2025.09.30 起業ガイド
介護タクシーで起業する看護師へ|失敗しない始め方と高単価戦略
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「看護師経験を活かして独立したい」
「介護タクシーで起業を考えている」
介護タクシーでの起業は、看護師の経験を活かせるだけでなく、多く人に感謝される社会貢献性の高いビジネスです。
しかし、起業経験がない方は「わたしにもできるか不安」とお悩みかと思います。
そこで今回は、看護師経験を活かし介護タクシーで成功する秘訣と失敗を避ける方法などをご紹介します。この記事を読めば、どのように介護タクシーのビジネスを行っていけばよいかがわかります。
なぜ「ただの介護タクシー」ではダメなのか?看護師が目指すべきポジション
介護タクシーで起業を考えるとき、多くの看護師が「自分は、ただの運転手になってしまうのではないか?」という不安を抱きます。不安は事業の成功を考える上で非常に重要な視点です。
結論から言えば、あなたが目指すべきはただの介護タクシーではありません。
あなたは「運転手」ではない。「移動するコンシェルジュナース」である
一般的な介護タクシーの役割は、お客様をA地点からB地点へ安全に運ぶことです。
しかし、看護師であるあなたにしか提供できない価値は、その移動の「過程」と「前後」にあります。
単なる運転手ではなく、お客様の健康状態を専門的な視点で管理し、移動中の不安を取り除き、外出体験を豊かにする「移動するコンシェルジュナース」なのです。
このポジションを確立することで、多くの人から喜んでもらえます。
価格競争から脱却する「高付加価値」という考え方
安いという理由で選ばれるビジネスは、長続きしません。
必ず安い競合が現れるからです。あなたが目指すべきは、価格競争の土俵から降りて「高くても、あなたにお願いしたい」とお客様に言われる存在になることです。
そのために必要なのが、高付加価値という考え方になります。
一般的な介護タクシーが提供する「移動」という価値に、あなたならではの「専門性」や「安心感」を上乗せして、全く新しいサービスを創り出すのがポイントです。
看護師だからこそ提供できる、圧倒的な「医療的安心感」
お客様が介護タクシーを利用する際、最大の不安は「移動中に体調が急変したらどうしよう」です。
特に、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な方や、終末期の方にとって抱えがちな不安。
その時、医療のプロである看護師が隣にいてくれるという事実は、お金には代えがたい、絶大な医療的安心感をお客様とご家族に与えます。この安心感が事業の核になります。
高単価でも「あなたにお願いしたい」と言われる、サービス設計の秘訣
具体的にどのようにして「高付加価値」なサービスを設計すれば良いのでしょうか。
次は、看護師の専門性を活かし、高単価でもお客様からサービスを利用してもらうための、サービス設計の秘訣を解説します。
秘訣1:顧客の「深い悩み」に特化する(終末期、医療的ケア児など)
「誰にでも対応できます」というスタンスは、誰からも選ばれない原因になります。看護師としての経験の中で、最も心を寄せ、専門性を発揮できる分野は何ですか?
「終末期ケアの経験が豊富なら、穏やかな最期を自宅で迎えたい方の外出支援専門」「小児科経験が長いなら、医療的ケア児の家族のためのレスパイト外出支援」など、顧客の深い悩みに特化することで、かけがえのない専門家としての地位を確立できます。
秘訣2:移動に「付加価値」をプラスする(通院同行、外出支援)
サービスは、「移動」で終わってはいけません。その前後に、看護師ならではの付加価値をプラスしましょう。
- 通院同行サービス:病院の受付から診察の同席、医師の説明の要約、薬の受け取り、ご家族への報告までをワンパッケージで提供する。
- 趣味・娯楽の外出支援:観劇、美術鑑賞、温泉旅行など、お客様の「やりたいこと」を実現するための、オーダーメイドの外出プランを企画・同行する。
上記のように移動の前後に、看護師としての専門知識やケアの精神を付加することで、お客様の生活の質そのものを向上させることができ、サービスの価値は何倍にも膨らみます。
お客様は、もはやタクシー代を払っているのではなく、あなたの専門性とホスピタリティに対して、喜んで対価を支払ってくれるようになります。
秘訣3:時間ではなく「成果」で値決めする(パッケージ料金の作り方)
「1時間〇〇円」の時間給の価格設定は、自分の価値を安売りする原因になります。
「お客様の課題を解決し、理想の未来を実現する」という成果に対して、価格を設定するのがポイントです。
例えば、「〇〇病院への安心通院フルサポートパック:3万円」「思い出の地を巡る日帰り旅行プラン:10万円」のように、提供する価値全体をパッケージ化することで、お客様は納得して高単価な料金を支払ってくれやすくなります。
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失敗しない!看護師のための介護タクシー開業、5つのステップ
高単価サービスのコンセプトが決まったら、次はいよいよ開業準備です。
看護師が介護タクシーで起業するには、医療・介護の知識だけでなく、運輸業に関する専門的な手続きが必要です。この5つのステップに沿って、計画的に進めましょう。
ステップ1:事業コンセプト&高単価サービス設計
看護師が介護タクシーで起業を成功させるために、最も重要なのがこの最初のステップです。
多くの人が、すぐに「車両をどうしよう」「許可はどう取るか」といった手続きに考えがいってしまいがちですが、その前に「誰の、どんな悩みを、自分だけの強みでどう解決するか」のコンセプトを設計しなければ、その他大勢の介護タクシーの中に埋もれてしまいます。
ステップ2:事業計画・資金計画(高収益モデルを数字で証明)
コンセプトができたら、今度は具体的な数字に落とし込みます。サービス料金や目標顧客数、売上予測、そして車両購入費や人件費、保険料などの経費を計算し、収益シミュレーションを行います。
この事業計画書はで、どこにいくらかかり、いくら売上をあげなくてはいけないのかが可視化されるので、数字面でビジネスを管理できます。
ステップ3:資格取得と法人設立(第二種免許と会社作り)
お客様を乗せて運賃をいただくためには「普通自動車第二種運転免許」が必須です。
まだ持っていない場合は、まず教習所に通い免許を取得しましょう。
また、介護タクシー事業の許可は、個人でも取得可能ですが、社会的信用度や節税の観点から株式会社や合同会社などの法人設立することをお勧めします。
ステップ4:車両準備と営業所確保(投資とコストのバランス)
車椅子やストレッチャーが乗車できる「福祉車両」を準備します。
新車は高額なため、最初は中古車を購入したり、リース契約を活用したりして、初期投資を抑えるのがポイント。
また、営業所として登録するための事務所と車両を保管する駐車場も確保する必要があります。
ステップ5:運輸局への許可申請と、ケアマネへの営業開始
すべての準備が整ったら、管轄の地方運輸局へ「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」の許可申請を行います。
審査から許可取得まで大体、4ヶ月ほどかかります。
この手続きと並行して、お客様を紹介してくれる地域のケアマネージャーや病院への挨拶回り(営業活動)を開始し、開業と同時にスタートダッシュを切れるように準備します。
開業前にクリアすべき、3つの必須知識
看護師が介護タクシーで起業する際に、特に注意すべき3つの必須知識があります。
これらを知らないまま始めると、法的なトラブルや経営の失敗に繋がる可能性があります。
(法律)「医療行為」の境界線と、契約書作成の重要性
看護師として、どこまでの医療的ケアが許されるのか。
医師の具体的な指示書がない状況で、医療行為を行ってしまうと、医師法違反に問われるリスクがあります。痰の吸引やインスリン注射など、許される行為の範囲を、厚生労働省のガイドライン等で正確に理解しておく必要があります。
また、顧客とのトラブルを防ぐため、提供するサービス内容と免責事項を明記した「業務委託契約書」は、必ず弁護士などの専門家監修のもとで作成しましょう。
(資格)「運行管理者」の要件と、一人開業の特例
介護タクシー事業所には、原則として、事業用自動車の運行を管理する「運行管理者」を1名以上選任する義務があります。
運行管理者になるには、国家試験に合格するか、一定期間の実務経験が必要です。ただし、保有する事業用車両が4台以下の場合は、運行管理者の選任が免除される特例があります。
自分一人、車両一台で始める場合は、この要件を気にする必要はありません。
(資金)開業資金1000万円の内訳と、看護師に有利な資金調達術
介護タクシーの開業には、福祉車両の購入や改造費などで、一般的に500万~1,000万円程度の初期費用が必要と言われます。
しかし、看護師という国家資格を持つ専門家が、社会貢献性の高い事業を始めるというストーリーは、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などにおいて、有利な評価を受けます。
説得力のある事業計画書があれば、自己資金が少なくても、満額の融資を引き出すことが十分に可能です。
まとめ:あなたの専門性は、価格競争のその先へ行くための翼
介護タクシーでの起業は、看護師の専門性の価値を必要している人に届け、社会的に意義のあるビジネスです。
安売りや、誰でもできるサービスで疲弊する必要はありません。あなたにしか提供できない価値を、それを本当に必要としている人に、適正な価格で届けるのが大切です。
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