2025.12.21 起業ガイド

鳶職で起業し独立1年目から年収1000万稼ぐ失敗しない3つの手順

鳶職で起業し独立1年目から年収1000万稼ぐ失敗しない3つの手順

「鳶職で現場の職長としてどれだけ現場を納めても、給与は頭打ち。天候次第で収入が減る不安定な生活から抜け出したい」

「自分の腕と経験なら、鳶職で起業すれば今の倍以上は稼げるはずだ」

現状を変えるために鳶職での起業を検討しても「元請けから継続して高単価な仕事を受注できるかという不安」が重荷となり、なかなか決断できない方は少なくありません。

本記事では、現場経験豊富な職人が独立し、1年目から利益を出すための具体的な3つの手順と、失敗を防ぐための資金管理について詳しく解説します。

記事を読めば、鳶職であなたが長年培ってきた高い技術と現場での信用を収益に変え、経営者として年収1000万円を目指せる具体的な方法がわかります。

鳶職の起業で1年目から利益を出す全体像

建設業界では技能者の高齢化が進む一方、若手鳶職の独立志向は依然として高い水準を維持しています。

国土交通省の資料によると、全産業と比較しても建設業は自営業主の割合が高く、多くの職人が自らの裁量で働くことを求めて独立している現状が読み取れます。

単に独立だけで収入アップは望めず、経営者としての戦略的な振る舞いが明暗を分けるポイントです。

雇われ職人と独立した一人親方の給料と年収の格差

鳶職起業
出典:第7回 建設業の一人親方問題に関する検討会|国土交通省

多くの職人が収入アップを期待して独立しますが、国土交通省の調査では、自身の報酬が雇用労働者より「高額だったと思う」と回答した一人親方は全体の35%に留まります。

つまり、独立した職人のうち、3人に2人は収入が同程度かそれ以下だと感じているのが現実です。

給与という枠組みから外れ、自らの腕で稼ぎ出す事業主としての働き方は、大きな可能性を秘めています。

しかし、社会保険料や資機材の経費を自己負担する分、雇われ時代と同じ感覚で単価設定を行うと、手取り額が減ってしまう事態に陥りかねないため、注意が必要です。

鳶職の独立で失敗する原因となる準備不足と資金管理

出典:第7回 建設業の一人親方問題に関する検討会|国土交通省

独立後に失敗する最大の要因は、経営者としての準備不足から「常用請負」の働き方に依存してしまう点です。

約72%の企業が一人親方に対して工事一式ではなく「労務提供のみ」で仕事を依頼している実態が示されています。

常用請負は一見すると安定しているように見えますが、実態が雇用労働者と変わらないため、社会保険加入対策の強化により現場から排除されている傾向です。

自身の身を守る保険料や税金の支払いを計算に入れず、目先の手取り額だけで常用請負を続けると、資金繰りに行き詰まり廃業に追い込まれるリスクが高まります。

鳶職で年収1000万を超える親方の働き方

年収1000万円を超える稼げる親方になるためには、労働力を提供するだけでなく、事業の裁量を自ら握る必要があります。

高収入を得る親方は、仕事の依頼を断る自由を持ち、自らの判断で代役を立てられるなど、高い事業遂行能力を持っています。

高い技能を持っている事実は前提条件に過ぎず、顧客との交渉やトラブル対応を含めた事業全体を管理する能力こそが、高収入を実現する条件です。

鳶職の起業に必要な資格と建設業許可や保険の準備【手順1】

鳶職として独立し、安定して仕事を獲得し続けるには、高い技術力だけでなく社会的な信用を証明する資格や許可の取得が求められます。

元請け会社は、コンプライアンス遵守の観点から、法令に基づいた手続きが完了している業者を優先的に選定する傾向があるためです。

現場でのパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を整えるために、漏れなく必要な手続きを進めます。

鳶個人事業主として独立する際に必要な開業届と手続き

鳶職人が独立を決意した際、最初に行うべき手続きは所轄税務署への開業届の提出です。

開業届提出の手続きを経れば、正式に個人事業主として国に認められ、最大65万円の控除が受けられる青色申告を利用できます。

節税効果を高め、手元に残る資金を増やすためには、青色申告承認申請書の同時提出がおすすめです。

日々の現場作業で忙しいなか、事務作業は負担になりますが、確定申告の時期に慌てないよう、会計ソフトを導入して毎月の収支を管理する習慣をつけてください。

領収書の整理や帳簿付けを正しく行う行為は、経営状態を把握し、黒字倒産を防ぐための利益管理に直結するためです。

事業用の銀行口座を開設し、プライベートな資金と明確に分ける管理体制を整えます。

一人親方とは異なる社会的信用を得る建設業許可の取得

500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合、建設業許可は法律上必須条件ではありません。

しかし、鳶職で起業して事業を大きく育てたいと考えるなら、早い段階での取得を目指すべきです。

建設業許可を持っている事実は、一定以上の経営能力と技術力、誠実性を備えている証明となり、元請け企業からの信頼度が格段に向上するためです。

許可を取得するには、経営業務の管理責任者が在籍する、専任技術者を置く、財産的基礎があるといった要件を満たさなければなりません。

一級とび技能士などの国家資格保有者は専任技術者の要件を満たしやすいため、資格取得は許可申請をスムーズに進める要因になります。

許可があれば500万円以上の大規模な工事を受注できるようになり、売上拡大のチャンスが広がります。

現場入場に必須となるグリーンサイトやCCUSの登録

大手ゼネコンの現場を中心に、入場する職人の社会保険加入状況や資格情報を管理する「グリーンサイト」や「CCUS」への登録が事実上の義務です。

上記システムに登録していない事業者は現場に入場できないケースが増えているため、独立開業と同時に登録手続きを進める準備をしておきます。

CCUSに登録すると、技能者の経験やスキルがシステム上に蓄積され、適正な評価と報酬を得るための客観的な証明になります。

システムへの登録には、技能者個人の情報だけでなく、事業者としての情報登録も必要です。

健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への加入状況が厳しくチェックされるため、法令に基づいた適切な保険加入を済ませておきます。

現場入場のパスポートとも言える登録を完了させる準備は、鳶職として起業し、活躍の場を広げるための前提条件と言えます。

鳶職で起業後に高単価案件を獲得し売上を伸ばす営業手法【手順2】

起業して間もない時期は、知人の紹介や以前の勤務先からの仕事に頼りがちですが、年収1000万円を目指すなら、自ら仕事を獲りに行く姿勢が必要です。

条件の良い案件獲得には、行動が求められます。

自社の強みを明確にし、適切な相手にアプローチする営業活動を行い、利益率の高い仕事を獲得できる仕組みを心がけます。

常用単価の交渉ではなく請負工事で利益率を高める

鳶職の収入形態には、一日あたりの単価で働く「常用」と、工事一式を請け負う「請負」の二種類が存在します。

常用は安定して稼げる反面、働ける日数には限りがあるため売上の上限が決まってしまいます。

大きく稼ぐためには、現場管理で責任を負う代わりに、工事全体の予算から利益を捻出できる請負工事の比率を高める戦略が有効です。

請負工事では、効率よく作業を進めて工期を短縮できれば、短縮した分だけ利益率が向上します。

自身のチームが持つ高い技術力と施工スピードを活かし、他社よりも高品質かつ短期間で施工できる実績を作ります。

実績を積み重ねる過程で、元請けに対して「提示金額で請け負わせてほしい」と見積もりが提案できる交渉力を養う姿勢が重要です。

協力会社や元請けとの信頼関係を構築し継続受注する

建設業界において、最も営業効果が高いのは「現場での信頼」です。

どんなに安く工事を請け負っても、工期遅れや安全管理の不備があれば次の発注はありません。

約束した工期を厳守し、無事故・無災害で現場を完工させる当たり前の積み重ねが、次も指名で仕事を頼みたいと思わせる決定打になります。

現場での挨拶や整理整頓、他職との調整を円滑に行うコミュニケーション能力も評価の対象です。

元請けの担当者にとって、安心して現場を任せられる鳶職人は手放したくない存在となります。

信頼関係が深まれば、単価交渉もしやすくなり、閑散期でも優先的に仕事を回してもらえるような安定した受注基盤が構築できます。

地域の建設会社ランキング上位へ営業し販路を広げる

既存の取引先だけに依存していると、元請けの業績悪化や方針転換の影響を直接受けてしまいます。

リスクを分散し、より良い条件で働くために、新規の取引先開拓への挑戦も必要です。

地域の建設会社ランキングや経営事項審査の結果を公表しているサイトを活用し、業績が好調で支払い能力の高い企業をリストアップする手法をおすすめします。

ターゲットとなる企業が決まったら、自社の施工実績や保有資格、得意な足場の種類などをまとめた資料を持参してアプローチをかけます。

現在はWebサイトを持つ鳶工事会社も増えており、ホームページ経由での問い合わせも少なくありません。

自社の施工事例や安全への取り組みを発信するWebサイトを開設し、インターネット検索経由で新たな元請けと出会う機会を創出します。

鳶職の起業後に組織化して事業を拡大する【手順3】

一人親方として稼げる金額には体力的な限界があります。

年収1000万円を超え、さらに事業を拡大していくには、信頼できる仲間を集めて組織を作る段階へ進まなければなりません。

人を雇い、育て、チームとして機能させる経営者としての手腕が問われる段階に突入します。

鳶職の求人で若手を採用し定着させるチーム作り

建設業界全体で人手不足が叫ばれるなか、優秀な若手職人を採用するには、求職者に選ばれる魅力的な職場環境を整備する工夫が必要です。

給与が高いだけでなく、社会保険の完備や休暇の取りやすさ、資格取得支援といった福利厚生を充実させ、長く安心して働ける環境である事実をアピールします。

求人媒体への掲載に加え、SNSを活用した採用活動も効果的です。

現場のかっこいい写真やチームの仲の良さが伝わる動画を発信し、会社の雰囲気に共感してくれる人材を集めます。

採用した若手がすぐに辞めないよう、丁寧な指導やコミュニケーションを心掛け、チームの一員としての居場所を作ることが定着率向上の条件です。

職長を育成し複数の現場を稼働させ売上を倍増させる

社長である自分一人が全ての現場で指揮を執っているうちは、請け負える現場の数は増えません。

売上を倍増させるには、自分の代わりに現場を任せられる優秀な職長の育成が不可欠です。

技術だけでなく、図面を読み解く力や元請けとの打ち合わせ、安全管理など、職長として必要なマネジメント能力を教育する仕組みを整えます。

職長が育てば、同時に複数の現場を稼働させることが可能になり、会社の売上は飛躍的に伸びます。

職長に対しては、現場の利益に応じた手当を支給するなど、モチベーションを高める評価制度の導入が必要です。

社員が成長し、責任あるポジションで活躍できるキャリアパスを示す施策は、組織全体の士気を高める効果があります。

法人化のタイミングを見極め社会的信用と節税を図る

個人事業主として売上が1000万円を超えると、消費税の納税義務が発生するだけでなく、所得税の税率も高くなります。

利益が安定して出るようになった段階で法人化の検討も必要です。

法人化することで、役員報酬による節税メリットを享受できるほか、対外的な信用力が向上し人材採用や融資で有利になるためです。

法人になれば、社会保険への加入を義務付けられますが、制度への加入は求職者にとって大きな安心材料となります。

大手ゼネコンとの直接取引を目指す場合も、法人格を持っている条件は有利に働きます。

税理士と相談しながら、自社の成長フェーズに合わせた最適なタイミングで法人化へと踏み出し、さらなる高みを目指す方法も有効です。

まとめ:鳶職の起業で成功を掴み理想の未来を実現しよう

鳶職での起業は、腕一本で高収入が得られる大きな可能性を秘めています。

成功を手にするには、勢いだけでなく、綿密な資金計画や資格による裏付け、そして信頼を勝ち取る営業努力が欠かせません。

一人親方から始まり、仲間を増やして組織を作り上げる過程では多くの困難に直面しますが、一つひとつ手順を踏んで乗り越えていけば、理想とする経営者の姿に近づけます。

リスクを恐れずに準備を進め、商工会議所や専門家への相談といった具体的な行動を起こしましょう。

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