2025.12.05 起業ガイド
ランドオペレーター起業-旅行サービス手配業成功の秘訣と戦略ガイド
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訪日外国人の増加に伴い、旅行の現場では「現地の手配を担う人材」が注目されています。ランドオペレーターはその中心を支える存在で、今後の活躍も期待されています。
そうした状況で「外国人相手に旅行業界で働きたい、旅行好きを仕事にしたい」という方にとってランドオペレーターという職種はとても参入しやすい働き方となっています。
ただ、仕事に興味を持っても、具体的に何から始めれば良いのか、どんな戦略を立てれば良いのか、不安を抱えたまま情報を探している人も少なくありません。
こちらの記事では、ランドオペレーターの制度の仕組みや手続きの進め方を整理し、起業が初めての人にも分かりやすく全体像をつかめるようにまとめています。
ぜひあなたの旅への思いや経験を活かして、新しいキャリアを築くヒントにしてください。
ランドオペレーター起業が今チャンス-インバウンド需要と国の後押し
ランドオペレーターとして起業を考える方にとって、市場の動きを知ることは大切です。
まずは業界の状況を整理していきましょう。
訪日外国人の年別データにみる増加傾向

観光庁が公表した令和7年版観光白書では、2024年の訪日外国人数が3,687万人と、コロナ前の2019年を超えて過去最高となりました。
さらに訪日外国人の旅行消費額も大きく伸び、2024年の消費額は 約8.1兆円に達して、2019年比で3.4兆円増という結果です。
旅行者が「日本で使うお金」が増えているほど、宿泊・交通・アクティビティなどの現地手配の重要性は高まるため、ランドオペレーターの役割が広がりやすい環境となっています。
こうした数字から見ると、訪日市場は勢いを取り戻し今後も成長していくといえます。
旅行者の動きが増えるほど、手配を担う人材が求められる場面も増えていきます。
国の施策と活動しやすい環境の整備
市場が拡大しているだけでなく、国の取り組みもランドオペレーターの追い風になっています。
国土交通省でも訪日客を受け入れる環境づくりを進めており、交通、宿泊、地域観光などの体制を広く整備してきました。
さらに、インバウンド地域支援や多言語対応の整備など、旅行者が安心して旅ができる施策が国レベルで整えられているため、ランドオペレーターが業務を行いやすい環境へと変化しています。
訪日外国人が日本に来る理由
観光庁が実施した調査では、訪日客が日本に期待する体験として「日本食を楽しむ」「四季や自然を味わう」「歴史・文化に触れる」「買い物を楽しむ」といった項目が上位に挙がっています。
国ごとの好みにも違いがあり、例えば、東アジアは買い物やグルメの人気が高く、欧米の旅行者は文化・伝統を深く知る体験を好む傾向があります。
ランドオペレーターは、こうした旅行者が何を期待しているかを掴めていると提案の質が高まります。
訪日客のニーズを知ることは手配業務を進めるうえで欠かせないポイントです。
ランドオペレーター起業で押さえておくルールとメリット
ランドオペレーターとして活動するには、最低限のルールを理解しておくことが大切です。
旅行会社との違いや、登録に必要な仕組みを知ると起業までの流れが見えやすくなります。
ランドオペレーターになるための資格と要件
ランドオペレーターとして仕事を始める場合、「旅行サービス手配業」というカテゴリで登録を受ける必要があります。これは、旅行会社の代わりに宿泊先や交通などを手配する事業です。
また、旅行業との違いを知ることも重要です。旅行業はツアーを企画して販売できますが、手配業は旅行者へ直接販売することができません。
旅行を企画・販売する旅行業とは異なり、現地の手配に特化した形で活動できます。
登録にあたっては、都道府県知事の「旅行サービス手配業」の許可が必要です。ランドオペレーターは国家資格の「旅行業務取扱管理者」を持つ人か、専用の研修を修了した人が担える役割です。
ランドオペレーターの仕事内容とビジネスモデル
ランドオペレーターの仕事は、旅行者の旅を支える現地の手配が中心で、旅行会社からの依頼を受けて、宿泊、バス、タクシー、ガイド、体験プログラムなど、目的に合わせて必要なサービスを揃えていきます。
主な収入源は、手配先から得られる手数料や、旅行会社との業務委託による報酬です。
どのサービスを扱うかによって利益の出方は変わりますが、扱う範囲を絞るほど専門性が高まり、得意分野が生まれやすくなります。
例えば、食に特化したツアーや、自然体験を中心にした旅の手配など、テーマごとに特徴を作ります。
あくまで現地のサービスを組み合わせる仕事のため、大きな設備投資が必要ありません。
ランドオペレーターの収入の仕組みと年収イメージ
収入の目安を知っておくと、働き方のイメージが明確になります。
会社員としてランドオペレーター業務に関わる場合、近い職種であるツアーコンダクターや旅行プランナーのデータが参考になります。
Indeedの統計では、ツアーコンダクターの平均月収が約25万円、平均年収では約354万円とされています。
旅行プランナーでは平均年収約342万円のデータが出ています。
Indeedの調査によれば、ランドオペレーターの募集は2022年4月13日時点で、200万円台が2,098件、300万円台が694件、400万円台が108件、500万円台が16件、600万円台が11件でした。
独立した場合は固定給ではなく、手数料や委託報酬が中心になるため、活動量に応じて伸びやすい点が特徴です。
キャリアの築き方によっても報酬の幅があるため、自分のレベルに応じて年収を上げていきましょう。
ランドオペレーター起業に向けて考えておくべき3つの戦略
現地手配の仕事は、誰に向けてサービスを提供するかによって内容が大きく変わります。
訪日客の国や文化、旅行目的によって求められるサービスが異なるため、ターゲット設定は欠かせない工程です。ここでは、データをもとに戦略の考え方を整理していきます。
戦略1.ターゲット別戦略-どの国の訪日客を狙うか決める
観光庁の調査によると、東南アジアからの旅行客は家族旅行や短期滞在で買い物やグルメを楽しむ傾向が強く、欧米の旅行客には日本の文化・歴史・自然を深く味わう旅が支持されています。
こうした違いをもとに例えば、台湾や香港向けには「短時間で回れる人気スポット」、欧米向けには「伝統文化や自然の深い体験」などの相性の良い組み合わせを提案してみましょう。
特定の国に絞って経験を積むと、提案の質も高めやすくなり旅行会社からの相談が増えます。
言語や文化的な理解が深まるほど、手配の精度が上がり、紹介やリピートにも繋がります。
戦略2.時期別戦略-国ごとの祝日データから来日タイミングを読む

訪日客が増える時期を事前に知っておくと、手配の準備が進めやすくなります。
観光庁がまとめた「インバウンドカレンダー」では、春節(中国・台湾)、ソンクラーン(タイ)、夏の長期休暇(欧米)など、国ごとに旅行が増える時期が示されています。
特に春節は1月下旬〜2月に集中し、アジア圏の訪日需要が一気に高まります。
タイは4月のソンクラーン(旧正月)が最大のピークです。
この時期は家族旅行が増え、温泉・自然体験・買い物など幅広いニーズが発生します。
欧米では7〜8月が大型休暇となり、長期滞在が選ばれやすい傾向です。
政治的な問題で大きく左右する業界なので、常に最新のニュースも収集しておきましょう。
戦略3.エリア別戦略-外国人に人気のエリアを知る
訪日客が選ぶエリアにも特徴があります。
観光庁やJNTOの統計では、東京・大阪・京都・福岡・北海道といった都市が安定して人気です。
初めての訪日客が多いアジア圏では都市観光が選ばれやすく、欧米では自然や地方をじっくり巡る旅が支持されています。
北海道や沖縄などは季節によって混雑が変わり、早めの予約が求められる場面も多くなります。
また、地方エリアは混雑を避けたい旅行者の受け皿として注目されています。
自然や伝統文化を楽しむ体験を求める訪日客が増えているため、今後の可能性が広がる分野です。
ランドオペレーターで起業するまでの3ステップ
ここからは、起業までの具体的な準備や行動の手順を確認していきます。
小さな一歩から着実に進めてみてください。
ステップ1:どんな手配をするビジネスにするか決める
起業前に最初に決めておきたいのは、どのような手配を中心に扱うかという方向性です。
インバウンド向けの観光手配、国内団体の旅行、趣味に特化したテーマ旅行など、手配内容はさまざまな形があります。
自分の経験や興味に合う分野を選ぶと、無理なく継続しやすくなります。
たとえば、語学が得意なら訪日客向けの現地手配、法人営業の経験があれば、MICE(企業イベント)や研修ツアーの提案が可能です。
テーマ特化のジャンル、たとえば登山・写真・寺社巡り・ポップカルチャーなど、自分が好きで得意な分野から地道に拡げていく形でアイディアを練りましょう。
ステップ2:必要な資格・旅行サービス手配業に登録する
手配業として活動するためには、「旅行サービス手配業」の登録が必要です。
登録の条件として、各営業所に「旅行サービス手配業務取扱管理者」を1名以上置くことが求められています。
観光庁が指定する研修を受講して修了すれば要件を満たせます。
一度要件を満たせば大丈夫というものではなく、5年ごとの更新が必要などの規則やルールがあるため、事業を行う上でのルールもしっかり把握しておきましょう。
ステップ3:最初のクライアントを獲得する
登録が済んだ後は、どこから最初の依頼を受けるかが次のテーマです。
最も取り組みやすいのは、既存の旅行会社との業務委託や下請けの形です。
旅行会社は宿泊や交通、ガイドなどの現地手配先を常に探しているため、得意分野がはっきりしているほど話が進みやすくなります。
また、友人・知人、外国人コミュニティから声がかかることもあります。
「このホテルを予約してほしい」「当日の移動手段を押さえてほしい」といった手配であれば、手配手数料として報酬を受け取れるため、旅行サービス手配業として直接受けることが可能です。
また、依頼内容が「旅行のコースを考えてほしい」というような企画にあたる場合は、旅行会社を紹介し、そちらで商品として扱ってもらう方法が安全です。
どの形であっても、最初の1件は規模よりも信頼を積み重ねることが大切です。
まとめ:ランドオペレーター起業はチャンスと戦略を活かそう
ランドオペレーターは、旅行の裏側を支える現地手配の専門家として需要が高まっています。
インバウンドの回復で政府も観光施策を強化しているため、今からの参入でも十分チャンスです。
ターゲット国や訪問時期、人気エリアを把握しておくと、手配内容に一貫性が生まれ、旅行会社からも選ばれやすくなります。
これからの観光業を支える役割として、まずはあなたの強みを生かす場面でできる範囲から挑戦してみてください。
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