2025.11.07 起業ガイド
アクチュアリーの起業は何から始める?副業から独立までの実践方法
Index
「自分の数理的な専門性を、会社の枠を超えてもっと直接的に社会の役に立てられないか」
「組織の中でキャリアを積み重ねてきたが、このままでいいのだろうか」
保険会社やコンサルティングファームで経験を積んだアクチュアリーとして、自身の市場価値を認識しつつも、起業という選択には「何から手をつければいいのか」「会社員の安定を失うのは怖い」といった不安がつきものです。
本記事では、リスクを最小限に抑えたアクチュアリーとして独立・起業の方法を解説します。
この記事を読めば、高度な専門知識を最大限に活かし、着実にビジネスを形にしていくための方法が見つかります。
アクチュアリーとして起業を考える理由と現状
アクチュアリーとは、確率論・統計学などの数理的な手法を使い、保険や年金といった金融分野における将来の不確実な事象のリスクを評価・分析する専門職です。
近年、アクチュアリーの専門性に対する需要は変化しています。
これまでは保険や年金の分野が中心でした。
しかし、社会全体のデータ活用が進むにつれて、活躍フィールドは広がっています。
アクチュアリーの活躍の場が保険・金融業界以外へ拡大
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、あらゆる業界でデータに基づいた意思決定が必要です。
製造業の需要予測、IT企業のサービス価格設定、ヘルスケア分野でのリスク分析など、アクチュアリーが持つ高度な数理能力を活かせる場面が増加しています。
これまで培ってきたリスクモデリングや統計解析のスキルは、業界の垣根を越えて価値を発揮できる可能性があります。
働き方の多様化によるフリーランス需要の増加
終身雇用が当たり前ではなくなり、働き方の選択肢は多様化しました。
企業側も、正社員として雇用するだけでなく、特定のプロジェクト単位で高度な専門知識を持つ人材を外部から活用する動きが活発になっています。
そのため、高い専門性を持つアクチュアリーの独立に対する需要も高まっています。
専門性を活かした高単価なビジネスモデルの構築
アクチュアリーの専門知識は、企業の経営判断に直接的な影響を与える付加価値の高いスキルです。
そのため、独立した場合、提供するサービスの単価を高く設定しやすい傾向があります。
例えば、企業の重要なプロジェクトにコンサルタントとして関わることで、会社員時代を上回る収入を得ることも不可能ではありません。
自身のスキルがそのまま収益に直結する点は、アクチュアリーとして起業する魅力です。
アクチュアリー資格者の主な起業パターン3選
アクチュアリーでの起業を考えたとき、どのような事業形態があるのでしょうか。
ここでは、自身の専門性を活かせる代表的な3つの起業パターンを紹介します。
1. 独立コンサルタント
代表的な起業パターンが、自身の専門知識を活かした独立コンサルタントです。
保険会社や事業会社をクライアントとし、ERM(全社的リスク管理)体制の構築支援、保険商品の開発サポート、M&Aにおける数理的評価など、特定の課題解決を支援します。
これまでの実務経験と人脈を直接活かしやすい点が特徴です。
クライアントの経営課題に深く関わり、事業成長に貢献する役割を担います。
2. データ分析・教育ビジネス
統計やデータサイエンスのスキルを活かし、企業のデータ分析を受託するビジネスも起業パターンのひとつです。
市場の需要予測モデルの構築や、マーケティングデータの分析などを通じて、クライアントの事業戦略をサポートします。
また、自身の知識を体系化し、アクチュアリーを目指す後進やデータ分析を学びたい社会人向けの教育・研修事業を展開する方法もあります。
知識を伝えることで、業界全体の発展に貢献できる仕事です。
3. DX・ITサービス分野
プログラミングスキルも併せ持つ場合、自身の数理モデルを組み込んだITサービスやソフトウェアを開発して提供する方法です。
例えば、特定のリスクを自動で分析するツールや、保険代理店向けの業務効率化システムなどが考えられます。
専門知識とITを掛け合わせることで、独自のサービスを展開できる可能性があります。
スモールビジネスから始めて、事業を拡大していくことも可能です。
「私にもできるか不安…」「まずは話だけ聞きたい」と思っている方もいるでしょう。
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アクチュアリーの起業を副業から始める4つのメリット
いきなり会社を辞めて独立することに、不安を感じる方は少なくありません。
そこで有効なのが、副業から始めることです。
ここでは、本業の安定を維持しながら、着実に独立への準備を進められる4つのメリットを紹介します。
1. 収入の安定を保ちながら挑戦できる
本業による安定した収入源を確保したまま、アクチュアリーとして新しい挑戦ができる点がメリットです。
起業初期は、すぐに案件が見つからないことや、収入が不安定になることも考えられます。
経済的な不安を最小限に抑えられるため、精神的な余裕を持って事業の基盤作りに集中できます。
焦らずに自分のペースで、着実に実績を積み重ねていくことが可能です。
2. 市場の需要や自身の適性が測れる
副業として実際に案件をこなすことで、自分のスキルが社外でどの程度通用するのか、どのような業務に需要があるのかを直接感じられます。
アクチュアリー市場のニーズを直接把握できることは、本格的に独立する際の事業計画を立てるうえで、貴重な情報です。
また、あなたがクライアントワークや自己管理といった独立した働き方に向いているか、適性を見極める良い機会にもなります。
3. 本業とは異なるスキルや経験が積める
アクチュアリーの副業では、専門業務以外にも、クライアントとの交渉、契約手続き、請求業務など、ビジネス運営に関わる多くの実務を自分で行う必要があります。
会社員時代には経験してこなかった業務は、独立後に事業を運営していくうえで不可欠なスキルです。
小さな案件を通じてこれらの経験を積んでおけば、本格的な独立への移行がスムーズになります。
4. 独立後のための実績と人脈を築ける
副業で請け負った案件は、独立後のポートフォリオとなる「実績」です。
「このような業務を成功させた経験があります」と具体的に示すことで、新しいクライアントからの信頼を得やすくなります。
また、副業を通じて出会ったクライアントや他の専門家とのつながりは、将来の事業を支える大切な人脈です。
ゼロからのスタートではなく、アクチュアリーとしてリードした状態で独立に臨めます。
アクチュアリーが副業を始める際の3つの注意点
アクチュアリーの副業には多くのメリットがあるものの、会社員という立場である以上、3つの注意すべき点も存在します。
トラブルを未然に防ぎ、本業と副業を両立させるために、事前確認し、適切な対応が必要です。
1. 勤務先の就業規則を必ず確認する
副業を始める前に、勤務先の就業規則を確認することが大切です。
企業によっては副業禁止や、事前の許可申請が必要などの場合があります。
規則を知らずにアクチュアリーの副業を始めてしまうと、後々大きな問題に発展しかねません。
人事部への確認や、上司への相談など、会社のルールに則った手続きが必要です。
2. 利益相反と情報漏洩のリスクを管理する
本業の競合他社にあたる企業の案件を請け負うことは、アクチュアリーにとって利益相反と見なされる可能性があります。
また、本業を通じて知り得た機密情報や内部情報を副業で利用することはできません。
自身のキャリアを守るためにも、案件を受ける際には、本業との関連性を慎重に判断し、情報管理の意識を常に高く持つ必要があります。
誠実な対応が、アクチュアリーの起業では長期的な信頼につながります。
3. 確定申告などの税務手続きが必要になる
アクチュアリーの副業での所得が年間20万円を超えた場合、会社員であっても個人で確定申告を行う義務があります。
本業の給与は会社が年末調整を行いますが、副業で得た収入については、自分で帳簿をつけ、所得を計算して税務署に申告しなければなりません。
会計ソフトの利用や、必要であれば税理士に相談するなど、税務に関する準備も忘れずに行います。
アクチュアリーの起業に関するよくある4つの質問
アクチュアリーの起業について具体的なイメージが湧いてきたところで、多くの方が抱くであろう4つの質問について、Q&A形式で回答します。
Q1:アクチュアリーが独立・起業する際に必要な資格や経験は?
A:アクチュアリーとしての起業に、法律上必須となる資格はありません。
しかし、クライアントからの信頼を得るうえで、日本アクチュアリー会の正会員であることは実質的に不可欠です。
また、最低でも5年から10年以上の実務経験があると、専門性をアピールしやすくなります。
特定の分野、例えばERMやIFRS17対応などで深い知見を持っていれば、あなたの強みとなります。
Q2:副業でスタートした場合、本業との両立で注意すべきことは?
A:本業のパフォーマンスを落とさないことが前提です。
そのためには、時間管理と自己管理が必要です。
アクチュアリーの副業では、平日の夜や休日など、稼働できる時間をあらかじめ決めておき、無理のない範囲で案件を引き受けます。
また、心身の健康を維持することも大切です。
オンとオフの切り替えを意識し、休息の時間をしっかりと確保することを心がけることをおすすめします。
Q3:独立後の収入は会社員時代と比べてどうなりますか?
アクチュアリーの収入は、自身の働き方次第で会社員時代を大きく上回る可能性もあれば、下回るリスクもあります。
収入は「単価×稼働時間」で決まるため、自身の提供価値に見合った価格設定と、安定した案件獲得がポイントです。
独立当初は実績作りのために少し単価を抑え、信頼を得るにつれて価格を上げていくのが現実的といえます。
社会保険料などが全額自己負担になる点にも注意が必要です。
Q4: 起業で失敗しないために特に気をつけるべきことは何ですか?
A:意識すべき点は、「完璧な専門家」から「顧客の課題を解決する経営者」へと視点を切り替えることです。
会社員時代は分析の精度やレポートの緻密さが評価されたかもしれません。
しかしアクチュアリーとして独立後は、専門知識を使って、いかに顧客のビジネス上の課題を解決し、利益に貢献できるかがすべてです。
常に顧客の成功を第一に考える姿勢が、事業を継続させるうえで大切になります。
まとめ:アクチュアリーの起業はリスクが少ない副業がおすすめ
アクチュアリーの専門性は、今後、さまざまな分野で求められていきます。自身のキャリアの可能性を広げるうえで、起業は魅力的な選択肢です。
しかし、多少なりともリスクが伴う独立・起業を成功させるためには、周到な準備が欠かせません。
あなたの専門知識は、あなたが思う以上に社会から必要とされているため、前向きに起業に取り組むのがおすすめです。
「起業をするのにサポートがほしい」
「起業に必要なことを知りたい」
そんなお悩みもあるかと思います。スタートアップアカデミーでは、公式LINEで無料相談会を実施しています。
ほかにも起業に役立つ特典のプレゼントやコンテンツの配信も実施しています。
「起業をしてみたい!」と思っている方は、ここから一歩踏み出してみませんか?
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