2026.10.08 起業ガイド
オートキャンプ場の開業方法|許可・資金・収益を解説
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自然の中で過ごす時間をお客さんに届けたい。所有している山林や遊休地を活かして、何か事業を始めたい。そんな思いから、オートキャンプ場の開業を考える方が増えています。
コロナ禍をきっかけにキャンプは一気に身近なレジャーになりましたが、ブームが落ち着いた今は、キャンプ場同士の競争も激しくなっています。オートキャンプ場の開業を成功させるには、土地にまつわる法規制を正しく理解し、選ばれる理由のある場所をつくることが欠かせません。
この記事では、キャンプ市場の最新動向、開業に必要な許可、開業資金と収益モデル、成功のポイントまでを詳しく解説します。
オートキャンプ場を取り巻く市場の動向
日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書」によると、オートキャンプの参加人口は2019年の860万人をピークに、コロナ禍の影響や反動で2022年には650万人まで減少しました。
数字だけを見ると市場は縮んでいるように映りますが、中身を見ると別の姿が浮かび上がってきます。
注目したいのが、一人あたりのキャンプ回数の増加です。年間の平均キャンプ回数は2015年の3.5回から、2023年には5.5回まで増えました。およそ2か月に1回はキャンプ場を訪れている計算です。
家族で出かけた人が、別の日にはソロで訪れる。キャンプは年に一度の特別なイベントから、日常に近いレジャーへと変わりつつあります。
楽しみ方も多様になりました。2022年には平日にキャンプをする人が5割を超え、ソロキャンプの割合も16.6%に上昇しています。かつては夏休みの8月に集中していた利用も、2023年は9月が最も多くなり、冬季に訪れる人も増えました。
アウトドア関連の市場全体を見ても、矢野経済研究所の調査では、2024年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は前年度比5.2%増の4,634億円と、再び成長に転じています。ブームの熱狂は落ち着いたものの、キャンプは根強いファンに支えられた定着型のレジャーになったといえるでしょう。
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オートキャンプ場の開業に必要な許可と法規制
オートキャンプ場の開業で最も注意が必要なのが、土地と施設にまつわる法規制です。キャンプ場そのものを直接規制する法律はありませんが、場所や設備によって複数の法律が関わってきます。
土地利用に関する規制
候補地が農地であれば、農地法に基づく農地転用の許可が必要です。
山林で1ヘクタールを超える開発を行う場合は、森林法の林地開発許可が求められます。市街化調整区域では建物の建築が厳しく制限され、国立公園や国定公園の区域内なら自然公園法の手続きも必要になります。
土地を購入・契約する前に、自治体の担当窓口で利用できるかを必ず確認しましょう。
宿泊施設に関する規制
テントサイトだけを貸す場合は、旅館業法の対象外とされるのが一般的です。ところが、コテージやバンガロー、常設テントのグランピング施設など、寝具や建物を備えて宿泊させる場合は、旅館業法の簡易宿所営業の許可が必要になります。
建物を建てるなら、建築基準法や消防法の基準も満たさなければなりません。
水回りと飲食に関する規制
トイレや炊事場の排水には浄化槽の設置が必要になることが多く、井戸水を使うなら水質検査も欠かせません。
売店で食品を販売したり、食事を提供したりする場合は、保健所の営業許可を取得します。
オートキャンプ場の開業資金の目安
オートキャンプ場の開業資金は、土地の条件と施設の規模によって大きく変わります。数区画のテントサイトから始める小規模なキャンプ場なら数百万円規模で開業できる場合もありますが、本格的な設備を整えると数千万円規模の投資になることも珍しくありません。
主な費用は、土地の取得費や賃料、整地や造成の工事費、車両が乗り入れられる区画づくり、電気や水道の引き込み工事費などです。利用者の満足度に直結するトイレや炊事棟、シャワー棟、管理棟の建設費も、大きな割合を占めます。電源付きサイトを設けるなら、電気工事の費用も見込んでおきましょう。
資金を抑えるには、すでに所有している土地を活用する、閉鎖したキャンプ場を引き継ぐ、自分たちで整備できる部分は手作業で進めるといった方法があります。
最初からすべてを完成させるのではなく、サイト数や設備を段階的に増やしていく計画にすれば、利用者の反応を見ながら投資の判断ができます。
自治体によっては、観光振興や遊休地活用のための補助金を用意している場合もあるため、事前に情報を集めておくと安心です。
オートキャンプ場の収益モデル
オートキャンプ場の収益の柱は、区画ごとのサイト利用料です。
車1台とテントを設営できる区画を1泊単位で貸し出し、人数や車両の数、電源の有無などに応じて料金を設定します。日帰りのデイキャンプ利用を受け付けると、平日の稼働率を高めることにもつながります。
サイト料に加えて、収益を伸ばす手段はいくつもあります。テントや寝袋、焚き火台などのレンタルは、道具を持っていない初心者の利用を後押しします。薪や炭、食材、アウトドア用品の販売は、利用者一人あたりの売上を引き上げる重要な要素です。
周辺の自然を活かした体験メニューも効果的です。
川遊びや釣り、星空観察、農業体験などのプログラムを用意すれば、キャンプ場そのものが目的地になります。コテージやグランピング施設を併設すれば、テント泊に慣れていない層や、天候に左右されたくない層も取り込め、客単価を大きく上げられます。
一方で、キャンプ場の売上は季節と天候の影響を強く受けます。週末や大型連休に予約が集中し、平日や冬季は稼働率が下がりがちです。年間を通じた収支計画を立て、閑散期の固定費をまかなえるかどうかを確認しておきましょう。
オートキャンプ場を成功させるためのポイント
キャンプ場の数が増えた今、利用者に選ばれるには明確なコンセプトが欠かせません。ソロキャンパー専用、犬連れ歓迎、大人だけが静かに過ごせる、子どもが自然の中で思い切り遊べるなど、誰のためのキャンプ場なのかをはっきりさせると、ターゲットに刺さる場所になります。
予約の利便性も重要です。オンラインで空き状況を確認し、その場で予約と決済まで完了できる仕組みは、今や利用者にとって当たり前になっています。キャンプ場の予約サイトへの掲載とあわせて、自社サイトからも予約できる環境を整えましょう。
集客では、SNSでの発信が大きな力を持ちます。景色の良いサイトや焚き火の様子、季節ごとの自然の移り変わりを写真や動画で発信すれば、行ってみたいという気持ちを自然と引き出せます。
利用者の投稿やレビューは、新しいお客さんの背中を押す何よりの口コミになります。
冬季や平日の集客にも工夫をこらしたいところです。冬キャンプ向けの設備やレンタル、平日限定の割引、ワーケーション向けの電源・通信環境の整備などは、稼働率を底上げする有効な手段です。

オートキャンプ場開業までの流れ
開業準備は、土地の確保と法規制の確認から始まります。候補地が見つかったら、農地や山林の区分、都市計画上の制限、自然公園の区域かどうかを自治体の窓口で確認しましょう。
ここで利用できないとわかれば、ほかの準備はすべて無駄になってしまいます。
土地の見通しが立ったら、コンセプトとサイトの配置を決めます。区画の数や広さ、車の動線、トイレや炊事棟の位置、景色の良い場所をどう活かすか。実際に現地を歩きながら、利用者の目線で設計を考えるのがポイントです。
設計が固まれば、造成工事や水道・電気の引き込み、建物の建設を進めます。許可が必要な工事は、申請から許可が下りるまでに数か月かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。並行して、予約システムの導入やレンタル用品の準備、ホームページやSNSの立ち上げも進めます。
開業の前には、知人や地元の人を招いたプレオープンを行うと安心です。実際に泊まってもらうことで、動線の不便さや設備の不足など、図面ではわからなかった改善点が見つかります。
オートキャンプ場の運営で注意したいこと
運営を続けるうえでは、安全管理と地域との関係づくりに細心の注意を払う必要があります。
自然の中の施設である以上、事故のリスクはゼロにはなりません。川の増水や落雷、熱中症、焚き火によるやけどや火災など、起こりうる事故を想定し、利用ルールの掲示や緊急時の連絡体制を整えておきましょう。
クマやイノシシなどの野生動物への対策も、地域によっては欠かせません。万が一に備え、施設賠償責任保険への加入も必須です。
近隣住民との関係にも配慮が必要です。
夜間の騒音や車の出入り、ゴミの放置は、トラブルの原因になります。消灯時間や静粛時間のルールを定め、ゴミの持ち帰りや分別を徹底してもらう仕組みをつくりましょう。
施設の維持管理にも手間とコストがかかります。草刈りやトイレ・炊事場の清掃、設備の修繕は、利用者の満足度を左右する大切な仕事です。清潔さは口コミ評価に直結するため、人手と時間を確保しておくことが大切です。
まとめ:オートキャンプ場の開業は法規制の確認とコンセプトが鍵
キャンプは一時のブームを経て、一人あたりの利用回数が増える定着型のレジャーになりました。オートキャンプ場の開業では、農地転用や林地開発、旅館業法などの法規制を土地の契約前に確認することが欠かせません。
サイト料に加えてレンタルや体験、宿泊施設で収益源を広げ、明確なコンセプトと安全管理で選ばれるキャンプ場を目指しましょう。

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