LINEで無料の起業相談
LINEで無料の起業相談

2026.09.30 起業ガイド

アーボリストの年収|求人の目安・資格・独立の現実と危険性

アーボリストの年収|求人の目安・資格・独立の現実と危険性

「木に登って樹木の手入れをするアーボリストという仕事に興味がある。でも、収入はどれくらいで、生活していけるのだろう」と疑問に思っていませんか。

アーボリストは、ロープを使って高い木に登り、剪定や伐採、樹木の管理を行う専門職です。自然と向き合い、技術で評価されるやりがいのある仕事ですが、公的な年収の統計が少なく収入の実態が見えにくいうえ、墜落などの重大な事故のリスクもある仕事です。

この記事では、アーボリストの仕事内容と年収の目安、林業の年収との違い、必要な資格、危険性と備え、独立の現実、収入を上げる方法、失敗しやすい点までを順に解説します。

アーボリストとは?樹木医・造園・林業との違い

アーボリストとは、樹木の健康と安全を守る専門家のことです。日本では特に、ロープやクライミングの技術を使って、高木の剪定や特殊な伐採、樹木のケアを行う人を指すことが多くあります。

主な仕事は次のとおりです。

  • ツリークライミングによる剪定・枝おろし
  • 特殊伐採:重機が入れない場所や、建物・電線の近くなど、通常の方法では切れない木を、ロープとリギング技術で少しずつ切って降ろす作業
  • 樹木の診断・管理:病害虫や腐朽、倒木の危険性の確認
  • 街路樹・公園・企業の緑地の維持管理
  • 倒木処理・災害対応
  • 講習・研修の講師

似た職種との違いは次のとおりです。

  • 樹木医:樹木の診断・治療・保護に関する知識と技術を持つ人に与えられる民間の認定資格(一般財団法人日本緑化センター)。診断・治療・保全が中心です
  • 造園業(庭師・造園技能士):庭や緑地の設計・施工・管理が中心です。造園技能士は国家検定です
  • 林業:森林での木材の生産が中心です
  • アーボリスト:主に市街地の樹木を対象に、クライミング技術を使う点に特徴があります

なお、日本ではアーボリストは国家資格ではありません。国際的な認定や国内の講習・認定で専門性を示すのが一般的です(後の章で解説します)。

アーボリストの年収の目安|公的な統計がない中での考え方

最初に正直にお伝えすると、アーボリストの年収について、信頼できる公的な統計はありません。収入は、雇われか独立か、会社の規模、経験、技術、地域、仕事の種類によって大きく変わります。

参考として、求人情報で見られる給与の例を紹介します(時期や条件によって変わるため、最新の求人で確認してください)。

  • アーボリスト・緑地管理・伐採(空師)などの正社員:月給20万〜40万円程度の幅で示される例があります。経験や資格を給与に反映するとする求人が多く見られます
  • 樹木医・樹木医補:年俸300万〜800万円と、幅を持たせて示す例があります
  • 造園・庭師:月給20万円台後半〜30万円台の例があります

これらから、雇われて働く場合は、年収300万円台〜500万円前後がひとつの目安と考えられます(賞与や手当の有無で変わります)。

ネット上では「アーボリストの平均年収は500万〜600万円」といった記載も見られますが、根拠がはっきりしないものもあります。数字は参考程度にとどめましょう。

また、年収を比べるときは「売上(年商)」「所得」「手取り」の違いにも注意が必要です。年商と年収の違いは、個人事業主の平均年収と年商の違いを解説した記事も参考にしてください。

林業の年収との違い|年収1,000万円は目指せる?

アーボリストと林業は、どちらも木を扱う仕事ですが、働く場所と収入の仕組みが異なります。

林業は森林で木材を生産する仕事で、林野庁の「森林・林業白書」では、林業従事者の年間平均給与は300万円台と示されています。最新の数字は白書で確認してください。

雇われて働く場合、林業でもアーボリストでも年収1,000万円に届くのは簡単ではありません。年収1,000万円を目指すなら、特殊伐採などの難しい案件を担える技術を身につけて独立し、元請けとして安定して受注できる状態を作ることが現実的な道です(独立の収支の例は後の章で紹介します)。

林業の仕事内容や独立については、林業で独立する方法を解説した記事で詳しく紹介しています。

アーボリストに必要な資格・講習

アーボリストに関わる資格・講習を整理します。内容や受験方法は変わることがあるため、各団体の公式情報で確認してください。

1. ISA認定アーボリスト

ISA(International Society of Arboriculture、国際アーボリカルチャー学会)が運営する国際的な資格です。日本でも国内の団体を通じて受験できます。

2. ATI(アーボリストトレーニング研究所)の講習・認定

日本国内でアーボリストの技術を学べるトレーニング組織です。ツリーワーカーやクライマースペシャリストなどの講習・認定があり、ロープワーク、リギング、樹上レスキューなど、安全に関わる技術を学べます。

3. 法令で定められた特別教育・技能講習

  • チェーンソーを使う伐木等の業務の特別教育
  • ロープ高所作業の特別教育
  • 墜落制止用器具(フルハーネス型)の特別教育
  • 玉掛け技能講習、小型移動式クレーンの運転、高所作業車の運転(特殊伐採の現場で活用されます)
  • 普通自動車免許(車両の大きさによっては準中型免許などが必要)

受講の要件は変わる場合があるため、労働基準監督署や各教育機関で確認してください。

4. 樹木医・造園技能士など

診断や保全の専門性を高めたい場合は樹木医、造園業として公共工事や法人との取引を広げたい場合は造園技能士や造園施工管理技士が評価されることがあります。

資格はあくまでスタートラインです。現場での経験と安全への意識が最も重要です。「資格を取ればすぐ稼げる」といった勧誘には注意しましょう。

アーボリストの危険性と労災|安全は収入より優先

アーボリストは、重大な事故のリスクが高い仕事です。収入を考える前に、安全について理解しておきましょう。

主なリスクは次のとおりです。

  • 墜落・転落:ロープや器具の不備、判断の誤り、枝の折れ、支点の破損などによる事故
  • 感電:電線の近くでの作業は特に危険で、電力会社との調整や専門の体制が必要になる場合があります
  • チェーンソーによる切り傷
  • 落下物・倒木・はね返り:自分や地上の作業者、通行人に当たる危険
  • ハチなどの害虫、熱中症、天候の急変
  • 建物・車・設備への損害:賠償責任が発生します

安全のための備えは次のとおりです。

  • 正しい訓練と講習:ロープワーク、リギング、樹上レスキューの技術を身につける
  • 適切な装備:ヘルメット、保護具、ハーネス、ロープ、カラビナ、チェーンソー用の防護具をそろえ、点検と更新を欠かさない
  • 単独作業を避ける:地上の補助者を置き、緊急時の連絡体制を整える
  • 作業前のリスク評価:木の状態(腐朽や枯れ枝)、周囲の環境(電線・建物・通行人)、天候を確認する
  • 労災保険:雇われの場合は会社が加入します。一人親方として独立する場合は、労災保険の特別加入が必要です
  • 賠償責任保険への加入
  • 体力と健康の管理

事故は命に関わり、事業も一瞬で終わらせてしまいます。安全にお金と時間を使うことが、長く稼ぎ続けるための前提です。

アーボリストとして独立する現実|条件・初期投資・収支の例

アーボリストとして独立する場合の目安は、次のとおりです。

  • 実務経験:5年以上(できれば7〜8年)が目安とされます
  • 資格・特別教育:チェーンソー、玉掛け、クレーン、高所作業車、ツリークライミングの技術
  • 初期投資:車両・機材・安全装備で、300万〜500万円程度とする例があります
  • 営業の基盤:造園業者、不動産会社、管理会社、自治体、企業との取引ルート
  • 保険:労災保険の特別加入、賠償責任保険

以下は、計算の考え方を示すための仮の例です。実際の金額は、地域・案件・技術によって大きく異なります。

特殊伐採・剪定を中心に独立した場合(一人親方+アシスタント、仮の数字)

  • 1日の平均売上:8万円
  • 月の稼働日数:15日(天候・移動・営業で稼働日は限られる)
  • 月の売上:120万円
  • アシスタント・外注費:約25万円
  • 燃料・車両・機材の消耗・枝や幹の処分費:約20万円
  • 保険・通信・広告:約8万円
  • 手元に残る額:約67万円(税金・社会保険料・機材更新の積立の前)

この例は、受注が安定している場合の想定です。雨や強風の日、繁忙期と閑散期の差があり、営業・見積もり・移動にも時間がかかるため、稼働日数は想定より少なくなることがあります。機材の更新費用や、けがで働けない期間も見込んでおく必要があります。

稼働が2割減る悲観的なケースでも続けられるかを、事前に確認しておきましょう。

アーボリストが収入を上げる方法

収入を上げる主な方法は次のとおりです(成功が保証されるものではありません)。

  1. 技術と資格を高め、難易度の高い案件を担う:建物や電線の近く、大径木の特殊伐採、大規模な樹木管理は単価が高い傾向があります
  2. 元請けの割合を増やす:下請けは単価が抑えられがちです。お客様や管理会社から直接受注すると利益率が上がります
  3. 取引先を広げる:造園会社、不動産会社、マンション管理会社、ハウスメーカー、自治体、工場・学校・病院などの企業
  4. 樹木診断・保全の提案を加える:樹木医の資格や診断の知識が活きます
  5. 継続契約を作る:緑地の年間管理や定期点検など、毎年発生する仕事を増やします
  6. 周辺の収入源を持つ:講習・研修の講師、ツリークライミング体験、伐採木を活用した薪や木材の販売など
  7. 作業を効率化する:機材の選び方、作業の段取り、処分の効率を見直し、1日あたりの売上を上げます
  8. 信頼と評判を積み重ねる:安全で丁寧な作業が、紹介につながります

どの方法でも、安全を犠牲にして稼ぐことは避けなければなりません。

アーボリストの仕事で失敗しやすいポイント

  • 安全を軽視し、事故を起こす
  • 資格を取れば、すぐに稼げると考える
  • 経験が浅いまま独立し、判断の誤りが事故や赤字につながる
  • 営業の基盤がなく、受注が取れない
  • 見積もりが甘く、処分費やリギングの手間を見込めずに赤字になる
  • 労災保険や賠償責任保険に加入していない
  • 機材に過剰投資する、または安全装備を節約してしまう
  • 電線の近くなど、専門の体制が必要な作業を無理に受ける
  • 天候や季節による仕事量の波を見込まない
  • 「アーボリストで簡単に高収入」といった高額な講座や認定商法の勧誘に乗る

高額な講座の勧誘を受けた場合は、内容・実績・費用を確認し、その場で契約しないようにしましょう。判断に迷ったら、消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談できます。

アーボリストを目指す5つのステップ

  1. 仕事の実態とリスクを理解する:体験講習や見学で確かめます
  2. 造園会社・伐採会社・アーボリストの事業者で働きながら基礎を学ぶ:チェーンソー、ロープ高所作業、フルハーネスの特別教育を受けます
  3. 専門の講習で技術を深める:ATIなどでロープワーク・リギング・樹上レスキューを学び、ISA認定なども検討します
  4. 数年の実務で技術と信頼を積む:取引先との関係も築いていきます
  5. 独立する場合は準備を整える:収支計画、保険と労災、機材、営業の準備を整え、開業届などの手続きを行います

焦らず、安全な技術を身につけてから、収入の設計に進みましょう。

まとめ:アーボリストの年収は求人の目安と独立の条件を慎重に読み、安全を最優先に

アーボリストの年収には公的な統計がなく、雇われの場合は月給20万〜40万円程度の求人例が見られます。独立すれば収入を伸ばせる可能性がありますが、実務経験、資格、初期投資、営業の基盤が必要です。

墜落や感電などの重大な危険がある仕事だからこそ、講習・保険・装備にしっかり投資し、経験を積んでから収入の設計を進めてください。まずは体験講習や見学で仕事の実態を確かめ、特別教育の受講と、実務を学べる職場探しから始めましょう。

技術を活かして、独立への一歩を考えませんか?


起業の最初の一歩を考えるイメージ

職人として独立して長く稼ぎ続けるには、技術に加えて、見積もりや価格設定、営業、数字の管理といった経営の知識も欠かせません。

Social Startup Academyでは、
事業の組み立て方から集客、価格設定、数字の管理まで、
起業に必要な内容を順番に学べます。


独立の準備として何を学べばよいか、
まずは起業の全体像を確認してみてください。

起業の全体像を確認する ▶

遷移先の記事で、学習内容・サポート内容・料金を確認できます

Related Posts

ニュース一覧へ戻る