が高く、単価が高い分野。経験・実績が必要。
5. スタートアップの社外CFO・経理体制の構築。
6. セミナー講師・執筆・研修。
7. 会計ソフト・システム導入支援、DX支援。
8. 国際税務・海外進出支援、医療法人・学校法人・NPOなど特定分野の会計。
収入の目安(紹介されている例):
・独立後の平均年収:1,000万〜3,000万円程度と紹介(組織に所属するよりも高くなる傾向、との解説)。
・初年度の壁:売上の不安定さ。専門分野で独立した場合、1年目は 400万円以下になる例も。
・うまくいけば、数年後に 3,000万円、5,000万円と紹介する解説もありますが、営業力・専門性・人脈・時間の投入によって、大きく異なります。
・複数の収入源を組み合わせて、5,000万円〜1億円の事業規模を目指せるとの紹介もありますが、一部の成功例です。
手取りの視点:売上から、経費・協会費・保険・社会保険料・税金を引いたものが、実際の手取りです。収入の数字は、売上なのか所得なのかを、確認しましょう(「1000万円稼ぐには」の記事を参照)。
難しさを下げる準備|勤務時代からできること
独立の難しさは、準備によって、下げられる部分があります(成功が保証されるものではありません)。
1. 勤務時代に、税務・会計顧問の実務を経験する
監査だけでなく、税務申告・決算・顧問業務の経験を積む(税理士法人・会計事務所・事業会社の経理財務・コンサルなど)。実務の型を身につけておくと、独立後のミスを減らせます。
2. 専門分野・ターゲットを絞る
「何でもできる会計士」ではなく、「◯◯業界の△△に強い会計士」。医療・介護、IT・スタートアップ、不動産、建設、飲食、事業承継、IPO、国際、M&Aなど。ニーズがあり、競合が少ない分野を選ぶ。
3. 人脈・紹介ルートを作る
元の同僚、クライアント、経営者、金融機関、弁護士・社会保険労務士・司法書士・不動産会社などの他士業との関係。紹介が、最も強い集客。
4. 収入の下支え(ベース)を確保する
監査法人の非常勤・スポット案件、業務委託、顧問契約など、独立初期の収入の柱を、事前に確保する。
5. 副業・兼業で、試す
在職中に、副業として小さく顧問先やコンサル案件を受けることで、営業・実務を試せる場合があります。勤務先(監査法人など)の就業規則・独立性・守秘義務・利益相反のルールを、必ず確認してください(監査法人では、副業や兼業に厳しい制限がある場合が多い。「副業 起業」の記事を参照)。
6. 発信で信頼を作る
ブログ・SNS・セミナー・書籍・専門メディアでの執筆。専門分野の情報発信。
7. 資金の余裕を持つ
運転資金と生活費(6か月〜1年分)を確保する。
8. 仲間と組む
他の会計士・税理士と共同で事務所を持つ、業務を分担することで、営業・案件・コストの負担を分け合える。
9. 相談先を持つ:日本公認会計士協会の地域会、先輩の独立会計士、商工会議所、税理士など。
独立の形と、コスト
独立の形と、必要なコストを、整理します(詳細は、日本公認会計士協会・日本税理士会連合会などで確認してください。要確認)。
独立の形:
・個人で会計士事務所を開業:開業届・青色申告。自宅・レンタルオフィス・コワーキング・小さな事務所で、初期費用は小さく始められる(「土地 家屋 調査士 開業資金」の記事のような、機材に多額の投資が必要な士業と比べて、初期投資は小さい傾向)。
・税理士登録をして、税理士事務所を兼ねる。
・法人(会計コンサルティング会社、税理士法人)を設立:人を雇い、規模を拡大する場合。
・共同事務所・パートナー制。
・フリーランスとして、複数の会社・監査法人から業務委託。
主なコスト:
・日本公認会計士協会の会費:年間 15万〜16万円程度と紹介(会社が負担していた場合は、自己負担に)。
・税理士登録の費用、税理士会の会費(税務を行う場合。要確認)。
・事務所の費用(家賃、通信、パソコン、会計・税務ソフト、書籍・研修)。
・賠償責任保険:業務上のミスに備える。
・国民健康保険・国民年金(会社員時代の社会保険から切り替え)。
・研修費・継続的専門研修(CPE)の費用。
・紹介サイトなどの、集客コスト。
初期費用は、小さく済む反面、収入が安定するまでの生活費を、見込む必要があります。
会社員時代との違い:社会保険・有給・賞与・退職金がない。自分で、営業・請求・経理・税金の管理を行う。
公認会計士の独立で、失敗しやすいポイント
失敗しやすい点を、整理します(「公認会計士 独立 失敗」の記事で、より詳しく解説しています)。
1つ目は、「資格があれば、顧客は来る」と考えることです。営業と人脈が必要です。
2つ目は、税務実務の経験が不足したまま、税務顧問を受けることです。ミスが信頼と賠償につながります。
3つ目は、監査だけを強みにして、差別化できないことです。
4つ目は、紹介プラットフォームの手数料に依存し、利益が残らないことです。
5つ目は、単価を安くしすぎることです。時間あたりの収入を確認します。
6つ目は、運転資金・生活費の備えがないことです。
7つ目は、非常勤の収入に依存し、他の柱を作らないことです。
8つ目は、在職中の副業・兼業のルール(守秘義務・独立性・利益相反)を破ることです。
9つ目は、孤立し、相談できる仲間がいないことです。
10つ目は、「会計士は独立すれば年収3,000万円」という、高額な、開業支援・コンサル・講座・フランチャイズの勧誘に乗ることです。内容と実績を確認し、その場で契約しないでください。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に、相談できます。
対策は、勤務時代の実務経験、専門分野の絞り込み、紹介ルートの確保、収入の下支え、資金の余裕、就業規則の確認、仲間と相談先です。
公認会計士が独立する5つのステップ
最後に、具体的な進め方を整理します。
ステップ1は、独立の目的と、自分の強みを整理することです。収入・自由な働き方・専門性・社会への貢献のうち、何を重視するか。
ステップ2は、勤務しながら、税務・顧問・コンサルの実務と、専門分野の経験を積むことです。人脈と紹介ルートを、広げます。
ステップ3は、収入の下支え(非常勤・業務委託・顧問候補)と、運転資金(6か月〜1年分)を確保することです。就業規則と守秘義務を確認します。
ステップ4は、独立の形(個人・共同・法人)と、税理士登録などの手続き、協会費などのコストを確認し、収支を悲観的なケースを含めて試算することです。
ステップ5は、開業届などを整え(期限は要確認)、専門分野を絞って営業を始め、顧問先・紹介・実績を積み上げて、収入源を複数にすることです。
焦らず、「営業」と「実務」を両輪で、育てていきましょう。
まとめ|公認 会計士 独立 難しいは「営業・税務実務・差別化・収入の下支え」で乗り越える
公認会計士の独立は、独立している人が約4分の1に上る一方、監査を独立して受けにくいこと、税務実務の経験不足、営業と差別化、収入の不安定さ、協会費などのコストが壁になります。勤務時代に税務・顧問の実務と人脈を積み、専門分野を絞り、非常勤などの収入の下支えと運転資金を確保して、副業・兼業のルールを守りながら準備してください。
まずは、自分の強みと専門分野の候補を書き出し、勤務先の就業規則を確認したうえで、紹介につながる人脈づくりから始めてください。

