2025.12.25 起業ガイド
インテリアコーディネーター独立の教科書|稼げないを防ぐ集客と料金設計
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「会社の方針に縛られず、お客様一人ひとりに寄り添った提案がしたい」
「ライフステージが変わっても、自分のペースで仕事を続けたい」。
そんな想いから、フリーランスのインテリアコーディネーター(IC)として独立を目指す人は増えています。しかし、現実は甘くありません。
センスや技術があっても、「集客」と「適正な料金設定」ができずに、年収300万円の壁を超えられない人が大半です。
今回は、独立後に直面する「お金」と「仕事の取り方」のリアルな解決策を、具体的な数字を交えて解説します。
本記事を読めば、インテリアコーディネーターとしてどのように独立をして、どのように事業を展開していけば良いかがわかります。
フリーランスICの現実は甘くない?年収300万の壁を超える条件
会社員時代は、営業担当が集めてきたお客様に対して提案を行うのが主な仕事でした。
しかし、独立すれば「集客」「経理」「契約」「アフターフォロー」の全てを自分一人でこなさなければなりません。
特に多くのICがつまづくのが「集客」です。
待っていても依頼は来ませんし、下請け仕事ばかりでは単価が安く、労働時間ばかりが増えていきます。
年収300万円の壁を超え、さらに1000万円を目指すには、ただセンスが良いだけでは実現不可能です。
「自分という商品をどう売るか」というマーケティング視点と、「労働時間の切り売り」から脱却するビジネスモデルの構築が必須条件となります。
会社員時代との決定的な違いは集客と責任
組織に所属している安心感は、独立した瞬間に「全責任を負うプレッシャー」に変わります。
会社員なら、万が一のクレームや納品ミスがあっても、会社が守ってくれました。
しかし、フリーランスは全て自己責任です。
発注ミスで家具が入らなかった場合、その補填も自腹で行わなければなりません。
また、最大の壁である「集客」において、ハウスメーカーや工務店の看板を使えないため、ゼロから信頼を積み上げる必要があります。
ブログやSNSの発信を毎日続けても、問い合わせが来るまでには時間がかかります。
この「無収入期間」に耐えうる資金と精神力、そして戦略的な集客導線を持っているかが、生存率を分けます。
成功する人は物販ではなく技術を売っている
インテリアコーディネーターの収益源は大きく分けて「コーディネート料(技術料)」と「家具販売の差益(マージン)」の2つです。
失敗する人は、契約を取りたいがためにコーディネート料を無料や格安にし、家具販売のマージンだけで稼ごうとします。
しかし、これではネット通販との価格競争に巻き込まれ、疲弊するだけです。
成功しているフリーランスは、「私に頼むこと自体に価値がある」と認識させ、しっかりとしたコーディネート料(例:1部屋5万円〜、LDK10万円〜など)を請求しています。
物販に依存せず、あなたの「提案力」「時間短縮」「失敗回避」という技術に値札をつける勇気を持ちましょう。
独立前に決めておくべき3つの収益モデルと料金相場
独立してから「料金はどうしよう?」と悩んでいるようでは遅すぎます。
プロとして信頼されるためには、明確な料金表(メニュー)が必要です。
しかし、相場がわからずに安すぎる設定にしてしまい、忙しいのに稼げない「貧乏暇なし」状態に陥るケースが後を絶ちません。
ここでは、フリーランスICが確立すべき3つの主要な収益モデルと、それぞれの適正な料金相場について解説します。
これらを組み合わせることで、安定した収益基盤を作ることが可能です。
自分の得意分野やターゲット層に合わせて、最適なプランを設計しましょう。
①コーディネート料相談料で稼ぐ:1部屋3万円〜の設計
最も基本となるのが、プランニングに対する対価です。
相場としては、ワンルームや1部屋単位で3万円〜5万円、LDKを含むトータルコーディネートで10万円〜30万円程度が一般的です。
また、時間制の「インテリア相談」として、60分5,000円〜1万円で提供するスタイルもあります。
重要なのは、「何が含まれて、何が含まれないか」を明確にすることです。
例えば、「3Dパース作成は別途オプション」「修正は2回まで無料」といったルールを決めないと、無限に修正を依頼され、時給換算で数百円になってしまうリスクがあります。
松竹梅のプランを作り、お客様に選んでもらう形式も有効です。
| プラン名 | 料金目安 | 内容例 |
|---|---|---|
| スポット相談 | 5,000円〜1万円/時 | オンラインや対面でのアドバイスのみ。資料なし。 |
| 基本プラン | 3万円〜5万円/部屋 | レイアウト図、家具提案書(リスト)。 |
| プレミアムプラン | 10万円〜/LDK | 上記+3Dパース、サンプル手配、ショールーム同行。 |
②家具販売差益マージンで稼ぐ:メーカー取引の開拓法
家具やカーテン、照明などをメーカーから卸値(上代の6〜7掛け等)で仕入れ、お客様には定価(または少し割引した価格)で販売し、その差額を利益とする方法です。
これを実現するには、メーカーと「販売店契約」や「業務委託契約」を結ぶ必要があります。
個人事業主でも契約してくれるメーカーは多いですが、初回取引時に審査がある場合もあります。
「どのような顧客層を持っているか」「年間どれくらいの販売見込みがあるか」をプレゼンできるよう準備しておきましょう。
また、在庫リスクを持たない「紹介制度(紹介カードを発行し、購入されたらバックマージンが入る)」を活用するのも手堅い方法です。
③オンラインサービスで稼ぐ:Zoom相談やnote販売
商圏を近隣エリアに限定せず、全国のお客様を対象にできるのがオンラインサービスの強みです。
Zoomを使ったインテリア相談や、LINEでのチャット相談などは、移動時間ゼロで収益を上げられます。
また、自分が得意とするテイスト(北欧風、ホテルライクなど)の作り方をまとめた「コーディネートレシピ」をnoteやBrainでコンテンツとして販売したり、Udemyで「パース作成講座」を配信したりするのも有効です。
これらは一度作ってしまえば、寝ている間も売上が発生する「ストック型ビジネス」となり、労働集約型の業務を補完する重要な収入源になります。
ハウスメーカーに頼らない!個人の強みを活かすWeb集客術
独立したてのICが最初にぶつかる壁が、「どうやって自分を知ってもらうか」です。
ハウスメーカーの下請け仕事は安定していますが、単価が低く、自由度も低いため、本来やりたかった仕事とはかけ離れてしまいがちです。
直接契約(元請け)を獲得するためには、Webを活用した発信が不可欠です。
しかし、ただ闇雲にSNSを更新しても意味がありません。
ターゲットとなるお客様が「どんな悩みを持っているか」を想像し、その解決策を提示することで初めて、「この人に頼みたい」という信頼が生まれます。
ここでは、効果的なWeb集客のポイントを解説します。
インスタグラムは作品集ではなくお客様の悩み解決で使う
Instagramはおしゃれな施工事例を並べる「カタログ」ではありません。
見ている人は「素敵な部屋だな」とは思っても、そこから「依頼しよう」とはなかなかなりません。
集客につなげるためには、投稿画像に文字を入れ、「狭い部屋を広く見せるコツ」「失敗しないソファの選び方」といった、ユーザーの役に立つ情報(ノウハウ)を発信することが重要です。
これにより専門家としての信頼性が高まります。
また、ストーリーズやライブ配信で自分の人柄や仕事への想いを伝えることで、ファン化を促進しましょう。
「フォロワー数=集客数」ではありません。濃いファンを数人作ることが、契約への近道です。
ホームページには必ずメニュー表とお客様の声を載せる
SNSで興味を持ってくれた人が次に訪れるのがホームページ(またはポートフォリオサイト)です。
ここで最も重要なのは「料金メニュー」と「お客様の声」です。
料金が書かれていないと、「高そうで怖い」と思われて離脱されます。
松竹梅のプランを提示し、予算感をイメージさせましょう。
また、過去の実績として、Before/Afterの写真と共に「お客様の感想」を掲載することで、第三者のお墨付き(社会的証明)が得られ、成約率がグッと上がります。
ワードプレスなどで自作するのが難しければ、まずはペライチやWixなどの無料ツールを使って、1ページだけのLP(ランディングページ)を作ることから始めましょう。
トラブル回避!契約書とヒアリングシートの重要性
個人事業主として活動する中で、避けて通れないのが「契約トラブル」です。
「イメージと違うと言われてやり直しになった」「追加料金を請求したら揉めた」「家具の納期が遅れて損害賠償を求められた」。
こうしたトラブルの多くは、事前の取り決めが曖昧だったことが原因です。
口約束ではなく、しっかりとした書面(契約書や同意書)を交わすことは、自分自身を守るだけでなく、お客様に対する誠意の表れでもあります。
ここでは、プロとして最低限整備しておくべきドキュメントについて解説します。
無料提案はどこまで?線引きを明確にするテクニック
「とりあえずプランを見せてください」という要望に対し、どこまで無料で応じるかは非常に重要です。
多くのICが、契約を取りたい一心で詳細なパースや見積もりを無料で出し、結果的に失注して「タダ働き」になっています。
これを防ぐためには、「初回ヒアリングとラフプラン(方向性の提示)までは無料、具体的な図面作成や家具選定からは有料」といった明確な線引きが必要です。
ホームページや事前のメールでこのフローを明示しておけば、冷やかし客をフィルタリングでき、本気度の高いお客様だけに時間を使うことができます。
イメージのズレを防ぐ3Dパースとプレゼン資料の作り方
言葉だけでイメージを共有するのは不可能です。
「モダンな感じ」と言っても、人によって想起する映像は全く異なります。
この認識のズレが、納品後の「なんか違う」というクレームに繋がります。
これを防ぐ最強のツールが「3Dパース」です。
今は、マイホームデザイナーなどのソフトを使えば、比較的簡単にリアルなパースが作成できます。
契約前にパースを見せることで、お客様の期待値を調整し、納得感を持って進めることができます。
また、プレゼン資料には、選んだ家具のサイズや素材感だけでなく、「なぜその家具を選んだのか」というプロの視点(意図)を言語化して記載しましょう。
まとめ:孤独なフリーランスを卒業し、選ばれるプロになろう
インテリアコーディネーターとして独立することは、自由を手に入れると同時に、経営者としての厳しい現実に直面することでもあります。
しかし、正しい戦略と準備があれば、好きなインテリアの仕事で、会社員時代以上の収入とやりがいを得ることは十分に可能です。
一人で全ての悩みを抱え込まず、必要なツールや知識を積極的に取り入れていきましょう。
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