2025.12.26 起業ガイド
清掃業で独立開業|経験者がFCに頼らず定期契約を獲得する全手順
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「会社の給料が安すぎる。自分でやればもっと稼げるのに」
「現場のことは誰よりも分かっている自信がある」。
ビルメンテナンス会社や清掃会社で経験を積んだあなたが、独立開業を考えるのは自然な流れです。
清掃業は利益率が高く、在庫リスクもないため、手堅く稼げるビジネスモデルです。
しかし、多くの職人が「技術があれば仕事は来る」と勘違いし、独立後に営業の壁にぶつかって廃業していきます。
今回は、清掃業独立で成功するために必要な資金計画や機材選び、ビジネス戦略について解説します。
この記事を参考にすれば、清掃業で独立してどのようにビジネスを展開していけば良いかが理解できます。
腕に自信がある清掃職人ほど失敗する?独立後の営業の壁
会社員時代、あなたは現場で最高のパフォーマンスを出せば評価されたでしょう。
しかし、独立後は「作業ができること」と「仕事を取ってくること」は全く別のスキルだと痛感することになります。
特に清掃業界は下請け構造が根深く、元請け(ビル管理会社など)からの仕事を待っているだけでは、中間マージンを抜かれた安い単価で働かされることになります。
これでは、独立した意味がありません。成功する個人事業主は営業活動に時間を使います。
技術力はリピートを生みますが、新規顧客を連れてきてはくれないので、営業が非常に重要です。
下請け構造の罠。なぜ独立しても利益が増えないのか
多くの独立開業者(一人親方)が陥るのが、古巣の会社や知人の業者からの「応援(下請け)」だけで食いつなぐパターンです。
確かに仕事は途切れませんが、単価は安く、スケジュールも相手都合で振り回されます。
例えば、元請けが10万円で受注した案件を、下請けは5万円で請け負うといったことが常態化しています。
これでは、どんなに働いても利益は増えず、体調を崩した瞬間に収入がゼロになります。
独立の醍醐味である「高収益」を実現するには、この下請け構造から脱却し、エンドユーザー(施主)と直接契約する「直請け(元請け)」の比率を高めていくことが不可欠です。
目指すべきはスポットではなく定期清掃のストック収入
清掃業で安定経営を目指すなら、単発の「スポット清掃(引き渡し清掃や大掃除)」ではなく、毎月決まった日に入る「定期清掃(床ワックス、ガラス清掃、日常清掃)」の獲得を目指すべきです。
定期清掃は、一度契約すれば毎月自動的に売上が立つ「ストック型ビジネス」です。
例えば、月額3万円の店舗清掃を10件契約すれば、毎月30万円の固定収入が確保できます。
これにより、精神的な安定が得られるだけでなく、スケジュールの見通しも立ちやすくなります。
営業活動においても、「1回だけ安くやります」ではなく「年間契約ならこの価格で管理します」という長期的な提案ができるようになりましょう。
個人事業主から始める!開業に必要な資金と機材リスト
清掃業の最大のメリットは、小資本で始められることです。
店舗も在庫も不要で、最低限の機材と車両さえあれば明日からでも開業可能です。
フランチャイズ(FC)に加盟すると数百万円の加盟金が必要ですが、経験者ならその必要はありません。
自己資金50万円〜100万円程度あれば、十分な装備を整えることができます。
ただし、安物買いの銭失いにならないよう、プロとして恥ずかしくないスペックの機材を選ぶ必要があります。
ここでは、ビルメンテナンスや店舗清掃をメインに行う場合に必要な初期投資の内訳を解説します。
ポリッシャー・高圧洗浄機…業務用機材の中古活用術
開業資金を抑える賢い方法は、耐久性のある機材を中古で揃えることです。
ポリッシャーや送風機などの単純な構造の機械は、中古でも十分に稼働します。
一方で、高圧洗浄機やバキューム(吸水機)などのモーター系は故障リスクがあるため、新品か保証付きの中古を選ぶのが無難です。
洗剤やワックスに関しては、会社員時代に使っていた慣れ親しんだメーカー(シーバイエス、リンレイなど)のものを選ぶと、失敗がありません。
車両は、機材を積載できる軽バン(エブリイやハイゼットなど)の中古車で十分です。
| 機材・項目 | 概算費用(新品/中古) | 備考 |
|---|---|---|
| ポリッシャー(12/14インチ) | 15万〜20万円 / 5万〜10万円 | 床洗浄の必需品。タンク付き推奨。 |
| 業務用掃除機(バキューム) | 5万〜10万円 / 2万〜5万円 | 汚水回収用(ウェット)必須。 |
| 高圧洗浄機 | 5万〜15万円 / 3万〜8万円 | 外壁や床洗浄用。ケルヒャー等は家庭用不可。 |
| 送風機(ブロワー) | 2万〜5万円 / 1万円前後 | ワックス乾燥用。2台あると便利。 |
| 車両(軽バン中古) | 30万〜80万円 | 道具が全て載るサイズ。 |
| 合計目安 | 約50万〜130万円 | ※洗剤・消耗品は別途 |
資金50万で足りる?運転資金と保険の重要性
機材購入費以外に忘れてはならないのが、「運転資金」と「保険」です。
法人取引の場合、支払いは「月末締め翌月末払い」などが一般的で、入金までのタイムラグがあります。
その間のガソリン代や生活費を賄うために、最低でも3ヶ月分の運転資金は確保しておきましょう。
また、作業中に「お客様の備品を壊してしまった」「通行人に水をかけてしまった」といった事故に備える「賠償責任保険」への加入は必須です。
年間数千円〜数万円の掛け金で、数千万円〜数億円の補償が得られます。
無保険の業者は、まともな企業からは相手にされません。これはプロとしての最低限のパスポートです。
フランチャイズ不要!ビル・店舗オーナーへの直営業戦略
「営業が苦手だからFCに入ろうか迷っている」。
そんな経験者の方に言いたいのは、FC本部が紹介してくれる仕事は、ロイヤリティや紹介料が引かれた後の「旨味の少ない案件」が多いということです。
自分で営業すれば、利益は100%あなたのものです。
では、具体的にどうやって仕事を獲得するのか。飛び込み営業だけが正解ではありません。
Webを活用した集客や、ターゲットを絞ったDM送付など、効率的な方法はいくつもあります。
ここでは、個人事業主が法人契約を勝ち取るための具体的なアプローチを紹介します。
飛び込み営業は古い?管理会社へのアプローチ方法
ビルやマンションの清掃案件を握っているのは、多くの場合「不動産管理会社」です。
地域の管理会社をリストアップし、アプローチをかけましょう。
ただし、いきなり「清掃させてください」と言っても断られます。
相手の困りごとを想像し、「現在の業者に不満はありませんか?」「定期清掃のコスト見直しを提案させてください」といった切り口で接触します。
また、飲食店やクリニックなどの店舗系は、オーナーや店長が決裁権を持っていることが多いため、アイドルタイム(客足の少ない時間)を狙って名刺とチラシを渡しに行くのも有効です。
一度断られても、定期的に顔を出すことで「じゃあ見積もりだけ頼もうか」となるケースは多々あります。
相見積もりで勝つための適正価格と提案書の作り方
法人契約では「相見積もり」が基本です。
価格競争になりがちですが、安さだけで勝負すると自分の首を絞めます。
勝つためのポイントは「適正価格」と「プラスアルファの提案」です。
単に「一式〇〇円」とするのではなく、「床洗浄〇㎡×単価」「ガラス清掃〇枚×単価」と内訳を詳細に記載し、透明性をアピールしましょう。
さらに、「今ならエアコンフィルター清掃をサービスします」「電球交換もついでに行います」といった、大手にはできない小回りの利く付加価値を提案書に盛り込むことで、多少高くても「この人に任せたい」と思わせることができます。
資格は必要?ビルクリーニング技能士の独立後の価値
清掃業を開業するのに、法的に必須な資格はありません。
しかし、「ビルクリーニング技能士(国家資格)」や「建築物環境衛生管理技術者(ビル管)」といった資格は、独立後も大きな武器になります。
特に公共入札や大手企業との取引では、有資格者の配置が条件になることがあります。
また、資格を持っていることは「確かな知識と技術がある証明」になり、名刺に記載するだけで初対面のオーナーからの信頼度が変わります。
もし在職中に取得できるなら取っておくべきですし、独立後も時間を取って挑戦する価値は十分にあります。
現場では不要でも信用にはなる資格の使い所
実際の現場作業において、資格がなければ汚れが落ちないということはありません。
しかし、営業や契約の場面では「資格」がものを言います。
特に「建築物環境衛生管理技術者(ビル管)」を持っていると、特定建築物(延べ床面積3000㎡以上のビル)の管理業務を受注できる可能性が広がります。
また、「清掃作業監督者」の資格があれば、清掃業の登録(建築物清掃業登録)が可能になり、自治体からの仕事を受けやすくなります。
資格は「技術の証明」であると同時に、「事業拡大のためのチケット」でもあるのです。
清掃職人から清掃会社社長へ。組織化へのロードマップ
個人事業主として独立し、仕事が軌道に乗ってくると、必ず「自分一人では手が回らない」という壁にぶつかります。
ここが「一生現場作業員」で終わるか、「経営者」として大きく飛躍するかの分岐点です。
売上が安定してきたら、アルバイトを雇用したり、協力業者(他の個人事業主)と提携したりして、組織化を進めましょう。
自分が現場に出なくても現場が回る仕組みを作れば、あなたは営業や経営管理に専念でき、さらに売上を伸ばすことができます。
ぜひこの記事を参考に、清掃業での独立へと一歩を踏み出してみましょう。
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