2026.10.15 起業ガイド
空き家再生の開業方法|必要な資格・物件選び・資金
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全国で増え続ける空き家。放置すれば老朽化が進み、地域の景観や防犯の面でも問題になりますが、手を入れれば住まいや店舗としてよみがえらせることができます。
空き家を買い取ったり借りたりして改修し、賃貸や売却、店舗などとして活用する空き家再生は、社会課題の解決と収益を両立できるビジネスとして注目を集めています。
ただし、物件の見極めを誤ると、改修費がかさんで赤字になることもあります。
この記事では、空き家の現状と空き家再生ビジネスの種類、開業に必要な資格や手続き、物件の選び方、資金と収益の考え方、成功のポイントまでを解説します。
空き家の現状と空き家再生が求められる理由
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の全国の空き家は約900万戸と過去最多を更新し、住宅全体に占める空き家の割合は13.8%に達しました。30年前と比べると、空き家の数はおよそ2倍に増えています。
なかでも問題とされているのが、売りにも貸しにも出されず、使い道が決まっていない空き家です。
相続をきっかけに空き家になったものの、遠方に住んでいて管理できない、片付けや改修の費用を負担できない、といった理由で放置されるケースが少なくありません。
国も対策を強めています。2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法では、放置すれば危険な状態になるおそれのある空き家を「管理不全空家」として市区町村が指導・勧告できるようになり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が受けられなくなります。
所有者にとって、空き家を放置するコストは大きくなりつつあるのです。
こうした流れのなかで、空き家を手放したい、活用したいという所有者は増えています。空き家を再生して新たな価値を生み出す事業には、大きな需要があるといえるでしょう。
空き家再生ビジネスの主な種類
空き家再生には、事業の関わり方によっていくつかの形があります。
買取再販型
空き家を安く買い取り、リフォームやリノベーションを施して売却する方法です。
改修によって物件の価値を高め、仕入れ価格と改修費を上回る価格で売ることで利益を得ます。1件あたりの利益は大きくなりやすい一方、まとまった資金が必要です。
賃貸活用型
空き家を買い取ったり借り上げたりして改修し、住宅や店舗、事務所として貸し出す方法です。
家賃収入を長期にわたって得られるのが魅力です。所有者から借りて改修し、転貸する形なら、物件を買わずに始められます。
改修工事・リノベーション請負型
空き家の所有者から依頼を受けて、改修工事やリノベーションを請け負う方法です。建築や内装の技術を持つ人に向いています。
活用支援・コンサルティング型
所有者と借り手・買い手をつなぐ、片付けや管理を代行する、活用方法を提案するといった形で関わる方法です。空き家の管理代行は、遠方に住む所有者からのニーズが高まっています。

空き家再生の開業に必要な資格と手続き
空き家再生ビジネスで必要な資格や許可は、どの形で事業を行うかによって変わります。
空き家を買い取って売却する事業を繰り返し行う場合は、宅地建物取引業の免許が必要です。
不動産の売買や仲介を業として行うには、都道府県知事または国土交通大臣の免許を受け、事務所ごとに一定数の宅地建物取引士を置かなければなりません。所有者と買い手・借り手を仲介する場合も同様です。
改修工事を請け負う場合、1件の工事代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)になると、建設業の許可が必要です。小規模な工事だけなら許可がなくても請け負えますが、事業の拡大を見据えて取得を検討するとよいでしょう。
建物の用途を住宅から店舗や宿泊施設などに変える場合は、建築基準法の用途変更の手続きが必要になることがあります。2025年4月の建築基準法改正で、木造2階建て住宅などの大規模なリフォームにも建築確認が必要になるケースが増えているため、改修の計画段階で建築士に相談しておきましょう。
自分で所有する物件を貸すだけなら、宅建業の免許は不要です。ただし、宿泊施設として貸す場合は旅館業法の許可や住宅宿泊事業法の届出が必要になります。
空き家再生に向いている物件の選び方
空き家再生の成否は、物件選びの段階でほぼ決まるといっても過言ではありません。
最も重要なのは、再生後に需要があるかどうかです。どれだけ安く買えても、借り手や買い手が見つからない場所では事業になりません。
駅や商業施設への距離、周辺の家賃や売買価格の相場、地域の人口の動きを調べ、どんな人に、どんな形で使ってもらえるかを具体的に描きましょう。
建物の状態も入念に確かめる必要があります。雨漏りや柱の腐食、シロアリの被害、基礎のひび割れなど、構造に関わる傷みは改修費を大きく押し上げます。
購入前には建築士や工務店に建物を見てもらい、改修費の見積もりを取ることが欠かせません。
法的な条件にも注意が必要です。接道の条件を満たしていない「再建築不可」の物件は、安く手に入る一方で、建て替えができず、金融機関の融資も受けにくくなります。
市街化調整区域の物件も、用途の変更が制限されることがあります。
物件の探し方としては、自治体の空き家バンクの活用が代表的です。地域の不動産会社とつながりをつくっておくと、市場に出る前の物件情報を得られることもあります。
空き家再生の資金と収益の考え方
空き家再生の資金は、物件の取得費と改修費が中心です。地方の空き家であれば数十万円から数百万円で取得できるものもありますが、改修費は建物の状態や改修の範囲によって大きく変わり、取得費を上回ることも珍しくありません。
収益を考える際は、取得費と改修費、諸費用を合計した総投資額に対して、どれだけの家賃や売却益が見込めるかを試算します。
賃貸活用なら、年間の家賃収入を総投資額で割った利回りを一つの目安にしましょう。
固定資産税や修繕費、空室の期間なども差し引いて、実際に手元に残る金額で判断することが大切です。
資金調達では、自治体の空き家改修補助金を活用できる場合があります。
移住者向けや子育て世帯向けの住宅として再生する場合に、補助が上乗せされる自治体もあります。事業として取り組むなら、日本政策金融公庫の創業融資なども検討しましょう。
空き家再生の開業までの流れ
空き家再生の事業を始めるときは、どの形で関わるのかを決めるところから出発します。
物件を買って再生するのか、借りて転貸するのか、工事を請け負うのか。選んだ形によって、必要な資格や資金の規模が変わります。
事業の形が決まったら、必要な免許や許可の取得を進めましょう。宅建業の免許は申請から取得まで1〜2か月程度かかるため、早めに準備しておくと安心です。
並行して、物件の情報を集めます。空き家バンクへの登録や、地域の不動産会社、自治体の空き家相談窓口とのつながりづくりを進めましょう。工事を自社で行わない場合は、信頼できる工務店や職人との協力関係も欠かせません。
最初の1件目は、規模の小さい物件で経験を積むのがおすすめです。改修の進め方や費用の感覚、借り手や買い手の反応を一度経験しておけば、2件目以降の判断の精度が格段に上がります。
空き家再生を成功させるポイント
空き家再生で成功している事業者は、改修にかける費用のメリハリを大切にしています。
構造や雨漏り、水回りなど、安全性と快適さに関わる部分にはしっかりお金をかけ、内装は既存の味わいを活かしたり、自分たちで手を加えたりしてコストを抑えます。
ターゲットを明確にすることも重要です。子育て世帯向けの戸建て賃貸、移住者向けのお試し住宅、若い起業家向けの店舗兼住宅など、使う人の姿を具体的に描くと、改修の方向性が決まり、無駄な工事を避けられます。
地域との関係づくりも欠かせません。
空き家の情報は、地域の人や自治体からもたらされることが多くあります。地域の課題に向き合う姿勢を見せることで、信頼が生まれ、良い物件や協力者との出会いにつながります。
空き家再生の開業で注意したいこと
空き家再生には、思わぬ落とし穴もあります。
最も多いのが、改修費が想定を大きく上回るケースです。
壁や床をはがしてみたら、柱や土台の腐食が見つかったということは珍しくありません。見積もりには予備費を上乗せし、余裕のある資金計画を立てておきましょう。
権利関係の確認も重要です。相続の手続きが済んでいない物件や、共有者が複数いる物件は、売買や賃貸の契約が進まないことがあります。2024年4月から相続登記が義務化されたことで状況は改善しつつありますが、契約前に登記簿で所有者を必ず確認してください。
近隣との関係にも配慮が必要です。
長く空き家だった建物で工事を始めると、騒音や車の出入りで近隣に負担をかけることがあります。工事の前にあいさつをして理解を得ておけば、その後の活用もスムーズに進みます。
まとめ:空き家再生の開業は物件選びと事業形態の見極めが鍵
空き家は全国で約900万戸と過去最多を更新し、改正空家法の施行で所有者の活用ニーズも高まっています。空き家再生には、買取再販、賃貸活用、改修工事の請負、活用支援などの形があり、事業形態に応じて宅建業の免許や建設業の許可が必要です。
再生後の需要と建物の状態を見極めて物件を選び、改修費にメリハリをつけた資金計画で、空き家再生の開業を成功させましょう。
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