2025.12.13 起業ガイド
解体業資格で起業し年収1000万!必要な許可と登録で独立する手順
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「日当でどれだけ現場をこなしても、月収が大きく変わらない」
「現場で培った解体業資格や技術を活かして起業し、自分の裁量でもっと大きく稼ぎたい」
独立起業を目指しても、「解体工事業登録」や「建設業許可」の要件、そして「資金調達や元請け開拓の不安」があり、実際には行動に移せない方は多いのではないでしょうか。
特に、500万円以上の工事を請け負うための条件は厳しく、途中で諦めてしまうケースも少なくありません。
この記事では、現場経験を持つ職長クラスの方が、まずは登録制度を活用して堅実に独立し、事業を確実に拡大していくための手順を解説します。
本記事を読めば、あなたの経験を収益に変え、年収1000万円を超える経営者へステップアップするための具体的な方法がわかります。
解体業資格で起業する前に知るべき許可と登録の違い
建設業の許可業者数と毎年の新規許可・廃業等の件数の推移の調査結果では、建設業許可業者数はピークだった平成11〜12年頃と比べて減ったものの、直近ではおよそ48万社前後で横ばいとなり、新規参入が廃業を上回る状態が続いています。
つまり建設業界は、退出する会社もある一方で、許可を取って新しく事業を始める起業家も毎年一定数いるマーケットだと言えます。
解体工事業登録と建設業許可の請負金額500万円の違い
解体業資格で起業するときは、まず解体工事業登録と建設業許可の違いを押さえておく必要があります。
解体工事業登録は税込500万円未満の解体工事が対象で、小規模な家屋解体や内装解体などを中心に、少ない自己資金と設備で受注しやすい制度です。
建設業許可の解体工事業を取得すると、税込500万円以上の工事を元請けとして請け負えるようになり、ビルや大型施設の解体、公共工事など単価の高い案件にも手を挙げられるようになります。
解体工事業の許可を持つ事業者も一定数を占めており、専門業種として市場の中でポジションを築いている状況です。
最初は解体工事業登録で小規模案件を積み上げつつ、売上規模や元請け比率が高まってきた段階で解体工事業の建設業許可を取得すれば、扱える請負金額の上限が広がり、事業と収入の伸びを狙いやすくなります。
個人事業主として解体業事業登録で開業
独立するには法人化が必須というイメージがありますが、実際には個人事業主でも解体工事業登録で開業可能です。
税込500万円未満の解体工事であれば、建設業許可を取らなくても都道府県知事への登録だけで合法的に受注できます。
内装解体や木造家屋の解体などを中心に初期費用を抑えてスモールスタートし、実績と資金がたまってから法人化や建設業許可取得を目指す流れが現実的です。
解体業で独立した際の年収1000万円と市場性
雇用されている立場では、どれだけ現場をこなしても日当や月給には上限があるのが現実です。
しかし、独立して経営者となり、自ら案件を受注する仕組みを作れば、年収1000万円の大台に乗ることは決して非現実的な話ではありません。
現在、日本国内では少子高齢化に伴う「空き家問題」や、高度経済成長期に建てられた建物の「老朽化による建て替え需要」が急増しています。
解体業は、今後数十年単位で安定した仕事が見込める数少ない成長産業の1つです。
確かな技術で下請けから脱却し、元請けとして直接利益を生み出せるようになれば、収入は劇的に向上します。
この「市場の追い風」を活かせるかどうかが、高収入実現のポイントです。
解体業資格と起業に必要な技術管理者や現場講習一覧
解体業を営むには「会社(事業所)としての許可・登録」と「現場で作業するための資格」の両方が必要です。
これらは役割が明確に異なります。
まずは、起業において揃えるべき資格と要件を以下の表で確認しておきます。
| 区分 | 資格・講習名 | 概要・メリット |
|---|---|---|
| 許可・登録 (技術管理者) |
実務経験8年以上 | 資格なしでも、この経験があれば解体工事業登録が可能。 |
| 解体工事施工技士 | 解体業に特化した資格。実務経験の年数を問わず技術管理者になれる。 | |
| 1級・2級 土木施工管理技士 1級・2級 建築施工管理技士 |
技術管理者になれるだけでなく、将来の「建設業許可」でも必須となる強力な資格。 | |
| 技術士(建設部門)等 | 高難度だが、技術管理者要件を満たす。 | |
| 現場作業 (作業員・職長) |
石綿作業主任者 | アスベスト規制強化により、事前調査や除去作業に不可欠。 |
| 車両系建設機械運転技能講習 (整地・運搬・積込・掘削用) |
いわゆる「整地」。ユンボ等を操作する基礎資格。 | |
| 車両系建設機械運転技能講習 (解体用) |
ブレーカーや鉄骨切断機など、解体専用アタッチメントの使用に必須。 | |
| 足場の組立て等作業主任者 | 高所作業や足場の設置・解体を伴う現場で必要。 | |
| ガス溶接技能講習 | 鉄骨造の解体(溶断作業)を行う場合に必要。 |
解体業登録に必要な技術管理者の要件
解体工事業登録を行う際、営業所ごとに必ず配置しなければならないのが「技術管理者」です。
この要件を満たすために、多くの職人が活用しているのが実務経験です。
具体的には、解体工事に関する実務経験が8年以上あれば、特別な国家資格を持っていなくても技術管理者として登録できます(指定学科を卒業している場合は期間が短縮されます)。
つまり、解体業資格や現場で積み上げてきた8年は、そのまま「起業するための資格」として認められます。
解体工事施工技士や土木施工管理技士
もし実務経験年数が足りない場合や、対外的な信用力を高めて元請け受注を狙いたい場合は、資格による証明が有効です。
特に解体工事施工技士や土木・建築施工管理技士(1級・2級)は、実務経験の期間に関わらず技術管理者として認められます。
さらに、施工管理技士の資格は、事業拡大後に目指す「建設業許可(解体工事業)」における「専任技術者」の要件も満たすため、今のうちに取得しておくと将来の選択肢が広がります。
現場の解体作業に必要な資格
解体業資格での起業で登録要件を満たすことと、現場で重機を動かすことは別問題です。
あなたがプレイングマネージャーとして現場に出る場合、または従業員を雇用する場合、技能講習が必須となります。
特に近年重要度が増しているのが石綿(アスベスト)作業主任者です。
法改正により、解体前の事前調査や適切な処理が厳格化されており、この資格がないと実質的に解体現場は回せません。
また、重機に関しては整地用だけでなく、必ず「解体用」の技能講習もセットで受講しておくことが必要です。
これらがあるだけで、対応できる現場の幅が広がります。
解体業資格を活用し起業するための資金と申請の流れ
技術と解体業資格があっても、先立つものがなければ事業は動き出しません。
起業に向けた資金計画と、将来的な建設業許可へのステップアップを見据えた準備について解説します。
解体業で独立する際の資金と調達方法
個人事業主として解体工事業登録で起業する場合、初期費用は比較的抑えられますが、それでも相応の準備資金は必要です。
具体的には、登録手数料(数万円)、車両や重機の頭金、工具代、そして工事代金が入金されるまでの運転資金(3〜6ヶ月分)などで、300万円〜500万円程度が1つの目安といえます。
自己資金だけで賄えない場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などを活用可能です。
事業計画書をしっかりと作り込めば、無担保・無保証人で融資を受けられる可能性があります。
建設業許可取得に必要な財産的基礎
起業後、事業が軌道に乗り、500万円以上の工事を請け負うために「建設業許可」を取得する段階になると、より厳しい資金要件が課される仕組みです。
建設業許可(一般)の要件には自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があることが含まれます。
創業時からコツコツと利益を内部留保し、預金残高を増やしておくことが、将来の許可取得をスムーズにします。
解体資格や重機免許の取得にかかる費用
資格取得にかかる費用は、将来への投資と捉えておきます。
例えば、車両系建設機械の技能講習は数万円〜数十万円程度、施工管理技士の受験費用や講習費用も数万円単位です。
しかし、これらを取得することで外注費の削減につながり、受注単価が上がることを考えれば、コストパフォーマンスは高いといえます。
助成金制度(人材開発支援助成金など)を活用できるケースもあるため、事前に調べておくことを推奨します。
解体業資格で起業しリスクを回避して稼ぐ経営戦略
起業後は、現場の安全管理だけでなく、経営上のリスク管理もすべて自分の責任です。
ここでは、安定して稼ぎ続けるために避けて通れないポイントを押さえます。
解体業資格がなく無許可営業となるリスク
「少しの工事だからバレないだろう」という安易な考えは禁物です。
無許可・無登録で解体工事を行った場合、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」といった厳しい罰則が科される可能性があります。
さらに恐ろしいのは、行政処分を受けた事実が公表され、社会的信用を一瞬で失うことです。
一度ブラックリストに乗れば、元請けからの仕事は途絶え、再起は困難になります。
コンプライアンス遵守は、事業を守るための安全策です。
産業廃棄物収集運搬業許可の同時取得
解体工事と切っても切れないのが「産業廃棄物」の処理です。
現場で出たガラ(廃棄物)を自社のトラックで処分場へ運ぶには、解体工事業登録とは別に、都道府県知事の産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。
この許可がないと、運搬業務を他社に委託しなければならず、利益が削がれてしまいます。
利益率を高めるためにも、解体業の起業とセットで取得することをおすすめします。
元請け営業で安定収益を確保する方法
下請け仕事は仕事量が安定する反面、単価を叩かれやすく、利益率が低くなりがちです。
年収1000万円を目指すなら、空き家所有者や不動産オーナーからの直接受注(元請け)比率を高める努力が欠かせません。
自社ホームページの開設や、Googleビジネスプロフィールへの登録、地域の不動産会社への丁寧な挨拶回りが効果的です。
また、近隣住民への配慮(挨拶、清掃、養生の徹底)を徹底すれば、「あの業者はしっかりしている」と評判になり、紹介での受注が増えていきます。
まとめ:解体業資格で起業し確実な成長を目指そう
解体業資格での起業でのポイントは、解体工事業登録で小さく始め、現場経験と実績を積み上げながら、「建設業許可」や「元請け受注」へとステップアップしていくことです。
この記事を参考に、ぜひ解体業に挑戦してみてください。
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