2025.12.26 起業ガイド
独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)への転身|年収2000万超えの現実と「失敗しない」所属先の選び方
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「会社の利益のために、顧客に損をさせる商品を売ることに疲れた」
「転勤のたびに顧客との関係が切れてしまうのが辛い」。
証券会社や銀行で実績を積んだ優秀な営業マンほど、こうしたジレンマを抱え、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)という働き方に希望を見出します。
日本でもIFAの認知度は高まり、成功すれば年収2000万円、3000万円も夢ではない世界です。
しかし、会社の看板を捨てて「個人の力」で勝負することは、想像以上に厳しい道のりでもあります。
今回は、IFAとして独立し、失敗しないための所属先選び、成功までの具体的なステップを解説します。
証券・銀行マンがIFA独立を目指す本当の理由とは
IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の金融機関に属さず、中立的な立場で顧客に資産運用のアドバイスを行う専門家のことです。
近年、大手証券会社やメガバンクからIFAに転身する人が急増しています。
その最大の理由は「顧客本位の提案ができる」という点に尽きます。
会社からのノルマや販売推奨商品の押し付けがなく、目の前のお客様にとって本当に必要な商品を、必要なタイミングで提案できる。この「プロとしての誇り」を取り戻せる環境こそが、IFAの最大の魅力です。
ノルマなし・転勤なし・商品自由。顧客本位を貫ける働き方
IFAには、基本的に会社からの「ノルマ」が存在しません(所属法人によりますが、多くの場合は歩合制のため)。
そのため、手数料稼ぎのための回転売買や、決算期のお願い営業をする必要がなくなります。
また、原則として転勤もありません。
一度担当したお客様と、10年、20年と生涯にわたって付き合い続けることができます。
取り扱い商品も、提携している証券会社(楽天証券やSBI証券など)の膨大なラインナップから自由に選べるため、株式、債券、投信だけでなく、IFA法人によっては保険や不動産までワンストップで提案可能です。
真の意味で「顧客の人生に寄り添うパートナー」になれるのです。
年収は青天井だが保証はない。完全歩合制の光と影
IFAの報酬体系は、一般的に「完全歩合制(コミッション制)」です。
お客様が支払った手数料の一定割合(バック率)が、IFAの報酬となります。
大手証券会社の給与還元率が数%〜10%程度と言われる中、IFAのバック率は50%〜70%程度が相場です。
つまり、同じ売上を上げても、手取り収入は数倍になります。
預かり資産が増えれば、信託報酬などのストック収入も積み上がり、年収2000万円超えも珍しくありません。
しかし、裏を返せば「売上がなければ収入はゼロ」です。
固定給やボーナス、退職金といった会社の保護はなくなり、社会保険も全額自己負担(業務委託の場合)となります。
IFAとして独立する2つのルートと必要な資格
IFAとして活動するには、金融商品仲介業者としての登録が必要です。
その方法は大きく分けて2つ。
「自分で法人を設立して登録する」か、「既存のIFA法人に所属する」かです。
9割以上の人は後者を選びますが、それぞれの違いを理解しておくことは重要です。
また、活動に必要な資格についても整理しておきましょう。
①金融商品仲介業者として「法人設立」するハードル
自分自身が「金融商品仲介業者」として内閣総理大臣の登録を受ける方法です。
完全な独立であり、報酬は100%自分のものになります。
しかし、登録には厳しい要件があります。
コンプライアンス体制の構築、内部管理責任者の配置、証券会社との業務委託契約の締結など、営業以外のバックオフィス業務が膨大になります。
また、証券会社側も個人の新規参入には慎重なため、契約を結ぶハードルは非常に高いです。
まずは所属IFAとして実績を作り、組織化してから法人成りを目指すのが現実的なルートと言えるでしょう。
②既存のIFA法人に「業務委託」として所属するメリット
すでに金融商品仲介業の登録を受けているIFA法人と業務委託契約を結び、その傘下で活動する方法です。これが最も一般的です。
メリットは、オフィスの利用、コンプライアンス研修、注文発注システム、営業ツールなどが提供されるため、すぐに営業活動を開始できることです。
また、法人が提携している複数の証券会社の商品を扱えるのも強みです。
報酬の一部を「プラットフォーム利用料」として法人に納める形になりますが、バックオフィスの手間をアウトソーシングできると考えれば合理的です。
必須資格は「証券外務員一種」。FP資格は必要?
IFAとして活動するために最低限必要な資格は「証券外務員一種」です。
これがないと、株式や債券、投資信託などの勧誘・販売ができません。
証券会社出身者なら既に持っているはずですが、銀行出身者で二種しか持っていない場合は、一種の取得が必要です。
また、FP(ファイナンシャルプランナー)資格やAFP/CFPは必須ではありませんが、トータルな資産提案を行う上での信頼性担保として、取得しておいて損はありません。
生命保険を扱うなら生保募集人資格、不動産を扱うなら宅建など、取扱商品に応じた資格が必要になります。
失敗するIFAの共通点。「看板」を失った後の集客戦略
「証券会社の看板があったから話を聞いてもらえたんだ」。
独立して数ヶ月後、多くのIFAがこの事実に打ちのめされます。
会社の看板が外れた瞬間、あなたは「どこの誰か分からない人」になります。
テレアポをしてもガチャ切りされ、飛び込み営業をしても門前払い。
以前の顧客を引き抜こうとしても、会社規定やコンプライアンスの壁があり、簡単にはいきません。
失敗するIFAの多くは、この「新規集客の壁」を突破できず、預かり資産を積み上げられないまま市場から退場していきます。
テレアポ・飛び込みは通用しない?Web活用と紹介営業の極意
IFAの集客において、従来のプッシュ型営業(テレアポ・飛び込み)は非効率です。
成功しているIFAは、Webマーケティングと紹介営業(リファラル)を駆使しています。
Webでは、自身の得意分野(例:米国株、相続対策、医師専門など)を情報発信し、「専門家」としてのブランドを確立します。
セミナー開催やSNSでの発信を通じて、見込み客からの問い合わせ(インバウンド)を狙います。
また、士業(税理士・会計士)との提携も強力です。
相続や事業承継の悩みを持つ富裕層を紹介してもらうスキームを作ることで、質の高い顧客層にアプローチできます。
顧客資産(預かり資産)はいくらあれば食べていけるか
IFAの収入安定化の鍵は、売買手数料(フロー)だけでなく、信託報酬や管理手数料といった「ストック収入」を積み上げることです。
一般的に、預かり資産が「30億円」を超えると、ストック収入だけで食べていける(経営が安定する)と言われています。
もちろん、生活水準やバック率にもよりますが、まずは「預かり資産10億円」を最初のマイルストーンに設定しましょう。
これを達成するまでは、フロー収入を得るための新規開拓の手を緩めてはいけません。
後悔しない「所属IFA法人」の選び方チェックリスト
日本には現在、数百社のIFA法人が存在します。
その中から自分に合った所属先を選ぶのは至難の業です。
安易に「バック率が高いから」という理由だけで選ぶと、サポートが皆無だったり、システムが使いにくかったりして後悔することになります。
以下のチェックリストを参考に、複数の法人を比較検討してください。
- バック率(報酬還元率):相場は50〜70%。高すぎる場合はサポートがない可能性も。
- 提携証券会社:SBI、楽天、あかつき等、自分が扱いたい商品があるか。
- 商品ラインナップ:仕組債、私募ファンド、保険、不動産など、提案の幅広さ。
- システム・ツール:顧客管理システムやポートフォリオ提案ツールは使いやすいか。
- 教育・研修体制:最新のマーケット情報やコンプラ研修が充実しているか。
- オフィス環境:個室ブースや会議室が使えるか。立地は良いか。
- 初期費用・固定費:PC代、システム利用料、席代などの負担はあるか。
まとめ:真のプロフェッショナルとして独立するために
IFAとしての独立は、金融マンとしてのキャリアのゴールではなく、経営者としてのスタートです。
自由には責任が伴い、高収入にはリスクが伴います。
しかし、自分の信念に基づいて顧客に貢献し、その対価として正当な報酬を得られるこの仕事は、何物にも代えがたいやりがいがあります。
準備不足で飛び出すのではなく、在職中から綿密な計画を立てて、独立へと進みましょう。
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