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2026.09.30 起業ガイド

産後ケアを開業するには?資格・手続き・収益を解説

「産後ケアの施設を開業するには、どんな資格や手続きが必要なのだろう」

「自治体の委託を受けられれば経営は安定するのか」

助産師や看護師として働く中で、地域の母子を支える場を自分でつくりたいと考える方は増えています。

核家族化により産後に頼れる人がいない「孤育て」が社会問題となり、産後ケア事業は国と自治体が力を入れる重点施策となりました。

一方で、委託料だけでは採算が取りにくいという厳しい現実もあります。

この記事では、産後ケアを開業するための形態と手続き、自治体委託の仕組み、収益モデル、そして経営を安定させるためのポイントまでを具体的に解説します。

産後ケアを開業するには?3つの事業形態を理解する

産後ケアを開業するには、まずどの形態でサービスを提供するかを決める必要があります。市町村が実施する産後ケア事業は、大きく3つの形態に分かれています。

第一は「宿泊型(ショートステイ)」で、助産所などに母子が泊まり、休養をとりながら授乳指導や育児相談を受ける形態です。24時間体制の人員配置と宿泊設備が必要なため、初期投資と運営コストは最も大きくなります。

第二は「デイサービス型(通所型)」で、日中の数時間、施設で母体ケアや育児指導、休息の時間を提供します。宿泊型ほどの設備や夜間人員は不要なため、比較的始めやすい形態です。

第三は「アウトリーチ型(訪問型)」で、助産師などが利用者の自宅を訪問し、授乳相談や乳房ケア、沐浴指導などを行います。

店舗や宿泊設備が不要なため、初期費用をほとんどかけずに一人から開業できるのが最大の魅力です。資金やスタッフが限られる場合は、まず訪問型で実績を積み、地域での信頼を得てからデイサービス型や宿泊型へ展開するのが現実的なステップといえます。

産後ケア開業に必要な資格と手続き

産後ケアを開業するには、提供するサービスの内容に応じた資格と届出が必要です。自治体の産後ケア事業の担い手として中心になるのは助産師です。

助産師が助産所を開設する場合は、医療法に基づき開設後10日以内に所在地の保健所へ届け出る必要があります。

入所型の助産所の場合は、構造設備や管理体制について保健所の基準を満たさなければならないため、物件選びの段階から保健所に事前相談しておくことが重要です。

また、分娩を扱わない産後ケア専門の助産所であっても、嘱託医師や連携医療機関を確保しておくことが求められるのが一般的です。

看護師や保育士などが中心となり、医療行為を伴わない自費の産後サポートサービスとして開業する方法もあります。

ただし、宿泊を伴うサービスを医療施設以外で提供する場合は、旅館業法など別の法令が関係する可能性があるため、事前に自治体の担当窓口で確認が必要です。開業時には税務署への開業届や、賠償責任保険への加入も忘れずに行いましょう。

自治体委託の仕組みと産後ケアの収益モデル

産後ケアを開業するうえで重要な収益源となるのが、市町村からの事業委託です。

2021年施行の改正母子保健法により、産後ケア事業の実施が市町村の努力義務となり、現在は多くの自治体が助産所や医療機関に業務を委託しています。

財源には国の補助金が活用されており、国と市町村が費用を負担する仕組みです。委託を受けるには、各自治体が定める実施要綱の基準を満たし、委託契約を結ぶ必要があります。

委託料の水準は自治体によって異なりますが、例えば静岡県焼津市では、ショートステイ1回あたり市負担4万円と利用者負担1万円、訪問型(アウトリーチ)は市負担7,000円と利用者負担1,400円といった設定になっています。

一方で、委託料だけで黒字を確保するのは容易ではないのが実情です。

日本助産師会の調査では、産後ケア事業の委託を受けている助産所のうち黒字は約3割で、約6割が赤字という結果が報告されています。そのため、自治体委託に加えて、自費メニューの提供を組み合わせた収益設計が欠かせません。

産後ケアの開業後に経営を安定させるポイント

産後ケアを開業した後に経営を安定させるには、収益源の多様化と地域連携が鍵になります。第一に、自費サービスのメニューを充実させましょう。

委託事業の対象外となる方や、利用回数の上限を超えて利用したい方に向けて、訪問授乳ケア、母乳外来、骨盤ケア、ベビーマッサージ教室、両親学級などを自費で提供すれば、委託料に依存しない収益を確保できます。

第二に、複数の自治体から委託を受けることです。近隣の市町村にも委託の申し込みを行えば、利用者の母数を増やして稼働率を高められます。

第三に、産婦人科クリニックや地域の保健師との連携を強化することです。産後うつのリスクが高い方や育児不安の強い方を紹介してもらえる関係を築けば、利用につながりやすくなります。

第四に、Instagramや地域の子育て情報サイトでの情報発信です。

施設の雰囲気やスタッフの顔が見える発信は、初めての利用をためらう母親の安心感につながります。訪問型から小さく始め、固定費を抑えながら実績を重ねることが、長く続けられる経営の土台となります。

まとめ:産後ケアを開業するには形態選びと収益設計が重要

産後ケアを開業するには、宿泊型・デイサービス型・訪問型のいずれで始めるかを決め、助産所の届出など必要な手続きを進めることが第一歩です。

自治体委託は重要な収益源ですが、委託料だけで黒字化するのは難しいため、自費メニューや複数自治体との契約を組み合わせましょう。まずは初期費用の少ない訪問型から始め、地域の信頼を積み上げていくことをおすすめします。

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