2026.09.30 起業ガイド
交通誘導警備で起業するには?認定・検定・単価から見る開業の全手順
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道路工事や建設現場に欠かせない交通誘導警備。
人手不足で単価が上がり続けている今、「交通誘導警備の会社を立ち上げたい」と考える人も増えています。
この記事では、警察庁と国土交通省の公的データをもとに、交通誘導警備で起業するための認定の要件、検定合格者の配置、単価と収支の考え方、開業までの手順を解説します。
交通誘導警備は警備業の中心分野
警察庁の「令和7年における警備業の概況」によると、令和7年末の警備業者は10,949社で、前年より138社(1.3%)増えました。
そのうち交通誘導警備(2号警備)を行う会社は8,241社で、全体の75.3%を占めます。
警備員は59万6,985人です。
ただし年齢別では70歳以上が21.6%で最も多く、60歳以上を合わせると半数近くになります。
道路工事や建設現場の需要は安定している一方、人手不足と高齢化が大きな課題です。
交通誘導警備の単価は14年連続で上昇
交通誘導警備の単価の目安になるのが、国土交通省の公共工事設計労務単価です。
| 区分 | 令和8年3月からの全国平均 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 交通誘導警備員A(検定合格者など) | 18,911円 | +5.8% |
| 交通誘導警備員B(それ以外) | 16,749円 | +6.7% |
この労務単価は14年連続で上がっています。
人手不足を背景に、警備員の処遇改善が進んでいることがわかります。
注意点として、国交省は、この単価には警備会社に必要な諸経費が含まれていないと明記しています。
実際の請求額は、この単価に法定福利費や会社の経費、利益を上乗せして決めます。
上乗せの割合を示すサイトもありますが、公式に決められた数字ではありません。
警備会社を開業するには「警備業認定」が必要
警備業を営むには、主たる営業所を管轄する都道府県公安委員会の認定を受ける必要があります(警備業法4条)。申請は管轄の警察署を通して行います。
東京都の場合、認定申請手数料は23,000円です(最新の金額は各都道府県警の案内でご確認ください)。
欠格事由に当たらないこと
次のような人は、警備業の認定を受けられません(主なもの)。
- 破産手続開始の決定を受けて復権していない人
- 禁錮以上の刑、または警備業法違反で罰金刑を受け、一定期間が過ぎていない人
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから一定期間が過ぎていない人
- アルコール、麻薬などの中毒者、心身の障害により業務を適正に行えない人
法人の場合は、役員全員がこの基準を満たす必要があります。
警備員指導教育責任者を置くこと
営業所ごとに、行う警備業務の区分に応じた「警備員指導教育責任者」を選任する必要があります。
交通誘導警備を行うなら2号の資格者が必要です。
資格者証は、警備員として一定の実務経験を積んだうえで講習を修了して取得するのが一般的です。
自分が警備員の経験者なら自分で取得し、未経験なら資格者を採用する必要があります。
人材の確保が、開業の最初の関門になります。
検定合格者の配置が「参入の条件」と「差別化」になる
交通誘導警備では、高速道路や自動車専用道路、公安委員会が指定した道路などの現場に、交通誘導警備業務の1級または2級の検定合格者を配置する必要があります(配置基準)。
令和7年末に交通誘導警備の検定合格証明書を持つ警備員は、1級7,272人、2級85,588人です。
令和7年中の新規交付は1級143件、2級6,282件でした。
警備員全体の約60万人から見ると、検定合格者はまだ限られた人材です。
検定合格者を多く抱える会社は、配置基準がある現場を受注でき、単価の高い「警備員A」として請求できます。
つまり、検定合格者の数が会社の売上と競争力に直結します。
開業までの手順
- 事業計画を作る:対象エリア、取引先(建設会社・工事業者)、警備員数の計画を立てる
- 法人を設立する:個人でも認定は受けられますが、元請けとの取引や公共工事の下請けでは法人のほうが有利です
- 指導教育責任者を確保する:自分で取得するか、有資格者を採用する
- 営業所を用意する:書類の保管や教育ができる事務所を確保する
- 警備業認定を申請する:管轄の警察署を通して公安委員会に申請する
- 社会保険・労働保険に加入する:公共工事に関わる現場では、社会保険の加入が事実上の条件になっています
- 警備員を採用し、教育する:新任の警備員には法定の教育(新任教育20時間以上)を行い、その後も毎年度、現任教育(10時間以上)が必要です
- 営業を開始する:建設会社や工事業者への営業、元請け警備会社からの協力依頼で案件を確保する
収支の考え方(仮の前提)
交通誘導警備の売上は、「1人1日の請求単価 × 人数 × 稼働日数」で決まります。
| 項目 | 仮の前提 |
|---|---|
| 1人1日の請求単価 | 20,000円 |
| 1日に派遣する警備員数 | 10人 |
| 月の稼働日数 | 22日 |
| 月間売上 | 440万円 |
この売上から、警備員の給与、法定福利費(社会保険料の会社負担分)、教育の費用、制服・装備、車両・交通費、事務所の家賃などを払います。
交通誘導警備は人件費の割合がとても高い事業なので、利益は売上の数%〜十数%程度に収まることが多いと考えられます(仮の前提)。
収益を安定させる鍵は、次の3点です。
- 稼働率:雨天中止や工事の延期で稼働しない日をどう減らすか
- 検定合格者の比率:単価の高い警備員Aとして請求できる人をどれだけ育てるか
- 定着率:採用と教育のコストを無駄にしないため、辞めにくい職場をつくる
交通誘導警備の起業で失敗しやすいポイント
人が集まらない
開業しても、警備員が集まらなければ案件を受けられません。
高齢者だけに頼らず、短時間勤務や女性・若年層が働きやすい条件を整えることが大切です。
取引先が1社に偏る
特定の建設会社への依存度が高いと、その会社の工事が減っただけで売上が大きく落ちます。
法令違反による行政処分
令和7年中、警備業者への行政処分は129件(指示116件、営業停止12件、認定の取消し1件)ありました。教育の未実施や、検定合格者を配置しないことは処分の対象になりえます。
よくある質問
Q. 警備員の経験がなくても起業できますか?
A. 認定を受けること自体に、経営者の警備経験は求められません。
ただし、警備員指導教育責任者は必ず置く必要があります。未経験なら有資格者の採用が前提です。
Q. 個人事業主でも警備業の認定は受けられますか?
A. 受けられます。
ただし公共工事の下請けや大手建設会社との取引では、法人であることや社会保険への加入を求められることが多いため、法人での開業が一般的です。
Q. 交通誘導の検定はどうやって取りますか?
A. 公安委員会が行う検定を直接受ける方法と、登録講習機関の講習を修了して合格者審査を受ける方法があります。
まとめ
交通誘導警備は警備業者の約75%が手がける中心分野で、公共工事設計労務単価は14年連続で上がっています。人手不足の中で需要は安定しています。
起業するには、警備業認定、指導教育責任者の確保、検定合格者の配置が欠かせません。
売上と利益を左右するのは、警備員の採用と定着、そして検定合格者をどれだけ育てられるかです。
警備会社の起業全般は、次の記事も参考にしてください。

