2025.11.04 起業ガイド

引っ越し起業を小規模で始める完全ガイド-未経験から安全に開業する方法

引っ越し起業を小規模で始める完全ガイド-未経験から安全に開業する方法

「引っ越しの業務経験を活かして起業したいけど、個人でもできる方法が分からない」

自分で事業を立ち上げたいと考えても、法律や制度、資金面の不安から、一歩を踏み出せずにいる方も多いはずです。

そんな方には、初心者でも始めやすい軽貨物運送事業での引っ越し業起業をおすすめします。

本記事では安全に引っ越しで起業を始めるために、法的な要件から起業準備、信頼獲得の方法まで、実践的な情報をお届けします。

あなたの経験を活かして、信頼される引っ越し業者になるためのお手伝いができれば幸いです。

引っ越し業者で起業する前に知っておくべき業界知識

まず初めに、引っ越し業と運送業の違いを簡単に押さえておきましょう。

引っ越し業界の市場の特性、そして起業しやすい事業形態について見ていきます。

引っ越し業と運送業のちがい

引っ越し業は法律上「貨物自動車運送事業」という運送業の一形態です。

以下の基本形態を押さえておきましょう。

• 一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)
軽自動車以外の自動車を使って有償で貨物を運送。国土交通大臣の許可が必要で、営業所ごとに5両以上の事業用自動車が必要。個人にはハードルが高い。

• 貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)
軽自動車や二輪車で報酬を得て荷物を運ぶ事業。国土交通大臣への届出のみで開始可能。軽トラック1台から始められるため、個人開業に適した事業形態。

貨物自動車運送事業法では、有償で貨物を運送する事業には法的な手続きが必須です。

無許可営業は違法となるため、必ず届出や許可を取得してください。

引っ越し市場の特性(需要の季節変動)

国土交通省「令和5年度における大手引越事業者6者の引越件数」によると、3月中旬〜4月初旬がピーク期間で、引越件数は通常月の約2倍に達します。

年間需要の40%がこの期間に集中するため、この時期をどう乗り切るかが事業の成否を分ける重要な要素です。

目視の概算となりますが、大手6社の年間件数合計:約194万件のうち

・3月: 約29万件(最多)
・4月: 約23万件
・1月: 約12万件(最少)

と、一般的に年度の変わる3月中旬〜4月初旬にピークがあることが分かります。

出典:国土交通省

また、令和5年総務省統計局の調査では、市区町村間移動者数が526万人を超えており、引越し市場には一定の需要が常に存在します。

適切な戦略を立てれば、小規模でも十分な参入余地があるといえます。

「軽貨物×単身引っ越し」から始める利点

個人で引っ越し業を始める場合、軽貨物運送事業からスタートすることがおすすめです。その理由として、

・届出制で開始可能(許可申請不要)
・自宅を事業所として登録できる
・軽トラック1台でスタート可能
・初期投資を大幅に抑えられる

といったメリットがあります。

また、「大きな家電だけ運んでほしい」「ベッドだけ移動させたい」といった一部だけを手伝うニーズに応えることが可能です。

知り合いや家族に頼む際の時間・手間を考えると、プロが行う軽貨物×単身引っ越しは合法的で低リスク、かつ一定の需要が見込める選択肢です。

引っ越し業者で安全に起業するために必要な準備

ここでは引っ越し業を行うための法的な要件、黒ナンバーの取得方法や、身を守るための保険、業務に必要な設備について解説します。

違法行為の線引きと業務責任を知る

「白ナンバーの業者を見たけど大丈夫なの?」と疑問を持った方もいるかもしれません。

前提として、料金をもらって貨物輸送を行う行為は運送事業に該当し、国土交通省より認可(許可または届出)が必要と法律で定められています。

白ナンバー車で報酬を得て、引越し運送を行うことは道路運送法で違法です。

「友人の引越し」といった名目でも、報酬を受け取る場合は運送事業に該当するため、必ず黒ナンバーの届出を行ってください。

ですが、3月~4月などの需要が増加する時期には、認可を得た事業者が一時的にレンタカーや自家用車の使用が例外的に認められています。

そしてその使用の許可を得るには国土交通省への届け出が必要です。

また、2025年4月より、貨物軽自動車運送事業者にも安全管理者の選任と講習受講が義務化されました。輸送の安全確保が運送事業者にとって最も重要な責務です。

開業のための黒ナンバーを取得する

貨物軽自動車運送事業者となるために、まず軽自動車検査協会の事務所または支所で届出を行いましょう。

必要書類には車検証、使用者の住所を証する書面、軽自動車税申告書などがあり、「貨物軽自動車運送事業者ハンドブック」に詳細な手続きが記載されています。

手続きに不安がある場合は、行政書士への相談も有効です。

貨物運送業の許可や届出は行政書士の専門分野で、無料相談も実施しています。運輸局への申請から事業開始までサポートを受けられます。

必須となる保険に入る

引越し業務では高価で壊れやすい荷物を扱うため、適切な保険への加入が不可欠です。

必須の保険:
・自動車保険(自賠責保険・任意保険)
・貨物保険
・賠償責任保険(家屋やお客様への損害をカバー)

また自身も作業中のケガに備え、健康保険法や厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法に基づく社会保険などへ忘れずに加入しておきましょう。

適切な保険加入を明示することで、顧客からの信頼を得られます。

資材を置く場所の確保と打ち合わせを行う

貨物軽自動車運送事業では自宅を事業所とすることで開始可能ですが、事業用自動車を保管できる自動車車庫の整備・管理基準の遵守が求められます。

そして、引っ越し業に必要な資材、家具保護資材、ペン・カッターナイフ・メジャー、養生材などを適切に準備してください。

顧客とどれくらいの作業や資材を要するのか入念に確認しましょう。

全日本トラック協会「かしこい引越チラシ」には、冷蔵庫の霜取り、ドラム式洗濯機の固定など、顧客側での準備事項が記載されています。

チラシを渡して事前準備をお願いすることで、当日の作業もスムーズに進みます。

「私にもできるか不安…」「まずは話だけ聞きたい」と思っている方もいるでしょう。

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引っ越し起業で信頼を得るための3つのポイント

開業準備が整ったら、次は信頼を得るための取り組みを考えていきましょう。

事業を成功させるには、価格の透明性、人柄、そして他業者との明確な差別化が欠かせません。

ポイント1:適正な料金を伝えてトラブル防止に努める

引越しの料金は荷物量や部屋数だけでなく、作業内容やサービス内容で決まるため、見積もり時(下見時)に念入りに打合せが必要です。

運賃と運送以外の役務を区分し、料金の内訳を明確に説明しておくことが信頼獲得につながります。

料金トラブル防止策の事前説明例としては

・当日の荷物追加は追加料金が発生する
・見積書内容に変更が生じた場合は早めの連絡が必要
・運送事業者の責任期間は荷物引き渡しから3ヶ月以内

特に荷物の破損・キズは早めに確認してください。説明責任を果たすことで、顧客との信頼関係が深まります。

ポイント2:人柄で口コミ・リピートを増やす

引越作業員には、高いコミュニケーション能力が求められます。

特に、お客様の要望を正確に聞き取る傾聴力や、作業内容をわかりやすく伝える説明力が重要です。

対人スキルの有無が顧客満足度に直結するので、日頃から訓練しておきましょう。

また、SNSで作業風景や事例を発信すれば、低コストで広範囲にアプローチできます。

施工事例や作業風景を通じて問い合わせが期待でき、技術や価格だけでなく、「この人に頼みたい」と思ってもらえる人柄が事業主の大きな武器です。

ポイント3:悪質業者と誤解されないための信頼を得る

引越しサービスに関する消費者トラブルは増加傾向にあり、国民生活センター相談件数は2022年度1,958件、2023年度2,128件、2024年度2,343件と年々増加しています。

・ワレモノとして梱包したガラス製品が割れていた賠償問題
・養生テープを直貼りして塗装が剥がれた補償問題
・引越の搬入の際、泥で室内が汚れた清掃費問題

上記のトラブルを避けるため、国土交通省のガイドラインに沿って業務に当たることを可視化しましょう。

安全管理者の選任や講習、運転者への指導・監督など、制度改正に対応することが重要です。

初心者でも引っ越し業者になれる-起業への3ステップ

ここでは、初心者でも実践できる3つのステップをご紹介します。

現場経験を積み、小さく始めて、徐々に規模を拡大していく意識が重要です。

ステップ1:地元で小規模引っ越しの求人を手伝って現場を観察

引っ越し作業員は比較的参入しやすい職種です。

まずは地元の引越し会社でアルバイトや日雇いの仕事を経験しましょう。

現場観察により、「毎回現場が違う」状況への臨機応変な対応力が学べます。

荷物の扱い方、養生の方法、顧客とのコミュニケーションなど、実践的なスキルを身につけられます。

引越は3月中旬〜4月初旬がピーク期間ですが、国土交通省は、繁忙期や土日祝を避けて平日を選ぶことが推奨しています。

現場観察しながらライバルや市場の状況を見て、自分の業務ピークスケジュールを決めましょう。

ステップ2:SNS発信とご近所挨拶で信頼獲得

SNSで作業風景を発信することで、透明性のある事業運営を示せます。作業マニュアルを作成・公開することも信頼構築に効果的です。

引っ越し作業を手伝う際も、近所の人に挨拶をして情報収集を行いましょう。

高齢独居世帯や一人暮らしの方は、家具の移動や不用品処分で困っていることがあり、新たなビジネスチャンスになります。

トラック協会や政府のチラシ配布などを行うことで、地域における信頼を獲得でき、口コミによる集客が期待できます。

ステップ3:費用の目安と収益計画の作成

軽貨物運送事業なら低投資でも開始可能ですが、車両購入費や資材費、保険料などの初期費用は必要となるため、具体的な資金計画を立てておくことが重要です。

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」では、車両購入費も対象として無担保・無保証で融資が受けられます。

単身引越し案件の相場は約5万円程度で、荷物量や運搬距離によって変動します。作業時間は、荷物の大小、長距離か短距離か、顧客協力の有無で算出しましょう。

受注件数、繁閑期の収益変動、固定費・変動費を計算し、具体的な収益計画を作成します。

計画的な事業運営が、安定した収益確保のカギです。

まとめ:引っ越しで起業するには入念な準備が重要

引っ越し起業は軽貨物運送事業として届出制で始めることができ、個人でも参入しやすい事業です。

黒ナンバーの取得や保険への加入、業務に必要な資材の準備を行い、お客様との丁寧なコミュニケーションを心がけることで信頼を獲得できます。

まずは現場経験を積み、発信しながら小さく始めてみてください。計画的な事業展開が、安定した収益につながります。

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