2025.11.04 起業ガイド
ゼネコンから起業する手順は?経験を活かし失敗しない建設業の始め方
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長年ゼネコンの第一線でプロジェクトを率いてきたあなたが、「自分の力を試したい」「このままで終わりたくない」という想いを抱くのは珍しいことではありません。
「でも、経営なんてやったことないし、失敗したら…」という不安がよぎり、起業に踏み切れないのもそのためです。
現場経験と技術力は、起業において何物にも代えられません。
しかし、それだけで成功できるほど建設業界が甘くないのも事実です。
今回は、ゼネコン起業で経験を活かし、失敗しない建設業の進め方を解説します。
この記事を読み終える頃には、具体的な起業手順と漠然としていたあなたの不安が解消されます。
ゼネコンからの起業は自分の「強み」と「壁」を知ることから始まる
何も準備せず、ゼネコンから起業するのは得策ではありません。
まずは、あなたが持つ強みと、これから乗り越えるべき壁を客観的に把握することが必要です。
ゼネコンでの経験は強みですが、同時に会社員時代の常識が通用しない現実も存在します。
強み:現場経験と社会的信用は独立後の武器になる
長年ゼネコンで培ってきた経験は、起業後の事業において土台となります。
特に、大規模現場で求められてきた高度な「品質・安全・工程・原価管理」のスキルは、顧客からの信頼に直結します。
多くの協力会社を束ね、複雑な交渉をまとめてきたマネジメント能力や折衝経験も、経営者として役立ちます。
また、「元大手ゼネコン出身」という経歴は、金融機関からの融資審査や、新たな取引先との関係構築において、社会的信用として有利です。
壁:経営者として必要な3つのスキル(営業・資金繰り・自己責任)
輝かしい経歴の一方で、会社員時代には意識する必要がなかった3つの壁が存在します。
1つ目は「営業」の壁です。これまでは会社の看板があったからこそ、仕事が舞い込んできました。
しかし独立後は、自分自身で仕事を見つけ、獲得しにいかなければなりません。
2番目は「資金繰り」の壁です。数億円規模のプロジェクト予算を管理する能力と、会社の運転資金を管理する能力は異なります。
給与計算、社会保険料や税金の支払いなど、キャッシュフローを常に意識する必要があります。
最後に「自己責任」の壁です。
組織の一員であれば誰かがカバーしてくれたかもしれませんが、経営者となれば事業に関するすべての最終責任を自分一人で負う覚悟が求められます。
ゼネコンからの起業で失敗しないための3つの準備
起業の成否は、会社を辞める前の準備でほぼ9割が決まります。
準備期間こそが、失敗のリスクを最小限に抑え、あなたの独立を成功へと導きます。
ここでは、在職中に必ず取り組むべき3つの準備について解説します。
1. 事業計画と資金計画を立てる
事業の設計図となる事業計画を具体化することが必要です。
「誰に」「どのような価値を」「どうやって提供するのか」を明確にします。
元請けを目指すのか、特定の専門工事に特化するのかでも、戦略は異なります。
次に、計画を実行するための「資金計画」を立てなければなりません。
事務所の賃料やPC購入費などの初期投資に加え、最低でも半年分の運転資金と自分の生活費を計算し、具体的な自己資金の目標額を設定します。
この計画は、後の資金調達の場面で金融機関に示す重要な資料です。
2. 許認可の要件や保有資格を確認をする
建設業を営むうえで、建設業許可は事業の根幹です。
許可取得には、「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の設置などの要件があります。
これまでの経験や保有資格が、これらの要件を満たしているかを必ず事前確認してきます。
特に、経営経験を証明する書類や、技術者としての実務経験を証明する書類は、在職中でなければ入手が困難です。
退職してから慌てることのないよう、必要な許認可の要件を正確に把握し、証明書類の準備を進めておくことが大切です。
3. 起業した後の仕事につながる人脈を構築しておく
ゼネコン時代に築いた人脈は、起業後にも役立ちます。
しかし、「辞めたら仕事をください」とお願いするだけでは、安定した受注にはつながりません。
重要なのは、在職中から「ギブ」の精神でで、将来顧客や協力パートナーになりうる方々との信頼関係をより一層深めておくことです。
「こんなことで貢献できます」「独立後はこういった形でお役に立てます」と、自分から価値を提供する姿勢を見せるが、起業後のスムーズな受注につながります。
「私にもできるか不安…」「まずは話だけ聞きたい」と思っている方もいるでしょう。
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ゼネコンからの起業で必要な事業開始の5ステップ
ここからは、あなたの会社を形にしていく実践フェーズです。
会社設立の法的な手続きから建設業許可の申請、そして最初の仕事の獲得まで、やるべきことは多岐にわたります。
ここでは、事業をスムーズに開始するための具体的な5つの手順を解説します。
1. 独立するには個人事業主か法人かを決める
最初に決断すべきは、事業の形態です。
選択肢は「個人事業主」か「株式会社」の2つですが、ゼネコン出身で元請けや企業間取引を目指すのであれば、株式会社の設立が理想です。
法人は、個人事業主と比較して設立費用や手続きの手間がかかりますが、それを上回る「社会的信用」が得られるメリットがあります。
金融機関からの融資や公共工事への入札、大手企業との取引において、法人格は不可欠な条件となるケースがほとんどです。
事業基盤を築くうえで、法人設立は最適な選択といえます。
2. 事業を開始するための法的手続き(登記・開業届)
法人設立を決めたら、法務局での登記手続きに進みます。
主な流れは、会社の基本ルールである「定款」を作成し、公証役場で認証を受け、資本金を払い込み、法務局に登記申請を行う、というものです。
これらの手続きは複雑な部分もあるため、司法書士などの専門家に依頼することも可能です。
登記が完了し、会社が正式に誕生したら、税務署や都道府県税事務所へ「法人設立届出書」などの書類を提出します。
個人の場合は、法人設立登記は不要ですが開業届は必要です。これにより税務上の手続きが開始されます。
3. 建設業許可の申請と注意
会社の設立手続きと並行して、事業の生命線である「建設業許可」の申請準備を進めます。
申請書類の準備には相応の時間がかかります。申請窓口は都道府県庁の担当部署です。
注意点は、申請から許可が下りるまでに、通常1ヶ月から3ヶ月程度の審査期間を要します。
この期間中は許可が必要な工事を請け負うことができないため、事業計画に待機期間を織り込んでおく必要があります。
手続きに不安がある場合は、行政書士に相談するのもおすすめです。
4. 資金調達方法の確認
自己資金に加えて、事業を安定させるためには外部からの資金調達も視野に入れる必要があります。
起業時に頼りになる選択肢が、「日本政策金融公庫」の創業融資制度です。
政府系金融機関であるため、民間の銀行に比べて創業者への融資に積極的で、金利も低めに設定されています。
融資審査では、在職中に作成した事業計画書で採否が左右されます。
事業への熱意と計画の具体性を伝えられれば支援を得られるはずです。
その他、地域の信用保証協会を通じた制度融資なども選択肢となります。
5. 最初の仕事の獲得と実績作り
最初の仕事は、準備段階で関係を深めてきた人脈から生まれるケースが多いといえます。
ここで大切なのは、たとえ小さな仕事であっても、完璧にやり遂げることです。
ゼネコン時代とは異なりあなたの事業の評価は、最初の仕事から始まります。
ここで高い評価を得ることが、次の仕事への紹介やリピートにつながり、事業を軌道に乗せるための確かな実績となります。
ゼネコン出身者の起業で陥りやすい3つの失敗と対策
経歴や経験が、場合によっては起業の足かせになることも否定できません。
しかし、事前にそのパターンと対策を知っておけば、リスクを大きく減らすことができます。
ここでは、ゼネコン出身者が特に陥りやすい3つの失敗例と、乗り越えるための具体的な対策を解説します。
1. 現場の金銭感覚が抜けず運転資金が枯渇する
数億円、数十億円という大規模プロジェクトの予算管理に慣れていると、数十万円の経費に対する感覚が麻痺してしまうことがあります。
「このくらいは誤差の範囲」という現場の感覚では、創業期の小さな事業の経営では命取りになりかねません。
気づいた時には運転資金が底をつき、黒字倒産に至るケースもあります。
対策方法として、創業と同時に信頼できる顧問税理士と契約するのがおすすめです。
毎月必ず試算表(会社の成績表)を確認し、1円単位でお金の流れを把握する習慣をつけます。
数字で経営を語れるようになることが、経営者には必要です。
2. 「待ち」の営業姿勢で人脈からの仕事が途絶える
独立当初は、これまでの人脈から祝い事のように仕事の依頼が舞い込むかもしれません。
しかし、「待つ」姿勢でいると、仕事は徐々に途絶えていきます。
会社の看板があったからこそ発生していた仕事も多かった、という現実に直面します。
対策方法は、人脈は維持するのではなく、攻めるものと認識することです。
自社の強みや実績をまとめたホームページやパンフレットを作成し、自分から積極的に売り込む仕組みを作ります。
また、既存の人脈に対しても定期的に連絡を取り、近況を報告するなど、関係性を維持し続ける努力が不可欠です。
3. 自分で抱え込み事業が回らない(プレイングマネージャーの限界)
技術者として「自分が一番うまくできるし、速い」と自負してしまうことが、事業の成長を妨げる要因です。
見積もりから現場管理、経理や雑務まで、すべてを自分で抱え込んでしまい、結果的にどれも中途半端になり、心身ともに疲弊してしまいます。
対策方法は、あなたにしかできない業務に集中することです。
経理や社会保険の手続き、ホームページの更新といった業務は、早い段階でアウトソーシング(外部委託)を検討しておきます。
お金はかかりますが、それによって生まれた時間で業務に集中すれば、支払う費用以上のリターンを生み出すことが可能です。
ゼネコンからの起業に関するよくある3つの質問(Q&A)
ここでは、ゼネコンからの起業を検討している方が抱える3つの質問と回答を紹介します。
現場経験はありますが経営は未経験です。起業には何が必要ですか?
経営が未経験であることは、決して弱みではありません。
ここで必要なのは、苦手な分野は専門家の力を素直に借りるという経営判断です。
あなたの強みである現場管理スキルに集中し、経理や税務は税理士、労務関係は社会保険労務士などパートナーを見つけることが、結果的に事業の成功につながります。
一人親方で始めるべきか、最初から法人設立を目指すか迷っています。
経歴と今後の事業展開を考慮し、最初から「法人(株式会社)」として設立することをおすすめします。
元請けや大手企業からの受注を目指す場合、法人格を持っていることが取引の前提条件となることがほとんどです。
建設業許可の取得や金融機関からの融資においても、社会的信用度の高い法人が有利といえます。
一人親方の手軽さよりも、将来の事業拡大を見据えた基盤作りを優先すべきです。
建設業の起業で使える助成金や補助金はありますか?
はい、従業員の雇用や人材育成に関連する助成金など、建設業で活用できる制度は複数存在します。
ただし、注意点として、多くの助成金は経費支出後に申請し、あとから支給される「後払い」形式です。
そのため、起業時の初期費用そのものに充当することは難しいと考えておく必要があります。
まずは日本政策金融公庫の創業融資などで運転資金を確保し、助成金は事業が軌道に乗ったあとのプラスアルファの支援として活用するのが賢明です。
まとめ:ゼネコン経験を経営に活かし、計画的な起業へ踏み出そう
ゼネコンからの起業は、現場で培ってきた豊富な経験、高度な管理能力、そして築き上げてきた人脈があれば、他の誰にも真似できない、成功の確率を高めます。
漠然とした不安は、具体的な行動を起こすことでしか解消されません。まずは、あなたの事業計画を紙に書き出してみることから始めてみましょう。
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