2025.09.29 起業ガイド
【保護犬ビジネス】は儲からない?「好き」を仕事にするための新常識
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「一匹でも多くの犬を救いたい」
しかし、「保護犬でお金儲けなんて…」という世間の目や、「本当に事業として成り立つのか」という不安を持ち、やりたいことに一歩を踏み出せない方は多いのではないでしょうか。
保護犬ビジネスは「寄付」や「ボランティア」だけに頼るだけでは長続きしません。
今回は、保護犬ビジネスアイデアや成功する要素、失敗する原因などをご紹介します。この記事を読めば、保護犬ビジネスで必要なことやどのような失敗があるかがわかります。
なぜ、多くの保護犬ビジネスは失敗するのか?3つのジレンマ
「犬を救いたい」という純粋な想いだけでは、保護犬ビジネスを成功させることはできません。
多くの志ある挑戦者が、事業を継続できずに挫折してしまう背景には3つの深刻なジレンマが存在します。
ジレンマ1:「社会貢献」と「利益追求」の矛盾
「命を扱う活動で、利益を追求するのは不謹慎ではないか?」と思ってしまう方もいますが、まったくそんなことはありません。
利益が出なければ、犬たちの食費や高額な医療費を払い続けることはできませんし、利益を上げることで、より多くの犬を救えるという経営者としてのマインドセットを持てるかが、最初の分岐点です。
ジレンマ2:「動物への愛情」と「ビジネスとしての非情な判断」
目の前にいる、助けを必要とするすべての犬を救いたい。その気持ちは非常に素敵です。
しかし、限られた資金とリソースの中で、受け入れられる頭数には限界があります。時には、助けられる命を選ばなければならないという、経営判断も必要になります。
この精神的な負担に耐えきれず、心が折れてしまう方も少なくありません。寄付をいただくのも大事ですが、寄付金がつきれば保護犬ビジネスは途中で断念せずるおえない状況になり、結果的に犬にかわいそうな思いをさせてしまいます。
ジレンマ3:「理想のケア」と「限られたリソース(資金・時間)」
一頭一頭に、最高の医療と十分な時間をかけたトレーニングを提供したい。
しかし、その理想を追求すればするほど、コストと時間は増大し、経営は圧迫されます。理想のケアの品質を維持しつつ、事業として成立させるための、現実的な運営オペレーションを設計できるかが重要です。
「かわいそう」を売らない!新しい保護犬ビジネスの3つの形
従来の保護犬カフェや大規模シェルターは、多額の資金と365日の運営体制が求められ、個人が一人で始めるにはハードルが高いです。
しかし、発想を転換すれば、より低リスクで、かつ社会に大きな価値を提供できる、新しいビジネスモデルが見えてきます。
新しい保護犬ビジネス 3つのモデル
ビジネスモデル | 概要 | メリット | 必要なスキル |
---|---|---|---|
1. 価値向上モデル | 保護犬に専門的なトレーニングを施し、譲渡後のミスマッチを防ぐ「教育事業」。 | ・高い専門性で差別化できる ・犬と里親の両方を幸せにできる |
ドッグトレーニング技術、行動心理学の知識 |
2. マッチングモデル | オンライン上で、保護犬と里親候補の最適な出会いを創出する「情報・仲介事業」。 | ・在庫リスクがなく、利益率が高い ・場所を選ばず全国展開が可能 |
Webマーケティング、カウンセリング能力 |
3. 周辺事業モデル | 売上の一部が保護活動に寄付される、物販やサービスを展開する事業。 | ・多様なアイデアで始めやすい ・消費者が気軽に参加できる |
商品開発力、ブランディング能力 |
上記のモデルに共通するのは、単にかわいそうな犬を見せるのではなく、保護犬の未来の価値を創造し、その対価として収益を得るという考え方です。
例えば、素晴らしい家庭犬として育て上げたり、最適な家族を見つけ出したりすること。専門的なサービスに、お客様は喜んでお金を払ってくれます。
スタートアップアカデミーでは、ビジネスの壁打ちやアイデアを形にするための相談を受け付けています。現在、公式LINEから無料の起業相談会にお申し込みが可能です。
ぜひ一緒に保護犬ビジネスで何ができるかを考えていきましょう。
プロになるための必須知識|法律・専門スキル・お金
動物が好きという気持ちだけでは、プロとして命を預かることはできません。お客様と犬たちの信頼を得て、事業を継続させるためには、専門知識が不可欠です。
法律の壁:「第一種動物取扱業」の登録と「半年以上の実務経験」
保護犬を預かり、譲渡する事業を行うには「第一種動物取扱業」の登録が法律で義務付けられています。
そして、登録には事業所ごとに「動物取扱責任者」を置く必要があります。この責任者になるための「半年以上の実務経験」という要件が、未経験者にとって最大のハードルです。
この要件は、動物関連の学校を卒業するか、あるいは認定された動物保護団体やペットショップなどで、アルバイトやボランティアとして半年以上働くことでクリアできます。
まずは、地域の動物愛護センターに問い合わせ、具体的な要件を確認しましょう。
専門スキルの壁:健康状態を判断する力、問題行動を改善する力
犬の便の色や状態を見て健康状態の判断。威嚇したり、怯えたりする犬の心を開き、人間社会で暮らすために躾けたりすることも大事です。
プロとしてお金をいただく以上は、動物看護学や栄養学、行動心理学、ドッグトレーニングなど、常に最新の知識を学び続ける必要があります。
お金の壁:初期費用と、予測不能な医療費に備える資金計画
保護犬ビジネスは、予測不能な支出との戦いです。保護した犬が、高額な手術や長期的な治療が必要な病気を抱えていることも少なくありません。
事業計画を立てる際には、売上予測だけでなく、不測の医療費に対する十分な予備費を組み込んでおく必要があります。
日本政策金融公庫の融資や、クラウドファンディングなどを活用し、初期費用だけでなく、最低でも半年分の運転資金(医療費予備含む)を確保しておくのが重要です。
「寄付に頼らない」経営を目指して|坂上忍さんから学ぶこと
テレビ番組でも知られる、タレントの坂上忍さんが運営する動物保護ハウス「さかがみ家」。
彼の活動は、保護犬ビジネスの新しいモデルとして、多くのヒントを与えてくれます。
坂上氏はインタビューでも以下のように語っています。
景気などに左右される寄付に頼るのは不安定すぎると、坂上さんは、あえて寄付やクラウドファンディングは受け入れず、動物保護を持続可能な事業として確立させたいと考えている。
引用:文集オンライン
善意の寄付は、景気や世の中の関心によって大きく変動し、安定した基盤にはなり得ません。
彼は、自分たちの力で収益を上げる事業として、持続な可能な形で活動を成り立たせることを目指しています。
事業の収益で、保護活動を支えるビジネスモデル
「さかがみ家」の主な収益源は、オリジナルグッズの販売やカフェ事業、企業とのコラボレーションです。
デザイン性の高いアパレルや雑貨、ペットフードなどを開発・販売し、そこで得た利益を、保護犬たちの食費や医療費、施設の運営費に充てています。
これは、物販事業(周辺事業モデル)の収益で保護活動(非収益事業)を支えるビジネスモデルです。
メディア発信による、社会全体を巻き込む力
そして、彼の最大の強みは、テレビやSNSといったメディアを通じた、圧倒的な発信力です。保護犬の現状や、活動の理念を、多くの人々に分かりやすく伝えることで、社会全体の意識を変え、大きな課題意識を創り出しています。
さらに、グッズ購入や支援という形で、多くの人々を巻き込むマーケティング活動を行っています。保護犬ビジネスを始める際はSNSやブログで情報を発信を行い、ファンを集めていくのもポイントです。
いきなり結果を出すことはできませんが、継続的に発信すれば必ず誰かの心には響きます。
まとめ:保護犬ビジネスとは、犬の「未来の価値」を創造する仕事
保護犬ビジネスは、決してかわいそうな犬を展示して、同情心からお金をもらう仕事ではありません。傷ついた犬たちの心と体をケアし、専門的なトレーニングを施し、犬が持つ本来の魅力を最大限に引き出してあげるのが大切です。
そして、その専門的なサービスに対して、正当な対価をいただく。これこそが、一匹でも多くの犬を幸せにし、かつあなた自身の人生をも豊かにする、持続可能な理想の道です。
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