2026.10.07 起業ガイド
起業に必要なもの一覧|手続き・資金・許認可を解説
Index
起業したいと思っても、「何をそろえればいいのかわからない」と立ち止まってしまう方は多いものです。資金はいくら必要なのか、どんな書類を出せばいいのか、資格や許可はいるのか。わからないことが多いほど、一歩が遠く感じられます。
けれども、起業に必要なものは大きく分けて数種類しかありません。全体像さえつかんでしまえば、あとは一つずつ準備を進めていくだけです。
この記事では、起業に必要なものを「事業計画と資金」「手続きと書類」「許認可」「事業運営の道具」に分けて整理し、個人事業主と法人それぞれのケースを具体的に解説します。
起業に必要なものの全体像
起業の準備は、やることが多いように見えて、実は4つのカテゴリーに整理できます。
一つ目は、事業の設計図となる事業計画と、それを実行するための資金です。何を、誰に、いくらで売るのかを決め、そのために必要なお金を用意します。ここが固まっていないと、ほかの準備も進めようがありません。
二つ目は、事業を正式に始めるための手続きと書類です。個人事業主なら開業届、法人なら設立登記と、選ぶ事業形態によって必要なものが変わります。
三つ目は、業種ごとに求められる許認可です。飲食店や中古品の販売、建設業など、行政の許可や届出がなければ営業できない業種があります。
四つ目は、日々の事業を回すための道具と環境です。事業用の銀行口座や会計ソフト、パソコン、名刺やホームページなどがこれにあたります。
このあと、それぞれの中身を具体的に見ていきましょう。全体像を頭に入れておけば、何から手をつけるべきか迷うことがなくなります。
事業の土台となる事業計画と資金
起業に必要なもののなかで、最初に取り組みたいのが事業計画です。誰のどんな悩みを解決するのか、商品やサービスの強みは何か、どうやってお客さんに知ってもらうのか。これらを言葉と数字で書き出したものが事業計画になります。
計画づくりで特に大切なのが、お金の見通しです。月の売上目標を「単価×顧客数」に分解し、仕入れや家賃、人件費などの経費を差し引いて、いつ黒字になるかを試算しましょう。数字に落とし込むことで、計画の甘い部分が自然と浮かび上がってきます。
資金は、大きく「開業資金」と「運転資金」の2つに分けて考えます。開業資金は、店舗や事務所の取得費、設備や備品の購入費、ホームページの制作費など、事業を始めるために一度だけかかる費用です。
運転資金は、家賃や人件費、仕入れなど、事業を続けるために毎月かかる費用を指します。
見落としがちなのが運転資金の備えです。事業は始めてすぐに売上が安定するとは限らず、売上の入金が翌月以降になる取引も少なくありません。少なくとも3〜6か月分の運転資金を確保しておくと、立ち上がりの時期を落ち着いて乗り切れます。
自己資金で足りない分は、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資などで補うことを検討しましょう。
個人事業主として起業する場合に必要な手続き
個人事業主として起業する場合、必要な手続きは驚くほどシンプルです。費用もかからず、思い立ったその日に始めることもできます。
中心となるのが、税務署に提出する「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」です。事業を始めた日から1か月以内に、納税地を管轄する税務署へ提出します。窓口への持参のほか、郵送やe-Taxでのオンライン提出も可能です。
あわせて提出しておきたいのが「青色申告承認申請書」です。青色申告を選ぶと、帳簿のつけ方などの条件を満たすことで最大65万円の特別控除を受けられ、赤字を翌年以降に繰り越すこともできます。原則として、事業開始から2か月以内に提出する必要があります。
従業員を雇う場合は「給与支払事務所等の開設届出書」も必要です。さらに、都道府県や市区町村にも事業開始の届出を行います。
このとき、手元に用意しておきたいのがマイナンバーカードなどの本人確認書類です。屋号を決めておけば、屋号付きの銀行口座の開設や名刺の作成にも使えます。
法人を設立して起業する場合に必要なものと費用
株式会社や合同会社を設立する場合は、個人事業主よりも準備するものと費用が増えます。
まず必要になるのが、会社のルールを定めた「定款」です。商号(会社名)、事業目的、本店所在地、資本金の額などを記載します。株式会社の場合は、公証役場で定款の認証を受けなければなりません。認証手数料は資本金の額に応じて3万〜5万円です。紙の定款には4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款にすれば印紙代はかかりません。
次に、資本金を用意して払い込み、その証明となる書類を作成します。
会社の実印となる印鑑も作っておきましょう。これらがそろったら、法務局に設立登記を申請します。登記の際に納める登録免許税は、株式会社で最低15万円、合同会社で最低6万円です。
このように、株式会社の設立には実費だけで20万円以上、合同会社でも6万円以上かかるのが一般的です。
自治体の「特定創業支援等事業」の支援を受けると、登録免許税が半額になる優遇もあるため、事前に確認しておくと費用を抑えられます。設立後は、税務署や都道府県、市区町村への届出に加え、社会保険の加入手続きも必要です。

業種によって必要になる許認可
事業の内容によっては、行政の許可や届出がなければ営業できない場合があります。知らずに営業を始めると、罰則や営業停止の対象になるため注意が必要です。
代表的なものとして、飲食店を開くには保健所の飲食店営業許可が必要で、店舗ごとに食品衛生責任者を置かなければなりません。中古品を買い取って販売する事業には、警察署で取得する古物商許可が欠かせません。
建設業では、一定規模以上の工事を請け負う場合に建設業許可が必要です。不動産の売買や仲介を行うなら宅地建物取引業の免許、旅行を販売するなら旅行業の登録、人材派遣を行うなら労働者派遣事業の許可が求められます。美容室や理容室の開業には、保健所への届出と美容師・理容師の資格が必要です。
許認可の取得には、数週間から数か月かかるものもあります。物件の条件や設備の基準が定められている場合も多いため、物件を契約する前に管轄の行政窓口に相談しておくと、やり直しを防げます。
事業を回すために用意したい道具と環境
手続きが整ったら、日々の事業を円滑に回すための道具と環境を用意しましょう。
まずそろえたいのが、事業用の銀行口座とクレジットカードです。プライベートのお金と事業のお金を分けておくことで、帳簿づけや確定申告がぐっと楽になります。会計ソフトは、銀行口座やカードと連携できるクラウド型を選ぶと、取引の記録を自動で取り込めて便利です。
パソコンやスマートフォン、プリンターなどの機器も、業務に合わせて準備します。お客さんとの接点として、名刺やホームページ、SNSのアカウントも早めに整えておきたいところです。特にホームページは、信頼性を高め、検索から新しいお客さんを呼び込む入り口になります。
見落としがちなのが、契約書のひな形と保険です。取引の条件を書面で取り決めておけば、代金の未払いなどのトラブルを防げます。業種によっては、賠償責任保険への加入も検討しましょう。
取引先によっては、インボイス制度に対応した請求書を求められることもあります。適格請求書発行事業者の登録をするかどうかは、取引先の状況や売上の規模を踏まえて判断してください。
起業に必要なものを準備する順番
必要なものがわかっても、どの順番で準備すればいいのか迷う方もいるでしょう。効率よく進めるための流れを紹介します。
出発点は、やはり事業計画です。どんな事業を、どの形態で始めるのかが決まらなければ、必要な手続きも許認可も確定しません。計画を書きながら、必要な資金の総額と調達方法までを見通しておきましょう。
計画が固まったら、事業形態を決めます。最初は個人事業主として小さく始め、利益が増えてから法人化する人も多くいます。取引先が法人との契約を求める業界や、まとまった資金調達を予定している場合は、最初から法人を設立するほうがスムーズなこともあります。
融資を受けるなら、この段階で金融機関に相談を始めます。審査には事業計画書が必要で、結果が出るまでに数週間かかるため、物件の契約や設備の発注と並行して進めると時間を無駄にしません。
許認可が必要な業種では、物件や設備の基準を満たしているかを行政窓口と確認しながら、申請の準備を進めます。最後に、開業届や設立登記などの手続きを済ませ、口座や会計ソフト、ホームページを整えれば、いよいよ事業のスタートです。
それぞれの準備には時間がかかるものもあるため、開業したい日から逆算して、2〜3か月ほどの余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。
まとめ:起業に必要なものを整理して一つずつ準備しよう
起業に必要なものは、事業計画と資金、事業形態に応じた手続きと書類、業種ごとの許認可、そして事業を回す道具と環境の4つに整理できます。個人事業主なら開業届から手軽に始められ、法人なら定款や登記などの準備と費用が必要です。全体像をつかんだうえで、自分の事業に必要なものを一つずつそろえ、着実に起業への準備を進めていきましょう。
◯関連記事
・「起業したいけど何から始めればいいか分からない…」独学で失敗する人の共通点と、確実に成果を出すための”3つの条件”
・ゼロからでも、正しい学びと仲間で起業を形にする


