2026.05.09 起業ガイド

障害福祉サービス事業所を起業するには?開業の全手順と指定申請のポイント

障害福祉サービス事業所を起業するには?開業の全手順と指定申請のポイント



「障害のある方の力になりたい」

「福祉の分野で事業を立ち上げたい」

その思いを持ちながら、何から手をつければいいかわからず踏み出せない方は多くいます。

障害福祉サービス事業所の開業には指定申請・人員配置・設備基準など複数のハードルがあり、準備なしに動くと後退することになります。

本記事では、障害福祉サービス事業所を起業する全手順を、サービス種別の選び方から法人設立・指定申請・人員確保・開業後の報酬受取まで、初めての方でも行動できる粒度で解説します。

この記事を読めば、どのように障害福祉サービスを形にすれば良いかがわかります。

障害福祉サービスとは?主なサービス種別と選び方

障害福祉サービスは「障害者総合支援法」に基づき提供される公的サービスです。

対象は身体障害・知的障害・精神障害・難病等のある方で、生活支援から就労支援まで幅広い種別があります。

起業前にどのサービスで開業するかを明確にしましょう。

代表的なサービス種別一覧

サービス種別 対象者 概要
就労継続支援B型 就労が難しい障害者 雇用契約なし・工賃を支払いながら就労機会を提供
就労継続支援A型 最低賃金以上で働ける障害者 雇用契約あり・最低賃金以上の給与を支払う
就労移行支援 一般就労を目指す障害者 最大2年間のプログラムで一般企業への就職を支援
生活介護 常時介護が必要な障害者 日中活動・入浴・食事・排泄等の介護を提供
グループホーム 地域で生活したい障害者 共同住居での生活支援・相談対応
居宅介護 在宅の障害者 自宅での身体介護・家事援助・通院等介助

初めて開業する場合は、参入障壁が比較的低い「就労継続支援B型」や「放課後等デイサービス」から検討するケースが多い傾向にあります。

ただし、自分が「何に強みを持ち、誰を支援したいか」という軸で選ぶのが重要です。

指定申請の要件——法人格・人員・設備の3本柱

障害福祉サービス事業者として営業するには、都道府県(または政令市・中核市)の指定を受ける必要があります。

指定を受けるためには「法人格」「人員基準」「設備基準」「運営基準」の4つを満たすことが必要です。

① 法人格の取得

株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人など形態は問いませんが、個人事業主では指定を受けられません

法人設立には2週間〜2ヶ月程度かかるため、申請スケジュールより前倒しで動く必要があります。

NPO法人は認証に4〜6ヶ月かかるため特に注意が必要です。

② 人員基準(就労継続支援B型の例)

  • 管理者:常勤1名(サービス管理責任者との兼務可)
  • サービス管理責任者:利用者60名以下の場合1名以上(常勤)
  • 職業支援員・生活支援員:利用者数に応じた配置(7.5:1以上)

サービス管理責任者(サビ管)の確保が最重要課題

サビ管は研修修了+実務経験(3〜5年以上)が必要で、育成に数年かかるため最大のボトルネックです。

開業前から見込み人材を確保・研修受講させる計画が不可欠です。※要件の詳細は都道府県の最新基準をご確認ください。

③ 設備基準

事務室・多目的室(訓練・作業室)・洗面所・トイレ・相談室などが必要です。

建物はバリアフリーへの配慮が求められます。

物件選定は設備基準の確認後に行い、必要に応じて内装工事を行ってください。

障害福祉サービス開業までのSTEP

開業に向けたおおまかな流れは以下の通りです。

指定申請受付〜指定まで2〜4ヶ月を見込み、逆算してスケジュールを組むことが重要です。

  1. STEP1:サービス種別・ターゲット・事業コンセプトを決める
  2. STEP2:法人格を取得する(株式会社・NPO法人など)
  3. STEP3:サービス管理責任者・支援員を採用・確保する
  4. STEP4:物件を選定し、設備基準に合わせて整備する
  5. STEP5:都道府県へ事前相談→指定申請書類を作成・提出
  6. STEP6:指定決定後、市区町村への届出・利用者受入開始

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開業費用の目安と資金調達の方法

就労継続支援B型を例にとると、開業に必要な費用は300〜600万円程度が目安です。

物件の取得・改装費がもっとも大きなウェイトを占めます。

費用の内訳(目安)

費用項目 目安金額
法人設立費(株式会社) 約20〜25万円
物件初期費用(敷金・礼金・仲介手数料) 50〜150万円
内装工事・バリアフリー改修 50〜200万円
設備・備品(作業機器・事務機器など) 30〜100万円
運転資金(給与・家賃・光熱費 3〜6ヶ月分) 100〜200万円

資金調達には日本政策金融公庫の創業融資(社会的事業向けに低金利)や、自治体・厚生労働省の補助金・助成金が活用できます。

報酬(介護給付費)は1ヶ月のサービス提供分が翌々月に入金されるため、開業から2ヶ月は収入がありません。

最低3ヶ月分の運転資金を手元に残して開業することが鉄則です。

障害福祉サービスの報酬と収益モデル

障害福祉サービスの収入の柱は国が定める「障害福祉サービス等報酬」です。

公費(国・都道府県・市町村)が9割を負担し、利用者負担は原則1割(所得に応じた上限あり)です。

報酬単価は3年ごとに改定されます(次回は2027年度予定)。

また、各種加算制度を積極的に取得することで報酬を底上げできます。

代表的な加算として「福祉専門職員配置等加算」「強度行動障害支援者養成研修修了者配置加算」「就労移行連携加算」などがあります(※加算の詳細・単価は最新の報酬告示を確認してください)。

収益安定化のポイント

利用者が定員(例:20名)に対してどのくらい稼働しているかが収益の鍵です。

定員稼働率80%以上を早期に達成するため、地域の相談支援事業所・特別支援学校・医療機関との連携を開業前から築いておくことが重要です。

開業後に成功する事業所の3つの共通点

同じ種別の事業所でも、開業3年後の生存率には大きな差があります。

長く続く事業所に共通するのは以下の3点です。

  • 専門性の明確化:「精神障害に強い」「農業福祉を取り入れる」など、事業所の強みを言語化して差別化する
  • 地域連携ネットワーク:相談支援事業所・医療機関・ハローワーク・特別支援学校と密な関係を作り、紹介経路を複数持つ
  • スタッフ定着率の向上:離職率が高い福祉業界で、働きやすい職場環境と給与水準を整備することが長期的な事業継続の条件

よくある質問(FAQ)

Q1. 障害福祉サービス事業所を起業するには法人格が必要ですか?
はい、指定障害福祉サービス事業者の指定を受けるには法人格が必要です。

NPO法人・株式会社・合同会社・一般社団法人など形態は問いませんが、法人として申請しなければなりません。個人事業主では指定を受けられません。

Q2. 指定申請の審査にはどのくらいかかりますか?
都道府県によって異なりますが、申請書類受付から指定まで2〜4ヶ月が目安です。

書類不備があると差し戻されて期間が延びるため、事前相談を活用し、書類の精度を高めてから提出することが重要です。

Q3. サービス管理責任者の資格はどうやって取得しますか?
相談支援従事者初任者研修・サービス管理責任者基礎研修・実践研修の修了と、対象分野の実務経験(3〜5年以上、資格・業務内容による)が必要です。

育成に数年かかるため早めに見込み人材を確保してください。詳細は都道府県の最新基準をご確認ください。

Q4. 障害福祉サービスの収入(報酬)はどう入りますか?
サービス提供月の翌々月に国民健康保険団体連合会(国保連)から報酬が支払われます。

つまり1月のサービス分は3月末頃に入金されます。開業から2ヶ月間は収入がないため、運転資金の確保が必須です。

Q5. 就労継続支援B型の開業資金はいくら必要ですか?
物件・改装費・設備費・法人設立費・運転資金を合わせると300〜600万円が目安です。

物件の賃借か自己所有か、定員規模、作業設備の種類によって変動します。日本政策金融公庫の創業融資や自治体補助金の活用で自己資金を圧縮できます。

障害福祉サービスの開業、最初の一歩は「種別選定」から

障害福祉サービス事業所の起業に必要なポイントを、サービス種別の選び方から指定申請・費用・収益モデルまで解説しました。重要な3点を整理します。

  • 法人格取得とサビ管確保が最大の準備課題。どちらも時間がかかるため早期着手が必須
  • 指定申請は逆算スケジュールで。開業希望日の6ヶ月前には動き始めてください
  • 報酬入金は翌々月のため、最低3ヶ月分の運転資金を確保してから開業する

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